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HICPMメールマガジン第540号(平成25年12月30日

掲載日2013 年 12 月 30 日

HICPMメールマガジン第540号(平成25年12月30日)
2つの法律を憲法違反にした控訴審判決

「マニュアル」を「法律ではない」とした控訴審判決は、憲法違反
日本国憲法第29条は私有財産権の保障を定めています。私有財産権は公共性がある事業の前には犠牲とされることがあります。「円滑化法」及び平成14年建物区分所有法の2つの行政法は、「公共性を実現する規定」を円滑化法第4条基本方針で建て替えの合意形成定め、円滑化法の施行者・国土交通省が国会の審議を受け、第4条の具体的内容を国土交通省が「マニュアル」を定めました。東京高等裁判所の本事件の控訴審で、「マニュアルは単なる指針に過ぎないので、それには拘束されない」という憲法違反を容認する判決を出しました。諏訪組合の建て替え事業は「マニュアルには縛られないでよい」とする控訴審判決は、以下のとおり、円滑化法に照らし、次のとおり2重に「間違った判断」です。

第1は、円滑化法による強制建て替え事業は「マニュアル」で定めた「2つの決議」に従うべきことを条件にしており、「マニュアル」で定めた区分所有者の建て替えに向けての合意形成手続の実体を具備しない手続きは、区分所有者の建て替えに向けての合意形成の実体を有せず、名称だけの詐欺の決議に過ぎず、円滑化法第4条違反するものです。
第2は、「マニュアル」を「指針」であると主張して、円滑化法及び「平成14年区分法」の施行に関し、「マニュアル」自体に拘束されないとする主張は、強制建て替え事業の手続きを定めた「マニュアル」自体の否定となります。「マニュアル」が否定されれば、円滑化法第4条の強制権は、その根拠が否定され、円滑化法自体が憲法違反になります。

本行政事件は、法律として遵守すべき範囲を誤った控訴審判決の錯誤によって発生しました。控訴審判決は法律を解説したマニュアルを拘束力をもたない行政指導指針と錯誤し、強制権の背景となる公共性の内容(羈束行為)が、円滑化法の法律構成上の憲法第29条第2項(公共性の例外)の文理を理解できなかったため、このような誤解が発生しました。以下に挙げる内容、即ち、「マニュアル」が、法律同様の拘束力を有することが否定されることになれば、円滑化法及び「平成14年区分法」を憲法第29条第2項に適合するとする円滑化法第4条に定める基本方針を定めたマニュアルを否定する憲法違反の判断根拠になります。

円滑化法制定当時には国土交通省から、円滑化法第4条基本方針は、区分所有者の合意形成により強制事業と認められる公共性を付与する根拠です。第4条基本方針の法律内容を「マニュアル」として国土交通省が解説し、そこで定めた具体的な合意形成の手続きが円滑化法による強制権を付与する事業を担保する羈束事項とされました。円滑化法による公共性を付与するためには、それを担保する具体的な根拠となる手続きを必要とします。マニュアルなしでは、円滑化法は機能出来ません。

もし、「マニュアル」で定められた内容が第4条の法律解説ではなく、それが「単なる指針」で遵守を義務付けられないとすれば、「マニュアル」自体は必要でなくなります。同時に、第4条自体も遵守義務を失います。そうなれば、第4条を根拠とした円滑化法の強制事業法としての根拠が失われ、「平成14年区分法」第62条の「建て替え決議」に付与された強制権も失われます。そうすれば円滑化法第9条の根拠となる第12条の強制建て替え事業組合認可の基準も公共性は認められません。よって、円滑化法及び「平成14年区分法」は憲法違反の法律であることになります。

円滑化法を憲法違反にする控訴審判決
諏訪組合によるマンション建て替え事業に適用された円滑化法及び「平成14年区分法」の、控訴審判決で容認された東京都知事による円滑化法施行の実体は、円滑化法第4条基本方針を解説した「マニュアル」を蹂躙してよいとした判決により、両法律は憲法に違反した法律になりました。その原因は、両法律自体は「マニュアル」を円滑化法第4条の法解釈であるとしたことで憲法違反ではなく制定されました。しかし、控訴審判決による円滑化法第4条に対する法律解釈として、「マニュアル」には拘束力がないとする控訴審判決に従えば、両法律とも憲法違反になるからです。

