メールマガジン

HICPMメールマガジン第574号(平成26年8月25日)

掲載日2014 年 8 月 25 日

1.H&H(ホーム・アンド・ハウジング)
(第4回)HICPMメールマガジン(MM)第574号(2014年8月25日)
みなさんこんにちは。

「オランダ・米国・日本の住宅比較」を連載ウィはじめ、今回が第4回で、今回からオランダに関し5回連載します。策に行なってきたオランダベルギーの住宅と街並みホウ砂の結果を踏まえたもので、都市住宅政策やその理論に踏み込んだものです、ご覧になってください。

オランダの住宅と住宅地開発
「社会住宅」の国オランダ

英国のサッチャー首相が財政破たんを救済するために公営住宅政策を放棄したが、これはこれまでの低所得者のための住宅供給を止めたのではない。住宅政策は、人間としての尊厳を維持するために必要な品質の住宅を、世帯所得の範囲で提供することであると欧米では考えられてきた。住宅の住心地の良さは、寒暖の激しい自然や雨露から身を守るだけではなく、デザインの良さは人びとを惹きつける魅力を持ち、豊かさを感じさせ、未来への希望を育むことができる空間から生み出される。しかし、そのような住宅は集合形態や賃貸・分譲等さまざまな形で供給されているが、いずれの住宅でも、その住宅建設費用は国民の所得に比較して非常に高額である。わが国に置き換え大雑把に言えば、日本の全国平均で考えると1戸当たり2,500万円程度は必要になり、4万戸建設すれば1兆円になる。英国では当初から建設費補助を行ってきたから、その財政負担は非常に大きく、結果的に財政力に制約された公営住宅の建設戸数が抑えられる事態に追い込まれて来た。建設費補助は当初の建設費段階で補助金を投入するため、建設時に大きな国費が必要になる。その財源が厳しくなったときサッチャー首相が考えたことは、オランダなどで実施してきた「社会住宅」による解決であった。
公営住宅に代わる政策として家賃補助政策は、現時点に家賃助成を必要な世帯に助成をすればよいため、住宅を対象にした家賃の助成より、家賃補助政策の方が国家の財政的には楽になる。10年を単位に考えた場合、ライフステージの変化に対応した所得の変化をみると、個人差はあっても世帯所得の成長は大きく変化し、家賃補助が不要になる世帯もたくさん生まれる。住宅を対象に助成をする英国のそれまでの方法は、所得の上昇に合せて家賃を上げたレントリベート方式にしても、政策家賃は市場家賃ではなく相対的に安いため、入居者に既得権的な援助を継続することになる。しかし、住宅を対象にせず、所得を対象にすれば、高所得者には所得を対象に住宅費助成は打ち切ることができる。平均で1カ月5万円の家賃補助とすると、2,500万円では500カ月の家賃補助額に相当する。10年間の平均的な公営住宅政策に対する家賃補助は、大雑把な計算をしても、10年間を住宅政策の期間と考えれば、家賃補助は公営住宅建設費助成に対する財政負担の50分に一以下に過ぎない。同じ財政資金で支援を受ける人を50倍の世帯を対象にできるならば、支援を受けた人に手厚い助成をする政策よりも、政策の対象者に対し広く支援をするサッチャーの政策は、国民の適正住居費負担で住宅を供給する住宅政策の基本に照らして正しいと判断された。

