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HICPMメールマガジン第608号(2015.04.27)

掲載日2015 年 4 月 27 日

HICPMメールマガジン第608号(2015.04.27)
皆さんこんにちは

6月22日に実施した「中古住宅流通合理化ラウンドテーブル」に関するセミナーは、ご参加の皆さんが国土交通省の報告書を事前にご覧になっていられたので、その内容の紹介はしませんでした。その内容の間違いや不合理さは、それぞれの経験から、お感じになっていらっしゃったようで、敢えてご説明しませんでした。それで良かったとも思っていましたが、その私の批判も聞いてみたかったとおっしゃった方もありましたので、補足的に少しお話することにしました。

中古住宅流通促進策の本音
この報告書で関係者が言いたかったことは、「値崩れした住宅をリフォームで高い価格付けをして、中古流通を活性化するシステムを開発してビジネスにしたい」ということでした。そのときの販売価格を、「国が販売価格を操作して定めた方法で利益を挙げる方法で決定できるようにしたい」ということでした。この「国家を使って価格を操作したい」、という業界の意見を取りまとめた国土交通省の考え方自体が、自由主義・資本主義国と合い入れない官僚統制的国家経営の考え方です。その考え方の前提として、これまでの大手ハウスメーカーの「差別化」による詐欺商売で一定の成果を上げてきた不正な住宅政策の実績を肯定的に評価し、その上に、同様な方法による「企業利益を目的にする中古住宅政策」を実施しようとする「フロー中心とする住宅政策」の考え方が見え隠れしていると言えます。欧米のようなエンドユーザーの利器という「ストック中心の住宅政策」の考え方は見えません。

中古住宅の値崩れの原因
資本主事国家の不動産価格は、基本的に自由市場の中の需要と供給の関係で決められなければなりません。「価格を国家が操作することが不当である」という認識がまずなければなりません。これまでの大手ハウスメーカーの住宅価格は、「建設業法第20条に違反するもの」であることをはっきり認識することが無ければなりません。中古住宅価格は新築価格が値下がりしたのではなく、大手ハウスメーカーの住宅の場合、建設業法でまともに見積もった場合の住宅価格の2倍もの価格で販売していた住宅が、中古住宅市場では半額以下にしかならないと報告書は、「既存資産の半減」という説明で、暗に匂わせています。それでいて、新築住宅価格の不正な建築主を欺瞞した価格を、建設業法に適合した住宅であるかのように説明し、その欺瞞が見破られたときには、住宅は減価償却資産であるので減価償却したと報告書では説明してきたのです。
「中古住宅になったから減価償却により価値が減価した」のではなく、最初から中古住宅価格の価値しかなかった住宅をその2倍程度の価格設定をして販売してきたと書くべきだったのです。「リフォームを行って高い価格設定をする」としていますが、「住宅の価値」と切り離してこれまでのように「差別化により、価格を決めよう」というのです。住宅の価値は建設業法で定めている通り、材料と労務を使って住宅を建設したときに見積価格です。それ以外にどのような方法で決めようというのでしょうか。しかし、報告書の提案は、国家が中古住宅政策に本腰を入れて「差別化」政策を取り入れれば、大手ハウスメーカーによる新築住宅市場だやって来たと同じ結果を導き出せると言っているのです。
大手ハウスメーカーの「差別化」による不等価交換を使った住宅販売は、「差別化」による住宅販売価格の徹底と、住宅金融機関による「差別化」住宅ローンにより、住宅購入者に不当な不利益を与えるもので、憲法第14条に違反する商行為です。いずれも住宅購入者を欺瞞して、中古住宅取引価格しか価値のない住宅を新築住宅価格で販売するもので、現在見るような成果を上げてきたことは事実です。しかし、そのシステム作りに官民協力し半世紀近くかけつくり、今崩壊の危機に立たされています。

