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HICPMメールマガジン第622号(2015.07.27)

掲載日2015 年 7 月 27 日

HICPMメールマガジン第622号(2015.07.27)
皆さんこんにちは

先週はホームビルダー研究会があり、工務店経営の経験を聴きました。
私は20年間NAHBの経験から、その成果を日本に技術移転をしようと努力をしてきたため、日本での住宅産業の取り組みに基本的に批判的で、「米国の常識(住宅の資産価値を高めることがビルダーの利益)で日本の住宅産業(高い価格付けで利益を高めることが工務店経営)を見ている自分」を発見して、自分ながら日本の常識を腹立たしく感じる「おかしな文化ショック」を受けています。
今回はやはりその連続線上の話になります。それは英国で始まり米国で非常に拡大した住宅による資産形成を実現したリースホールドによる住宅地経営です。

貴族の領地経営に倣った住宅地経営
エベネザー・ハワードが提唱した住宅が、「経年的に資産価値を高めるリースホールドによる住宅地経営」とは、地主や株主の資産形成と同じ資産運用の考え方です。
前回までにお話ししたとおり土地の売り買いや株式の売り買いで金儲けを考える人は、ブローカー(商人)の金儲けの考え方で、地主や資産株主の金儲けは、資産価値を高め、そこからの配当を高めることです。資産運用の配当を高めるために資産経営が必要になるのです。エベネザーハワードが提唱したこと(ハワード自身はそれを「ハワードの発明」と『明日へのガーデンシテイィ』のなかで言っていますが)それが「住宅地経営」なのです。ハワードは、それをレッチワースガーデンシテイで実践し、それが米国のフォレストヒルズなど多くの住宅地経営に取り込まれました。
ハワードは貴族が行ったように住宅地経営できる土地の手当てをしました。多くの有志からの資金協力(収支)を仰いで住宅地を購入し、そこでガーデンシテイの住宅地経営を始めたのです。詳しくはハワードの『明日へのガーデンシテイ』を読んでください。日本では多くの人がこの屠所を読みましたが、ハワードの期待しているように読んでくれた人がいませんでした。その結果、「仏造って魂入れず」になってしまいました。

英国政府が行ったニュータウン政策
英国労働党が戦後ロンドン復興のためにグリーンベルト政策と一緒に実施した「ニュータウン政策」と「建設費補助を取り入れた公営住宅政策」は、日本の戦後の住宅都市政策の彼岸と考えられ、取り組まれましたが、結局は日本後に根付きませんでした。千里ニュータウンは英国のハーローニュータウンに倣って建設したものですが、現在比較してその違いは「百聞は一見にしかず」で、「仏造って魂入れず」であることが分かります。サッチャー首相の時代ここに建設された公営住宅は払い下げられましたが、いずれもキャピタルゲイン(資本価値増)した住宅として取引されています。その点ではこの開発のモデル担ったレッチワースガーデンシテイと同じと考えることができます。

現在レッチワースに学ぶ住宅地経営
現在HICPMが提唱している「ハワードに学ぶ住宅地経営」として、日本の異常ともいえる地価と課税標準の上昇は、国民の土地取得を著しく困難にしていると思います。土地と住宅の関係に関し、欧米と日本とでは基本的に違っていますが、欧米の不動産の扱いが社会科学的な理屈に叶っています。
貴族の国英国は、地主の利益を中心に考える国といってもよいと思います。
日本では土地活用といってアパート経営が進められ、地主は「住宅メーカーによって身ぐるみ剥がされてきました。それは日本が貴族の国という歴史をもたず、地主や資産株主を尊重せず、成り上がり者のブローカーや株屋が、地主をなぶりものにして金持ちになった成金の社会だからだといえます。
土地を加工して優れた都市(住宅地環境)を形成し、そこでの住宅不動産の資産価値を高めることで、地主の資産価値を高めることをする方法こそ、地主と借地人が「ウイン・ウイン」の関係をつくることになるのです。地主は土地の上で行われる住宅地経営が成功することで、大きな住宅地経営利益を地代という形で手に入れることができます。借地人は土地をリースにより使うことで、土地代負担がなくて土地を利用することができます。土地がどうしても欲しいという方には、現在の英国で見る通り、リースホールドの土地をフリーホルドにすることも出来ます。