強制権を建て替え組合に付与した円滑化法第9条の組合認可条件(12条)の鍵が、第4条の基本方針を解説した「マニュアル」で定めた「建て替え決議」です。この「建て替え決議」が、「平成14年区分法」第62条で規定されている「建て替え決議」です。第4条基本方針の法律内容が、羈束行為として決める具体的手続きを確定できなければ、円滑化法は憲法第29条第2項との関係で、強制法としての安定性を失うことになります。円滑化法及び「平成14年区分法」は、いずれも両法律は円滑化法第4条により建て替え組合に強制権を付与する「公共性」の上に成り立っています。

国土交通省は、「マニュアル」に定める手続きとして、組合が自らの組合費を使い専門のコンサルタントを雇い、組合員それぞれの権利が建て替えによりどのようになるかを調査検討し、その結果を、「建て替えに絞り、事業計画作成に踏み切る」建て替え推進決議(以下「推進決議」という。)を組合員の絶対過半数(5分の4以上)がした場合、組合員全員を強制的に建て替え事業計画に取り組ませることができます。そして、その決議を条件に建て替え事業計画作成費等に、「優良建築物等整備事業補助金制度」(以下「優良補助金」という。)により、国庫補助金を交付することにしました。

国庫補助金の詐取と幇助
国庫補助金を交付担当室長が現在の住宅局長である井上俊之住宅整備室長です。住宅整備室は円滑化法担当ではなく、円滑化法上の「推進決議」がなされたものに国庫補助金の交付部署です。しかし、井上室長は担当事業予算の無理な拡大を狙い、諏訪組合に国庫補助金を不正に交付する目的で、「マニュアル」に違反して名称だけの「推進決議」を違法に行わせ、国庫補助金を不正に申請させました。井上室長は建て替え事業の拡大で政界、業界との癒着を強め、住宅局長に上り詰めた官僚でもあります。
「マニュアル」上、諏訪組合が「推進決議」をするためには、組合自身の予算を使って1年以上の内部検討作業をしてからでなければ、組合の「推進決議」できません。しかし、事業予算拡大を狙った井上室長は、名称だけの「推進決議」を行わせ国庫補助金を不正に交付し、建て替え事業を実施させました。このときの井上室長の「マニュアル」を蹂躙し補助金を交付させた円滑化法の施行に越権して口出しした「違法な行政指導」が、その後の諏訪組合を違法に走らせることになりました。

諏訪組合は、井上室長の指導を受けた旭化成ホームズ㈱のコンサルタントで、諏訪組合の円滑化法による建て替え事業の指導に当たりました。井上室長の旭化成ホームズ㈱を介した諏訪組合の指導により、「マニュアル」の実体を有しない名称だけの「推進決議」及び「建て替え決議」を、「マニュアル」どおりの実体を有する「推進決議」及び「建て替え決議」のように欺瞞し、諏訪組合総会で議決させました。「推進決議」に当たり、諏訪組合は旭化成ホームズ㈱の指導に従い、組合員には「マニュアル」とは無関係に「高率な建て替え調査事業費の得られる国庫補助金制度が新たに創設された」と虚偽の説明を、諏訪組合総会で組合理事長に説明させました。その際、補助条件として「建て替え推進決議」という名称の決議が必要であると諏訪組合員を騙し、諏訪組合総会で決議をさせました。

「マニュアル」違反の名称だけの「推進決議」を総会決議後、建て替え推進諏訪組合理事らは、総会決議なしに諏訪組合理事長名で、優良補助金申請を多摩市長に申請しました。多摩市長は諏訪組合が詐欺によって得た「推進決議」の詐欺文書を「マニュアル」に違反したものであり、かつ、国土交通大臣に対する国庫補助申請書が諏訪組合総会決議なしに申請されたことを承知し、多摩市は国土交通大臣に優良補助金申請を行い、優良補助金を国から詐取しました。多摩市長は国庫補助金を諏訪組合に不正に交付し、諏訪組合は詐取した優良補助金を旭化成ホームズ㈱に供与しました。その優良補助金はマンション建て替え事業反対者の切り崩しと、旭化成ホームズ㈱の利益本位の建て替え事業計画作成費に使われました。要するに国庫補助金を不正に受給しその資金で実施された建て替え事業です。

