メールマガジン

HICPMメールマガジン第511号(6月17日)

掲載日2013 年 6 月 12 日

HICPMメールマガジン第511号(6月17日分)
皆さんこんにちは、

来週は小笠原に出かけますので6月17日分のメールマガジンを本日送付します。
CMの企業セミナーの実施
今回は、ボウクス社のCM(コンストラクションマネジメント)セミナーの概要と結果についてご紹介します。同社は化粧レンガの生産と同時にタイル等の内装工事の施行から住宅の建設まで広く取り組んでおり、かつ、製造業者としての感覚のできている会社です。これまでGKK・HICPMの国内外の研修ツアーにも積極的にご参加され、その成果を社長の自宅の設計施工に実践するなど、理論と実践を繰り返し、特に住宅及び街並み空間をつくることに高いこだわりを持っておられる企業です。
内海(うちうみ)社長は子供の頃から、祖母が「風と共に去りぬ」などの洋画をビデオで見てられるのを見て育ったため、生活感覚の中で米国の豊かな生活空間に憧れ、現在の住宅に関する仕事に関係しているエピソードを聞かせてもらいました。

内海社長は、社員に良い仕事をしてもらうためには、社員に健全な知識、技術、情報興味を持ってもらうことが必要と考え、そのためには、社員が自ら必要な知識を目にし、耳にし、口にし、当然のように扱うことがなければだめだと考えてこられました。
その対策に一つとして、数年前からHICPMで毎月1回、HICPMの持っている欧米の映像を中心とした住宅関連情報のセミナーに、社員とともに参加してきました。
私がHICPMメールマガジンでHICPMのCMの取り組みの「嘆き節」を聞かれたことも少しは影響しているかもしれませんが、「欧米の建設業がCMを必修経営技術として勉強をしてみよう。」と言われ、今回から4回のシリーズとしてCMのアウトラインの勉強をしてもらうことになりました。

CMの背景である「米国に倣う工務店の経営改善の12の原則」
今回のセミナーは2部構成にし、第1部では、「CMを実践している国、実践していない国」の比較、即ち、「日米の住宅産業比較」を説明しました。そこでは米国の住宅バブル(2002=2007)と住宅バブル崩壊(2008年)後のリーマンショック〈2009年〉以後の米国の住宅産業の回復から分ることを、以下の12の項目ごとに説明しました。12項目は米国の住宅の生産性向上重視の住宅政策の枠組みと、「CMによるホームビルダー経営は基本的に正しかったこと」を、質疑応答を繰り返して確認することでした。13名の参加者は、「CM方式」と「本物のCM」の違いなどにも大変ご熱心に質疑に応じてくださいましたので、CMを勉強することの理由をご理解いただけたようでした。

1.    住宅の資産価値重視
個人の買い物の中で、「最も高い買い物」である住宅が、経年するごとに資産価値が上昇することで、米国では住宅を取得することが「アメリカンドリーム」と考えられてきました。個人年金制度や医療福祉制度を民間に依存していても、住宅の資産価値が確実に上昇する政策により、国民の経済的自立ができ、地方財政は地方税収入が確保でき、治安が守られ、米国政府の統治政策が安定しています。

2.    住宅の価値とその評価方法
国民の住宅の資産価値の計測方法は、住宅の需要と供給で決まる市場取引価格で決まります。
経済学ではその冒頭に「価格は価値の現象形態である」と書いてあります。住宅地と住宅が提供する効用(使用価値:デザイン・審美性、機能・利便性、性能・安全衛生性のいずれもお金で評価できない)と、住宅購入者の支払う経済価値(お金で評価)との交換は、需給関係で満足のゆく取引価格として決められます。住宅の価値は固定的ではなく、需給関係で変動するもので、計測方法が不動産鑑定制度です。

3.    見積もりと住宅の不動産評価
不動産鑑定制度は、日本にも欧米と似て非なる制度があります。次の3つの方法で評価し、その評価結果を不動産鑑定技術者が総合的に比較検討し、現在から将来における不動産の取引価格を予測します。三方式とは、
●原価方式(現在評価しようとする不動産を建設したらいくらかかるかという推定再建築費)、
●相対販売価格方式(住宅及び住宅地の提供する効用デザイン、機能、性能の「需要者にとっての社会的重ささの無名数表示」と、取引価格が相関するという前提で推計した取引価格)、
●資本還元方式(不動産に賃貸料収入・配当を、その時代の利回りで割り戻した額)をいいます。

4.    モーゲージと建設金融
住宅の価値と価格は、どこの国でも金融機関が実施する融資の評価で決まります。金融機関がモーゲージのときは、融資期間中の時点に融資返済事故が起きても金融機関が損をしない額しか融資しません。その条件は、住宅地経営管理がしっかりされている住宅地に建設されるクラシックデザイン住宅の「直接工事費」しか融資の対象額にされません。実際の融資には融資保険も合わせて97%融資もあります。
モーゲージと建設期間中に金融機関が下請け業者の工事部分に先取特権を設定して融資する建設金融は、全く同じ見積もりを前提に融資が行われます。その際、正確な見積もりが前提となり、支払債券(ペイメントボンド)と完成保証債券(パフォーマンスボンド)の購入が条件となる場合が一般的です。

