メールマガジン

HICPMネールマガジン第494号

掲載日2013 年 2 月 18 日

HICPMメールマガジン第494号(2月18日)

みなさんこんにちは

アベノミックス
アベノミックスと呼ばれるインフレ政策のミニバブルは、すでに、民主党時代に東日本復興事業で起きています。地元では復興で投入された事業費だけではなく、これからの投入資金を使おうとする各種関係者の調査が入り込み、ゴールドラッシュさながらの陰謀が渦巻く社会が形成されています。
東日本大震災は、「1000年に一度の大震災であるから、既存の法律制度では対応はできない」と政治家も政府も口にしながら、復興庁を創って、復興の基本方針も存在しないまま、各省ごとの予算の配分を先行し、その予算枠内で護送船団方式(政・官・業・コンサル談合)での予算執行をしてきました。しかし、肝心の基本方針について国民が共通の理解となっているものはありません。小出しにして政官癒着の支出が、国庫から引き出されています。1000年に一度起きるかもしれない大災害の仮設住宅として、「土台は丸太の木杭を打ちながら、住宅は恒久住宅」仕様で、それを「高台建設し、入居者がなくて空き家が続いている」ことに、政府の取り組みの本質が露見しています。

東日本「仮設住宅の役割」は何だったのか
仮設住宅は、これまで生活が継続できるように「被災地に建設」し、最小限の資源で、短期の生活に必要な要件のみを具備した住宅を迅速に建設し、「短期間に撤収をするべき住宅」です。しかし、今の仮設住宅は住宅産業の利益を考えたプレハブ住宅として中央官僚が支配できる住宅を、「何処に緊急入居者がいるか、誰を入居させるか」の考えもなく、地元の建設業界の有力建設会社に特命で大量発注し、量産することで、仮設住宅事業の目的は終っています。それで税金は住宅産業と地元有力建設業者に配られ、公共事業としての事業目的は達したとされてきました。その事業利益の一部は政治献金として、またその一部は建設業団体の賛助会費として回収され、関係議員への政治献金と集票、そして、公務員の天下り受け入れ外郭団体への資金となって護送船団に還流されています。

護送船団方式と「一般社団法人」の本質とは
税金を使っていることは、税負担が国民にとって薄く広いため、「被災者救済のため」の大義名分で、財政支出の内容や支出の仕方に意見を言ったり、関心を持つ人はいません。官主導、または、政治主導といわれる政治行政は、例外なく、国民の税金を使う財政支出を背景に、実施される政治または行政指導の事業です。
日本では「お上」といい、未だに官の行うことは正しく、任せておけばよい官尊民卑の風潮があります。その風潮を悪用して、全て有力議員と官僚が国民の税金を、「あたかも自分の金である」かのように私物化し、企業に「景気刺激」との理由をつけ「公益的政策になる」と、お金の分配を決めてきました。しかし、それらの事業を進める政治家と官僚は、必ずその裏で財政支出をしたお金に一部またはその全部を「法律に触れない仕組み」でキックバック(不正な還元)してきました。
「一般社団法人」として、今、盛んに設立されている団体は、ほとんど、国庫補助金を受け入れるための隠れ蓑団体です。民主党政権時代に行政機関所管の社団法人と財団法人を批判し、それに代わる法人を「一般社団法人」として設立し、そこでの企画に合わせた公共事業とそれらの事業で使われた税金の護送船団へのキックバックをしてきました。政治と官僚主導の財政が牽引する東日本大震災復興ミニバブルが、これからのアベノミックスのモデルと考えてよいと思います。

アベノミックスの本質
アベノミックスは、日銀に対し2%のインフレ政策を飲ませ、それに「日銀が従う」意思表示をすることで、日本が国際的に明確な意思表明するパフォーマンスとなりました。それに反応する形で為替と株価が反応し、ファンダメンタルズ(経済の基本環境)は、まだ変化していないにも拘わらず、実体経済が動く動機づけとなって、大きくインフレに展開しました。為替と株価の変動は、貿易と消費者購買力を基本的に変化させるため、貿易関係企業での終始に大きな変化を与え、関連の消費者購買力を変化させることになりました。
それを住宅産業の観点では、一部の住宅購買力に改善が起き、住宅ローン金利の上昇予測のため駆け込み需要が起きています。そのため住宅金利は上昇し、建材価格及び労賃の上昇は必至で、長期的な見込みはむしろ暗いといえます。しかし、日本の住宅は基本的に売り逃げの繰り返しで、国民が価値の低い住宅を高い価格で交わされ、資産を失い、全ての尻拭いをする構図は変わらず、現時点の住宅販売が個人の資産喪失になるという長期視野は問題にされていません。

利益を急拡大したハウスメーカーと資産を失った住宅購入者
社会が不況であるといっている間に、大手ハウスメーカーは活況を呈し、工務店のシェアーを奪って拡大しています。ハウスメーカーの住宅を購入してきた国民は、それにより確実に資産を失ってきました。
国家の税収に匹敵する規模の国債販売を基本に、つまり、国民に巨額な借金を背負わせているわけですから、国民にマイナス金利の預金を背負わせ、集めた資金を金融機関に低金利で貸し付けてきました。国民が犠牲になり背負ってきた低金利を、あたかも金融機関の温情ある低金利と見せかけて金融が行われてきました。そのからくりは、ハウスメーカーの住宅販売と連動する住宅金融により、高額な住宅を長期低金利により、あたかもその高額な住宅が「高価な価値のある住宅である」とともに、それを住宅購入者が自らのマイナス金利預金や国債によって金融機関が、外見上、相対的に低金利ローンを提供するため、高額な住宅を「購入する能力がある」かのように勘違いをさせ、住宅を購入させてきました。
低金利ローンをしている金融機関も大きな利益を上げています。それは、インフレ率を考えれば、国民がマイナスローンで預金や国債を直接・間接に購入しているからにすぎません。