「リフォームをすれば住宅の価値が上昇する」は欺瞞である
「住宅をリフォームしたら住宅の価値が向上する」と言っていますが、単体の(土地と切り離された)不動産をリフォームしたら、必ず住宅の価値が向上するかのような本報告書の記載は間違っている。しかも、そこで言っていることは、リフォームの結果、住宅の資産価値が上がることは証明できず、欺瞞すれば高額販売できると詐欺商売を示唆しているだけです。リフォームすることでお金を使うが、使ったお金異常に高く販売できる(価値が上昇する)という説明はどこにもありません。
「需要が存在しない住宅地では、どのようなリフォームをしても、住宅の価値(取引価格)は上がらない。」この国民が期待している前提(資産価値の上昇)は、この報告書にはどこにも見当たらない。実は、この報告書で前提にしている、「リフォームにより資産価値を上がること」は、「リフォームを行い、高い価格設定をした住宅は、高い価値が付与された住宅であると建築主を欺瞞して、高い価値が付加されたから、高い費用を支払わせたい」、と言っているだけです。
「価格設定を国が定めた方法で行えば、高い価格で販売できる」という説明になっていますが、その根拠になる理論の無ければ、保証もありません。これまで大手ハウスメーカーが、「住宅サービス業者」として広告・宣伝、営業・販売に掛けた費用を住宅販売価格として回収する際、その費用が、あたかも住宅自体な価値が上がったように欺瞞して、高価格販売ができたと同じ方法(材工一式ではなく、広告・宣伝、営業・販売経費を含めたものを材工一式の複合単価のように欺瞞すれば、十分な利益を挙げられる)の販売価格の設定を実施したいと提案しているだけのことです。

「花魁の厚化粧」で花魁は美人になれるか
単純化していえば、「消費者が住みたいと願うことのない場所」に存在する住宅に、花魁の厚化粧のようなリフォームをしても、その住宅は取引の対象にはならず、リフォームに掛けた費用は「溝に銭を捨てた」と同じにしかなりません。この報告書はこの一般的な事実を知らないためか、指摘すらしていない。現在日本中の中古住宅で市場に出ることを躊躇している住宅は、購入価格の半額以下の損出しをし、詐欺で騙されたと認めない限り、住宅市場では販売はできない。損出しを嫌って売りに出さない住宅は、居住者と一緒に老朽化、街全体が衰退化し、働き盛りの人たちを対象に造られた多摩ニュータウンのように、小中学校は閉鎖され、ショッピングセンターはシャッター街になり、働き盛りの人には生活ができない。そこでマンションリフォームをやっても働き盛りの世帯はやってこない。そこでは高齢化した世帯にしか住めない街しかならない。そこでリフォームしてどうなるかを国土交通省は答えていない。人の生活は住宅単体で完結するものではなく、住宅地という生活の広がりの中で考えなければならない。国土交通省の関係者には分かっている筈で、このような報告書を書いているとしたら、「国民を愚弄する報告書」です。「一体、どのようにしてリフォームによって住宅の資産価値が挙げられるようになるのか」という疑問には全く答えていない。

リフォームと不動産流通とは、製造業とサービス業という別の業種
国家に価格設定の仕方をさせることは、これまで大手ハウスメーカーの独占的「差別化」を容認しているだけのことです。日本は自由主義国で、市場価格は需要と供給との関係を反映して決められる大原則があるにもかかわらず、大手ハウスメーカーが建設業法に違反して販売してきた住宅価格が正当な価格であるならば、これまでの「差別化」による住宅販売が詐欺商売であったことを、「正当な商売による取引価格である」と追認していると同じです。「正当な商売によると取引価格であるならば、その住宅には取引価格相当の価値がある。」ことで、その住宅は価格崩壊を起こさないで取引されるはずです。要するの、この国土交通省の報告書には科学的な合理性はなく、でたらめな考えを詰め込んだものでしかなく、対外的にこの内容が知らされることになれば、日本国は詐欺国家であるとみられ、国家の恥さらしという他ありません。このような住宅に対して実施された住宅ローンに対し政府が債務保証を行ってMBSが金融市場を流通しているということを海外に知らされたら、日本のMBSの信用は、資産価値の担保出来ない証券は維持できなくなることは必至です。

「法律がある国」と「法治国」の違い
日本には憲法第14条があり、それに照らして適正な取引が行われるように、民法、刑法、不当景品表示法、独占禁止法などがあります。このように、「差別」によって国民に不利益を与えないようにする法律がある国でも、国家が「差別化」を行うことで国民に価値と見合わない価格の商品や住tカウ販売を認めていれば、その法律は飾りでしかありません。法治国は法律がその収支目的通り機能することが国家によって守られている国です。私には日本は法治国とはずいぶんかけ離れた国であるように思えて仕方がありません。欧米の住宅関係者に日本の住宅政策の実情を説明して意見を聞いてみてください。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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