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HICPMメールマガジン第626号(2015.08.24)

掲載日2015 年 8 月 24 日

HICPMメールマガジン第626号(2015.08.24)
皆さんこんにちは

8月21日、今回8月に出版した『フローの住宅、ストックの住宅』(井上書院)の出版記念セミナーを比較住宅問題研究会で行いました。この本は、日本の住宅は敬遠するに伴い確実に資産価値を失って行くのに対して、欧米では住宅は都市とともに物価上昇以上に資産価値を高め、トマ・ピケティ『現代の資本論』のようになっている事実を、オランダとアメリカと日本との3国比較を通して実証的に明らかにするとともに、住宅・建築・都市を「人間の歴史・文化・生活という人文科学」(ヒューマニティ―ズ)として捉える欧米と、「物造りの工学」(エンジニアリング)として捉えようとする日本の違いを明らかにする書籍です。当日は完成した書籍とともにその原稿段階のコピーを事前に配布しておきました議論をしてもらいました。20名余の人が集まってくださっていろいろな質問を投げかけてくれ、会が終わってからも意見の交換が続き、家に帰ったときは12時を回っていました。

「聖域なき構造改革で」全体主義に走りだした日本政治
このセミナーでは出版した本と合わせて目下執筆中の私がこの10年以上訴訟で争ってきた憲法違反の住宅。都市問題の裏にある問題を説明しました。参加者の皆さんが、日本の現在の住宅産業と日本の住宅政策との関係で、関心を持たれたことのうち、都市生成事業として小泉・竹中内閣が取り組んだ主要な問題を以下に問題形式で提起しましょう。改めて「行政統治権」と言われる憲法以上の権限行使だったのです。デフレ脱却は国際的な国家の運命を掛けた政治問題になっていました。

問1.デフレ経済体質の改善と「聖域なき構造改革」と国債1,000兆円超えとの関係

問2.「聖域」(日本国憲法)違反までしなければならなかった政治・経済の理由と、日本の国家財政の関係

問3.立法、行政、司法の3権が憲法を蹂躙しても内閣に従った規制緩和に掛けた重要な政治課題

このいずれの課題も「フローの住宅」政策を実施している日本で起こることで、「ストックの住宅」政策を実施している欧米では起こることはなかったことです。この説明は別の機会にいたします。

連続セミナー(6):「リースホールドによる住宅地開発」

欧米に倣った住宅地開発をしなければならない理由
このシリーズで一貫して説明してきたことは、「住宅購入者の利益となる住宅地開発と住宅地経営をしなければいけない」ということに集約できます。別の言い方をすれば、個人の家計支出で購入できる住宅と言うことで、その住宅は現在大手ハウスメーカーが供給している住宅価格の半額以下で供給することです。これは、欧米では日本の大手ハウスメーカーが供給している住宅をその半額以下で、適正利潤を得て供給しているということです。日本では政府が陣頭指揮して大手ハウスメーカーと金融機関のために住宅の不等価交換販売と不等価交換金融を容認してきたことにあります。

等価交換販売(原価公開販売)と等価交換金融(モーゲージ)
「日本の住宅価格を半額にしないと国民は貧乏にさせられる。」だから住宅価格を切り下げることを実践するべきだとHⅠCPMは主張し、その取り組みをするべきだと関係者の意見を聞きました。その主張に対し、「それは無理だ」という人に対して、以下の事実を説明しましょう。
米国の住宅産業がモーゲージとコンストラクションローンで支えられていることはご存知と思います。

このモーゲージとコンストラクションローンによっていることを、別の説明をすると、それは、欧米の住宅会社は「等価交換販売」を行い、欧米の住宅金融機関は「等価交換ローン」(モーゲージ)を行うということです。

もっと分かり易く言えば、直接工事費として材料購入に支払われる資金と建設職人に支払われる資金しか、米国の金融機関は融資しません。その結果、日本以外の国では住宅建設費が日本の半額程度に安くできることになっています。
直接工事費に対してしか建設工事期間中の工事費融資は行わされず、住宅の請負工事をした場合にも金融機関の融資はその直接工事費以上には融資(住宅ローン)はされませんから、米国のホームビルダーは真剣に直接工事費で工事を完成させるような、建設サービス業としてのサービス経費という名の不当利益を上げないで、建設業経営管理として、原価管理(C・Cコストコントロール)、公営管理(CPN/CPMスケジューリング)、品質管理(TQM:トータルクオリティマネジメント)を行います。

