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HICPMメールマガジン第629号(2015.09.14)

掲載日2015 年 9 月 14 日

HICPMメールマガジン第629号(2015.09.14)
皆さんこんにちは

台風が連続して襲来し、秋雨前線との関係で大きな被害が出て、痛ましい限りです。
国会審議も、日本は法治国なのか、それとも、法治国とはどのような国なのか、憲法とは何なのかを考えさせられます。1959年の砂川裁判同様、「統治行政論」と言われる日米同盟は、憲法を超越するもので、裁判は日米同盟に関することは裁判しなくてよい。という日米同盟を優先した国家統治を受け容れたものに関し、裁判所は介入しないというものです。今回の安保関連法規(集団的自衛権)に関しては、日米同盟が優先しているので、それを憲法論で問題にする必要はないという政府の見解の基に、憲法論は全く無力にされているのです。
実は小泉・竹中内閣の下で実施された「聖域なき構造改革」も、日米同盟ではなくても「1000兆円の国債」返済に必要な企業体質を作るためという行政目的のために、聖域(日本国憲法)を蹂躙したのと同じことを行っている日本は、最高法規である憲法を無視した全体主義に足を踏み出しているのです。

今回は「リースホールドによる都市開発」の第9回をお送りします。
リースホールドと低層高密度開発の技法
「荻浦ガーデンサバーブ」に対する多くの関心は以下に集約される。
この開発が「住宅購入者の資産形成になる」理由は何か。その回答は多くの人たちが、入居希望者の生活要求に合ったデザイン、機能、性能に関し納得がいく効用を提供しているとともに、希望する入居者の支払い範囲で提供される住宅であるため、この住宅地に住みたいと願っている人が、跡を絶たないことである。
その中で特に際立っていることは、国民の所得が上昇できない現在の日本の経済環境に対応する住宅として、この住宅地はそれに応えるニューアーバニズムで提唱している条件を具備していることである。ニューアーバニズムの基本的な開発条件は、以下のような要素としてあらわされている。

1.ニューアーバニズムの基本的条件
(1)    ミックストユース:基本的に兼用住宅として開発され、居住者は住宅の中に収益を上げる商業、工業、業務活動をする空間を持ち、その空間を利用して所得を補い、又は、拡大する。

(2)    ミックストハウジング:多様なライフステージの人が多様なライフスタイルを生かして生活できる住宅地と経営することで世代の違った人たちが、ライフステージごとの住空間余剰を融通し合って相互に支援し合う。余剰空間を近隣の成人前の独立準備段階の子弟の居住用に提供し、その他の単身居住を借家{借間}として活用し、住宅を介して相互利益(単身者には安い谷内を、住宅所有者には賃貸料収入を得られるようにする。

(3)    住民自治の住宅地経営:全住宅所有者全員強制加入のHOAによる「三種の神器」を持った住宅地経営を行うために、その活動のホームグラウンドとしてコモンハウス等住宅所有者全員の共有財産を持つ。

(4)    エコロジカルな生活環境:健康に対する関心が高まっていることから、子供が遊ぶことができ、住宅地の空気・熱環境をよくする昆虫や鳥たちが飛来する樹林、池、花木が育つ四季を感じることのできるコモングリーン、

(5)アグリカルチュラルアーバニズム: 居住者の健康を支持する食を支援する市民農園や、近隣の農村と協力関係にある健康農産物の供給(この取り組みは1992年にオランダで行われた「アグリカルチュラルアーバニズム」の運動として欧米で拡大している。

(6)コモンとコミュニティ:共同郵便受け箱、共同駐車場、コモングリーンなど居住者が共有の財産を持ち、維持管理することを通して、居住者がそれぞれ皆違う価値観と生き方をしていることを理解することができるようになる。そして、同じコミュニテイで楽しく生活するためには、そこに生活している人を、それぞれ自分とか違った個性と価値観を持った人であるという「違い」を認識し、それを尊重し合わないと、自分時詩音の生活を豊かにすることができないことを理解するようになる。ニューアーバニズムの原典は、居住者相互が、相互に違った価値観を持っていることを理解し、それを尊重し合うことで調和の持てるコミュニテイを作ることである。

(7)セキュリティ:フランク・ロイド・ライトが住宅・建築・都市の目的は、は民主主義の実現であると言っているが、その言葉が、ニューアーバニズムの基本的考え方で、このような考え方で居住者によって支えられた住宅地は、高いセキュリテイを実現し、住宅地の資産価値を高めることになる。ニューアーバニズムの思想は、個人の住宅資産価値を高めるために、セキュリテイの高い住宅地を作ることが必要であるという取り組みから始まった取り組みでもある。

