戸谷の言いたい放題

「黙ってはいられない「日本の住宅政策」へ問題の提起

掲載日2015 年 4 月 17 日

「中古住宅の流通活性化ラウンドテーブルの報告書の非常識

国土交通省から発表された標記報告書は、中古住宅の流通の活性化で中古住宅産業と不動産流通業界が一儲けできないかと言う業界細田の「とらぬ狸の胸算用の報告書です。米国では中古住宅を既存住宅と言い、新築住宅と同様のマーケットで、高い価格で流通され散るので、その米国の不動産流通業でやっている真似をしたら日本でも一儲けできるのではないかと考えたようです。そこで新しい提案は米国の既存住宅市場で行われている制度の名称だけを並べれば、日本でもそのように機能すると言ってたとえば不動産鑑定評価制度(アプレイザル)や不動産資格確認制度(エスクロ―)既存住宅公開市場(MLS)等を取り入れることを書いていますが、その背後にある米国の住宅産業の仕組み(住宅の価格と住宅の価値、不動産鑑定評価の理論)と言うようなことが全く理解されていないのか、それとも国民をばかにして、そのような仕組みなどでたらめでも米国の制度と似たような名称を使えば、中古空宅を高い価格で販売し大儲けg出来るという報告書になっています。その暑さだけは厚い報告書のお粗末な内容を指摘しても無意味ですので、そのは後にある基本問題だけを以下に書きだしてもみました。この内容はHICPM会員に毎週配信しているHICPMメールマガジンの来週月曜日配信分です。政府及び業界からの反論は大歓迎ですメディアが間に入って政府や業界の実際やって来たことを白日の下に晒すことがなければならないと思っています。闇の中の話し合いではなく、公開でその主張を戦わすことができればと願っています。

「中古住宅が余っているのに新築住宅が建っている」疑問
4月22日のHICPMセミナーには多数の会員の皆様がご参加くださることになり、ご参加される方にご満足いただけるセミナーにしなければいけないと準備を進めています。先日ある勉強会で、「日本は住宅余り現象が極端にまで進んでマンションの空き家も増大していますが、それなのにどうして新築住宅供給が一向に減少しないのでしょうか。」と言う質問を受けました。既存住宅を日本では中古住宅と言ってきましたが、中古住宅は新築住宅と比較して一挙に価値が下落する住宅と言うことで、中古住宅を新築住宅に比較して、遥かに「価値がない住宅」と言う認識が社会的に確定しています。

価値と価格
経済学の教科書で最初に登場することが、価値と価格の関係について、「価値の現象形態は価格である」と言う原則が書かれています。価値の高いものは高価であり、価値の低いものは安価です。だから、日本では、「新築マンションは価値があるから高価」であり、「中古マンションは価値がないから安価」です。「自分の息子や娘に価値のないマンションをもたせるわけにはいかないから高価なマンションを買い与える」と言って新築マンションを購入する親が沢山います。このようなドグマは国土交通省が当然のように口にし、それが「中古住宅の流通活性化ラウンドテーブル」の報告書のベースにあるのです。このような理不尽なことが起きている理由は建設業法第20条の規定を粗末にしているからです。

建設サービス業
国土交通省は建設業法で、「住宅建設業は建設工事業である」にもかかわらず、敢えて、「建設サービス業」と言います。なぜ、「建設サービス業」と言うかと言えば、そのように言い換えることで、政府自身が「建設業法第20条に違反していてもよい」と言い訳を言っているつもりだと思われます。「サービス業」と言えば、「流通に関するサービス業務報酬を請求することが法律上正当化される」と思っているからに違いありません。建設業法では、請負契約における工事契約額は、直接工事費に工事関係の必要経費(20%)を加算することしか認めていません。実際の大手ハウスメーカーは販売価格のうち直接工事費は40%で残りが粗利になっています。しかし、建設業法に違反して営業販売経費を、「あたかも建設工事費のように粉飾して販売価格に潜り込ませ」ています。政府が、「住宅建設業を建設サービス業と産業分類する理由は何のため」でしょうか。それは「大手ハウスメーカーの不正な(建設業法違反)の営業を、政府が容認する」ための方法と言わざるを得ません。そうでなければ、論理的に、建設業法上の違反として建設業法上の処分の対象にしなければならないはずです。

