メールマガジン

HICPMメールマガジン第530号(10月28日)

掲載日2013 年 10 月 28 日

HICPMメールマガジン第530号(10月28日)
皆さんこんにちは、

今月は米国に2回の研修ツァー(ニューアーバニズムによる住宅地開発と合わせて、福祉関係とリモデリングに出掛けたため、メールマガジンの発送が不規則になってしまいました。そのうえ、11月6,7日にポートメッセなごやで、日本木工機械展・ウッド・エコテックが開催されます。その際、HICPMがその併催事業として、下記のセミナーと研修ツァーを実施することになりました。
そこで、今回のメールマガジンでは、これまで連載的に掲載してきた「日本の住宅問題」と切り離し1.木工機械展併設研修ツァーの案内
2.「米国の住宅事情」(米国での研修ツァーでの米国住宅産業解説)

1.木工機械が繋ぐ「木材」と「建築・住宅・デザイン」セミナーと研修ツアー
―ニューアーバニズムによるサステイナブルコミュ二ティの実現―

事業趣旨
「木材」と「住宅」とを結ぶ鍵が「木工機械」です。HICPMは1999年、名古屋木工機械展でサステイナブルハウスを軌道に乗せ、全国で1000戸近くの住宅を供給してきました。今回は、豊かな都市住生活空間として伝承すべき歴史文化の担い手として、構造材料と同等以上に重要な非構造「木工加工」材料に光を当て、欧米同様木材加工材料の利用を考えようとするものです。
(1)研修セミナー:日本木工機械展/ウッド エコテック 2013併催事業
開催日時:平成25年11月7日(木)  13:00~16:30
開催場所:ポートメッセなごや 交流センター 第3会議室

.セミナー:「木工機械が繋ぐ木材と住宅・建築・インテリア・デザイン」
わが国の森林は資源の蓄積が豊富であるにも拘わらず,木材の大量輸入国です。木を建築や都市空間で利用する意味は都市生活環境を豊かに造るためです。都心のビル街に地域の理解と協力のもとで敷設したウッドデッキや大学の研究室で学生自らの手によるウッドフローリングなど身近な木材利用例とともに,欧米における木材利用の現状を見ることで、わが国における文化的な都市空間と森林の再生に向けた都市での木材利用の拡大と森林資源の持続性について考えてみたい

(2)研修ツァー:日本木工機械展・ウッドエコテック2013併催事業
開催日時:11月6日
見学地:スパイラルビレッジ・レンガ住宅(鈴鹿)、ジョサイア・コンドル設計の「諸戸の家」(桑名)

一日バスツアー:「木工建材とレンガ住宅バスツアー」
木工建材を使った洋風住宅を英国のガーデンシティやガーデンサバーブを見学し学んだレンガデザインの住宅地(彩賓館スパイラルビレッジ)で住宅の見学するとともに、輸入木工建材配送センターを訪問し、取り扱っている床材、壁材、木製ドア、トリム材台所キャビネット・パネル等の建材の特性、輸入システムのメリット、国内流通の方法・販売価格。販売方法などの建材セミナーを現地で実施する。

2.米国の住宅産業事情(米国研修ツァーでの米国住宅産業解説)
米国を訪問したとき、そこで見ることの出来るもののうらで、日本と違ってどのようなシステムが機能しているかを知ってもらうための多くのことの中で、基本的な違いとして知っていてほしいと思われることを、思いつくままに10項目並べてみました。
(1)米国の社会のシステムの社会性
米国は人種の坩堝(るつぼ)であるといわれるように多種多様な人種が生活しているところです。住宅産業においても企業の枠や、企業や、資本系列の枠を超えて共同作業が出来るように生産自体が社会化されています。その方法として建材の仕様や寸法も、施工方法も社会的に、標準化、規格化、単純化、共通化が進んでいて、そこでのルール住宅資産価値の増大をはかるために、そのルールを尊重する限り、全ての関係者が社会的な協力が図れる国です。標準化した建築材料をつかった生産及び建築仕様書の共通化(AIA)の仕事の標準化が行われています。

