メールマガジン

HICPMメールマガジン第631号(2015.09.28)

掲載日2015 年 9 月 28 日

HICPMメールマガジン第631号(平成27年9月28日)

皆さんこんにちは、
安保関連法案が国会を通過し、憲法をめぐる国民の取り組みは新しい段階に入ったことになります。私は「聖域なき構造改革」関連の行政闘争を行政事件訴訟として10年以上取り組んで、現在その積み残した問題を納得した解決を求めてさらなる追及を始めています。日本の安保法制の問題は、国会議決により法律は成立しましたが、その議決内容が憲法に抵触しているという疑義がある限り、国民は納得するまでその疑問を裁判を通して訴え続けることができます。
本日の新聞情報では、安保関連法制の内閣法制局審査議事録が存在しないということがあり、それでは国民主権の法治国であり得ないのではないかという疑問が新たに生まれてきます。
私は50件以上の行政事件訴訟の結果に全く納得しておらず、目下そのうちの2件はまだ係争中ですが、その疑問を解明するまでは「聖域なき構造改革」の本質に対する疑問の解明に拘っていくつもりです。

CM(コンストラクションマネジメント)
今週からは、HICPMとしての20年のこだわりである「CM(建設業経営管理技術)」をHICPMの会員のみなさんや、日本の工務店に考えてもらう基礎的な問題整理をしていこうと思います。その最大の問題は、日本が、「国 際社会の中で太平の眠りを続けている」からだと思っています。
日本の住宅産業政策自体が基本的に「世界の孤児」の状態に置かれているためで、ここ数年のHICPMの調査研究の結果、そこには住宅建築教育の問題と、日本の行政と政治が、「護送船団」を結成し、住宅産業に絡んでいるためであるという結論に到達しました。
その基本認識がCMの実践を妨害し、住宅産業にとっても国民にとっても大きな損失を生み出させていると確信するに至りました。
その認識が国民で、又は、住宅産業界で若しくは各工務店で共通に持つことができて、日本のこの住宅を購入した国民を悲惨な住宅産業を改善させることに向かわせることができると考えるようになれました。
以下これから連載する「CM実線への途」を開始することにします。

第1回:世界の建築教育と孤立している日本の建築教育

建設工学(エンジニアリング)としての住宅・建築工学
日本の住宅産業は、気密、断熱、遮熱、換気、防火、耐火、遮音などハードな技術では世界最先端の技術を取り入 れ、それを実践している住宅会社はたくさんある。外観は欧米の真似をしたデザインの住宅や時代の先取りをしたような目新しい未来型デザイ ン住宅も造られている。

その一方で、日本の国民が伝統木造から切り離されてきたことを逆手にとって、「伝統木造とは何か」の「用語の定義」を明らかにしないで、伝統木造技術と関係のない恣意的に設計した木造住宅を、伝統的木造建築の知識のない有名、無名の建築士の設計で 「伝統木造住宅」と言う「差別化」住宅として造られている。現在の大学や高等建築教育機関で木造建築の技術や技能、デザインを教えること のできる所もなければ、教えることのできる教師もほとんどいない状況である。

建築教育は「物造り」としての建築工学として扱われ、日本以外の国家のように、人間の生活・歴史・文化空間と して人文科学で扱われていない。日本の戦後の住宅・建築産業もそれの基礎になっている教育・研究も社会性を失って国際的に見ても普遍性の ない特殊なものになっている。その歪みが日本の住宅生産に世界と共通できる生産技術が入り込めない理由がある。

住宅の価値を反映しない価格
その最大の原因は、日本の住宅価格が住宅の価値を反映していない操作価格で決められ、それを追認する形で住宅金融が行われ住宅の高額販売を可能にし、住宅建設業者が「差別化」により、世界の住宅産業と比較すると信じられないほどの高額の粗 利を確保する方法が政府の住宅政策として容認していることにある。日本における住宅生産における「差別化」営業販売という特殊な方法が常 態化しているため、そこに国際的な技術が入り込めない理由がある。

住宅設計、住宅施工、に関する国際的に通用できる基本的な技術が日本では教育されていないことに最大の問題が ある。その学問分野が、住宅・建築設計としての人文科学的教育と、住宅建築の生産管理技術教育としての標準化、企画課共通化による生産性 を高める技術教育と、住宅・建築を適正価格で販売する上の基本となる住宅建築価格を科学的に決める積算・見積もりと、不動産鑑定評価の教 育である。

住宅の販売価格は住宅の需要と供給を反映した市場価格で決められるという自由主義経済の一般原則を歪めて、「差別化」という住宅購入者の住宅の提供する効用を満足させれば、住宅価格は「消費者に見抜かれない限り、騙して高い価格を設定すること」が正当であるという不正が日本で横行している所に、合理的な方法で「無理、無駄、斑」を削減して、生産価格を引き下げ利益を確保して販売価格を引き下げようという努力が行われない産業体質を造ってしまった。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世)



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