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HICPMメールマガジン第552号(平成26年3月24日)

掲載日2014 年 3 月 24 日

HICPMメールマガジン第552号(平成26年3月24日)
みなさんこんにちは

先週まで10回にわたり「規制緩和の贋金づくり」にシリーズをお送りしました。このシリーズで書き残した国土交通省住宅局長井上俊之の法律違反の問題を、本メールの後にお届けすることにしました。
今回はもう一つHICPMが拘ってきた「資産形成が実現できる住宅地経営」として米国の経験を日本の条件に置き換えて実施した㈱大建による「荻浦ガーデンサバーブ」が、やがて、全住戸の入居が見込めるところに来ています。
この事業で開発された「NCZ工法(人工地盤)」や「ためとっと(雨水貯留施設)」が、経産省の評価を受け、広く普及させられる環境ができましたので、あらためてこの開発を以下のとおり、2回に分けて、都市計画法と建築基準法との関係で説明することにしました。

米国の住宅地経営に学ぶ「新しい住宅地環境形成手法」
―荻浦ガーデンサバーブと都市計画法と建築基準法―(その1)

米国の住宅地経営技術の国内実践事例の報告
㈱大建が実施した「荻浦ガーデンサバーブ」(福岡県糸島市)は、米国のニューアーバニズムの考え方にもとづいて、住宅による資産形成を実現する「三種の神器」の手法を取り入れた日本で最初の住宅地経営事業です。18戸の住宅が完成して14戸が入居され、桜の季節までには全住宅が一杯になろうとしています。その間、住環境はもとより、居住者の育てるコミュニティも非常に熟成し、欧米波の優れた憧れの住宅環境に育ってきました。

この住宅地は、日本の住宅産議業界が行ってきた「差別か」と「手離れのよい」詐欺商売と違い、住宅購入者の住宅の資産価値が、経年するに伴い向上する住宅地経営を実施する事業でした。福岡県がかつて経験をしたことがなかった米国で実施されているPUD(一団地住宅経営)であったため、その理解をするために1年近く許認可事務を遅らされました。

日本では都市計画法による「一団地の住宅施設」は、建築基準法制定時に米国の制度を一部取り入れて制度化されていますが、「荻浦ガーデンサバーブ」は、米国で行われている住宅地経営全体を取り入れたものです。

米国の住宅地経営は、1950年建築基準法制定時点のGHQが導入を指導した米国の「一団地の住宅地経営」の考え方と、1968年の都市計画法の制定時の「都市計画法の開発許可」と建築基準法の「建築確認」との行政事務区分通りに実施できる開発でした。

この事業は土地の効率利用と建設コストを削減し、工期短縮する経済的に合理的な方法で、これからのわが国で住宅地経営を進める上で、不可欠な方法であることが「荻浦ガーデンサバーブ」で検証できたと考えます。そこで、このような開発を進めるために必要な情報を住宅産業関係者に説明する必要があると考えました。

1.    コミュニティ経営(住宅地造りと住宅地経営)
荻浦ガーデンサバーブは日本でこれまで日本の住宅産業が行ってきた単に住宅を「差別化」し、「手離れのよい事業」と知れ売り逃げする事業と違って、欧米で一般的に行われている居住者相互がその違いを「区別」し、尊重しあうとともに、開発業者及び住宅建設業者との関係を恒久的に持続し、何時までも開発した住宅地を「売り手市場」として住宅地を経営管理する事業です。

「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というコミュニティづくりの基本に立ち返って、サイドウォ-ク(側道)を個人敷地につくり、共有地に個人のパーキングを計画し、子どもたちは大木が育ち、魚が泳いでいる池や、列車を間近に眺めることのできるボードウォークから帯道につくられた菜園までの住宅地の隅々までを、自宅の庭(自分たちの遊び場)として地区外からの友達を招いて自由に楽しめることができます。

ここには託児施設としても利用できる集会場や、来客を宿泊させることのできるゲストルームを備えたコモンハウス共有財産としてつくられ自由に利用できます。居住者によるコミュニティ造りを目的にする住宅地経営で、居住者自身が住宅地経営に参画するシステム造りの事業です。そのためにまず重要なことは、土地利用の違いごとに土地を区分するとともに建築物を「一敷地、一建築物」の方法で建築するのではなく、開発地全体を多様な土地利用を同じ敷地に重ねあわせることのできる「一団地として開発・経営」することです。

「一元的」な「手離れをしない」住宅地の継続経営
このような米国の住宅地開発・経営事業は、カンサスシティで「資産形成を実現する住宅地経営」で全米の関心を引いた住宅地開発業者J・C・ニコルズと、住宅地経営の法的整備をCC&RSにより実現させた法律家チャーリー・アッシャーにより開発されたCC&RS(カベナント・コンディションズ・アンド・リストリクションズ)による住宅地経営で、1928年、ニュージャージー州ラドバーンで始まって以来、全米はおろか、世界の住宅地開発・経営の基本として実施されている方法です。

この方法は、住宅地の継続的に環境管理することによって、「売り手市場」を継続する住宅地経営を確実にするものです。その経営を確実にするために、以下の3要素(三種の神器)による住宅地経営手法が不可欠とされました。
(1)CC&RSを背景にする自治統治組織、HOA(住宅所有者全員参加の住宅地経営団体)
(2)ハードのルール(マスタープランとアーキテクチュラルガイドライン)
(3)ソフトなルール(罰則規定を含む環境管理義務規定)

