戸谷の言いたい放題

マンション建て替え円滑化法による諏訪2丁目事業の上告審

掲載日2013 年 7 月 6 日

平成14年マンション建て替え円滑化法制定以来約10年間にわたって取り組んできた諏訪2丁目住宅管理組合が行っているマンション建て替え事業の紛争が、今回の最高裁判所への上告で一区切りがつくところに来た。国土交通省住宅局長が市街地住宅整備室長時代に、職権を逸脱して円滑化法違反の事業を推進した結果が、大きな不幸を国民に与えている。その要約は2000字に事件を要約した上告受理申し立て理由書賭して提出するものである。ご意見をお待ちしています。戸谷


「上告受理申立て理由書」の要約

本事件の判断の基本となるマンション建て替え円滑化法(以下「円滑化法」という。)及び円滑化法制定に伴い関連改正された平成14年建物区分所有法に対し、東京高等裁判所が控訴審判決で示した法律解釈は、両法律を憲法第29条第2項違反にしたため、上告受理し立てをするものである。

1.円滑化法と「マニュアル」との関係
平成14年までマンション建て替えを強制事業として実施できた法律上の根拠は、昭和58年建物区分所有法である。同法は、構造耐力的に危険である緊急性に対する公共性を根拠に、区分所有者の絶対過半数(5分の4以上)の賛成を条件に強制建て替え事業が認められていた。

一方、円滑化法は、小泉内閣の都市再生事業の一環として、専ら経済的利益を求める建て替え事業であっても、円滑化法第4条基本方針で定める「区分所有者の建て替えに向けての合意形成」の手続きを経た場合には、強制建て替え事業を実施できる公共性が認められる法律とした。

同法の国会審議において、公共性を付与する根拠となる円滑化法第4条基本方針の内容を具体的な手続(羈束行為)として定めなければ、「私有財産権の保障」を定めた憲法第29条第2項に抵触することが指摘され、円滑化法を施行する国土交通省に対し、円滑化法第4条の法律内容を「マンションの建て替えに向けての合意形成のためのマニュアル」(以下「マニュアル」という。)を作成し、具体的手順を解説することになった。この「マニュアル」は、制定当時から、内閣法制局の有権解釈や判例同様、「円滑化法そのもの」で、法律と同じ効力があると説明してきた。

2.「マニュアル」で定めた二つの決議
円滑化法では、強制権を付与された事業が十分の準備がされないため、中途で事業が中止や変更がないように、「マニュアル」で定めた強制事業とする以下の「2つの節目の決議」を絶対過半数(5分の4以上)で行うことを羈束条件に、区分所有者の合意形成を積み上げることを定めた。

(1)    区分所有者全員を強制して、建て替え事業に絞って調査設計を実施する決議:「建て替え推進決議」を定め、この決議を根拠に、「優良建築物等整備事業補助金(国庫補助率3分の2)」による国庫補助金を使って建て替え事業の調査設計を行う。

(2)    区分所有者の合意を反映した(1)で取りまとめた建て替え事業計画をもとに建て替え事業を区分所有者全員を強制して実施することの意思決定をする「建て替え決議」を行ない、その「建て替え決議」を根拠に、建て替え事業組合を認可する。「マニュアル」で定められた「建て替え決議」は、円滑化法関連改正された昭和14年建物区分所有法第62条で定める「建て替え決議」の定義を関連改正したものである。

3.本事件の発端・推移・結果
(1)上記2(1)の優良権築物等整備事業補助金を交付した国土交通省住宅局井上俊之市街地住宅整備室長が、マンション建て替え事業を拡大する目的で、諏訪2丁目住宅管理組合(以下「諏訪組合」という。)及び被上告人・多摩市に対し、「マニュアル」に定めた手続きを実施しないでも、「建て替え推進決議」という名称の諏訪組合総会決議があれば国庫補助金を交付するという違法な行政指示を与えた。その指示を受けて諏訪組合は被上告人・多摩市と共謀して国庫補助金等適正化法に違反して国庫補助金を不正に申請し、建て替え反対者の切り崩しなどに補助金を不正使用した。

(2)その結果取りまとめられた建て替え事業計画は、区分所有者の30%以上が不支持の意向を示した。諏訪組合では、その建て替え事業計画では「建て替え決議」は不可能であると判断した。しかも国庫補助金の不正申請、不正使用をしたことが明らかになると国庫補助金返還をしなければならないため、補助金を受けた調査設計事業そのものを反故にした。

(3)    諏訪組合は建て替え事業計画が存在しないのに、建て替え事業者を選考する「事業者選考コンペ」により、予定した東京建物㈱に「500万円の移転補償費の支給」という条件を提示させ、選考させた。その業者選考完了後、東京建物㈱は諏訪組合と謀議していたとおり、経営不良を口実に「500万円の移転補償金」の支給を行わない旨、組合員に通知した。

(4)組合員が怯んだ隙を見て、諏訪組合は昭和58年建物区分所有法第62条に基づく「建て替え決議」を実施した。そして、その詐欺決議を根拠に、諏訪組合は円滑化法第9条に基づく強制事業権を持つ建て替え組合の認可を被上告人に申請し、被上告人は組合認可した。

(5)上告人はこの一連の法律違反を無効であると訴えたことに関し、諏訪組合は国庫補助金の不正申請の指摘に対し、その犯罪の共同正犯である国土交通省住宅局市街地住宅整備室長が「マヌュアル」を、指針であって、法律ではないから拘束されないと違法な指導をした。それを受けて被上告人が本訴訟でその主張を繰り返してきた。

(6)本事件控訴審判決は、東京高等裁判所が、ダーティハンドの官僚が苦し紛れに口にした法律違反の言い訳(上記(5))に迎合することで、その行政法知識の欠如を覆い隠そうとしたものである。しかし、控訴審判決を適法であるとしたら、円滑化法の強制権の根拠は消滅し、円滑化法及び平成14年建物区分所有法はいずれも憲法違反にならざるを得ない。

(7)仮に控訴審が正しくて、「マニュアル」が指針であったとしても、諏訪組合が二つの決議で詐欺を行った事実に変わりはなく、詐欺の事業による処分は無効にされなければならない。
以上。



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