メールマガジン

HICPMメールマガジン第541号(平成26年1月6日)

掲載日2014 年 1 月 6 日

HICPMメールマガジン第541号(平成26年1月6日)
新年のご挨拶を申し上げます。
あけましておめでとうございます

原著どおりの感激を与えてくれた「永遠のゼロ」
今年の正月は、映画化された百田直樹の「永遠のゼロ」を見に行きました。多分、多くの方もご覧になり、感激されたことと思います。原著に忠実な演出で、原著同様な満足を得ることができました。昨年、ジブリの「風立ちぬ」で、ゼロ戦作家を主人公にしたアニメを見ましたが,画面が美しく、形を重視した分だけ、私には心が伝わらず、そらぞらしく思えました。それに対し、「永遠のゼロ」は、戦争に直面したぎりぎりの行き方を迫られた人達が描かれ、戦争の勝ち負けではなく、戦争を戦っている中での人間の生き方がよく描かれ、人々にとって大切な生き方は何かを問う映画で、考えさせられました。戦争相手であった米国の人たちが見ても、共感を持って感激するに違いないと確信を持ちました。

現代人が見ても、人間としての大切な生き方とは、基本的に、「人間」と「人間相互の約束(信頼)」を大切にすることであることを、ゼロ戦戦闘機搭乗員の生き方を通して教えてくれるものだと思いました。人間にとって社会的信頼の基本(信頼)を守るという、一見平凡な生き方であるにも拘わらず、それを守る「軸足の揺るがない生き方」をすることはどんな難しいことかを教えてくれました。家族にとっても、友人に対しても、社会に対してもそれぞれ信頼が基本になってよい関係がつくられています。相手がどうするかではなく、自分自身が誇りをもつことのできる生き方を考えさせる物語です。本人の生き方こそ、人間観の信頼関係をつくる基本ではないかと問うている映画でした。

新しいメールマガジンの新企画:アベノミックスで再登場する規制緩和
昨年メールマガジン第524号から毎週5ページで日本の住宅・都市政策が国民を不幸にしてきた事実を掲載してきました。いずれも、私がHICPM会員の仕事を支援したり、社会的に大きな不利益を押し付けられてきた人々の権利回復のために、行政事件訴訟で経験してきたことを連載してきました。この記事にご関心を持たれてメールマガジンの読むよう希望された方も何人かありました。しかし、一方では、毎週5ページは長すぎて、もう少し短く出来ないかというご意見も頂いています。そこで、年末いろいろ考えました結果、読者の皆さんの関心として、HICPMのメールマガジンは、私の専門的知識経験を背景に、実践できる知識を身につけられるテキスト(住宅・建築・都市教科書)とし、事例を法令を根拠にした解説短編集にし、このメールでしか学ぶことの出来ない実践的法律解説にしました。

HICPMが創設以来実施してきたこと
私がHICPM創設以来20年かけて実施してきたことは、日本と、欧米の住宅、建築、都市を比較し、日本より圧倒的に優れている欧米の技術を学び、その必然性を研究し、それを日本の現実社会、特に住宅産業界で実際に起きた事業に、欧米の技術や経験を読み替え、適用し、実践することでした。それは単なるアドバイスからコンサルタントとして、または、企業の顧問として実際の事業に欧米の技術を適用することまで対応は様々です。『サステイナブルコミュニティの実現』(HICPM刊)はその成果の一部です。その現在までの取り組みの最先端にある事業が、福岡県の株大建が、糸島市で実施している「荻浦ガーデンサバーブ」です。この事業はまだ入居者は埋まっていませんが、欧米の優れた住宅地に肩を並べることのできる資産形成を叶えることのできる住宅地経営です。

「中古住宅流通と住宅リフォーム:の本質
日本では土地担保金融の名の下に、その実態はクレジットローンで、不動産を担保にしたローンが実施されてきました。住宅販売価格によって巨額な営業販売費用を回収する高額住宅販売は、それらの住宅が中古住宅市場では、それらの回収された営業販売費を中古住宅に転嫁出来ません。そのために、中古住宅は必ずそれらの広告営業販売費(販売価格の半額相当)分だけ価格を引き下げない限り販売出来ません。それらは「確実の値崩れを起こす中古住宅」、言い換えれば住宅購入者が損をする住宅を供給してきました。ハウスメーカーは、自ら販売した住宅が20年程度し、住宅所有者が値崩れしたことに諦めがつく頃を見計らって、「住宅は償却資産」という政府の「ハウスメーカーの不正な新築価格販売擁護の嘘」を持ち出しました。そして、かつて、高額で販売して売りぬけた高額住宅を、一転して「残存価値しかない住宅」といって、中古住宅を安く買い叩き、または、資産価値がゼロになったと住宅所有者に勘違いさせました。そのうえで、それに着せ替えというリフォームをさせ、それで価値を増進させることができると騙して、「再販」または,「住み続け」させようとします。それが政府がハウスメーカーや不動産取引業者と策してきた「中古住宅流通と住宅リフォーム」という新しい政府の政策です。

