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HICPMメールマガジン第557号(平成26年4月24日)

掲載日2014 年 4 月 23 日

HICPMメールマガジン第557号(平成26年4月24日)
みなさんこんにちは、

(前回のメールマガジンは第556でした訂正します。)
ゴールデンウイークが始まろうとしています。
私は、昨年末から体調を悪化させて、今は毎日車椅子で通勤しているとともに、3つの病院に通院しています。皆様からご心配していただくとともにアドバイスをいただき、大分回復してきました。そこで4月24日からゴールデンウィークを取って、5月5日までの間に存分休養を取り、車椅子に依存しないでよい生活に戻るつもりでいます。そのような訳で、メールマガジンを先に送付することにしました。

政府の「中古住宅市場活性化」政策
昨日、HICPMで米国の住宅産業が国民の住宅資産形成に対し、どのような取り組みをしてきたかという内容を現在の日本の政府の住宅産業対策との関係でのセミナーをしました。政府は米国の住宅産業が政府の住宅政策との関係で実施してきたことを参考にし、既存住宅対策を始めようとしています。その取り組みを「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年」と名付け、その前提として、以下のようなことがと政府が考えているといえると思います。
(1)    米国の住宅産業で実践されていること(既存住宅の取り引きが円滑に行われていること)は羨ましいことである。しかし、それに倣うことは容易である。
(2)    米国のシステムは、特別すごいことではなく、米国で普通に行われていることで、(摘み食いすることで、今日の日本の住宅政策に取り入れることができること)である。
(3)    日本にある不動産鑑定評価制度は、米国にある不動産鑑定評価制度と同じように3種類の評価法で評価する方法で、よく似たものとして日本でも類似の評価はできる。

米国人の受益している制度
全ての米国人は米国の既存住宅制度の利益を受けています。その最大の利益は、既存住宅の資産価値が経年的に向上していることです。そのような現象が可能になっている理由は、それを実現することのできる制度が資本主義経済制度と不可分一体的に構築されているためです。資本主義社会とは自由主義経済を国家の基本とし、「需要と供給との関係」を反映して不動産取引が円滑に行われるという環境をいいます。住宅不動産の取引が米国のように日本で行われない理由にはそれなりの理由がなければなりませんが、その理由がどこにあるのかということが明らかにならない限り、その対策はできません。

多分、多くの日本人は、日本も米国も自由主義経済の上に造られた資本主義国であるということで共通していると思っているかもしれません。そのため、米国の真似をすれば米国どおりの既存住宅市場を形成することができると考えようとします。そのように考えているため、今回の政府の中古住宅市場を米国の既存住宅市場政策で行われているような制度的な衣装を着せることができれば、日本の中古住宅市場も米国のように機能すると感じているように思われます。彼らは「制度設計」という言葉が好きですので、彼らの行っていることを分かり易く言えば、「米国の既存住宅市場で行っているような制度を造れば、日本の中古住宅市場も米国のように機能することになる。」という認識です。

アルベルト・シュバイツアーの話
学生時代にシュバイツアーの下でその薫陶を受けた『大草原のはざまで』の著者、野村実氏にシュバイツアーの話を聞きその人柄に魅かれて夢中になって、シュバイツアーの著作集すべてを購入し読んだ。シュバイツアーはウイットに富んだ方法で文明人に騙された現地の未文明人の話を面白おかしく紹介しています。その中でモノを交換するとき使われる台秤について、その塗装が剥げてくると計量に対する信頼が急に低下するので、時々ペンキ塗装をすると、住民たちは納得してくれるエピソードが紹介されている。その話とおなじはなしを、今回の国土交通省の不動産取引制度を見て、連想させられました。

日本の不動産鑑定評価制度と米国のアプレイザルとは名前は似ていてもその実体は全く別のものです。そもそも日本以外の国では土地と住宅とは一体不可分のものとして扱われ、かつ、住宅は土地を加工して土地の一部に吸収されるものとして扱われています。

