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HICPMメールマガジン第600号(2015.02.23)

掲載日2015 年 2 月 23 日

HICPMメールマガジン第600号(2015年2月23日)
みなさんこんにちは

3月4日13:30-17:00HICPM会議室でGKK・HICPMによるNAHB・IBSと北米ツアー報告をします。私はHICPM創設前から今年まで25年間連続参加し、米国住宅産業の定期観察をしています。過去のトレンドから今後の方向が示唆されます。健全な米国のホームビルダー経営は日本の工務店経営改善を図る上で大きなヒントを与えてくれます。最新の米国住宅産業の観察結果の報告です。

以下、前回に引き続き住宅地開発のデザインについてのお話をします。
資産価値を高めることのできる住宅地開発
これまでHICPMでは「資産価値の形成できる住宅」は住宅単体の設計ではできなくて、住宅不動産と言う土地と一体に住宅地を計画しないと造れない欧米の経験を説明してきました。それに対し、日本でも住宅設計では敷地での住宅の配置計画を考え、敷地利用に関しては南面からの太陽光の取り入れを重視して計画をしてきました。どこが違っているのでしょうか。住宅不動産として住宅を計画することは、住宅敷地ごとの住宅計画も含まれますが、住宅不動産として考えるということは、住宅を複数の住宅で形成される住環境として考えることを指しているのです。その場合、最低規模の住環境を守ることのできる住宅の集団はどの程度の広さを言うのかと言うごとが問題になります。
欧米におけるマスタープランドコミュニテイの開発においては、開発計画全体のマスタープランが決められ、各住宅はその開発と一体になって決められた建築設計指針(アーキテクチュラルガイドライン)に従って造れば、特段に住環境計画を考えなくても優れた住環境をつくることができます。しかし、日本の宅地開発として実施された都市開発は、接道条件を満足した宅地開発を、雛壇造成や、平坦な敷地であっても、敷地境界線にブロック擁壁を設けるなど敷地境界を造り、敷地ごとにバラバラに切り離すことに都市開発の業務が偏向しています。そのために、雛壇擁壁や境界ブロック擁壁が住環境を細切れに分断し、醜い住環境をつくっています。今回は小さな住宅地環境の形成技法についてお話しします。

小規模な工務店の利用できる計画
開発地の周辺環境が破壊されても開発地の住環境が守られるための最小住宅敷地(住宅不動産)は、シングルファミリーハウス(戸建て住宅:独立、2連戸、連続住宅)の場合、何戸で形成されるかという議論は欧米でも行われてきました。それをカリフォルニア州(米国)では、法律上、CID(コモン・インタレスト・ディベロップメント)と言い、その単位で「三種の神器」による住宅地経営管理が行われる最小単位で「2戸」です。カリフォルニアは敷地規模が大きく、1戸ではできない環境が2戸では造られるので、その環境を守る考え方がはじめに在ったようです。
米国では住宅環境が外部から煩わされない敷地規模として昔は1エーカー(4,046㎡)が取得の最小単位とされてきましたが、その後、2分の1エーカー(2023㎡)が、やがて、4分の1エーカー(1,012㎡)が住宅の環境が、外部からの影響を避け独自で守られる最小の基本的な広さとされてきました。現在では1戸当たりの敷地は、8分の1エーカー(506㎡)に縮小してきましたが、代わりに。カリフォルニア州でCIDにより2戸以上とし、4分の1エーカー相当の広さの土地を最小の住環境単位と言うようです。2010年NAHB・IBSの展示販売するモデルホームでは、3戸の独立住宅で構成された住宅団地が最小住環境形成単位として開発された例があります。
その考え方に対し、敷地規模の比較的小さい英国では、プリンス・チャールズが、アーバンビレッジ運動の中で、「中央のコモングリーン(共有緑地)を囲んで6戸の住宅が計画的に建てられる住宅地」は、その外部の環境が悪化しても6戸でつくられた環境は守られます。その考え方を日本に翻訳すると「向こう3軒両隣」と言う環境になります。田園調布のように道路を挟んで道路幅員の半分だけセットバックしても、住宅のファサードを道路に面して造ると田園調布並みの環境はつくられます。区画整理地等でまだ住宅の立ち上げができていない所でこの計画手法を採り入れますと、優れた環境の住宅地を造ることができます。道路部分を含んだ敷地面積はハーフエーカー(2,023㎡)程度になります。

マスタープランド・コミュニテイとサブディビジョン・コントロール
マスタープランド・コミュニティは複数の敷地を跨いで全体としての有機的に調和の取れた計画をマスタープラン(基本計画)として設定します。米国で行われているニューアーバニズムの計画では、基本的にミックストハウジング(多種多様なライフステージの世帯が混合して居住する住宅地)で、ミックストユース(兼用住宅や併存住宅を含む住宅地)として造ることが推奨されています。これは定住性の高い自然発生的な住宅の熟成した状態の街と考えられるからです。多様なライフスタイルの世帯がお互いの違いを尊重し合う街が生活のし易い街とも言われています。多様な能力や関心を持った人たちがそれぞれの能力や関心を活かし商売・業務活動を行い生活し、同じ住宅地の人びとの間でお金を動かすことで、資金が区域から流出しないため、人びとが経済的に豊かな環境をつくることになります。
住宅地の計画技法としては、人びとの生活動線として徒歩での往来を大切にし、歩車道の分離や優先を決定し、道路に面してフロントヤードを造り、徒歩で歩く環境を楽しく計画する。道路に面して居住者がストリートスケープを楽しんでお茶をし、接客できるリビングポーチを造り、リビングホーチとサイドウォークを歩く人の交流を促すようにする。自家用車はバックアレーからガレージに入れるようにするか、前面道路から車庫に導入する場合にも、前面道路に面して車庫のドアーを造らないようにするか、車庫のドアーが建築物の前面壁面位置より後退させ、ストリートスケープを壊さないようにしなければなりません。原則として、車庫の入り口は建築物壁面より後退させて造るか、車庫の入り口は道路に並行して設け、車庫の外壁は住宅の外壁のように窓を設け、車庫には見えないように計画します。
キャリッジハウス(2階部分にスタジオと呼ばれる1LDKの空間)を設け、賃貸住宅として近隣の若年世帯や老人世帯に入居させ、ミックストハウジングにし、併存部分の空間を商業や業務空間として利用する計画を取り入れる。そのことにより住宅の一部をミックストユースとすることで収益を挙げる空間利用にすることができる。このような場合にも住宅地全体として懐かしさを感じる景観となるようにコテッジが集まっているようなデザインの屋根を造り、街並み景観をつくります。

低層高密度の住宅地
豊かな生活を営むためには、地階空間から屋根裏空間までを高密度に利用することで、賑いを感じる街をつくることができます。TND(伝統的近隣住区)開発とは、都市空間を高密度に利用することで高い地価負担を軽減して、それでいてお互いの生活を尊重し合うよう、都市の共有空間をコミュニテイのルールに従って調和を重んじて利用することで実現できます。それはお互いの存在をしっかり意識することができていて相手の生活を尊重し、お互いにそれぞれの生活に干渉せず、相互の必要とされたサービスを提供し合うことでつくられる空間です。住宅地の中の共有空間や共用空間を地縁的な空間利用のルールを作り、それに従って生活することが豊かな住生活環境の条件です。そのために必要なハードなルールとソフトなルーを作り、自治権をもった地縁共同体(HOA)によって環境管理をすることで、豊かさを実現することができます。(次回に続きます)
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)



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