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HICPMメールマガジン第520号(2013年8月12日)

掲載日2013 年 8 月 9 日

HICPMメールマガジン第520号(2013年8月12日)
皆さんこんにちは、
HICPMは、今日から1週間盆休みです。休暇に入る前にメールマガジンを送ります。

私が住んでいるサバービア21多摩住宅管理組合理事会で私は、今年は理事長になり、前年度の組合理事会より、以下の2つの事項を引き継ぎ、その検討を進めてきました。それらの問題を進めるためにも、規約改正を行うことが必要になると判断されました。そこで、以下の通り、前理事会からの引き継ぎ内容の再確認を取り入れ、今回の理事会での検討の背景と検討事項をまとめてみました。この検討は現在の住宅地が抱えている問題を象徴的に表しているので、皆様のご参考になると思いご紹介します。
(1)    本年度は、緊急対応を要するとされる「計画修繕事業」を行う。
(2)    居住者の高齢化及びそれを取り囲む社会経済環境の変化への対応を行う

計画修繕事業
今年、19年目を迎え実施する第2回目の計画修繕事業です。前回の平成6年の計画修繕事業は、壁面からの浸水など日本住宅公団による瑕疵保証の範囲を確定する必要もあり、かつ、修繕積立金のストックも不足し、その値上げを含み、網羅的な計画修繕が実施されました。その結果、この住宅の一つの特色といわれたレンガタイルによる化粧「奥目地」面を、「平滑目地」とし、メインテナンスフリーの外装としました。
今年の計画修繕は、第一義的に屋根工事に基本的な老朽の欠陥が発見され、屋根の改修を今回の「計画修繕の柱」にしました。
屋根工事をするために足場は不可欠です。足場工事には、全体工事費の20%弱の大きな費用が掛りますので、その足場工事を利用してできるだけ一緒にやれる工事を行うことが、前回理事会の基本的考え方でした。
現在、外壁の下地及び化粧面の破損は、地上からの目視では確認されていません。しかし、レンガタイル外壁は、地上からの目視で欠陥は確認していませんが、外壁面に欠陥があることは、「全レンガタイルを叩く」悉皆(しっかい)調査を行なわなければ、確信ある判断はできないという見解がJSから示され、前回の理事会で「レンガタイルの悉皆打診」を行うことが決定しています。
屋根工事に必要な足場は、全棟の外壁レンガタイルの悉皆打診をするために、全棟を囲んで作るという前提がありました。しかし、大規模修繕予算は、1億6千万円程度の制限がありますので、もう一度、実施する作業の優先順位を組合で確認する必要がありまます。今回は屋根工事に必要な部分の足場を最小限につくることを、再度吟味し、検討対象にする提案をしようと思います。

新しい問題1:バリアフリー問題
サバービア21多摩の居住者の高齢化は、現実に団地での車椅子利用が日常化するようになっており問題となっております。日本国全体としても、平成18年から高齢者、障碍者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性に鑑み、車いす移動のできる住環境づくりを義務付ける「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が制定・施行されています。共同住宅は同法の「特定建築物」に該当し、「建築物移動等円滑化基準」に適合することが義務付けられ、共同住宅の「移動円滑化通路」に対して「エレベーター」の設置が「努力義務付け」されています。つまり、もはや日本でもユニバーサルデザインが必要条件となり、住宅の基本機能要求となり、取引価格の決定条件になってきました。
一般的に夫婦同時に老齢化するため、単独での移動が困難になったとき、肉体的に夫婦のいずれかに頼るということは困難で、基本的に「バリアーフリー」での移動を可能にすることが必要です。この住宅団地内の48戸中の6戸の住宅にだけはその条件を欠いでおり、法令による努力義務付けに拘わらず、緊急を要する対応がありません。高齢化には猶予がありませんので、最も緊急性がある問題です。

新しい問題2.エネルギー問題
国民の生活を福祉社会政策に期待することが次第に困難になっており、個人資産に依存する割合は高くなっています。個人にとって住宅が最大の資産であり、住宅の資産価値を維持向上させるための取り組みが求められています。マンションの資産価値は、マンションが市場での取引価格で決まります。取引価格は需要と供給との関係で決まりますが、それは住宅の提供する効用と価格の関係で決まり、その内容は次の3つの問題が大きく関係しています。
(1)    エネルギー負担の少ない住宅(高気密、高断熱、省エネルギー)に改善すること
(2)    現在の居住者と同等以上の所得の居住者が住む住宅として維持管理できること
(3)    居住者の住居費負担能力を高めることのできる住宅として維持管理できること

上記(1)に関しては、以下のような対応が考えられます。
イ.基本的に外断熱・遮熱構造とするとともに、開口部にはロ-イー(Low-e)ガラスと遮熱を行うこと
ロ、ソーラー、風力などによる発電及び給湯施設を設置することでエネルギー生産をすること
ハ、化石燃料、太陽光、バイオマス、風力など多様な電力エネルギーを選択的に利用できる時代になれば、総エネルギー費用が最小になるような選択をする。