住宅不動産の価値はその第1原則である「コストアプローチ」による評価は、建設業法第20条で書かれたとおりの見積によって行うことが行われています。その直接工事費をもって、住宅不動産の評価が行われています。その評価が住宅ローンの根拠になっています。しかし、日本では、不動産の評価の方法と住宅ローンの評価の方法とは何の関係もなく、市場での住宅不動産評価とも関係をもっていません。

日米の「似て非なる制度」
米国の場合、アプレイザル(不動産鑑定評価)と、エスクロウ(タイトル確認)によって不動産取引が行われていますが、その資本主義・自由主義経済の仕組みに則った制度の国と、日本のように住宅業者が販売経費もすべて回収する販売価格や、金融機関が中古住宅になれば融資の対象のできないような取引価値がない日本の住宅を同じ経済法則の中で取引させることができないことは誰でもわかるはずです。しかし、米国の既存住宅市場で取引のときに登場するインスペクター。エスクロウ、アプレイザイーという役者に米国の役者が使うとき、多様な小道具をもたせて不動産を評価させたら、それらの役者は米国の不動産関係者と同じような能力を発揮して、米国の既存住宅のような取引ができると、信じていることはないと思いますが、そんなことを取組んでいます。

日本人は未・文明人か

日本人はシュバイツアーがアフリカのランバネネで医療活動を始めた当時の未文明人と同じような扱いを政府によってさせられようとしているようにさえ思えます。住宅を販売しているハウスメーカーがその販売価格のうち直接工事費が40%しか占めていないのに、営業販売に要した間接経費を加算した住宅販売価格を、その住宅の適正な価値と考えて販売し、金融機関はそのハウスメーカーの価格を対象に住宅ローンを認めていますが、本当販売価格だけの価値のある住宅と信じてよいのでしょうか。

中古住宅に住宅ローンが与えられない理由
現在の住宅価格は巨額な販売経費をかけて販売できる住宅価格であって、営業販売経費を掛けなければ決して販売できない価格であることを皆が知っています。その価格を住宅の健全な需給関係で決まる市場価格と言えますか。営業販売経費を掛けない住宅を市場で売れますか。金融機関はなぜ中古住宅に融資をしないのですか、その住宅は営業販売費用を使い尽くした「燃料切れのロケットみたいなもの」で、その価格で市場で取引できないから住宅ローンを与えないのです。

日本は自由主義国ではない

日本の中古市場は闇の世界であると言っても不思議ではありません。この資本主事社会・自由主義経済の原理原則が働かない世界で中古住宅販売を推進しようとするならば、その仕組みを情報公開し、取引を支えているメカニズムをはっきりさせる透明性を高めることでなければなりません。それを政府は、あたかも米国の不動産取引で使われている用語を、その用語の定義とは、似ても似つかない恣意的な定義を付けて、米国の用語通りの機能を果たすと説明しています。「用語が似ているからその用語で構成されている制度は米国同様に合理的のシステムであると説明されてもそれを信じることはできません。

日本国民法の問題

しかも、米国には不動産鑑定評価や不動産取引の学問があるにもかかわらず、それを全く正しく学ぼうとせず、学んだ経験もない官僚や御用学識経験者たちが、そこに登場する言葉を勝手に定義付けし、それを組み立てて日本の制度にするというひどいことがなされています。現在日本にある不動産鑑定評価制度それ自身がまさにその代表例です。米国の不動産鑑定評価制度と同じ用語や名称の言葉はたくさん登場します。しかし、その内容は全く違っています。その結果日本の不動産鑑定評価制度と米国の不動産鑑定評価制度とはその実体は全く違ったものです。その基本は民法における不動産の扱いが違っているからです。

この問題はこれからいろいろな形で問題にしていかなければならないと思いますが、今回は、昨日の米国の住宅が資産価値を増殖しているのに対して、日本の住宅が資産価値を失って住宅を所有する国民を不幸にしている話の理解を助けるために、先ずそのきっかけにしようと思って、現在国土交通省が取り組んでいる「中古住宅市場活性化」の取り組みを取り上げました。

(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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