2.ニューアーバニズムを支える経済的ニーズとそれを実現する条件
資本主義経済の基本原則は、等価交換である。ニューアーバニズムの考え方を生かした生活環境は、それを実現するためには建設する費用を無視することはできない。住宅及び住環境を形成するためには、そこで居住しようと計画する居住者の住居費負担を前提にして環境計画をすることが無ければ、それを実現することはできない。その基本的な要素は、土地と住宅建設費用である。
(1)    土地の権利:リースホールド(定期借地)か、フリーホールド(持地)化は、居住者の住居費負担に関し基本的な違いである。この基本的な違いを借地権保証料の徴収や、地代の先払いと言った玉虫色にして日本の敵借地権事業が行われているため、それが健全な住宅地形成をゆがめている。リースホールドの場合は、住宅不動産は土地の加工形態であるから、土地を利用する居住者の利益と並んで、地主の利益を第1意義的に尊重することが健全な土地利用の前提となる。日本の「住宅事業者の利益を優先する考え方」は、日本だけの歪んだ取り組みである。

(2)    土地利用:限られた土地を高密度開発することで地価又は地代負担を軽減することができる。その土地利用は住居と住居以外の空間利用を整理し、それに対する動線計画を適正に造ることが安全で豊かな空間を生み出すことになる。その空間の利用を整理する方法として立体的な利用という解決方法があり、そのために人工地盤という工作物(土木)又は建築物空間(準用工作物)を作ることが適当な解決策である。日本以外の欧米では、「住宅不動産」として土地の建築加工として住宅不動産を作るが、日本においては、土地の区画形質の変更は「開発行為」として都市計画法の範疇で取り扱い、「建築行為」は開発行為によって造られた土地の上に建築物を作る行為と区別されている。また、建築行為として行われる開発行為は建築行為とみなす扱いが立法当時より建築基準法による行政既得権を尊重する形で慣例的に行われてきた。

(3)    都市計画と建築計画:日本の都市計画法と建築基準法とは、英国及び米国の都市計画法と建築法規の影響を受けて以下のように整理されている。
イ.「1敷地1建築物」の原則
都市計画区域内の土地利用は「法定都市計画」として土地利用計画が決められ、その土地利用計画を具体化するための土地の建築加工は、建築設計指針(アーキテクチュラルガイドライン)として決められている。米国ではサブディビジョンコントロールとして都市計画法の一環として実施されているのに対し、日本では、建築基準法第3章(集団規定)による建築行政として行われている。このサブディビジョンコントロールと建築基準法第3章(集団規定)の建築規制も、いずれも「1敷地1建築物」の原則に基づいて規制が行われている。

ロ.「1団地の住宅」、「用途上不可分の土地に立つ1団地の住宅」
都市計画として作られるものとしては、法定都市計画に基づく土地利用とは別に都市施設として作られる土地利用がある。道路、公園、下水のような都市のインフラの他に官公庁施設や住宅を「1団地の住宅」のような都市施設として管理される土地利用に関し、それを都市施設として法定都市計画として決定することで、「1敷地1建築物」(サブディビジョン)の制限を外す方法が法律上も受けられている。それを都市計画法第11条第1項第八号の「1団地の住宅施設」(PUD)と呼んでいる。日本の都市計画違法は土地収用法と平仄を合わせるために「1団地の住宅施設」の認可条件として「50戸以上の住宅団地」としている。

しかし、50戸未満の住宅団地の場合にも、その経営管理が一人の法人によって行われている場合には、その全体を1の団地として扱えるようにしないと法律上の矛盾を犯すことになるとして、建築基準法施行令第1条第1号に「用途上不可分の一団地の土地に立つ住宅」に関しては、都市計画決定をしないが、全体を1の敷地にあるとみなした扱いをすることになった。この考え方は、旅館やホテル、学校や病院といった複数の建築物で構成される施設を「1の敷地に立つ複数の建築物」として、「1敷地1建築物」の原則に矛盾した扱いをすることに、特段の不都合が生じないとされてきた。

住宅自体は各住宅が独立しているが、住宅地全体を有機的に経営管理する場合は、その全体を都市施設として都市計画決定をし、又は「用途上不可分の1団の敷地に立つ複数の建築物」として建築基準法第3章規定を敵用意することがなされてきた。この規定の適用は、HOAのような住宅地経営が行われている場合であって、その団地経営をCC&RSにより1体の経営として縛っていることが無ければならない。

総戸数が50戸以上の住宅地がHOAの管理下に置かれている住宅地開発を都市計画決定する「1団地の住宅施設」の場合は、それを対象に都市施設としてマスタープランと合わせてアーキテクチュラル・ガイドラインを都市計画決定し、公共性の高い住宅地を築造することになる。一方、総戸数が50戸未満の住宅地開発でホアにより経営管理されている場合には、建築基準法施行令第1条第1号に定める「用途上不可分に1団地にある複数の住宅」の扱いを受けることになる。都市計画決定を受けて都市施設になるわけではないので、その1団S地全体を1の敷地とみなして建築基準法第3章規定の適用を受けることになる。当然その場合は、HOAがその敷地全体に対しマスタープランとアーキテクチュラルガイドライインを作成し、住宅所有者がそのハードなルールに従うとともに、CC&RSというソフトなルールに従うことになる。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷 英世)



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