中古住宅とは
日本では中古住宅とは、「処女性を失った住宅」と言います。そこでその処女性とは何かと問い詰めて行きますと、それは、「広告・宣伝、営業販売経費をかけて販売しても売れ残ってしまった住宅か、又は、一旦販売されたが、それを改めて住宅市場で販売しようとしても、広告・宣伝、営業・販売経費の使えない住宅のこと」だと言います。なぜなら、新築住宅販売の段階で広告・宣伝、営業・販売経費は使ってしまっている訳ですから、一旦市場で販売に掛けられた住宅は、広告・宣伝、営業・販売経費はありませんから、改めてその住宅を販売するために広告・宣伝、営業・販売経費が使えないからです。いわば、「営業販売燃料切れの住宅は、売りたくても営業販売経費を掛ける訳にはいかない。」と言う理屈です。建設サービス業が、「サービス業として掛けた費用を住宅販売価格に上乗せ」して住宅販売をしていますが、その上乗せした分だけ住宅の価値が上昇したわけではないのです。分かりやすく言えば大手住宅メーカーが販売している住宅の価格は、住宅の価値ではなく、驚くほど多額の広告・宣伝、営業・販売の経費を加算し、結果的に、本当の住宅の価値の2.2倍の価格で販売していることになります。建設業法における請負う契約額の中にそのザービス業経費が、建設業法上の材料費及び建設労務費に一部として含まれているという説明で混ぜ込まれているのです。混ぜ物のサービス業務の費用の方が、表示されている材料費及び労務費の1,5倍も多くかけているのです。建設業法による工事請負契約の中で工事費見積もりの中にサービス業経費を分からぬように混ぜる行為のことを、法律用語で「欺罔」と言います。契約相手を欺罔する行為のことを「詐欺」と言います。

詐欺
民法第96条には、「他人を欺罔(ぎもう:人をあざむき、だますこと)して錯誤に陥れること。詐欺による意思表示は、その意思の形成過程に瑕疵があるため取り消し得るものとされる。」と記載されています。日本の大手ハウスメーカーは民法第96条の規定通りの販売を行っています。そして、住宅金融会社が大手ハウスメーカーの言いなりの価格に対して金融を行っています。
金融機関は融資審査を行っているため、一般消費者は融資を受けるとき金融機関の審査を受けなければなりませんが、住宅ローンを受ける人は、「金融機関は、その住宅価格が価値と同じで、適正であることを審査して融資をしている。」と勘違いさせられています。しかし、金融機関はその住宅の価格が価値相当のものであることは全く審査していません。融資の際、建設基準があって、それに適合している審査をしているが、それは融資が厳密に行われているふりをするためのもので、融資の本質である住宅の価値には直接関係しないことと言ってよいことばかりです。金融機関が審査していることは「ローンの担保」だけを審査しているのです。
金融機関の住宅融資は住宅の他に、その土地という別の不動産と販売価格と同額以上の生命保険を担保に融資していますから、その担保額は融資額のほぼ3倍、住宅の直接工事費に対して7.5倍の担保を取っていることになります。そして、「貸金業は金利を得ることを金儲けの目的にしていますから、多く貸した方が儲けはそれだけ大きくなり」ます。米国の住宅金融と比較すると、金融機関は住宅の価値の2倍貸し込んでいる訳ですから、「2倍の儲けを得ている」ことになります。
米国と比較すると、大手ハウスメーカーと住宅金融機関は、共謀して詐欺行為を行って、それぞれ米国の業者と比較して2倍以上の不正利益を挙げていることになります。それを「刑法上の詐欺」として起訴するかどうかは、検察庁の仕事です。国家としては、国土交通所は自らの行政において詐欺行為が行われているとしたら告発する義務があります。耐震偽装事件のとき国土交通省は自らの行政での審査業務のずさんさを棚に上げて、ヒューザーの小嶋さんを詐欺で告発しました。現在の大手ハウスメーカーと金融機関による詐欺を告発もせず、基礎もせず、容認していたとしたら国土交通省も検察庁も詐欺を幇助していることになります。