ラドバーン計画の初めて登場したこの方法は、C・A/ペレーによる近隣住区理論(ネイバーフッドユニット)を使って土地利用計画を行い、「三種の神器」により、この地に生活する人々の相互理解を前提にして、お互いの違いを尊重して、相互に干渉せず、「お互いに嫌なことはせず、相手に喜ばれることをしようとする」生き方によって、そこで生活する人による豊かなコミュニティが形成されています。

その居住者の相互理解が基礎となって賊のつけ入る隙をつくらず、セキュリティが高く、人びとが憧れる住宅地となり、住宅を取得した人は確実に個人資産形成できます。コミュニテイを育てることでセキュリティの高い住宅地を造り、住宅による資産形成を実現させてきたことから、歩行者空間として近隣住区計画理論でつくられたラドバーンは、住宅による資産形成を実現する住宅地経営のメッカとされてきました。

「一敷地一建築物(サブディビジョンコントロール)」から「PUD(一団地住宅経営)」へ
ラドバーンで開発された資産形成を実現する住宅地経営の方法は、1950年、GHQの指導のもとでつくられた建築基準法が制定されたときに、米国の住宅地経営方法CC&RSの一部が以下の二つの制度として導入されました。
(1)都市計画法と一体的に整備された「地域地区に関する土地利用」(マスタープラン)に対応する建築基準法第3章規定(アーキテクチュラルガイドライン)
(2)「一団地の住宅施設」(マスタープラン)に対応する建築基準法第6章(雑則)第68条(アーキテクチュラルガイドライン)

住宅地開発は、このいずれかの仕組みの選択をすることになりますが、いずれの選択の場合にも街並み景観(環境)を整備する制度として、付加すべきハードのルール及びソフトのルールとして建築協定(アーキテクチュラルガイドライン)が制度として使えるよう建築基準法は作られました。
これらはいずれも米国の住宅地開発のベースとなっているCC&RSの内容です。

ラドバーン計画において実践された方法は、ゾーニングコード(地域地区として定められたマスタープラン)と「一敷地、一建築物」の原則のもとで、都市計画規制をアーキテクチュラルガイドラインにより受けるサブディビジョンコントロールの開発でした。

その開発技法は、1960年代、米国で高地価に対し、「木造耐火建築物を可能にした2×4工法によるタウンハウス技術」と「優れたランドスケーピング技術」により、高密度な環境整備手法として開発されたPUD(プランド・ユニット・デベロップメント:一団地住宅経営)の技法により、「戸建住宅並の環境をアパート並の住居費負担で手に入れられる方法」として発展しました。

都市計画施設としての一「団地の住宅施設」
1968年新都市計画法の制定に当っても、それまでの「一団地住宅施設」(都市計画法第11条第1項第8号)はそのまま踏襲されました。「一団地の住宅施設」は、都市計画施設として都市計画決定される公共性の高い施設であることから、土地収用法で収用権を付与している「一団地の住宅」と平仄を合わせ、都市計画法による強制権(公共性)を付与できる条件として、「50戸以上の住宅によって構成される一団地であること」が求められました。

そして、都市計画法で定められた「一団地の住宅施設」を都市計画決定をした場合には、土地の取得に関し公共性が認められ、強制権(収用)することができます。都市計画決定をした「一団地の住宅施設」に計画される建築基準法上の建築物に対するハードなルール(建築規制)は、建築基準法第6章雑則第68条で定められます。

任意事業として実施できる「一団地の住宅」
一方、「50戸未満の一団地の住宅地経営を行う場合」には、その事業のための都市計画決定をすることが出来ないし、その事業に公共性を付与することはできません。しかし、その場合の一団地の住宅経営を行う場合、強制権の裏付けは与えられませんが、つまり、都市計画法ではその住宅地経営に公共性を与えられませんが、その事業実施を禁止するわけではなく、その事業は建築基準法による任意事業として行うことになります。

「戸数が50戸未満の一団地経営を実施する場合」は、その住宅地全体を「用途上不可分の関係にある2以上の建築物がある一団地の土地」(建築基準法施行令第1条第一号)として、全体を一敷地として扱うことになります。この住宅地経営は都市計画法で都市施設として定められた「一団地住宅施設と変わりはありません。

この扱いは「一団地の官公庁施設」、多数の公社が一段地の土地に建設される学校、コテッジ型の旅館・ホテルのように敷地全体が一人の個人又は法人の経営管理下にある建築群の敷地の扱いと同じです。住宅地の場合、その一団の住宅の敷地が、住宅開発業者又はHOA(ホームオーナーズアソシエイション)により、継続的に全体を経営管理する条件が維持される限り、全体の建築物は一敷地にあるものとみなされます。

しかし、住宅地開発後、その経営管理が住宅所有者によってばらばらに行われるときは、住宅ごとに固有の敷地を定めなければなりません。つまり、HOAが解散したときにはそのような状態になります。しかし、一般的に良い住環境を維持したいと住宅所有者が願っている限り、その住宅居住者で構成されているHOAは解散することはありません。

米国の住宅地開発は、基本的に住宅地経営をHOAが実施することにより維持向上させるため、PUDの例に見るとおり、住宅地全体が有機的な関係のある一団地として扱われます。しかし、HOAが存在せず、地方公共団体の都市計画行政で監督される地域もあり、そこでは「一敷地一建築物」(サブディビジョンコンとロール)の原則の下に、地方自治体の直接的な建築規制を受けます。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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