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HICPMメールマガジン第552号(平成26年3月28日)

掲載日2014 年 3 月 31 日

HICPMメールマガジン第552号(平成26年3月28日)
みなさんこんにちは

前回まで10回連載しました「規制緩和の贋金づくり」では、ラ・トゥアー・ダイカンヤマと、「諏訪2丁目住宅管理組合」のマンション建て替え事件と、京都府における市街化編入問題を扱いました。その間、最近の安倍内閣でマンション建て替え円滑化法の再改正の取り組みの話が伝えられています。そこで再度、小泉・竹中内閣が行った「規制緩和の贋金づくり」が、日本の史上かつて経験したことのない経済成長(国民は実感せず、企業は不良政権を良債権化した)を実現しました。しかし、この「規制緩和の贋金づくり」の経済政策は、日本国憲法に照らして間違っていることを再確認するとともに、それが安倍内閣が繰り返そうとしている経済政策であることを警告することにしました。

アベノミックスで再登場の
国民の権利を蹂躙する三権(司法・行政・立法)(その11)BM第552号
―官僚支配による護送船団方式のからくり―

円滑化法の「憲法違反」問題の整理
日本で最大規模の多摩ニュータウンの諏訪2丁目住宅管理組合(以下「諏訪組合」という。)の640戸の共同住宅をマンション建て替え円滑化法(以下「円滑化法)という。)によって建て替え事業が実施されました。この事業は、井上俊之国土交通省住宅局長が円滑化法違反を陣頭指揮して進めた事業です。憲法違反、円滑化法違反、補助金適正化法違反、刑法(横領罪、詐欺罪)違反を累積した犯罪のデパートのような事業です。建て替え事業を実施した諏訪組合及び実際の建て替え事業に関係した旭化成ホームズ㈱及び東京建物㈱の2者を含めた3者は、円滑化法に関連し、間接補助事業として国庫補助金を東京都、多摩市を経由し諏訪組合に違法に交付した犯罪の実行犯と幇助した共犯として機能しました。

しかし、行政法に違反して実施された犯罪は、官僚が権力濫用して違反を教唆し、幇助したため、実行犯の諏訪組合には全く犯罪意識がなく、逆に、諏訪組合だけではなく、それを監督すべき多摩市及び東京都が、建て替え事業に反対する区分所有者に対し、公共事業の妨害者という態度で対応し、被害者に当然補償されるべき補償金を不当に縮小し、かつ、修繕積立金返戻金を諏訪組合が横領する犯罪を容認してきました。円滑化法に基づき円滑法を遵守すべき立場にある多摩市及び東京都は、諏訪組合の違反幇助を繰り返してきました。その違反を容認してきた多摩市及び東京都の行政処分の不正を争った裁判で、司法が悉く行政法違反を容認し、諏訪組合の犯した犯罪は国家により容認されました。事件被害者は、井上俊之住宅局長を刑事告訴しましたが、東京地方検察庁は犯罪から7年以上経過したとして控訴時効とされました。

今回はこれまで扱ってきた本事件は、まだ1部は係争中ですが、その総括として、憲法を含む法治国における法律論として、抽象論として合憲であるという言い訳ではなく、円滑化法が現実の社会で施行されている行政及び司法の実態との関係で合憲といえるのかを明らかにすることを目的としている。その判断の基本にある法律が、憲法である。資本主義社会にあって個人の財産権の保護は絶対的で、個人の私的利益の犠牲になることはない。円滑化法による建て替え事業者に与える強制権は、果たして憲法第29条第2項で定める公共の福祉に適合するものであるかという疑問が基本的疑問である。
第29条 (私有財産の保障)
1 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

(1)憲法第29条で定める「私有財産の保障」とその例外を定めた「公共性」
円滑化法によるマンション建て替え事業がどのような公共の福祉に適合するのか。憲法第25条では健康で文化的なマンションを建てることも公共の福祉に適合することであると定めているが、憲法第29条第2項は、財産権の内容として、マンションの建て方に関し公共の福祉に適合するようにと規定している。第1項で個人の財産権不可侵の原則を定めているわけであるから、私的財産権の主張のために他の私的財産権を侵害することは許してはいない。ここで規定している根拠としては、公共の福祉(利益)を実現するため、とこれまで憲法解釈がされてきた。

