メールマガジン

HICPMメールマガジン第624号(2015.08.10)

掲載日2015 年 8 月 10 日

HICPMメールマガジン第624号(2015.08.10)
皆さんこんにちは

リースホールドによる事業は住宅地経営の違法の一つであって、それ以前に考えなければならないことは、「誰のために、どのような開発をするか」ということです。英国で始まったリースホールドによるレッチワースやハーローによる開発も、その後の社会経済の環境変化に合わせてフリーホールドによる経営に代わったように、リースホールドによる開発が目的でも事業目的でもないことをしっかり理解する必要があります。リースホールド化フリーホールド化はその時代の社会経済環境によって変化する要素と考えるべきです。「現在日本の異常な地価という条件の中で、リースホールドを活用すべき」とHICPMでは考えてきました。リースホールドかフリーホールド化の違いを経営種類の違いと考えるべきれ、優劣として考えることは間違いです。

リースホールドによる事業検討
これまでHICPMの会員の方々が取り組んできた「ニューアーバニズムによる住宅地開発」を進めるためにご指導ご鞭撻をして参りましたが、最終的には事業を実施する会員ご自身の住宅経営に取り組む「志」として、企業の利潤追求のみに集中するのではなくて、「住宅を購入された国民(消費者)や土地を提供された地主の利益を守り尊重する」という前提がしっかり守られていて、その中で企業としての利益を高めるというように、「住宅地経営者としての志」を高く持たないとできないといってよいと思います。そのために、これまで本当の地主と不動産ブローカーの違いや本当の資産株主と証券屋の違いを説明してきました。住宅地経営や住宅建設を取引対象による利益を上げる「フロー」として扱うのではなく、住宅を取得し、そこで生活する人の生活と資産形成という「ストックという視点」で考えることがなければならないということです。

住宅地開発に求められている「高い志」
高い志とは、住宅・建築・都市に関する考え方で、住宅及び住宅地を考えるとき、それを建設する企業の利益を中心に考える「フローの考え方」に立つか、それとも、欧米のように、住宅地で住宅を取得し、そこで生活する人の利益を中心に考える「ストックの考え方」の違いになると思います。前者が日本の「物づくり」の考え方であるのに対し、後者が欧米の「人文科学的考え方」です。そのいずれが社会的に優れているかに関し、HICPMの取り組みとして、私は、「欧米のストックのシステムが国民を幸せにし、社会を豊かにする」と考えてきました。

フローの住宅産業かストックの住宅産業か
日本社会では住宅・建築・都市は建築工学、都市工学、土木工学という「物づくりでしか扱ってきませんでしたから、人文科学的な考え方自体が住宅地経営関係者にできない所に問題があります。日本でも「住宅購入者の立場に立って考えなければいけない」と口策では言われていますが、実際の住宅産業関係者には、学者や中央官庁・地方自治体の職員を含んで、そのように考え、行動している人は皆無に等しいのが現実です。

『フローの住宅とストックの住宅』の出版
理論的に欧米と日本との違いを理解できるようにするために、私はこの数年かけてヨーロッパ(オランダ)、アメリカ、日本の3国の住宅産業と住宅政策比較研究をしてきました。その成果をできるだけ多くん住宅産業関係者に知ってもらおうとこれまでHICPMの活動に御理解をし、支援してくださった井上書院のご協力で8月末ごろまでに『フローの住宅とストックの住宅』(定価2,000円HICPM会員10%割引)という言う書名の単行本を出版することができるようになりました。HICPM創設20周年の区切りの総括でもあります。「住宅を造り維持管理することが個人資産形成の原点」という欧米に日本が倣うために何をしなければならないかを私の半世紀の住宅問題の取り組み方導き出した結論を皆様にお知らせするものです。