住宅の価値を無視した住宅価格の住宅ローン
住宅会社で販売責任を取らされた責任者か、住宅金融機関でノルマを上げられなかった責任者以外で、ハウスメーカーの住宅を購入する人は、よほど住宅産業のからくりに無知な人しかいません。ハウスメーカーから購入した住宅を、1年以上経過して販売しようとした場合、購入価格の半額程度以上の価格で販売することはほとんど望めません。高い販売価格のうちの直接工事費は約40%で、その過半の額は粗利(本社経費、営業経費、会社の粗利)です。欧米の住宅金融機関は、直接工事費分しか住宅ローンは実施していません。日本以外の国の金融機関では、日本のハウスメーカーの住宅には40%程度の金融しか与えられません。日本で100%の住宅ローンを実施できている理由は、住宅会社も住宅金融機関も住宅の価値評価をせず、住宅購入者の信用力(生命保険額)を担保に住宅ローンがクレジットローン(サラ金:単なる高利貸しで生命保険での返済を最終担保とする金融)で実施されているためです。

日本の住宅金融機関の「恥」:価値を無視した金融
参考までに説明すると、モーゲージローンは、日本の質金(質屋金融)同様、質草(しちぐさ)を差し押さえて、それを質流れによって質金を回収するため、質草以上に債務の追及をしないノンリコース(追求しない)ローンです。それに対し、日本の住宅ローンは、建物だけのローンであるにもかかわらず、住宅の土地建物に1番の抵当権をつけながら、その土地も一体の差押さえで住宅ローン債務を相殺できず、債務者に死んでもらって生命保険で債務を支払うまでリコース(追い続ける)ローンです。
そのため、住宅金融機関は住宅自体の不動産評価をせず、単なる高利貸しとして住宅会社と共謀して不正な融資をしてきました。その不正を住宅購入者に分かりにくくするために作られた「詐欺の小道具」が、政府がハウスメーカーのために御用学者を使って作成した住宅性能表示制度です。住宅性能表示の等級は、住宅の価値を示すものではありません。性能等級で住宅の価値が評価されないにも拘わらず、性能で住宅の価値が評価されるかの間違った判断を捏造し、不当な高額住宅販売を正当化してきました。

住宅詐欺商売の小道具:住宅性能表示
住宅を購入することにより、住宅購入者が大きな損をすることを止めさせない限り、住宅産業は国民を不幸にしてきた産業というだけではなく、これからも国民を不幸にする産業として存続します。かつて、国土交通省が創設される以前の末期の建設省住宅局が主催する住宅性能表示の説明会で、住宅審議会専門委員の三井ホーム社長が、「中古住宅は、売り手が素人ですから信用で来ません。性能表示されたハウスメーカーの住宅はその価値が高いことが性能表示されていて信用できます。」と説明しました。住宅性能を金額で表示することはできません。高性能でも安い材料工法で安く作ることはできます。しかし、「住宅性能表示をすることで住宅の価値が上がる」という主張をハウスメーカーを育ててきた元東京大学内田祥哉教授が盛んに発言していた時代です。その信用できない中古住宅を販売したのは、ハウスメーカーです。翌日、建設省住宅局に電話をし、「詐欺まがいの話で詐欺商売をしている業者を住宅審議会委員にし、政府の詐欺まがいの制度の説明を」止めるように申し入れをしました。

景気刺激のためには何をやっても許されるのか
それに対して、「そのようなことに関し、行政の先輩から言われても従うわけにはいきません。」という返事でした。私の申し出は、「行政の先輩ということで申し入れをしているのではなく、その種の間違った発言による詐欺商売や、多数の訴訟を抱えている業者の社長を政府の審議会委員とし、また、不当な発言を公的な場で、その地位を利用して発言させること自体が、国家の信用を潰すことになる。」と指摘したのですが、「先輩が批判するのは自由です。ここでやっている説明会は国の方針で、講師も国で選んでやっているのですから、国として批判されても構いません。」と開き直っていました。
景気回復を、財政主導の国の政策として、低金利と企業減税をつかって、価値の低い住宅を高い価格で販売するために、金融機関がハウスメーカーの言いなりの100%融資も認めるなど、企業利益を刺激する方策でアベノミックスが始まろうとしている今、バブル崩壊後の景気回復のため、住宅金融公庫を使って、ゆとり償還など消費者に返済できないほど騙して借金をさせ、住宅産業を支援する政策をした時代と同様のものをすることになることを感じさせます。
(NPO法人 住宅生産生研究会 理事長 戸谷 英世)

P.S  今週、次のセミナーを行います。興味のある方はどうぞ。
日時:2月20は(水曜日)、午後13:30-17:00、場所:住宅生産生研究会(HICPM)会議室、セミナーテーマ:地価負担を最小にする開発「ニューアーバニズムによる資産形成を実現するタウンハウスによる低層高密度開発」(内容:1,134㎡の敷地に8戸の独立住宅地に、45%を公園にし、隣地境界線に接した同規模の独立住宅を18戸建設する事例の「計画理論と技法」を説明する。)



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