憲法第29条第2項の説明に照らして、公共性という概念の中に、「大多数の経済的利益を追求するため、少数者を犠牲にしてもよい」とした公共性の根拠自体が憲法違反ではないかという疑問は、円滑化法制定が国会審議をしていた当時からありました。円滑化法に与えられた公共性が、憲法29条第2項に抵触するものではないかについて国の説明はなく、その疑惑は、基本的に解消されていません。しかし、そのような嫌疑がありながら、円滑化法が制定した背景には、土地担保とする日本経済が、バブル崩壊により地価が下落し、担保土地の資産価値が3分の1以下に下落した結果、「不毛の20年」といわれる不況時代を脱することが出来ず、解決策として小泉・竹中内閣の考案した「規制緩和による贋金づくり」に最後の救いを求めました。円滑化法は正にその象徴的な政策でした。

(2)経済政策の実現のため円滑化法に与えられた「公共性」
政府の公共事業に、「贋金づくり」の政策を公然と経済政策に取り入れることは困難です。ここで「贋金づくり」と呼んでいるものは、土地担保金融の担保となっている土地に、「贋の価値」を持ち込むことを指します。土地の価値は、その土地が生み出すことの出来る地代(配当)を公定歩合や国債のような社会的な平均利潤率で割戻した資本還元額を中心に、土地の需給関係を反映した市場価格として決められます。土地が利用されて生み出す地代は、「法定都市計画法で定められている土地利用計画」によって定められます。法定都市計画は都市施設計画、建築物の用途、形態計画で規定されている土地利用計画で、土地の価値はその土地の立地(ロケーション)に対応する排他独占的利用で生み出される効用と交換される貨幣の量です。

その法定都市計画を小泉・竹中内閣は二つの方法で贋金づくりを行いました。一つは法定都市計画をそのままにして、都市計画法を改正して法定都市計画の内容(用途や形態規制)を緩和することで、法定都市計画を自動的に変更したことです。もうひとつは、都市計画法と建築基準法の姉妹法の関係を事実上破壊して、それぞれの法律ごとの規制緩和を行ったことです。この規制緩和を象徴するものは、一部の地区を除いて、建築物の最高高さを撤廃したことです。都市における土地の私的所有は憲法第29条にもとづき尊重されていますが、その都市空間の利用は都市計画で決められた合意の枠の中でしか自由は与えられないとする考え方が、近代都市計画の原則です。この規制緩和による贋金づくりを前提に、小泉・竹中内閣は円滑化法を使って贋金を使った事業を実施し、「不毛の20年」といわれた日本経済を活性化しようとしました。

(3)絶対過半数の決議が「民主的手続き」で成されたら、その決議に公共性があるか
既存マンションが建っている地域は、マンションが建設されてから都市成長の結果、かつて郊外の安い地価の所で建設されたマンションは、高地価の評価を受けるようになりましたが、居住者の地代負担能力が低いため、高い地代を負担できず、その結果、地価は低く抑えられています。既存の居住者に対して既存マンションと同じ規模で、同じ価格のマンションを、同じ規模の土地で何倍も供給できれば、マンション業者は総額として高い地代をあげることが出来ます。現在の低い地価でも、規制緩和を取り入れ高容積に開発することができれば、仮に地価負担能力が低い人が住んでも、高い地価を顕在化させることが出来ます。そこに円滑化法制定の最大の狙いがありました。それを実現するためには既存マンションを強制的に取り壊さなくては不可能で、そのための公共性の理屈が必要だったのです。