リースホールドによる住宅地経営者の取り組むべきこと
以下に掲げる内容はこれまでHICPMが会員指導として実施してきた「ニューアーバニズムによる住宅地経営を実施するために取り組む作業項目」をもとにまとめたものである。法律制度はここで掲げられた内容が確定されてから、事業化するにあたって考慮すべきトゥールである。都市計画制度はこれまで取り組まれた事業を円滑に進めるための手段であって、都市計画制度に合わせて事業をつくり上げるものではない。
各項目に関する説明を今回は割愛する。
(1)    基本計画作成調査業務:都市計画、地域計画、地区計画、住宅地計画
土地に関する歴史・社会・経済・環境調査
土地利用関係調査、
土地所有権等権利関係調査
入居者に関する社会経済環境調査
産業労働力関係調査
(2)    事業基本コンセプトの作成:中長期的に見た事業展望を含む
開発計画を含む広域的、長期的展望の中で提案するコンセプトの合理性の説明
住宅地経営者として実施する計画の特色:ニューアーバニズム
(ニューアーバニズムに拘るか、それ以外に何か実施する意図があるのか)
(3)    事業計画の具体化のための「ストーリー」の作成と「ヴィジョニング」:
事業計画においては事業計画の基本条件の絞り込みを行い、需要者階層の社会経済的条件を具体的に絞り込むとともに、そこでつくろうとする街のイメージ(設計条件)を明確にする。NAHB[BUILDING COMMUNITIES]参照
(仕事の組み立て方として「ストーリー」と「ヴィジョニング」を説明する)
(4)    マスタープランの作成:基本的にマスタープランドコミュニティ―として計画する
都市経営の基本方針:PUDによる開発にするかサブディヴィジョンにするか
都市経営の基本方針(マニフェスト):「三種の神器」によること
開発規模により違いが生まれるが、以下の基本条件の設定(その基本項目)
・アグリカルチュラルアーバニズム(農住一体計画)
・住宅計画(居住者の所得とタウンハウス等の住宅型式)
・住宅地密度と都市開発の関係(半地下空間利用)
・ミックストユース(原則兼用住宅による住宅地形成)
・ミックストハウジング(多種多様なライフステージの住民が居住)
・エコロジカルな環境計画(トランセクトの考え方)
・「風水」(中国の古代からの都市計画)と水管理(水利と水文)の考え方
・歩車道計画の考え方(ボンネルフ、ラドバーン、シーサイド、空間分離)
・街区計画の考え方(「近隣住区理論」か、「ニューアーバニズム」の考え方か)
(5)    事業計画の作成:
・開発行為に関する計画(土地造成:人工地盤NCZと「溜めトット」を含む)
・土地造成計画・耐震、軟弱地盤・液状化地盤計画と住宅地施設計画(上下水、雨水調節、汚水処理、電気:太陽発電、風力発電、太陽熱給湯)、
・公園・緑地・植栽計画による緑を生かしたエコロジカル環境計画(風水計画)及び池・雨水調節計画、雨水貯留計画、地下恒温性を利用した貯留水の熱交換計画、中水利用計画
・住宅地計画:ミックストハウジング及びミックストユースに対応した住宅計画(居住者の生活要求に合わせて最小限のコストで改良することのできる住宅計画:ホームプランシステムの採用)
(6)    住宅地経営管理計画:三種の神器(ハードなルールとソフトなルールと自治団体(HOA)による強制権の行使できる住宅資産の維持向上のための住宅地管理計画
・ハードなルール:マスタープランとアーキテクチュラルガイドライイン
・ソフトなルール:CC&RS(民事契約による強制的に従うルール
・住宅地の自治経営組織とその実務を担う実行部隊
・コモンハウス(ゲストルームと集会機能と健康増進機能を持つ共同施設)と生活文化。知識技能向上運営プログラム
・市民農園と農業指導
(7)    開発許可申請:都市計画法に基づく「開発行為」
・開発行為に関する土木工事設計(擁壁工事、NCZ人工地盤,溜めトット、給水、排水計画、下水計画、汚水処理・中水計画)
・公園・緑地、樹木・植栽管理、水文と水質管理
(8)    建築確認申請:「建築基準法に基づく建築行為」
・住宅と地下工作物の計画
・住宅と住宅設備、防耐火構造、気密、換気、断熱・遮熱計画、通風・換気計画、安全避難
(9)    「地主の立場に立った事業検討」:リースホールドとフリーホールド
・住宅地経営として地価の影響を排除したリースホールド〈定期借地権事業〉の検討作業
(10)「居住者の住居費負担能力を考えた」:賃貸分譲住宅導入の考え方の検討
・流動的な経済環境に対応する住宅地経営として「賃貸分譲方式と住宅不動鑑定 
評価方法の検討を行う
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷 英世)



コメント投稿




powerd by デジコム