さらに、諏訪組合は円滑化法第9条に基づく建て替え組合認可を行うため、「マニュアル」に定めた手続きを有しない「昭和58年建物区分所有法」第62条に規定する「建て替え決議」を行いました。その実施した「建て替え決議」は、平成14年「円滑化法」関連改正で改正された「平成14年区分法」第62条の規定ではありません。「昭和58年区分法」と「平成14年区分法」の62条には、同じ名称の「建て替え決議」の規定があります。しかし、その「建て替え決議」の用語の定義が、円滑化法の制定に伴い内容後の定義の内容が変更されたのです。つまり、諏訪組合が行った「建て替え決議」は、「平成14年区分法」に定める「建て替え決議」(「マニュアル」に定義されている)の実体のない「建て替え決議」を総会で詐欺決議をしたものです。

諏訪組合は、無効とされるべき「建て替え決議」を根拠に、円滑化法第9条にもとづく強制事業権を有する建て替え組合認可申請を東京都知事に組合認可を行いました。東京都知事は、認可申請の要件である「平成14年区分法」の「建て替え決議」は、「マニュアル」に定めた「建て替え決議」でなければならないことを承知の上で、「14年区分法」に違反した「昭和58年区分法」に基づくもので承知し、違法な「建て替え決議」を適法と見なしました。

官僚による法律の蹂躙
東京都知事が組合認可申請を実施できるとした理由は、諏訪組合は前段階の優良補助金の交付を受ける条件の「推進決議」のときに、同じく詐欺により「推進決議」を、井上室長の所管外の行政指導による手続きを、あたかも円滑化法施行の権限を有する欺瞞した判断を示しました。井上室長は違法な教唆を行い、諏訪組合に詐欺による「推進決議」を行わせ、その「推進決議」を添付させ、優良補助金を詐欺の方法で得た手続きを幇助した東京都知事が組合認可で再度不正を繰り返したためでした。

行政の先輩である著者ら諏訪組合員が井上室長に面談し、「推進決議」の詐欺行為を容認し、不正な優良補助金交付を追及したとき、井上室長は刑事訴追の危険性を感じ、次のような言い訳をしました。優良補助金申請書は適正に作成されていて、かつ、国に申請書が到達するまでに、多摩市、東京都、国土交通省関東整備局の審査を経ています。国はそこでの審査に嫌疑を挟むことはできません。そして、「推進決議」に関し、諏訪組合総会で「推進決議」をした書類が添付されているだけで、補助金審査の経由庁で「推進決議」自体の不正を審査することになっていません。その上で、「先輩も補助事業のことはご存じのとおり、行政内部の不正の立証は私が真相究明に協力しない限り不可能です。私は先輩の要求があっても、真相究明を妨害をしても絶対に協力はしません」と断言しました。

諏訪組合によるマンション建て替え事業に先立ち、井上室長は東京都及び多摩市に出向き、諏訪組合理事を臨席させ「マニュアル」に定める「推進決議」の実体がなくても、「推進決議」という名称の総会決議を実施したという文書が添付されていれば、優良補助金は交付すると違法な行政指導を約束し、事業の促進方を要請しました。「マニュアル」で定めた建て替えに向けての手続きが全くやられていない諏訪組合に対し、詐欺による優良補助金申請を教唆し、補助金交付を確実に行うことの念押しをしました。

円滑化法第4条の解説「マニュアル」
諏訪組合が行った「マニュアル」違反の「推進決議」は、井上室長の詐欺教唆による違法な行政指導により、本事業の最初の段階から、旭化成ホームズ㈱のコンサルテイションを受けた諏訪組合が中心になって行いました。井上室長からの行政指導があったとはいえ、多摩市長及び東京都知事が優良補助金の不正な交付をおこなったという意味で、円滑化法および適化法違反の諏訪組合とは共同正犯の関係にあります。そのため、その後も多摩市及び東京都知事の両者の行政は、一貫して、「マニュアル」の規定に抵触する詐欺行為を容認するダーティハンドな行政を踏襲してきました。