円滑化法構成上の公共性はこの経済性は全く触れず、円滑化法第4条基本方針に定めた「区分所有者の合意形成」に置いたのです。その法律上の説明は、国土交通省が定めた「マンション建て替えに向けての合意形成に関するマニュアル」(以下「マニュアル」という。)です。それは区分所有者全員をマニュアルで定めた手続き(14のプロセスを経て区分所有者の合意形成を行い、その中で区分所有者全員を拘束し建て替え事業計画に踏み切るときと、そこで建て替え事業計画が取り組まれ、出来上がった成果物に対し区分所有者全員を拘束して事業に踏み切るとき、住宅管理組合総会で5分の4以上の絶対過半数の賛成が得られた決議)により、その建て替え事業には「公共性」が付与されるという法律構成です。円滑化法は、マニュアルに定めた手続きを経て、決められた建て替え事業に向けての二つの決議が絶対多数決で決められたことで、「その決定には民主議の合理的手続きが踏まれているから、主権在民の思想にも合致し、公共性がある」という法律論上の構成です。

(4)諏訪組合が行った円滑化法による建て替え事業に現れた恥部
経済不況の基本体質の改善は、土地担保金融の担保価値を実質的に引き揚げることであるという経済政策優先の政治判断があったとはいえ、制定された円滑化法の論理を分かり易く説明すれば、マンションの区分所有者の8割以上の経済的利益追求のための建て替え事業には、残りの2割の区分所有者は犠牲になってよい、という経済的強者理屈です。そこで実際に国土交通省の官僚が強引に進めた諏訪組合による建て替え事業は、この住宅地に住み続けたいと願う30%以上の区分所有者を分断し締め付け、脅迫し、最終的には事業に賛成しない約8%(50人余)の人(建て替え決議の反対者)には、マンション買取価格を市価の20%以上引き下げ、経済的に大きな損失を与えました。

さらに、最後まで反対した二人の老人を、真夏日の続く平成22年8月11日、諏訪組合は強制権を背景に仮住居を与えず自宅マンションから叩き出し、その内の1人には10日間の野宿を余儀なくさせ、建て替え妨害者に対する見せしめにしました。円滑化法の監督行政庁・多摩市長はそれを容認し、法務省人権委員会も、「裁判所の命令によるマンション明渡し仮処分であるから擁護の対象に成らない。」救済しようとしませんでした。諏訪組合は多摩市長の全面的支援を受け、その脅迫を使って、一挙に建て替え反対者を沈黙させ、建て替え事業を軌道に乗せました。その間、多摩市長及び東京都知事による強制権を建て替え組合に与える認可申請を円滑化法に違反である事実を示して行政事件訴訟で争いました。しかし、司法の判断は原告住民の訴状を法律を根拠に否定できず、却下理由を付けられないで、「被告の処分でよい」という行政迎合の「粗末な判決」により、不正な行政処分を正当化しました。

(5)    円滑化法施行の裏方(本音)としての規制緩和政策
円滑化法による公共性は、小泉・竹中内閣がバブル崩壊後の「不毛の20年」から離脱する方法として、専ら景気刺激を前提にした経済政策優先の国の政策に公共性を認めたものです。規制緩和という「贋金づくり」により、バブル崩壊で暴落した地価のままで、バブル崩壊前の地価であったときの土地担保価値を供与する方法を、UR、公社等公共賃貸住宅管理団体、並びに、民間の賃貸マンションの場合の賃貸マンション経営の場合は土地所有者に、分譲マンションの場合には建て替え事業を行うデベロッパーに供与する政策の一環として円滑化法が制定されました。

法律の建前上は、分譲マンションの場合には、区分所有者が主体性を持って建て替え事業を実施できる区分所有者の合意形成の形式を取っていますが、その実体は建て替え事業者として参入するデベロッパーに利益を上げさせる事業法です。円滑化法の中には建て替え事業を実施するデベロッパーの地位は参加組合員と定めてありますが、実際の事業はその参加組合員のディベロッパーが完全に支配しています。円滑化法を制定した政府の立法の趣旨は、あくまでも規制緩和によって、凍結されている不動産の潜在価値を顕在化させることで企業の経営環境を改善することと、建て替え事業を実施することでデベロッパーに巨額の利益を得られるようにすることに置かれています。