家賃補助政策
西ドイツのアデナウアー政権は国民に経済的に安心して生活できる住宅を建設するため、100年間金利ゼロの財政資金で公営住宅政策を行ったことでは、英国同様その財政負担に悩まされ、家賃補助政策に転換した。この家賃補助政策は、オランダを筆頭に、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアはもとより、デンマークやスウェーデンなど北欧住宅先進国では、制度的には国情を反映して多様な方法で実施されていたもので、英国がそれらの実態を調査研究し、それらに倣ったものである。これらの家賃補助制度により国民の住水準を保障する住宅を総称して、欧州では、「社会住宅(ソーシャルハウジング)」と呼んでいる。それは国家が国民にとって適正(ディーセント)な品質の住宅を、入居者の所得の負担できる範囲で享受できるように家賃補助を行う政策である。そのため供給される住宅は、居住者の生活という視点から見て、一定の品質の住宅を毎月の家計収入の30%以下の家賃負担で供給している。世帯規模、家族構成やそのライフステージにより必要とする住宅の規模も空間構成も異なり、市場の家賃としては大きな差異がある。適正な住宅に居住することを国民の権利と認め、谷内は所得水準の30%以内と決められると、補助額はその差額として決められる。その結果、社会住宅は居住者を重い住居費負担から解放させ、家賃補助で軽減した家賃分高い消費能力を保持し、国民に豊かな生活を保障し、国家経済を活性化させている。オランダでは、その他の欧州諸国同様、適正規模の一定の品質を具備した住宅は、国民が生活する上での基本的人権を保障する条件なのである。日本では住宅や食品等の生活必需品にまで高い消費税がかけられているが、欧米では食住に対する消費税は基本的に免除されている。今回のオランダベルギーの住宅と街並み調査は、社会住宅の調査を目的にしていたわけではないが、偶然、娘の手配でオランダの社会住宅団地の中の2種類の世帯向け住宅を見学し、娘の知人の入居者とその家族の方から食事のご招待を受け、社会住宅での生活についての実生活上の環境管理や居住者の生活等詳しいお話を聞くことができた。

オランダの社会住宅と持家
約10日間オランダの住宅と住宅地を見て回り、ライデンとアルファン・デン・ラインの2都市で社会住宅を調査して回った。私自身、半世紀前に住宅政策を担当したいと思い国家公務員になり、建設省住宅局に採用され、住宅政策の一端として住宅難世帯やスラム居住者を対象にした公営住宅法や住宅地区改良法を施行していた。今回のオランダの社会住宅で居住者との会話を通して、大学を卒業し社会正義の実現のために住宅政策の実現に夢を託していたときの人間性の風を感じ、懐かしい気持ちになれた。それは住宅政策を国家が介入する理由として、国家は国民の納税義務に対して日本国憲法第25条で定めた健康で文化的な住環境を住宅に困窮している世帯の家計費支出の範囲で供給しなければならない義務を負っている。国家が国民の立場に立って住宅政策を実施していることを、オランダ人の社会住宅に対する理解の程を聴いて感じたからである。
オランダの社会住宅は、建築物の外観を見る目を楽しませる街並み景観を優れたものにするようなデザインでつくられている。そこに住んでいる人も社会住宅での家賃負担が家計費支出の30%以下になるような家賃補助を受け、それを当然の権利と思っている。そこで軽減された家賃分の家計費の余裕で生活を豊かにする買い物に楽しんでおり、それがオランダ経済の消費購買力を支え、それが経済社会の発展に結びついている。社会政策としての住宅政策とは教科書に書かれている抽象的なことではなく、オランダで実施されている現実であると具体的に感じることができた。
自宅を購入しその維持管理費や住宅ローンの返済で厳しい家計のやりくりをしている娘たちのような持家階層から見ると、納税者(タックスペイヤー)の視点としては「社会住宅」階層に国家の過大の助成が行われ過ぎているという批判なっている。それは、住宅の持ち方として生活必要経費として家賃支払いをする「社会住宅」居住者と、住宅の資産価値の上昇に期待して将来の資産を拡大するために住宅の維持管理に投資する持ち家階層の違いである。社会住宅階層は生活の必要経費として家賃を支払い、持ち家階層は将来の投資のために当面の生活が厳しくても仕方がないとそれぞれが納得している。それを納得させることができているのは、社会住宅ではその家賃負担が過大にならず、持ち家では、住宅の適正管理を行うことで現在生活している住宅が居住者の生活に合って熟成し、住宅の資産価値が物価上昇率以上に確実に上昇している社会の仕組みが整備されていることがある。