土地を纏めること
既に前回までにお話ししました通り、住環境を形成するためには一定の広さの土地が必要で、その規模も最小限ハーフエーカー(2000㎡)と言われています。
一人の地主の土地でも、複数の地主の土地でも、ハワードの考え方を取り入れて「貴族の資産活用、資産形成」という考え方でハーフエーカー以上の土地を纏める一体的な土地として活用できるようにすることがまず第一歩です。
土地を住宅地経営の資本とする取り組みです。既存の土地所有をそのままにして一つの土地として利用する方法としては、以下の方法があります。
(1)    土地の現物出資をして、一つの法人の土地をつくり、それまでの地主は株主となる。
(2)    土地をコーポラティブにより既存の権利を変えないで一つの組合法人が一元的に利用する。
(3)    土地利用を民事契約により、住宅地経営に反った土地利用計画通り行うようにする。
その考えの基本にある「土地を住宅地経営の資本とする」考え方を具体化するためには、(1)または(2)が適切で、それまでの土地所有者は、その土地を配当を上げる株式と同じように考えることが必要です。
土地をリースホールドを行うことで、そこで生まれた利益を配当として配る土地経営会社にするときの判断は、その他の資本投資同様、配当利回りが基本的な判断になります。
土地の所有権にこだわることの意味はなく、土地全体から上げることのできる利益を最大化して、その配当に与ることが重要です。「パイを大きくして、その分配を大きくすること」が重要なことです。

譲渡税は不要
土地を現物出資するときの扱いとして、国税庁では、その土地を譲渡したと見なすという扱いをするといっていますが、それは理屈に叶わないことです。国税庁は、出資も土地売却も同じであると見なす間違った法解釈をしてきました。
それは、現物の土地を株式会社の資本金とするとき、全てをお金換算をするために、一旦譲渡をしたとしているようです。しかし、この土地のリース会社をつくるために土地を現物出資する場合は、土地だけを集約して住宅の土地としてリース住むものであるため、売買は行われません。そのときの土地リース会社の資本金として課税標準額の資本金の会社とすれば、税法上の問題はありません。
資本総額が大きすぎて、公認会計士を雇用しなければならないような問題が発生したときには、株式会社として減資する方法もあります。その場合は、株主が均等に資本額を減らすことで、土地全体は変化せず、実質的な損失は発生しません。
一旦設立した土地経営会社は恒久的に経営を続けることになり、土地利用を変更することはなく、住宅地経営として年を追って高い配当が配られる経営を目指します。土地会社からの出資者の離脱は、株式会社の場合な株式の譲渡により行われますが、コーポラティブの場合は組合員の地位継承者を探すことになります。

土地の配当
住宅地は全体としてマスタープランを立案し、そのマスタープラン通り建築物を立ち上げて行くことになりますが、一挙に全計画ができるわけではありませんので、地代収入は住宅の建設に沿って拡大することになります。そのため、その土地会社としては土地の熟成段階によって地代を高めるような方法を取ることになります。
初期には安い地代で住宅の立ち上げを容易にするため、株主配当は決して高くはありませんが、住宅の立ち上げに沿って地代収入は配当という形で上昇することになります。
当然、その住宅地自体が時とともに住宅不動産価格は上昇することになります。「初期段階には割安で購入できるということで建設を促す」ことが、米国の住宅地開発では一般的に行われています。

住宅地経営的視点
欧米の住宅地経営は、「そこで供給した住宅が如何に経年して資産価値が高まるか。」という視点で観ます。その見方とは、住宅をそこに生活する人の歴史・生活・文化という視点で見る人文科学的視点と言います。
人びとが購入した住宅に高い満足を感じ、その住宅地に住みたいと願う人たちが跡を絶たないような住宅地経営が行われることは、既存住宅の価格の上昇を意味します。つまり、住宅を購入した人の資産価値の上昇を意味します。
住宅を購入した人にとって、最大の関心事は、その住宅の資産価値が上昇したか、下落したかということです。資産価値が上昇すれば、金融機関はその担保価値に余裕が生まれ、さらなる融資(純資産金融:エクイティローン)を増やすことと考え、住宅所有者の利用資金が大きくなります。
当然多くの人が評価してくれる住宅ということで需要に支持され、取引は積極的に行われるようになります。それは地代の改定に大きな力を与え、借地契約の更改により、地主の配当は大きくなります。

次回は「住宅地経営とは、どういうことか」について欧米の常識を説明いたします。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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