(6)    円滑化法と不可分一体にある規制緩和政策
マンションのように多数の区分所有者があるため、居住者の全員が建て替え事業を希望しなければ建て替え事業できません。しかし、単純に建て替えを希望しても資金がなければそれも叶いません。地価自体を釣り上げることをしなければ、建て替え事業を実現することはできません。少なくとも、バブル崩壊して当時の地価が4分の一又は5分の一になった所では、その土地を4倍、又は5倍の容積率となるまでの開発を行うことができれば、そこで地価を上げられなくても、土地の販売総額としては、バブル崩壊前の販売価格にできます。

同じ土地面積に収容する住宅戸数を多くして土地の地代負担能力を高めることが、逆に、地価を引き上げることになります。建て替えを行うデベロッパーは建て替え前の区分所有者に、建て替え前のバブル崩壊後の低迷している地価を前提にしたマンションと同じ価格の新築マンションを等価で提供しても、取り壊し前のマンションの4-5倍の戸数のマンションを、建て替え後の高地価を前提にした価格のマンションとして販売できます。そのために必要な不可欠の条件が、土地利用上の建築物の高さと容積率の規制緩和です。デベロッパーが高い容積率で開発することはデベロッパーの能力で決めることで、区分所有者の経営参加するところではないとデベロッパーは考え、区分所有者に口出しさせません。また、円滑化法を所管し、巨額な国庫補助金を公布してきた東京都も、現在円滑化法を所管している多摩市も、過大利潤をあげているデベロッパーの経営に行政上の監督をしようとしていません。

(7)    円滑化法に強制権を与えた根拠となる「マニュアル」
建て替え事業に公共性を付与する強制事業執行権の根拠は、「建て替えに向けての合意形成」を絶対多数の区分所有者(80%以上)の支持で行う条件(円滑化法第4条)にしました。結局、その事業目的に沿った区分所有者の合意形成の手順を踏めば、「絶対多数の賛成に従うことに民主主義の意思決定の公共性がある」とされました。円滑化法第4条の内容は、それを具体的な手順として定めない限り、法律で定めている内容が確実に実現できないと判断されたため、円滑化法を施行する国土交通省がマニュアルを定め、円滑化法第4条の内容を解説することになりました。

そして、マニュアルに定めた手続を条件に、国庫補助金の交付が行われ、建て替え事業組合に強制権が付与されました。マニュアルは法律の解説で法律と同じ効力をもつものです。マニュアルは、それを蹂躙した井上俊之住宅局長が言うように、「法律として遵守を義務付けられるものではなく、単なる指針です。」というものではありません。
マニュアルがなければ円滑化法第4条の実体がなくなります。井上俊之が「マニュアルを厳密に遵守する必要がない」といって、マニュアルで定めた二つの決議を、マニュアルの要件全く具備しないが、諏訪組合総会でその名称の決議をしたことで優良建築物整備補助金を交付し、法律で定めた強制組合の認可要件(円滑化法第12条)を満足したとして、東京都知事が組合認可(第9条)を行いました。

優良建築物棟整備事業補助金で作成された建て替え事業計画は諏訪組合の組合員の30%以上が支持しなかったため、諏訪組合はそれをもとにした「建て替え決議」はできないと判断し、国庫補助金を使って作成した建て替え事業計画を「建て替え決議」の判断資料に使わず、反故にしました。諏訪組合は、国庫補助金の目的どおり使用していないため、国庫に返還すべき補助金を、国庫に返還する義務を果たしていません。それは間接補助金ですから、多摩市は国庫補助金等適正化法により返還義務を負い、それを行わないとすれば、国庫補助金を着服横領したことになります。それは井上俊之が不正を容認し補助金返還を妨害しているため、適正化が実施出来ていないのです。