オランダ人の住宅の「資産価値」と「耐用年数」に対する理解
そこには住宅や住宅地を「物」として工学(エンジニアリング)の学問領域で捉えるのではなく、人間の生活文化を営む人間の歴史文化空間(人文空間)として理解し、人びとの生活文化ニーズに応えて住環境は、自分たち自身が住宅地経営の努力し続けていくことで、住宅は常に改善し続けていくものという理解がある。人びとが時代の要求に合わせて改良し続ける空間は、その空間が造られたときと比べ必ず改良され、人びとのニーズにより的確に応えることができる。このように住宅を生活要求に合わせて主体性を持って改善の努力をし、その通りになっている確信がもてているから、住宅地が利用されることによって資産価値が上昇するのは当然という理解が社会的に形成されている。
建築物に物理的な耐用年数があるかという疑問に対し、オランダ人は「これまで聞かれたことのない質問である」という意思表示をする。日本で政府が行っている償却理論を説明すると、そこで対象にされる耐用年数は理論的にあるかもしれないが、「人びとが健全に住環境を維持管理し、必要な修繕を施している住宅には、その構造材料の如何に拘わらず物理的な耐用年数は存在しないし、これまで使用した建材の劣化を放置するような形で住宅自体が放置され、劣化が進み耐用年数が社会問題になったことはない」という。それは人類のこれまでの生活経験上認識できるもので、200年、300年経過した現在、使われている住宅の全てに皆が実感していることである。その限りでは、屋根や外壁と言った建材には耐用年数があっても、住宅の耐用年数は理論的にも社会的にもない。建築後100年程度の住宅は、新しい住宅と彼らは呼んでいるし、住宅市場でも新築住宅と競争している。

社会住宅地(アルファン・アン・デン・ライン)の設計技法
ライデン郊外の町ファン・アン・デン・ラインでは公的援助を行っている社会住宅(家賃補助)を受けている住宅団地を見学した。一つの住宅棟は、目下、単身居住者が居住している世帯向け住宅と、もう一つの住宅棟はアシステッド・リビングの社会住宅で世帯向け住宅であるが、訪問した住宅は、目下、単身居住でした。そのうち、単身居住の一般住宅は、メゾネットハウスとしてかなり高密度な開発をした4階建ての中層共同住宅(マルティ・ファミリー・ハウス)でした。ワンベッドルーム住宅であるが、大きなグレートルーム(リビングダイニングルームにキッチンがついている)に、そこのこじんまりとしたベッドルームがついていた。天井高さが3メートル程度あり、住戸の前後の両面には外気に面する部分の開口部からの屋外の眺望は非常に良く、開放感の高い住宅空間ができていた。
この住宅計画はオランダの市街地によくみられるコートハウス形式の伝統的な2階建ての市街地住宅を2層に積み重ねた結果、4階建てのメゾネットハウスという共同住宅ができたものであった。このオランダのコートハウスの型式は土地の地層高密度を図る手法として、中世時代からつくられてきた住宅の開発手法と同じ方法である。即ち、この開発方法は、開発敷地の周辺道路に沿って住宅を建設するとともに、隣接する住宅はいずれも隣地境界線に接して建設されている。そのような建設することで、各敷地に定められた建蔽率(空地率)として生み出された空地が、コモンとしてコート(中庭)空間を形成し、視覚的にも実際の利用面からも公園の良さを持っている。
このような都市の開発手法は、中世の時代からヨーロッパで実施されている低層高密度住宅地の開発技法で、管理の行き届かない土地利用を認めない絶対的に土地不足の社会に開発技法ということが分かった。欧州大陸での都市は外敵からの侵入に対処するため都市は城郭で囲われていた。また、中世から近世にかけて都市の物流の中心は運河を利用していた。オランダではその運河が都市を守る防衛用の運河と交通・運輸のために造られ、建築物はその城壁となるように建築物の間には隙間をつくらないように造られた。その都市づくりの伝統は社会経済の建かにもかかわらず、都市空間の伝統として大切にも盛られている。現在でも市街地住宅の建築方法として、前面道路に接して建築するとともに、隣地境界線に接して建築物をつくる方法は、一般的な建築方法となっている。その隣地境界線に接して建築物を建てる利点を、念のために、以下に掲載することにした。