5.    住宅融資証券(MBS
(どこの話?)金融機関はモーゲージで融資しても、そのモーゲージを換金するためにFHAの債務保証を受けMBS(モーゲージ・バックド・セキュリティ:証券化)しなければ、金融機関の金庫にお金を取り戻すことができません。政府の債務保証は最終的にモーゲージの対象の住宅が既存住宅市場で販売できることがなければなりません。その条件がクラシックデザインの住宅と「三種の神器」による住宅地経営です。

6.    ホームプランシステム
米国では設計事務所も建築家も、ビルダーも消費者も政府の債務保証の得られるMBS証券化住宅しか相手にしません。そのため、米国(欧・豪)では、MBSの評価の得られる住宅設計図書のカタログ集を出版社、デベロッパー、ジャイアントビルダーは、それぞれの住宅供給システムに合わせたホームプランシステムとして実施しています。ホームプランシステムによる住宅設計を使って住宅を供給することが、どの建設業者が建築しても、「資産価値の維持向上する住宅を提供できる理由」になるのです。

7.    サステイナブルコミュニテイの実現
住宅地を居住者の住みたい憧れの住宅地とし続けることがなければ、売り手市場を維持することはできません。そのカギは、ニューアーバニズムによる「三種の神器」:ハードなルール(基本設計、建築設計指針)ソフトなルールCC&RS)、統治機構(HOA:住宅所有者協会)による「より所得の高い人が住みたくなるような良循環がスパイラル的に機能する住宅地」でなければなりません。より高い所得の人が住み変わることが、需給関係で決まる住宅取引価格が上昇することにもなるのです。

8.    住宅購入者の資産形成
住宅産業は、購入者のお金の上に成り立っている産業ですから、(購入者の?)利益を損なうことがあってはなりません。住宅価格(プライス)は、適正利潤(20%のマークアップ)を加算した生産原価(コスト)との連動するものでない限り、消費者の利益を損なうことになります。コストと乖離して、工務店の利益のために高い価格設定をすれば「詐欺商売」となり、購入者がその住宅を売却しようとしたときには、購入価格以下になり住宅購入者に損失を与えることになります。

9.    土地の高密度利用
日本の住宅地は都市改造土地区画整理事業の採算をもとに地価設定をした結果、政府の誘導地価は市場地下の6倍も高い価格になっており、それをベースの固定資産税や都市計画税が決定されております。しかし、高い地価を担保に不動産金融が行われているため、合理的な地価水準にすれば、担保割れが起こり金融破綻となります。地価水準は改善の目途が立たず、異常な高地価水準を住宅取引に影響をさせないようにするためには、リースホールド〈欧米でなされてきた定期借地権方式、日本の定期借地権方式はだめ〉か、タウンハウスによる低層高密度開発に取り組むことしか、良策はありません。

10.    CMによる「期間当り利潤」最大化
CMによる住宅建設業経営の合理化を果たすためには、住宅生産に利用される住宅設計において合理化が果たされていなければなりません。つまり、設計において標準化、規格化、単純化、共通化が図られて、材料量と労務量を最小限化するエンベロップ(建物の外殻)の最小限化が図られるとともに、住宅の生産性を向上させることにより、「建設期間あたりの工務店の利益の拡大」と、「建設労働者の賃金の向上」を図り、建物のコストカットをするようにしなければなりません。

11.    CMはペプシ(PEPSI)
1986年プラザ合意を受けて日本で輸入住宅の取り組みが始まったとき、米国政府はCMの普及の必要性を認め、CM教育の専門家オシンジャー教授を日本に派遣し、全国でCMセミナーを実施しました。その際、CMはペプシと覚えろと教え多くの関係者に感銘を与えました。しかし、用語の定義が日本で誤解されていました。
施工計画(Planning)、見積もり(Estimation)、購買(Procurment)、工程計画(Scheduling)、施工(Implementation)、の解説はCMテキスト「アメリカのコンストラクションマネジメント」で詳しく説明してあります。

12.    CMの3管理要素
製造業の商品取引の3要素は、契約の基本条件でもあるコスト(原価)、タイム(工程)、クオリティ(品質)です。この3要素を管理する経営技術が一般の製造業ではOM(オペレーションマネジメント) であり、建設業ではCM(コンストラクションマネジメント)です。
建設業のすべての内容はあたかもコスト、タイム、クオリティという3つの面で構成される3角柱のように、三角柱をどこで切っても、いずれの部分も、この3要素によって構成されています。

第2部CM(コンストラクションマネジメント)の理論に関しては次回のメールマガジンで紹介することにします。
(特定非営利活動法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



コメント投稿




powerd by デジコム