(8)    デベロッパの利益を前提にして機能する円滑化法
マンション建て替え事業が現実に実施できるかどうかを左右する要素は、建て替え事業の経済的な事業採算です。円滑化法による事業は、その事業実施に関する権利者の合意の手続きを問題にしていますが、区分所有者の建て替え合意の前提になっているものが、経済的な事業実現可能性です。建て替え事業による利益は、区分所有者の権利変換だけの仕事ではありません。単なる区分所有者だけの権利変換だけであるならば、建て替え事業をそもそも成立しません。円滑化法の制定と同時に、小泉・竹中内閣が実施した規制緩和事業によって既存の土地利用も4-5倍の空間利用を行うことで経営的に可能になり、具体化されるものです。

規制緩和によって土地の開発密度を高め、潜在地価を顕在化させなければ、建て替え事業は実施できません。つまり、建て替え事業を実現させるものは、一つは区分所有者を全員強制的に事業に参加させることと、もう一つは、建て替え事業に参加するデベロッパ-の開発能力と資金の裏づけと、納得する利益が得られる事業であることです。この2つが実現できなければ建て替え事業は実施できません。結局、建て替え事業は経営的な事業実現可能性によって実施が決定されます。そうすると、事業による利益は、基本的にデベロッパーに帰属し、事業実施の鍵はデベロッパーが握ることになります。

(9)    円滑化法の強制権の根拠「マニュアル」の履行
多数の住宅所有者が区分所有するマンションは、全員賛成することがなければ、建て替えは物理的にできません。そこで反対者がいても強制できれば建て替え事業は実施できますから、強制できる権利が必要になります。憲法第29条2項で規定されているとおり、公共性をこの事業に付与できれば、強制的に建て替え事業を実施することができます。円滑化法に公共性があるかという疑問に対する最も分かり易い回答は、「国家の不況対策として、土地担保の担保価値をバブル最盛期にまでの水準に回復させることに公共性を置いた」ということです。小泉・竹中内閣は「不毛の20年」からの経済再建という経済政策の実現に、「公共性」があるという考え方を持ち出したのです。

その説明理由として、マンション建て替えに関しても、「絶対過半数が賛成できるよう区分所有者全員の建て替えに向けての合意形成の民主主義手続きを前提にした」ことで「公共性がある」という説明になっています。「経済対策の持つ公共性」と「円滑化法で説明する公共性」とは直接対応していないだけではなく、円滑化法の公共性は、法律論として憲法に照らして矛盾していることは事実です。しかし、「経済対策としての公共性」の主張を、「円滑化法の規定の手続きでよい」とした判断は、国会の政治判断としてとりあえず受け入れることは、その良し悪しの判断は別として、政治的には可能です。

(10)    円滑化法が適法でも円滑化法違反を積極的に行った行政機関
しかし、現国土交通省住宅局長井上俊之が「マニュアルは指針に過ぎないので、それに従わなくてもよい」と違法な行政指導を諏訪組合に行いました。その指導を受けいれ、諏訪組合は、「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」のいずれもマニュアルの規定した条件を満足しない名称だけの「建て替え推進決議」及び「建て替え決議」を行いました。「建て替え推進決議」に関し、諏訪組合はそれがマニュアルに違反していることを承知し国庫補助金を申請し、多摩市長は国庫補助申請がマニュアルに適合していないことを知っていて副申を付け、国庫補助金の不正申請と国庫補助金の交付を行いました。

また、諏訪組合は円滑化法に基づく強制権を得るため、円滑法及びマニュアルに定める「建て替え決議」が存在しないにも拘わらず、名称だけの「建て替え決議」を持って円滑化法の強制組合の認可条件(円滑化法12条)を満足するものと、建て替え組合の都知事認可申請を多摩市長の副申を付け行い、東京都知事の認可(円滑化法9条)を受けました。多摩市長も東京都知事もその申請内容が法律に定めた要件のマニュアルで定めた「建て替え決議」ではないことを知る立場にいて、すわくみあいと共謀して認可を行いました。

井上俊之が住宅整備室長で、優良補助金の交付担当者であったときには、井上俊之には円滑化法施行の権限はなく、単なる優良補助金交付事務担当者に過ぎず、越権して円滑化法の施行指導を行ったことは、国土交通省設置法違反であるだけではなく、違法行為を教唆したことで刑法上の犯罪に加担したことになります。

