メールマガジン

HICPMメールマガジン第591号(平成26年12月29日)

掲載日2014 年 12 月 29 日

HICPMメールマガジン第591号(2014年12月29日)

皆様こんにちは

平成26年も終わろうとしています。HICPMは皆様のご支援により、NAHBとの相互友好協定締結後20年を迎えようとしていることを環社しています。皆様に置かれましてはいかがでしたでしょうか。ご発展できた都市であったと思います。
HICPMとしましては、今年もまた、以下の2つの技術移転を中心に行っ参りましたが、向かい風の一年でした。

(1)CM(コンストラクションマネジメント)教育は全く期待通り普及せず、工務店の生産性向上は実現していません。この問題はいずれ日本の工務店が取り組まなければならない問題ですので、来年に向けての取り組みを考えています。

(2)平行して進めた資産形成を実現するための住宅のデザイン及び住宅地計画は、曲がりなりにも実例が増え北米の技術移転が実ってきた所もありますが、まだスタートライインです。私自身の勉強も牛歩でしか進んでいません。

今回は2014年の年末に合わせて、御礼の気持ちを込めて、昨年実施した「映像を使ったデザイン研修セミナー」でお話しした住宅デザインの学習の仕方を今年最後のメールマガジンでお話しすることにしました。

米国の住宅産業技術の国内移転と住宅デザイン研修
住宅・建築・都市開発に関するデザイン研修は、米国では人文科学(ヒュウーマニティーズ)という学問領域で扱い、建築工学(エンジニアリング)では扱いません。建築教育は歴史文化を踏まえた空間デザインに関する学問で、時・空間を造り管理する技術の習得です。そこで、歴史軸を加えた4次元の空間を扱うため、視覚的に学ぶところが非常に多くなっています。過去のセミナーの経験から、指摘できることは、国内外の参考になる住宅・建築・都市空間について説明をしても、以下のような諸問題が障壁となって以下の通り、なかなか具体的に情報を把握できないことが問題になってきました。

時代の流れを通したデザイン学習と形の流れから時代思想の把握

まず、   話し手が、「説明している空間が、どのようはもの(デザイン、機能、性能)であるか」を聞き手に対して、「4次元の空間情報」として正しく伝えることは、話し手の説明力、聞き手の理解力、話の内容の複雑さの3要素が関係していて、技術を伝えることは難しいということです。

次に、同じ研修をしても、人により吸収するものは違っている理由は、話し手の意図とは別のところに、聞き手の関心があるためです。話し手に聞き手の関心が分かり、聞き手に、話し手の訴えることを聴こうとする意志がないと吸収することは難しいということです。

これ等の問題を乗り越えてセミナーを成功させるためには、「樹の年輪から樹の歴史を語るのではなく、樹木の生い立ち和話す方法」である。その方法は歴史を追ってデザインを学ぶという方法です。

伝えたいデザイン技術情報に関し、それぞれ現在までの歴史を持って伝えられているから、その生い立ちを含んで、「時間軸としてデザインの歴史文化」を理解するほうほうです。歴史の大河を考えるとき、歴史的に遡るほど、デザインの大きな流れが理解でき、そこから未来へのより正確な展望が持てます。

視覚的に確かめることが出きるものは、できるだけ、「視覚的な全体像」と「建築の詳細」を多くの実在する建築事例から、帰納的に受け止めるようにします。写真、絵画、スケッチ、映像、模型、実物等を使い特性を把握するまで具体的な形態を学ぶことにより、デザインを支えている思想路理解します。

形態は歴史と文化を支える思想の表現

具体的なものを見て理解するときも、全体的な雰囲気、個別な特色、相隣関係による影響等を,感性で感じるとともに、そこに存在するものを「理詰め」で、そのデザインが具体化された必然性や、支持されている必然と考えられる「理屈」を考えるようにします。「現存するものには、それを現存させている必然性がある」(エンゲルス:「フォイエルバッハ論」)という言葉がある。現存する理由の中で重視すべき視点は、経済的合理性と、歴史文化性が人々の行動を縛る上で大きな役割を担っている。

これまでHICPMで発行する書籍や図版等で、住宅デザインと住宅地開発計画の計画・設計情報を提供し、それらをより効率的に伝えることができるように「映像と講義」セミナーを実施してきました。そこでは映像で提供している住宅・建築・都市のデザイン情報を、その「歴史的な文化の集積」として現存して理解してもらう意図で映像セミナーを実施しきました。セミナー講師をする私自身、映像を十分に説明するに足りる歴史文化知識や情報が欠如していることも多く、講義の質疑を通し、わからないことは宿題として調べることを通して、正確な知識を習得することにしてきました。