上記(2)に関しては、犯罪に弱い住宅は市場で需要の対象になりにくいため、住宅の資産価値を維持向上させるために、セキュリティが高いことが重要な要件とされます。
欧米でも、「スマートハウス(住宅内にIT技術を取り入れて防犯する)」や、「ゲーティッドコミュニテイ(入門規制)をするもの」及び、その両者を併用するものが実施されてきました。しかし、それらの設置した住宅と設置していない住宅との間で、「セキュリティに差がない」ことが米国のコミュニテイ調査で分かりました。その結果、1970年代末には全米各地でセキュリティの高い住宅地を調査した結果、1930年(車社会の到来)以前に建設された良い住宅地は、その後もセキュリティが高いことが判明し、その調査結果から、TND(トラディショナル・ネイバーフッド・ディベロップメント:伝統的近隣住区開発)が纏められました。
それは、住宅地の居住者がお互いを理解し合い、「相手の嫌なことはしないが、相手の喜ぶことをしよう」とする「お互いを尊重し合うコミュニティ経営をすること」といわれます。その住宅地の経営の考え方を「ニューアーバニズム」と呼び、一般的な住宅地経営に使われています。そのためには「ニューアーバニズム」の考え方で計画された住宅地を、ハードな環境のルール(マスタープランとア―キテクチュラルガイドライン)とソフトな生活ルールを決め、住宅地経営管理協会が民事契約(CC&RS:カベナント・コンディションズ・アンド・リストリクションズ)に基づき、その経営管理を行うことです。
そこには「集会所という共同施設」を組合員がその生活要求に合せて、個人的にも、居住者相互でも、組合活動でも、もっと積極的に利用することができることが必要です。そのためには、集会所を開放し、住民が主体的に利用できるようにする運営規則を作る必要があります。

新しい問題3.「脱法ハウス」問題
何が「脱法」かが明らかにされないまま、「脱法ハウス」規制が進もうとしています。経営上から見ると金儲け本位の悪質な「脱法ハウス」から、小所帯による賃貸収入確保の「アパート付き住宅」のような良質な「脱法ハウス」(同居)まで様々あります。住宅地の社会的な評価は、住宅地に居住している人の資質やライフスタイルにより左右されますので、これは個別住宅の問題ではなく、住宅地経営という視点で判断をしなければなりません。
米国では住居法という法律があって、日本の住宅政策で採択していた「居住水準」のような基準で住環境を守ることを物理利的条件として定め、その条件に違反した住宅は、住宅行政が住宅の使用禁止と閉鎖を義務付付けています。これはどの団地でも「罰則付き民事契約」として実践することができます。

新しい問題4.既存世帯の少人数化と賃貸収入源としての余剰空間利用
一方、既存住宅の小世帯化が進んでおり、1世帯の家族数が、1人や2人という家族もあります。
一方日本全体として単身世帯は急激に増えています。それらの人をワンルームマンションとして受け入れる傾向が強いのですが、ワンルームマンションは高密度ではありますが、そこには家族の生活がなく、社会的な問題を生むケースも多くなっています。
米国では個人住宅の一部に1LDK(一般に「スタジオ」と呼んでいます。)をつくり、大きな住宅を一部賃貸住宅や賃貸居住シェアーハウスとして使い、家族生活を感じ生活する生き方を進めています。
住居の一部を賃貸し、住宅所有者は、賃貸収入を得て、生活を楽にすることができます。これらの賃貸居住者を受け入れることにすると、居住者も同じ団地の居住者ですから、地方自治法上の地縁団地の構成員とすることができます。米国の場合には、住宅地経営管理協会(HOA)の構成会員の住宅に居住する人も、HOAの規則の制約を遵守することになります。以上に関しては現在の組合規約では予想していないことですから、その対応をしなければなりません。

新しい問題5.ニューアーバニズムによるミックストハウジング
人びとの生活は、乳幼児や高齢者という支援を必要とする人たちのケアの問題がライフスタイルを左右することになります。多様なライフステージにある人々が生活する住宅地は、多様なライフステージにあった生活をします。その結果、自然発生的に形成された住宅地を結成します。それをミックストハウジングと呼び、住宅型式としては、持ち家、賃貸住宅、借間、といった多様な生活が混在することになります。価値観の違う人たちがその違いを尊重し合い民主的な街を経営するのが、全米の住宅地経営の考え方になっています。
これまでの住宅産業がつくってきた売り逃げの住宅地を、皆が住みたいと憧れる住宅地として経営管理をすることで、その住宅地の評判を変えていけるのです。それが資産価値をサステイン(維持)することのできるサスティナブルコミュニテイでなければなりません。
住宅の資産価値を守るためには、住宅地は、住宅単体がそれぞれ独立して所有者によって管理されている状態から、住宅地全体が全体として管理されなければならなくなってきました。
悪質な脱法ハウスが、優れたマンションの中につくられると、それは住宅地全体の資産価値を一挙に下落させることになります。ニューヨークのハーレムがその典型的な事例でした。
(NPO法人 住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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