自由主義国家
自由主義を掲げる資本主義国家では、「等価交換」が住宅の販売でも、住宅金融の場合でも交換の原則です。不等価交換の販売や金融は、詐欺であり、日本国では詐欺をすることも、詐欺を幇助することも、詐欺を関係行政が容認することも、法律上許されません。
住宅購入者が実際の価値の2倍もの価格で住宅を購入させられ、必要な融資の2倍も貸し込まされて金利を支払わされているため、実害が発生しています。よくこのような問題を指摘しますと、「大手ハウスメーカーの販売がそのようなことは、あなたに言われなくても、国土交通省の住宅関係の人で知らない人はいないですよ、消費者もそれを知っていて高い住宅を交わされて満足しているのだから、それで納得済みで問題にする必要はないのではないか。」と言います。事実、大手ハウスメーカーの住宅販売は「差別化」と言って他社と違う材料工法、デザインが自社の優秀性であると信じ込ませて販売してきました。多くの購入者はほとんど例外なく大手ハウスメーカーの「差別化」営業の家庭で洗脳され、オオム真理教の教徒同様、「差別化」を信じ、差別者になって優越感をもってその住宅を購入しています。「自分が判断してよいと思って買ったのだから放っておいてくれ」と言われたことが何度もありました。私の指摘に対し、「仮にそれが問題であったとしても、巨額な担保や巨額な住宅ローン、高額な住宅販売価格の全ては、大の大人で、社会公知の事実を知らなくても、マインドコントロールされていて、住宅購入者騙されていたとしたら、それは消費者の自己責任の問題だ。」と言います。
そこで「それは詐欺であるから、詐欺に掛ったとしても、それは自己責任か。」と聞き返しますと、「社会的にあまりひどいと、オレ・オレ詐欺のように検察が動いてくれますが、こと住宅に関しては、国土交通省が住宅政策として進め、大手ハウスメーカーが何年もやって来たことで、検察も知らないわけではないから、それは国土交通省が大手ハウスメーカーと共謀して実施してきた訳で、その業務に関し安倍内閣は大和ハウスの会長に旭日大綬章を与えその業務を表彰したくらいであるから、このような大手住宅会社が実施してきた住宅販売詐欺は、日本ではやって当然という公認詐欺ではないか。」と言う反論が返ってきました。多分、その通りであるから、そのような国家運営がなされているのでしょう。

CM(コンストラクションマネジメント)教育が日本に定着しない理由
「中古住宅の流通活性化ラウンドテーブル」の報告書は、上記に紹介した私の研究会の会員の私に対する反論をした人と同じ認識の上でまとめられた報告書と言ってよいものです。欧米では住宅建設業者(ホームビルダー)の共通した関心事は、消費者の家計支出の範囲で購入できる住宅の供給をするためにCMを学び実践しています。米国の社会では、住宅販売価格に広告・宣伝、営業・販売を潜り込ませて販売し、その販売価格通りの住宅ローンを供与する金融機関は存在しません。間違いなく「詐欺」として刑事告訴されることになります。日本の住宅政策は住宅産業が金儲けをするための「フローの住宅政策」であるのに対し、日本以外の欧米工業先進国は住宅購入者の利益を考える「ストックの住宅政策」です。「中古住宅の流通活性化ラウンドテーブル」には、その矛盾が一挙に登場しているのです。
私が問題にしている住宅産業が現実に行っている詐欺行為は、民法に明記されていることを問題にしているもので、批難や罵詈雑言として「詐欺」と言っているのではありません。「詐欺を行うことによる儲けは、まじめに働くより巨額な儲けが期待される」ため詐欺を行います。住宅建設業者は大手ハウスメーカーが行っているのを見て、「あんなことができるなら」と言ってそれに類似したことを大なり小なり行っています。その結果、現在の日本の工務店の関心も「詐欺(差別化)を行って儲けを挙げること」が「差別化営業」になっています。それが建設業者として真面目にCMを研鑽する意欲を失わせています。国土交通省住宅局は世界の住宅産業が例外なく取り組んでいる工務店の経営改善技術であるCM(コンストラクションマネジメント:建設業経営管理)教育には全く関心を持っていません。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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