(11)行政不服審査と行政事件訴訟
諏訪組合は国土交通省住宅局井上住宅整備室長の指導に従って建て替え事業を進めてきたという認識のため、犯罪意識が存在せず、東京都知事及び多摩市長も円滑化法に違反した行政で諏訪組合の行った建て替え事務を幇助し、円滑化法に違反していることを訴えた行政事件訴訟において、一貫して「マニュアルは指針であり、それに厳密に従わなくてもいい」という考え方を主張してきました。諏訪組合、東京都知事及び多摩市長による円滑化法違反の行政処分が違反であることは、これまで行政不服審査請求をしてきましたが、国土交通大臣はそれを審査請求ないように応えず、門前払いして却下し、根拠の間違った理由で却下しました。そこでその処分の不当を争って行政事件訴訟法をここで解説してきた事実関係を根拠に提訴してきましたが、これまで実施してきた東京地方裁判所、東京高等裁判所での裁判では、原告である被害者住民の訴えに対して裁判所は説明責任を果たす理由もなく却下し、被告叉は被控訴人である行政庁の処分でよいという判決を繰り返してきました。

(12)本事件の裁判
井上俊之住宅局長に対する刑事告訴に関して、事件が始まってから7年を経過したという理由で、東京検察は控訴時効を理由に取り上げないことにしました。本事件は違法な処分を前提にした建て替え事業としてまだ完了しておらず、これまで個別の行政処分に対し行政事件訴訟を行い、間接的に不正の元凶であった井上俊之の法律違反の教唆を問題にしてきました。具体的な個別問題で井上俊之の教唆が違法であることの判決を得てから行う予定であった刑事告訴は,それを実施したときには7年が経過し、行政処分に事項があることを知らず、控訴時効となっていました。裁判で敗訴した理由は、行政事件訴訟は基本的に被告である行政庁が裁判所のなじみの客であり、住民原告が一元の客であるため、行政法知識が貧弱の上、裁判事務業績を上げる司法は、行政判断に追従しているためです。それは判決を読めば明らかです。いかがかこの本事件関係での司法の対応です。

1.    裁判所は判決に当り、原告の主張を訴状どおり正確に記載することで、あたかも原告の訴えについて正確に理解したような体裁をつくります。これは訴状どおり正確に纏めればできることです。しかし、それは裁判所に事務として整理しているだけで原告の主張を理解しているわけではありません。

2.    次に裁判所は被告(行政庁)の答弁に磨きをかけて掲載します。ここには裁判所が際願書としての見解として次に記載するべき内容だけではなく、裁判所の見解の伏線になることはすべて書かれています。言い換えれば被告である行政庁答弁の裁判書簡集整理と言ってよい間のです。

3.    最後に裁判所の見解として、裁判所は被告行政庁の答弁通りの判断で事業を実施してよく、裁判所の見解は行政庁の見解と同じとするものです。裁判所の見解の中に原告が裁判費用を支払って、法律を根拠に訴えた内容に関し、原告の訴え自体に法律に抵触するという根拠すら記載されていません。もし、法律に違反した内容でも見つけたときには、鬼の首でも取ったように、裁判所の見解の中で叩くことになります。

4.    控訴した場合には「下級審の判断でよい」というだけです。控訴で下級審の判決に法律を根拠に批判すると、「子分の判断に文句をつけるな。控訴人は独善的な考えを披歴したもので、聴くに足りない」と切り捨てるが、法律を根拠に切り捨てることはない。控訴には法律上の根拠があり、その根拠を否定する根拠がないからです。

5.    最高裁判所に上告すると、「それは最高裁判所が取り扱う問題ではない」という。地方裁判所、高等裁判所、高等裁判所と裁判段階が上がるほど裁判費用は5割増し2倍と高くなっていく。憲法第30条の裁判を受ける権利とは何だろうか。行政裁判は、却下しても訴状内容に法律を根拠にした説明責任がなければならなりません。

(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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