(2)不動産の価値の評価の基本は工事費の「見積」(材工分離)
建築工事に関して、その「見積」が工事内容を特定するとともに工事事態の価値(経済的な)を決定するものですから、材料及び労務数量と単価を厳重に管理しています。建設金融及び住宅金融も見積りに基づいた「等価交換金融」が行われています。そこで最も重視されている「建設業経営としての工事管理」も、「建設現場の工事管理」も、実際の工事を正確に表した見積を工事の品質と、工事金額と、工事期間の3つの要素に分解し、契約の3要素(品質、お金、時間)を管理することで、その品質管理(TQM)と原価管理(コストコントロール)と工程管理(スケジューリング)をCM(コンストラクションマネッジメント)と呼んでいます。

(3)労働者の賃金単価とぎ能力の関係
労務賃金も熟練工(ジャーニーマン)、見習い工(アプレンティス)、建設労働者(ワーカー)によりそれぞれ時給が40-50ドル、20-30ドル、7-8ドルが違っているので現場監督(スーパーバイザー)は、施工計画を立て工事見積もりをする段階から工事実施に当たっても、その見積計画を尊重して工事を実施しています。「技能力が高くなれば、賃金が高くなる。」という社会を作ることで優れた技能者を社会的に養成してきました。米国では下請け業者の親方(フォアマン)の指揮のもとに、組(クルー)で下請工事を実施しますが、下請は原則、「一層下請」で、「重層下請」はありません。下請が重層することでは、経費が累増するだけで利益はありません。米国の住宅金融では、経費に対しては融資対象にはしません。

(4)ホームビルダー経営の最大の関心:生産性
工務店(ホームビルダー)にとっては利潤を上げることが目的で、建設労働者は賃金を多く貰うことが最大の関心事です。しかし、日本は労賃、材料費の圧縮を図るために、企業粗利の分配を変更(拡大)する工務店と労務者の間で限られた利益を奪い合う醜い「騙し合い」の対立を作っています。それに対し、米国では工事期間の短縮(生産性)を向上することで「期間当たりの粗利」と「期間当たりの賃金」を増大することで共通な事業改善に取り組んでいます。住宅産業のうち少なくとも建設工事をする工務店は製造業であり、そこでの建設業経営は製造業者の行う生産工学(OM:オペレ-ションマネジメント)と同じ建設業経営管理(CM:コンストラクションマネジメント)という製造業者としての経営をしなければなりません。

(5)住宅金融機関の融資する額:直接工事費
米国では国民の経済的基盤の充実は、住宅を保有することで実現する政策を「アメリカン・ドリーム」として取り組んできました。それはその背景に住宅に資産価値を維持向上させる米国の住宅政策と、それと一体不可分の関係にある住宅金融のシステム(モーゲージローンとコンストラクションローン)が直接工事費にしか融資をしないことで、住宅の価値を融資で裏書するように機能しています。自由主義の資本主義社会を健全に機能するために大切なことは「等価交換」が公正に行われることです、貨幣経済は、その仲介をする金融機関が「正確な見積」に基づいて金融を行うことにより、不動産価値に対応した等価交換金融を可能にしています。
米国の金融とは逆に、日本の金融機関は表では不動産担保金融と言っていますが、担保の土地での最終の決済はせず生命保険に依存するもので、基本的にクレジットローンです。つまり、最後は清算は、「ベニスの商人」同様、生命保険で決済することをやってきました。不動産金融といいながら不動産を鑑定評価する技術は非常に低いことも指摘されなければなりません。

(6)米国の不動産金融(モーゲージ)の本質
米国の住宅ローン(モーゲージ)は金融機関が融資を受けた消費者が、ローンの融資期間内に消費者が融資期間内にローン返済不可能になった場合の事態を考え融資を行っています。即ち、金融機関は融資対象の担保(ゲージ)を差し押さえ、消滅させ(モルト)、担保(ゲージ)を住宅市場で売却しローン残高を回収しています。その言葉(担保が差し抑えられ、担保としての性格は死ぬ)から、モーゲージという言葉が生まれています。日本で住宅を不動産の鑑定評価で、「償却資産として扱ったときの残存価格である」扱いをしています。償却資産の扱いは、会計法上、または税法上の扱いに過ぎず、不動産の価値を評価する市場価格を評価する方法としての科学的根拠はありません。政府はスクラップ・アンド・ビルドの政策を進めるために、消費者に「自身の住宅資産の価値が減価償却する」と説明し、建て替え事業をするように国民を騙し、それに御用学者が迎合したということです。不動産鑑定評価は、「償却資産扱いをしたときの残存価値」ではなく、「市場での需給関係で決められる取引価格」でなければならないのです。