政府の『住宅リフォーム政策』の目的:景気刺激
「衰退しつつある街並み」の中の住宅のリフォームは、スラムの中でその貧しい環境を放置したまま、住宅だけのリモデリングを巨額な費用を掛けて派手に改修するのと同じで、お金を掛けて立派に作り変えても、住宅の資産価値を挙げることになりません。本人はお金を掛けたから、それだけの価値が上がったと勘違いするでしょう。住宅の資産価値は、その住宅が市場の需給関係を反映して高い需要に支持されることによって実現するものです。リモデリングの多額の資金を投下しても、住宅の資産価値が上がるとは限りません。住宅の環境を変えないで、貧しい住環強化にある住宅の巨額のお金を投入することは、「どぶにお金を捨てる」と同じです。政府は国民のお金を使わせることで景気を上げることを考えても、国民の住宅資産の価値を高めようとは考えていません。市場の住宅の需要供給は、住宅単体の性能であると政府は間違った説明をしています。実際の人びとの住宅不動産購入は、生活環境(ロケーション)管理の状況を見て住宅を選択しているのです。住宅の購入は、ロケーションが需要の基本的条件となっています。街並み景観、日常生活の利便性、安全性、通勤通学の利便性や進学率といった条件です。そのためには住宅地としての経営がどれだけしっかりできているかが問題になります。

アベノミックスの経済政策のモデル:小泉・竹中内閣の規制緩和
アベノミックスは、小泉・竹中によるバブル崩壊による不良資産を基本的に生き返らせ、多くに不良資産を抱えた企業をよみがえらせたことを見て、再び規制緩和による贋金づくりを実施することを考えています。財政出動をせず、金融緩和をしなくても、規制緩和で企業を蘇らせた方法が小泉・竹中の規制緩和であったわけです。アベノミックスは小泉・竹中内閣が行い、金融債務を抱えた土地所有者が巨額の贋金を手にしたのと同じ方法をもう一度実施しようとしています。不幸にも、小泉・竹中内閣による贋金づくりは、社会的に大きな矛盾を、大震火災に弱い過密都市環境として生み出しました。既存住民は環境悪化に危機を感じ、行政事件訴訟として各地で争われました。私も50件近くの行政事件訴訟に関係してまいりましたが、悉く敗訴となってきました。東京地方裁判所や高等裁判所で、行政事件裁判の判決に立ち会ってみると、毎回10-20件近くの判決は、悉く原告(住民)敗訴にしなっています。原告は法律に照らした根拠を挙げて訴えており、法律違反の訴えをしていることはありません。判決では原告の訴えに対し、裁判所が法律を根拠に間違っていると判決した例は皆無です。

被告の政府が敗訴することはあり得ない行政事件裁判
裁判所は、「行政庁の処分でもよい」とする行政追従の判決しか書けないのが裁判所です。裁判官の行政法知識が貧弱であるだけではなく、政府の方針に対し盾突こうとする気骨のある判事がいないことがあげられます。原告である住民の側に立って弁護を担当する弁護士の多くも行政法知識が十分な弁護士は少なく、それでいてそれ以前に被告である行政官に行政法知識で大きく後れを取っています。弁護士の行政法知識は裁判官と同程度に貧しく、それでいて、多くの弁護士は裁判官のご機嫌取りをすることで自らの地位を守ろうとする卑しいものが多く、このままでは法治国はその実体を牛な手しまうのではないかと思います。そのため、多くの住民は弁護士を雇いながら、その弁護士に行政庁の処分の不当を法律に照らして間違っていることを理解させるのに大きな時間と費用を掛けなければならなくなっています。私がこれまでつきあった弁護士の中で、「ラ・トゥアー・ダイカンヤマ」の武内弁護士はその中で数少ない優れた弁護士だと思います。

10回の連載となるメールマガジン「規制緩和の贋金づくり」
HICPMでは。創立以来、法治国は法施行がしっかり行われなくては「この世は闇」になるという理解の下に、法律に規定されたルールで行政とも司法とも戦ってきました。そしてすべての関係者にできるだけ正しくルールを学んでもらい、自らを守るようにしてもらいたいと思ってきました。この1月からは、まず10回程度のシリーズで、「規制緩和の贋金づくり」と言うテーマで小泉竹中内閣の下で進められた規制緩和の実体を、行政事件訴訟で争われた事例を通して分析研究したものをお伝えしようと思います。それはアベノミックスで、今、安倍内閣が考えている内容でもあるのです。何故、アベノミックスで規制緩和を実施しようとするかという理由は、規制緩和には全く財政支出を必要としないからです。ではいったいどこに問題があるかという理由は、「贋金づくり」と同じで、それは日本の都市環境の悪化、ひいては大震火災に弱い街をつくることになるからです。

中国の環境汚染の経験
かつて、高度成長時代の日本は環境汚染国でした。経済成長があったおかげで環境対策を行うことができました。中国の環境対策はどうなるでしょうか。規制緩和は環境問題に例えれば、排出基準の緩和です。個々の規制緩和を受けた建築物が建築されたことでは、少し環境が悪くなった程度にしか感じません。しかし規制緩和を受けた建築物が増大すると、その量が一定以上に拡大すると、「量から質」の転換が起き、環境は手の付けられないほどに一挙に悪化します。規制緩和により都市に異常な容量の建築が建築され人が過密に生活し、環境を悪化させます。そこに大震火災がやって来ますと道路は混乱し救命救急活動や消防活動はマヒし、大きな都市災害になります。規制緩和を受けた建築が建築されても、何も取り立てて困ったことは起こらないと行政は言い、裁判所はそれを不問に付してきました。小泉・竹中内閣が行った規制緩和自体が法律違反を多数含んでおり、その規制緩和自体が違法であるところに問題があるのです。その問題をこれから10回シリーズで扱いますのでお読みになってください。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



コメント投稿




powerd by デジコム