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HICPMメールマガジン第600号(2015.03.02)

掲載日2015 年 3 月 2 日

HICPMメールマガジン第600号(2015.03.02)
みなさんこんにちは

NAHB・IBSと最新の北米住宅産業報告会は3月4日13:30-17:00HICPM会議室(千代田区)で行います。米国の工務店が健全経営を行っている理由を、少し歴史を振り返って現地視察報告しますので是非ご参加ください。当日はほぼ満席ですが、できる限り意見交換をしたいと思っています。

今回は住宅地のデザインシリーズとして、米国の「資産価値の形成できる住宅地開発」を我が国で中小零細規模の工務店でも実施できる方法を、質問形式で、数回にわたって連載でご提案したいと思います。

中小零細工務店で出来る「購入者にとって資産価値が形成できる住宅地経営」の提案(第1回)
この提案は以下の前提で行っています。欧米の資産価値が形成できる住宅は、「土地と住宅が不可分一体の住宅不動産」として計画し、住宅地経営管理されることによってつくられています。その考え方は「多くの人が住みたくなる住宅環境」を提供することです。『明日へのガーデンシティ』の著者エベネザー・ハワードの発明した住宅地経営とは何かを日本に適用しながらご説明することにします。

第1問:土地はどのように手当てをするのですか。
中小零細な工務店には資金がなく、土地そのものを用意することは不可能です。それを住環境をつくるとなると複数の住宅の建設を考えなければなりませんが、土地の手当てはどうするのですか。大きなデベロッパーの下で住宅建設をすることならできるのですが、それ以外で可能ですか

第1問の回答:地主の立場で考えてください。
日本全体で人口減少が進んでいるだけではなく、東京以外は都市が縮小していくことがはっきりして、政府はコンパクトシティ構想を進めようとしています。現存する宅地に、今後住宅が立ち上がること自体が難しくなっています。そのような時代に地主の気持ちを考えてみてください
住宅や土地を日本では不動産(欧米では土地は不動産ですが住宅部分は動産です。土地を住宅加工した住宅不動産は全体で不動産になります。)と呼んでいますが、これ等の不動産は所有しているだけであれは税金と維持管理費用が価格フローとしては、マイナスの資産です。
利口な地主は恒久的に土地から利益を挙げる方法を考えるようになるに決まっています。「都市をマイナス資産からプラス資産にすること」が利口な地主の選択肢です。

第2問:するとその結論はこれまで言われてきた「土地活用」や定期借地権事業の言うことを指しているのですか。

第2問の回答:日本の定期借地権事業や土地活用は目先の建設工事での利益が目的で地主は破産する目に合っています。その道とは逆で、地主が恒久的に利益を拡大する事業を言います。
マイナスの資産(土地)をプラスの資産にする途が、これ等の不動産を賃貸物件にして地代または家賃を得る方法です。地主になって住宅地経営により金儲けをする方法をシステムとして確立した理論がエベネザー・ハワードの『明日へのガーデンシティ』です。英国のレッチワースでは、レッチワースガーデンシテイ株式会社が都市所有者になって、都市が熟成させて大きな資本利益を挙げ、現在はその資本利益を手に入れたい人に対し住宅不動産を払い下げ、地主は大きな儲けを挙げ、全体の80%以上が「持地、持家」になり、住宅不動産を購入した人も資産形成ができています。

第3問:新しい借地方式(リースホールド)の仕組みとその理屈はどのようなものですか:

第3の回答:借地人が建設した住宅の資産価値が恒久的に維持向上する方法を前提にした借地利用(リースホールド)事業(CID:コモン・インタレスト・ディベロップメント)を言います。
この仕組みを分かり易いたとえ話でお話ししますと。次のようになります。「池」と言う土地を管理している人にその利用を進めるときに、「渡り鳥」を飼育することを勧めますか、それとも「錦鯉」を飼育することを勧めますか。答えは、「錦鯉」です。絶対に逃げていくことがないからです。
ハワードが行った住宅地経営は、「貴族の土地経営」と同様、「逃げることのない小作人が土地を耕すこと」で収穫を多くできる環境をつくることをしました。小作人も地主も豊かになれる借地事業方式が、リースホールドで、その事業で貴族が大きな富を築きました。
その貴族の土地経営を、「住宅地経営として実施」したら、いかなる儲けが地主に転がり込むかと言うことを明らかにした住宅地経営書が、『明日へのガーデンシティ』だったのです。

第4の質問:地主が土地を提供しようとする条件は、どのような条件ですか。

第4の回答:投資と言う視点で地主に適正地代を考えさせるようにすることです。
現在の地主は土地不足と言われた時代の感覚に縛られ、高い地代を期待していますが、基本的に「投資と言う視点」で見た場合、「投資利回りは、平準化に向かう」ことを地主に理解してもらうことが必要です。平均利潤率は、長期定期預金金利、国債利回り、公定歩合など投資条件やリスクとの関係でいろいろありますが、国債利回りは分かり易い指標の一つです。その運用利回りに、土地の管理経費に相当する土地に関する「税と管理費」を加算した場合、土地の課税標準額(額面価格)の2%の地代は、国債(額面価格)の配当利益の2倍以上になります。地代滞納の保証金は地代の月額の6か月分と言う程度の条件が、他の投資対象物件に均衡する借地経営条件であると考えられます。つまり、自分の所有する土地をその固定資産税の課税標準額相当の価値があると仮定し、それを国債の額面価格で国債に取り換えたとき、その国際配当額の2倍の地代が得られたら、地主はそれでよいと考えるということです。

第5の質問。:その土地の利用可能性の検討をどのようにやったらよいのですか。

第5の回答:地主にその土地の利用可能性についてしっかり理解させることが重要です。
地主が破天荒な高望みをしないように、住宅地経営が成り立つ条件をしっかり理解させることをしなければなりません。欧米の住宅不動産経営の考え方は、以下の通りです。
住宅経営者は、まず、基本的に住宅の需要者を最初に明確にし、その次に、その条件を満足することのできる土地があるかと言う検討が続きます。その土地とは住宅を建設することになる土地及びその土地の置かれている地理的、歴史文化、社会経済、商品流通交通、学校教育、医療社会福祉、スポーツ・娯楽・リクリエーションの全ての人びとの豊かな生活実現の途が含まれています。
大きな開発の場合には、大きな都市開発の中でその総てを考慮して計画作りになりますが、中小零細な空宅建設業界の場合には、自ら開発するのではなく、利用することのできる条件を探すことになります。
自ら新しい環境を形成することがなければ、期待される地代は近傍類似時土地の地代となります。

第6の質問:地主が将来に向けて借地地代を高める方法があるのですか

第6の回答:周辺地の土地利用に影響を受けず、地代を高める方法があります
欧米では住宅地ごと住宅所有者による住宅地経営管理自治体を形成し、そこに住んでいる人たちの住宅の資産形成向上の願いに応えた経営をすることで、その住宅地に移り住みたい人を増やすことで売り手市場に育て、住宅自体の資産形成を実現するとともに、住宅地自体の資産形成を実現しています。それができるためには、住宅地が一定以上の規模がないとできません。
米国では昔から「一エーカーの土地(4,047㎡)」と言われてきましたその後ハーフエーカー(2、024㎡)、4分の1エーカー(1012㎡)と言われるようになっています。英国のチャールズ皇太子は、アーバンヴィレッジ運動の中で、最小の環境を守る住宅地として、コモングリーン〈共有緑地〉を囲む6戸の住宅(ハーフエーカーの土地)と言っています。そこでしっかりした住環境を造れば周囲の変化に耐えられると言います。
(次回に続きます)
(NPO住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)



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