控訴審は、諏訪組合の行った「マニュアル」に定めた実体のない詐欺による「推進決議」も、詐欺による「建て替え決議」も、「マニュアル」自体が法律ではないから、適法、又は、違法の判断は法律上存在しないといい、「2つの決議とも合法」としました。そのため、控訴審判事は行政機関の言いなりに違法な「推進決議」及び「建て替え決議」を合法とした結果、強制権を付与した第4条が骨抜きとなり、円滑化法および建物区分所有法は、憲法第29条違反の法律として施行されていることになりました。

2つの決議は「マニュアル」に対する詐欺ですから、仮に「マニュアル」が法律ではないとしても、刑法上の詐欺に該当する違法な決議であることには変わりありません。「マニュアル」の定めに対し、詐欺による決議を根拠に進められた円滑化法手続きは無効とされなければなりません。井上室長が諏訪組合及び東京都知事に行った違法な「マニュアル」の法律解釈を、「毒食わば、皿まで」の解釈として繰り返したもので、控訴審の判決は、凡そ、法律論理としての文理的な合理性は存在しません。

「マニュアル」で決められた手続きに従うことで、円滑化法及び平成「14年区分法」の「公共性」が認められています。しかし、「マニュアル」違反を、控訴審判決は、「マニュアル」は法律ではないことで、「マニュアル」に書かれた手続きのすべてを、法律上の違反は問えない手続きと判決してしまいました。「マニュアル」の法的資格の否定判決の結果、円滑化法及び「平成14年区分法」の立法当時の法律論理として、強制権を付与する「公共性」の強制権を付与する根拠も失われました。

東京高等裁判所以外が認めている法律としての「マニュアル」の性格
「マニュアル」には拘束されないでよいと言いながら、諏訪組合が詐欺を犯してまで決議した「推進決議」及び「建て替え決議」をしなければならなかった理由は、円滑化法第4条基本方針を遵守することに建て替え事業で強制権を行使できる根拠(公共性)があるからですい。「マニュアル」で定めた「推進決議」と「建て替え決議」は羈束行為で、この2つの決議は強制事業として建て替え事業を進めるためには不可避の条件であることをすべての違反関係者が判っていました。

東京都知事(国土交通省及び多摩市)は、既に、国庫補助金の不正交付等過去行政の処分で違反を犯したダーティハンドで不正が暴かれることを恐れていました。諏訪組合や東京都知事、多摩市長は、「マニュアル」は、単に指針に過ぎません。それに違反した「推進決議」や「建て替え決議」が適法か、違法か、は拘泥すべきことではないとその場限りの苦し紛れの言い訳を繰り返しました。

一方では、諏訪組合は建て替え事業を強制事業として進めるためには、何が何でも円滑化法に定める強制事業権を入手しなければなりませんでした。しかし、詐欺による刑事訴追を受ければ事業自体を放棄させられる危険がありました。「前門の虎、後門の狼」に挟まれた抜き差しならない状態に置かれたため、円滑化法の手続きを踏んでいるが、「マニュアル」には従わないという矛盾を犯すことになりました。

控訴審判事らは、行政庁が苦し紛れの目先の刑事罰を逃れるための目先の言い逃れ答弁に迎合し、「マニュアル」は法律ではないとすることで事件は収まると考えたのかもしれません。控訴審判決の通りであれば、「推進決議」や「建て替え決議」には法的な意味も効力もなくなります。そうなれば、円滑化法と「平成14年区分法」が憲法違反になります。そのことまでは控訴審判事は考えが及ばなかったのかもしれません。「推進決議」と「建て替え決議」が効力を失えば、円滑化法及び「平成14年法」自体が強制権を行使できる法律上の効力を失うからです。犯罪者たちは、裁判所がこれまで行政追従であったことを見て、司法軽視し、司法は行政のわがままを必ず追認すると過信していたのかもしれません。

これまでの判決は、多摩市長の法律論理上の拙劣な言い訳に、東京地方裁判所裁判官も、東京高等裁判所裁判官も迎合してきました。それは、行政追従をすれば、司法の行政法能力の未熟さを暴露されないで済むと考えたに違いありません。行政法は官僚が立法作業をし、施行してきた。著者は官僚として、行政法の立法、施行に関係してきましたが、その経験に照らすと、本事件の司法関係者は行政法にあまりにも未熟です。裁判官は行政法に関し官僚に対し劣等感をもち、行政追従の判決を繰り返すことしか出来ませんでした。

(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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