西欧の市街地建築の立て方の6つの原則
欧州のほとんどの市街地住宅・建築は前面道路に接するとともに、隣り合う建築物は隣地境界線に接し建築されている。その理由は、その建築方法に以下のような6項目に集約される経済的、文化的合理性があるためである。これは過去100回を超す欧州旅行の機会を利用して現地で実際に説明を受けたことの結論でこの見方に反対する説明は一度も聞いたことがない。
(1)都市防災(セキュリティー):前面道路境界線及び隣地境界線に接して建築物の外壁を建設し、賊が隠れることのできる空間をつくらない。これは野獣の行動形式と同じだそうである。
(2)都市の美観(景観):人々が管理をしない利用価値のない空地は管理がおろそかになり都市景観の観点からも見苦しくなるのでそのような隣棟間空地のような空間を設けない
(3)都市防災(市街地火災):建築物間の狭い空地は、火災時の熱風が通る空地となり延焼や都市火災の原因を形成し、避難と防災活動を妨害するため、建築間の隙間は設けない
(4)街並み歩行環境:市街地の道路に向けてつくられる狭い通路や空地は、風が速い速度で吹き込むため、冬季に道路を歩く人に横殴りの寒い強い風を吹き付け、歩行者に悪い環境をつくる
(5)温熱流出:住宅への温熱の授受は、建築物の外郭(エンベロップ)を介して行われるため、外気に面する壁はエネルギーの流出入を大きくする。そこで隣り合う建築の間に外気を侵入させない。
(6)建築費用の節約:隣地に面する壁は、他人に見られる壁ではないため化粧をする必要がない。それにもかかわらず隣棟間に空間をつくると外壁がみられるために化粧する無駄な出費となる。
以上6つの条件から隣地の接する建築物の壁は構造壁としてつくり、お互いに接してつくることで、防耐火、遮音、伝熱、構造耐力などの面から有利な建築を造ることができる。

タウンハウスコンドミニアム
日本以上に人口密度の高い欧州の市街地では、土地の高密度理湯を図る方法が研究され、米国では戦後の経済成長が急激に進んだ1960年代にタウンハウスが土地の高度利用を実現する方法として開発された。国土の4分の一以上が海水面下の高さにあるオランダでは、中世時代から土地の高密度利用が進み、特に人々の安全を守るための市街地は運河城壁に囲われた内部の高密度開発をする技術が、長い歴史の中で開発されてきた。敷地の周辺から建築物を建築規制される建蔽率制限に合せて建築し、建築面積として使った残りの空地を集めてコモン〈共有地〉としている。コモンの土地利用のルールをコミュニテイとしてつくり守る方法が確立した。コモンの利用を関係者が納得行くように決める組織がコミュニティで、それを民事契約にしたものがCC&RS(カベナント)である。
オランダで開発された高密度の土地利用技術が米国にも伝えられ、米国では2階建てのタウンハウスを2層積み重ねてタウンハウスコンドミニアムがレイクランド(メリーランド州)に登場していた。米国でこの開発を見つけたときは驚かされたが、オランダの開発は居住者の住宅費負担の範囲で供給できる住宅を開発した経済的に合理的な開発であることが分かる。同様の地価負担とするために、高密度開発をしながら豊かな空間環境を向上させるためには、避けて通ることができない立体的な共有空間利用の取り組みである。メゾネットハウスを導入することで戸数密度を高めながら、専用住宅面積が大きく、共用部分面積が少なくできるほか、廊下がスキップなることで、1階おきに2面の外壁に完全眺望がとれる住宅を計画できる。その結果、各住宅からの眺望がとても大切にし、住宅からの眺望を含んだインテリアを豊かに演出できていた。

アッシステッドリビングの社会住宅
見学した住宅地全体は大きな社会住宅団地で、様々なニーズにこたえた社会住宅が経営されていた。先に見た単身居住に一般住宅から少し離れたところに、母親が住んでいる入居制限が55歳以上というアシステッドリビングの社会住宅を見学した。訪問当日、単身で生活していた方の兄が母親を訪問して帰ろうとするときに出会った。単身生活を含み、それぞれが家族には固有の生活がある。それぞれの主体的な生活を尊重しながらお互いに提供できるサービスを持ち寄り、自分のライフスタイルを実現しようとしていた。支援をする側も支援をされる側も、お互いの生活を尊重し、無理をしないで助け合う生活を選んでいた。高齢者は機能低下が起きるので、日本ではそれらを介護の対象とし介護保険事業の対象にする住宅をアシステッドリビングと考えられている。オランダでは介護の押し着せをしようとはない。安く提供できる支援でも本人が望まないものを押し付けるべきではない。そこには福祉の3原則(生活の継続性、残存能力の活用、自己決定)が高齢者本位の考え方で貫かれている。
アシステッドリビングは高齢者の自立した生活を前提にし、パッシブ・リタイアメント・コミュニティではない。孤独死や不慮の事故を発生未然に防止・発見することを目的に、日常生活を見守るもので、住宅協会による居住者の安全(生存確認)を、毎朝午前9時時点に見回るシステムになっていた。管理人が全住宅の玄関の表示を住宅の外から確認するシステムである。居住者が住宅の玄関の所定の場所にハートの形の意思表示板を一定時間掲示し、「元気であること」を表示するシステムは、単純のようでお互いの権利義務を明らかにした方法で、人々の生活を尊重した社会を育んでいる。「居住者の元気表示」が掲示されていない場合には、管理人がその住宅の中に強制的に立ち入ることができる。居住者が意識して健康表示をする「最低限守る役割」として非常に良いシステムと思われた。

