戸谷の言いたい放題

中く住宅の流通活性化ラウンドテーブルの報告書に対する意見

掲載日2015 年 4 月 16 日

平成27年4月16日
国土交通省住宅局住宅政策課
「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」報告書
担当者 庄山 毅彦 殿

NPO法人住宅生産性研究会 
理事長 戸谷 英世

「中古住宅の流通活性化ラウンドテーブルの報告書」に対する疑問

標記について、ラウンドテーブルと言う名で、体裁上、外部の業界の意見を集約した形式を取っているが、仄聞するところでは国土交通省は業界の要望を活かすため、それを具体的な政策に移そうとしていると言われ、多くの問題がある。この間違いだらけの認識と非科学的な論理をまともに不動産流通政策として推し進めることは、社会に混乱をもたらすだけではなく、国際的にも、金融上大きな問題を発生させる疑問があるので、慎重に対応されるようお願いする。そこでこの報告書の基本問題に関し、以下のような疑問があるので、その中の基本的な問題の指摘とHICPMの提案行うので、前向きの対応をされるようお願いする。

第1.    現在のわが国の住宅が購入者に大きな損失を与えて国民の住宅資産を大きく毀損している原因の理解が基本的に間違っている。世界中で新築住宅が日本のように異常に高額で価格付けされ、それにその価格の3倍もの担保を取って住宅ローンが付けられて売却され、中古住宅になれば、新築中古であっても、価格は新築住宅価格の民法上の定義による「詐欺」販売の実態が暴露して急落する。その住宅産業を製造業であるにもかかわらず、建設サービス業と違法な業種分類を行って、建設業法第20条違反の価格設定している理由を隠蔽し、その説明を「住宅に減価償却論を込んで説明をしているが、その科学的根拠はない。住宅購入者はその所有する住宅を売却したくても売却損が発生するため売却できず、それが中古住宅市場を貧しくしている。世界中でこのような非常識なこじつけ理論を政府が持ち出している国は存在しない。中古住宅と新築住宅の価格関係が理解できていない。

第2.    日本の中古住宅と比較して米国の既存住宅市場は例外なく物価上昇以上にその資産価値が上昇している。それには「21世紀の資本論」で証明してある通り、必然性がある。2002年から始まった米国の住宅バブルが2007年に崩壊し、それが2015年には米国の経済を牽引する経済の柱になった理由をこの報告書の関係者は、経済理解できていない。米国の住宅の資産価値は米国の不動産鑑定評価制度の通りであるが、それが理解されていない。米国の既存住宅市場では新築住宅より確実に価格が上昇し続けている事実があり、その事実は理論的に説明されている。それが分からない集団のラウンドテーブルのように思われる。

第3.    経済的には、住宅の取引価格は、住宅の価値との対応で行われる。しかし、日本では住宅の価値と無関係に住宅価格が設定されている。欧米では、住宅の価値との対応で住宅金融が行われている。しかし、日本では住宅の価値とも、住宅価格とも無関係に住宅金融が行われている。住宅金融は担保との関係でその上限が決定する。日本の住宅ローンの担保は住宅価格の3倍で、住宅の価値の約6倍である。そのため、日本では住宅の価値と米国のMBSは日本のMBSとは、それぞれモーゲージローン債権とクレジットローン債権という経済的性格の違うものを対象にした証券で、経済的に全く違ったもので、名前が同じでも、その経済的な価値は別のものである。日本における住宅ローン破産が起きるようになると、これからは、かつてのバブル崩壊時のように生命保険を使うことはなくなり、自己破産に向かうようになるが、そのときには、MBSは破綻し、金融機関に大きな損失を与える。減に自殺は急減しているが破産は拡大している。

第4.    今回の中古流通の経済的なメカニズムは、政府が仮定した不動産鑑定評価価格で流通を取り仕切れると報告書は言っているが、そのようなことは全体主義国家であればいざ知れず、自由主義経済で行ってはならない。経済的な取引は自由市場の需要と供給によって決定されて、実際上経済的価値のない住宅やMBSは、贋金と同じことで、自由主義国であれば、やがて、市場でまともな流通ができなくなる。今回の提案の大きなカギとなっている不動産鑑定評価方法は、科学的な根拠がないもので、その用語など米国のアプレイザルと同じ名称を使って、いかにも日本的に修正したように紛らわしく見せているが、理論的に全く別のもので、その鑑定評価の実態は全く別のものである。

第5.    日本の金融は不動産依存の金融であるので、金融の根拠となっている不動産取引が非科学的な根拠で行っていれば、これまでの日本のように国内では国家権力により国内経済ではある程度強行することができる。しかし、それをいくら政府が国家権力で裏付けしても、国際的には、正規の金融に耐えることはできなくなる。日本のMBSは日本の国内で買い支えているため矛盾は国際的に顕在化していないが、矛盾が顕在化していないからまっとうなものであるという説明にはならない。少なくとも今回の報告書の提案を海外で実施できないことは明らかである。贋金を使った経済が国家は単に目下を導いた経験は日本にも江戸時代だけではなく、戦時中の国債等で経験したことである。日本の円は国際通貨の一部として決済されており、金融に関する問題は姑息な方法を使うことは許されない。

第6.    HICPMは今年で創設20年目に入っているが、私自身、過去半世紀以上、建設省人事に依る25年の行政及び研究調査経験を含め、住宅問題を調査研究し、その後、世界の住宅産業中でも米国を中心に調査研究を行い、実際に欧米諸国に出掛け調査を行ってきた。その結果をもとに、これまで一貫して、日本も欧米先進国のように「国民が住宅を取得することで資産形成を実現する国」に向けての取り組みを行い、日本のように「国民が住宅により資産を失い、住宅産業が不当な暴利を挙げている国」を変革するための調査研究を行い、その科学的な理論を解明してきた。その調査研究の結果を日本の住宅政策や経済政策に利用してほしいと願っている。少なくとも、日本国政府は国際的に説明責任のできる科学的合理性のある政策を実施しなければならない。

第7.    今回の報告書の欠陥は基本的な日米の住宅環境、制度、現実の認識全体に亘って間違いだらけのもので、このようなものが日本国の住宅政策、不動産流通政策、経済政策、金融政策として実施されることは極めて国際社会及び国内社会に対して無責任極まりないと考える。現在はラウンドテーブルという場での報告書段階であるので、この段階で一端止めて、内容の吟味をするべきである。このまま突き進んだ場合「無理を通せば、道理引っ込む」日本の昔の諺通りにならざるを得ない。その責任を誰がとるつもりか。当面の業界の要求に迎合し、責任を取ることができない政策を展開し、国民に大きな負債の付けを回すことは許されない。

第8.    HICPMはNPO法人の定款で定めた活動として、国の政策に貢献することはやぶさかではない。そこで、国土交通省の要請を受ければ、当方でのこれまでの研究成果をもとに最大の協力を惜しまない予定である。日本国が民主国家である限り、国は、国民の自由な意見を受け付け、説明責任の持てる行政をしなければならない。そのため、とりあえずHICPMが指摘する疑問に対して耳を傾けることをされるようにお願いする。



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