(7)土地建物不可分とする住宅不動産
ローン返済が不能になったとき、担保を抑えて確実に貸し金を回収するために、金融機関は最初の融資に当たり、直接工事費(土地代、材料費、労務費)にしか融資しません。日本以外の国では、「建築物は、土地に建築されて土地の一部に吸収される」と考えています。土地とその上に建築される建築物を、土地と独立した不動産の扱う非科学的な扱いをしている国は日本だけです。土地と建築物は一体の不動産としてしか評価されません。既存住宅が市場で需要の対象になるならば、その住宅を現時点で造ろうとしたときに推定再建築費用になります。物理的に劣化した部分は、修繕津に立て金相当額として計算されます。その根拠となっている推定再建築費の見積りを重視し、材工分離で数量と単価を厳密に管理することを実施しいています。米国の不動産鑑定評価制度に基づく原価主義(コストアプローチ)といわれる方法は、直接工事費の積み上げを言い、日本の「公共事業に伴う損失補償基準要綱(閣議決定)」で言う推定再建築費を指します。この基準は米国の不動産鑑定評価(アプレイザル)に倣ったものです。

(8)米国の高品質住宅設計の鍵:ホームプランシステム
米国ではホームプランシステムが社会的に定着しており、どんな工務店でも消費者でも、ホームプランを使うことで金融機関の適正な融資のえられる住宅設計を見積書つきで手に入れることが出来ます。政府は基本的にこれらの住宅に対してはMBS(モーゲージ保証債券)として政府の債務保証を与えることになります。全米の建築設計者の中で住宅設計者の多くのホームプランにその設計を掲載し、その設計図書の販売額の一定割合(10%)を印税としてもらっています。ホームプランの印税で生活をしている建築家は米国には沢山います。ポームプラン集に掲載されるためには、出版社からそのデザインで金融機関の融資が得られるか、政府の債務保証が得られるかの審査を受けます。注文のえられない設計はホームプランから外されます。

(9)ホームビルダーの粗利分に対し融資しない住宅金融
住宅産業全体を鳥瞰したとき、米国でも日本でも「消費者の利益」と言う言葉が使われていますが、日本の場合は工務店が消費者のためというときの言葉は、単なる言葉の綾か、顧客を信じさせるための言葉ですが、米国では顧客とホームビルダーが競争し、協力して住宅を購入する人の利益のため、コストカットをすることに勤めています。工務店の利益は直接工事費の上に20%加算されるもので工事請負契約での工事総額の中の利益分配ではありません。米国では日本のように過大な営業経費を掛けて住宅を販売し、その営業宣伝に掛けた費用を住宅販売価格で回収することは認められません。まずそれを阻止するのが住宅を担保にして金融(モーゲージ)をする金融機関です。営業販売に資金を掛けても、それは住宅の価値を向上させることにならないから、金融機関は営業販売費に対しては融資を行いません。その住宅を差し押さえて販売するときその過剰な営業販売費用を既存住宅価格に入れて回収することは出来ないからです。

(10)ホームビルダー経営で最も重視される宝:レピュテイション(評判)
全米ホームビルダー協会(NAHB)その会員であるホームビルダーに対して、販売価格の20%の粗利をその健全経営のために使うための方法として、営業宣伝のための費用をいかに抑えるかを指導してきました。その方法とは、「広告宣伝のための営業経費ゼロ」を実現するために、ホームビルダーの建設した住宅をビルボード(広告塔)にし,住宅を購入した人(顧客)を営業マンにすることで、受注の70%以上を紹介客として獲得する経営です。実際に米国のホームビルダーは70%以上を紹介客で得ています。そのためには、ホームビルダーは専門性をはっきりさせ、顧客に尊敬される仕事をしています。彼らは、「評判(レピュテイション)」こそ、ホームビルダーの財産であるといっています。
以上。



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