「ストックの住宅」事業の実践を
日本においても、建設業法行政において「等価交換取引」と、住宅金融において「等価交換金融」以外の不正取引、不正金融を政府が禁止したら、いまの日本の建設業者(工務店の仕事を含む)をこれまでのように続けることは出来ないに違いありません。しかし、消費者の立場に立てば、等価交換取引、等価交換金融は、現在日本でも当然に行われてきていると考えていると思います。
私がこれまで連載してきた「リースホールドによる住宅地開発」の基本的な考え方は、欧米同様な住宅購入者の利益を中心に考えた真面目の仕事を『フローの住宅、ストックの住宅』(井上書院刊)の中で説明している欧米と同じ「ストックの住宅」に建設業者としての立ち位置を変えないといけないということを申し上げているのです。

CMとの関係で考えるべきこと
「ストックの住宅」の考え方こそが、CMの理論に従って「等価交換による建設業」をすることであり、「等価交換金融」により住宅ローンを組むということでもあるのです。住宅建設業者がCMに立った建設業経営を行わない限り、顧客に対し正直な工事費の見積が出せないだけではなく、建設工事の現場監督が工事監督を工事生産の監督として行うことはできません。
日本の工務店が顧客に渡している見積書を建設現場監督も持っていますが、この見積を持っていても、建設現場での生産管理をすることができないからです。現場に納品させる材料の量も、現場で働かせる職人の技能力とその作業人数そのものを把握できないからです。

「一体建設現場に、なぜ、現場監督が必要なのですか」その質問に回答できない工務店経営者と現場監督が日本の工務店経営者の過半数を占めています。
日本の建設現場ではもっともダメな職員が現場監督に配属され、最も優秀な職員が営業に回っていると大多数の工務店経営者が口にしています。その説明は工務店の建設現場の現場監督は、伝令代わりの仕事で、何も生産業務に不可欠な業務を行っていないということを意味しています。そのような現場監督の仕事を前提に、工務店が合理的な生産ができる訳はありません。それは現場監督の責任ではなく、工務店傾斜が経営の知識がないことによって起きている問題です。

リースホールドによる経営検討と同時に取り組むべきCMの検討
リースホールドかフリーホールドかの住宅地経営は、それぞれの条件によって適している経営があり、リースホールドかフリーホールドかの違いが経営方法自体の経営の良し悪しではありません。住宅地経営ということの基本は利潤追求で、そのためには顧客の住宅購買力との関係で住宅不動産をいくらで提供できるかを考えることが基本の検討事項になります。
冒頭に掲げたとおり、現在の市場取引価格の半額で、合理的な利潤を得て、顧客に住宅を供給することができるということを検討できるとき、そのことを追及することは、工務店経営の合理化を図るという意味で、リースホールドかフリーホールドにするかの選択と同様に重要なのです。住宅取引で土地を購入しなくても借りることができ、買うか、借りるかの選択は工務店にとっても、顧客にとっても基本的な選択であるはずです。それは取引価格を等価交換にすることと同じくらい重要なことです。

住宅価格と住宅金融
日本では当然とされている「請負契約価格」とそれに連動すると言われている「住宅金融契約額」の制度が、「差別化」という言葉を使って、不等価交換取引および不等価交換金融という、実際に「詐欺」という犯罪行為と同じ方法で行われています。その基本的なところにメスを入れて改善を図らない限り、せっかくの努力が「無」になってしまいます。

この努力は工務店自身が欧米と同じCMを取り入れて経営をすることで改善されるもので、今、実際に詐欺行為を行っている大手ハウスメーカーや金融機関の依り方に影響されなくても、工務店独自の努力で実現できることばかりです。政府の住宅政策が実際上は大手ハウスメーカーや住宅金融機関が行っている不等価交換販売や不等価交換金融を支援していることで、消費者が大きな損失を被っていますが、そのやり方に依らないでも工務店はその業務を顧客本位に行う意ことができることを知らなければいけません。自らの経営を改善しないで、責任を政府の責任だと言っていても改善はできないのです。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)



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