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HICPMメールマガジン第592号(平成27年1月5日)

掲載日2015 年 1 月 5 日

HICPMメールマガジン第592号(平成27年1月5日)
新年あけましておめでとうございます。

関東地域以外は天候に恵まれなかったようですが、日本の本年度の船出を象徴しているようにも感じました。私は昨年と比較して健康が改善しているようで、HICPMの活動を通して、「住宅による個人の資産形成でできる」ことはやらなければという気持ちで新年を迎えています。
昨年最後のメールでは、住宅・建築・都市の学問分野は建設工学(シビルエンジニアリング)ではなく、人文科学(ヒューマニティーズ)であることと、その中心となるデザインは、歴史時間軸を加えた4次元空間であることをお話ししてきましたが、ご納得いただけたでしょうか。今年最初のお話は米国の都市づくりを支えてきた思想「考え方」とその理論を扱うことにしました。

米国の現代の住宅及び住宅地開発を支える理論
昨年HICPMが実施した米国西海岸における住宅デザインと住宅地開発セミナーでは、米国社会が、一貫して資産価値が維持向上する住宅を追及してきた歴史的事事実を明らかにしました。住宅によって資産形成を実現する都市経営を最初に始めた人は英国のエベネザー・ハワードという『明日へのガーデンシティ』と言う都市経営の書籍を書いた人です。ハワードはガーデンシテイの理論と実践をした方で、英国では、「都市計画の父」と呼ばれています。このハワードの理論が20世紀の世界の住宅地計画の基礎理論となり、その実践を通して、資産形成ができる住宅地が開発されてきました。その中で住宅のデザインと住宅地開発を進める基本的なコンセプトを基にストーリーとヴィジョニングを立案することが、優れた住宅地経営の基本であったことを再確認する必要があります。
米国では戦後急激な住宅需要に応える取り組みが「アーバ二ズム」で、「レビットタウン」と「レビットハウス」として取り組まれてきました。それが、「資産形成を実現する住宅デザイン」という形で軌道に乗ったのは1980年代の「次の3つの取り組み」が始まっていたからだと言ってよいと思います。

「住宅により資産形成を実現してきた3つのプロジェクト」
全米の東(フロリダ)と西(カリフォルニア)の両側から取り組みが始まった住宅による資産形成を実現する住宅地な開発技術の展開のきっかけをつくった最初の提案は次の3つの提案でした。その共通する到達点は、資産価値の維持向上し続ける住宅地経営で、その条件は犯罪が起き無くて安心して生活できる住宅地でした。いずれもハワードのガーデンシティの理論に大きな異教を受けていました。
(1)    ピーターカルソープによる「サステイナブルコミュニティ」の提案
(2)    DPZによるTND(伝統的近隣住区開発)による住宅地開発
(3)    マイケル・コルベットによる太陽光と地熱利用の住宅地開発
この関係者がカリフォルニア州のヨセミテ公園にあるアワニーホテルに集まり、そこに200人を超す地方公共団体の都市開発関係者を集めてまとめたものが「アワニーの原則」です。この「アワニーの原則」でまとめた重要なことは、民間の活動と行政機関との関係を、利順の追求とその監督という関係ではなく、協力すべき役割分担と考えました。以下のとおり「アワニーの原則」が新しい官民協調の資産価値が維持向上する住宅地開発の思想「ニューアーバニズム」を生み出すことになりました。その展開に関しては次回に続きメールします。なお「アワニーの原則」をご参考までに掲載します。

『アワニー原則』(要約)
1.コミュニティの原則
① コミュニティは、住民の生活に不可欠な施設や活動拠点を併せ持つ、多機能で統一感のあるもの
② コミュニティは、できるだけ多くの施設が相互に気軽に歩ける範囲内に位置するよう設計すること
③ コミュニティは、公共交通機関の駅や停留所が簡単に歩いていける距離内に整備されること
④ コミュニティは、さまざまな経済レベルや年齢の人々が生活できる住宅が供給されること
⑤ コミュニティは、住んでいる人々が喜んで働ける仕事の場がコミュニティ内で生みだされること
⑥ コミュニティは、既存のコミュニティやそれを包含する大きな交通ネットワークと調和をとること
⑦ コミュニティは、商業・業務活動、市民サービス、文化活動が行われる中心地を保有すること
⑧ コミュニティは、広場・公園等のオープンスペースを有し利用を考慮したデザインの工夫を図る
⑨ コミュニティのパブリックなスペースは、日夜いつでも人々が興味を持って行ける場所となる設計
⑩ コミュニティやそれらのリージョンは、農業のグリーンベルト等により明確な境界を保有すること、⑪ コミュニティは、歩行者用、自転車用の道路は、相互に緊密な面白いネットワークを有すること、⑫ コミュニティは、天然の地形、排水、植生などは自然のままでコミュニティ内に保存されること
⑬ コミュニティは、すべてのコミュニティは資源を節約し、廃棄物が最小になるように設計すること
⑭ コミュニティは、自然の排水の利用、リサイクリング等を通して水の効果的な利用を追求すること
⑮ コミュニティは、エネルギー節約のため通りの方向、建物の配置、日照(日陰)の活用に工夫する

2.リージョン(コミュニティを包含する地域)の原則
① 地域の土地利用計画は、従来は自動車専用道路との整合性を第一に考えたが、これからは、公共交通路線を中心とする交通輸送ネットワークとの整合性を、まず第一に考えること
② 地域は、グリーンベルトや野生生物棲息境界などの形で、他の地域との境界線を常に保有すること
③ 市庁舎やスタジアム、博物館などのような地域の中心的な施設は、都市の中心部に位置すること
④ 地域の歴史、文化、気侯に対応し、独自性が表現・強化される建築方法、資材を採用すること

3.実現のための戦略
① 全体計画は、上記1(コミュニティの原則)及び2(「地域」の原則)の諸原則に従い、状況変化に対応して常に柔軟に改定されるものであること
② 地方公共団体は、地域全体との不整合な乱開発を防ぐため、適正な計画策定プロセスを保持すること
③ 開発事業の実施以前に、上記1(コミュニティの原則)及び2(「地域」の原則)の諸原則にしたがった詳細な計画が策定されていること
④ 計画策定プロセスには誰でも参加できるようにし、提案が視覚的に理解できる資料を提供すること

(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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