GKK・HICPM共催の国内・外の研修セミナー

この研修セミナーは一種のオン・ザ・ジョブ・トレーニングで、基本的に同じ考え方によって行ってきました。見学しているデザインが実在し、維持管理されてきた理由を考えることを行ってきました。そして、視聴者のみなさんには、実物や映像を使って見たものを自らの手でスケッチするように勧めてきました。見たものを自分の手で具体的に作画表現するとき、デザインの特性をよりしっかりと理解できます。目で見たものを、手で再現する作業をする過程で、見たデザインの特性をよりしっかりと理解することができます。

街並みや住宅デザインの調査での旅行中に撮影した映像に関しても、後日、暇をつくって、映像を見ながらスケッチしたり、写真の上にトレーシングペーパーを載せて上からなぞって形態を鉛筆画にし、描かれた線の間隔を計測することで、デザインの特性を決めているものが、どの線かの感覚の比較からプロポーションを理解することができます。映像という無数の線と点からなる画像情報の中から、その建築物や街並みを表現するために、どの線が需要であるかを知ることができる。そのようなスケッチの訓練やスケッチの習慣をつけることでデザインを見る力、スケッチをする力が育てられます。

住宅・建築・都市デザインは4次元の空間

欧米で建築学部は、人間の歴史生活文化の空間デザインを扱う技術とされ人文科学部(ヒューマニテイィーズ)に属しています。住宅、建築、都市空間は、いずれも人間の生活を豊かに演出する文化空間を設計する学問分野ですから、その空間にはその空間を利用するに戸が帰属意識をもてる人類の文化の集積としてつくられる必要があります。建築に採用される様々なデザイン様式は人類の文化集積で、人びとの部羽化的な感性を構成するものでもあるのです。クラシックなデザインは過去に開発されたデザインであっても現代まで人びとは自ら懐かしく感じ、自分にとって好きなデザインとして自分の宝〈アイデンティティ〉になっているものです。「わが家、わが街」と人びとが感じることができる決め手はデザインです。欧米ではその歴史文化の集積として空間をデザインする技術をアーキテクチュア-と言い、建築設計や都市計画をする技術者をアーキテクトと呼んでいます。

アーキテクチュアーとしてつくられた住宅・建築・都市には過去から現代までのデザインが集積され、人びとは歴史の時間軸を建築や都市空間で感じることができるのです。ゴシックのワンポイントアーチやステンドグラスのデザインを取り付けることに、それらのデザインが開発され、それを大切にした文化を思い出すことができます。空間自体は縦、横、高さで構成される3次元空間ですが、そこに過去から現代までの歴史文化によってつくられたデザインで装飾されることで、空間に歴史軸というもう一つの時間軸が加わって4次元の空間がつくられるのです。都市の中に歴史を思い出すサインや名前が付けられ、その歴史文化の知識をもっている人はそれだけ空間を楽しむことができるのです。

消費者を大切にすること

日本に「心ここにあらざれば、見えども見えず、聞けども聞こえず」という諺があります。歴史文化に関する知識や造詣が深い人は、同じ空間を見ても楽しめる広さも深さも違います。それは住宅産業に携わる人たちが最も心配りをしなければならない所です。私たちは物造りとして機能や性能の優れた物づくりをしていると学校教育(建築工学)でされてきました。それは日本だけの建築教育です。日本でも消費者が求めている住宅は生活文化空間で、実際の消費者の住宅選択の決め手はデザインです。住宅展示場に立っている住宅は、ほとんどが機能性能と重視していますが、消費者は住宅業者の「差別化」戦略でしいプルモダンやライトの名を冠したプレーリーとか名付けた怪しい流行のデザインに魅かれて住宅を購入しています。住宅の流行は、展示場のモデルホーム同様3年で廃っていきます。

消費者のお金を使って消費者に損をさせることがあってはなりません。そのようなことが日本では当たり前のように行われている理由は、住宅産業関係者にまともな住宅建築の知識がないからです。明らかに使い捨てのデザインであることが分かっていて使い捨てのデザインで住宅設計をしていたら、それは犯罪です。住宅関係者の多くはそれほど悪意はないことを私は知っています。しかし赤化的に使い捨ての住宅を設計している理由はデザインの知識が欠如しているからにほかなりません。お客さんが誇りを持ち喜んでもらえる住宅は工務店の評価を高める広告塔だということを忘れないでいてください。

年末に当たって、HICPMからの皆様へのお歳暮は、「4次元の住宅づくり」は、最高の工務店の評判(レピュテイション)づくりの営業となることを熨斗を付けてお送りしたいと思います。

(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷 英世)


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