高齢者支援に対するオランダと日本の考え方の違い
そこの住宅団地での生活は基本的に個人個人が自分の生活は責任を持って行うことを前提にしており、食事サービスなどは実施しない住宅経営である。ケータリングサービスを求めれば、その要求には対応する。その代わり、居住者がショッピングに出かけたりする生活必要行動に対しては、タクシーサービスを安価に実施できる。本人が家事などをすべて実施する前提での生活であるが、友人や家族の援助が必要な場合には、同行者もタクシーサービスを利用することができる。そのタクシー代金は、バス利用するのとあまり変わらない。居住者に主体的な意思を持って行動を支援する制度は、居住者本位の優れた制度である。日本では高齢になると生活の物理的支援を受ける高齢者福祉住宅を考えてしまうが、オランダでは居住者の個々の違いを尊重し、個人的なライフスタイル、例えば、家事を生きがいとし、他人をもてなし、一緒に家事をし、生活を楽しむ人間相互の交流(コミュニケイション)が、人間の豊かな生活として尊重されている。
これまでの日本では公的な支援住宅に代表されているように、「援助する側にとって経済効率の良い支援」が重視されていた。代表的な原則は、家族による支援・扶養を国の支援の大前提にする考え方で、支援を与える住宅のサービス単価を最低にする効率性を前提にした住宅経営がされてきた。そのため、個人的な特殊事情は軽視され、悪く言えば、利潤追求を容易にする高齢者福祉住宅政策として企業の経営として行われてきた。オランダの場合は、日本との全く対極にあるもので、個人の自由、選択の重視で、援助効率は悪くなったり、全体の援助経営の視点では不経済になっている。しかし、オランダ人は物理的なサービス内容が結果的に低くなっても、個人の自由な生活を実現することが、サービスを受ける人にとってもっと大切なものと考えていた。

見学したアシステッドリビングの住宅計画
このアシスティッドリビングの住宅は2つの住棟がペアーでつくられ、住棟間に10メートル以上の隣棟間隔の空間をコミュニティ空間にし、屋根部分を開閉できる全天候型の屋内空間とし、広い屋内空間は屋外空間のような開放的デザインで造られている。このように計画することで、視覚的には屋外空間のような開放的空間でありながら屋内空間と同じ温湿度空気環境管理のできる空間である。対面する住棟は片側廊下であるが、そこから対面する住棟にはスカイウエイが2住戸毎に先端が枝分かれ、分離した構造の行き止まりの橋梁形式(幅員2m)となっている。各住宅の前にアルコーブ型ホールを設け独立性を高め、相互が尊重し合えるように造られている。それが大きな空間の3階までの各階に造られているため、空間全体にダイナミックなデザインを演出していた。屋上部分には避難用のスカイウエィが造られ、安全避難の配慮されていた。また、廊下(スカイウエー)でつながれる基本となる住棟の向かい合う住宅も対向する棟の住宅の玄関相互が対面しないよう、スカイウエーの突当りにはもう一方の住棟の玄関を造らない計画とされていた。いずれも費用をかけないで、住む人の生活を快適にする配慮である。
この住宅はすべてリビング・ダイニング・キッチンを1室にしたグレートルームとワンベッドルームで構成されていた。住宅としては居住者の見回りを重視する管理部門と居住者のアクティブなライフスタイルのためのコモンスペースがつくられていた。そこで居住者の玉突きをし、歌をうたい、楽器を演奏し、用意された図書で読書をし、会食やパーテイをし、各種活動ができるように計画されていた。居住者が自由に集まる空間をつくることで、居住者があまり意識をしなくても、居住者の出会いの機会を高めるようになっていた。私たち外来者に対しても、この広場で立ち話をしていた2人の居住者が関心を持って、いたずらっぽく、私の乗っていた車椅子の色を見て、フェラーリの色だからと言って、「フェラーリの乗り心地はどうか」と冗談で話し掛けてきてきた。住み心地がよいため、居住者の平均年齢はどんどん高くなり、最若年者居住者の年齢は、70歳代とのことでした。

(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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