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HICPMメールマガジン第638号(2015.11.25.)

掲載日2015 年 11 月 25 日

HICPMメールマガジン第638号(2015.11.25)
皆さんこんにちは
今日はGKK・HICPM「ベルギー・オランダセミナー」の開催日です

今から考えてみると、安全で、気候も非常に良いときに出掛けることができたツアーであったと思いだしています。
ISがパリで同時多発テロを実施したその震源地のベルギーブラッセルを、今年の10月のホームビルダー研究会で出かけたときの報告会を行うことにしました。
このセミナーの目的はツアーの目的同様、以下の2項目です。
1.    資産価値を形成できる住宅地の開発と住宅地経営
2.    資産価値の維持される本格的な住宅建築デザインとしてのルネッサンス

「住宅の資産価値」に感心が持たれない理由
このツアーもそうでしたが、今回のセミナーに関しても国内の関心が今ひとつない理由はなぜだろうかと考えてきましたが、私は、日本の住宅産業界が欧米では最も一般的に関心がもたれているこの「2つのテーマに日本の工務店の関心が弱いため」という結論にさせられています。
日本の関心は、実は工務店の経営の関心のことと考えるべきです。営業販売という「フロー」が住宅産業の関心になっています。そのため、「集客」という業務が住宅産業の中心の関心となっていて、造られた住宅(顧客が購入した住宅)が、購入された住宅の資産価値が上昇するかどうかは関心がもたれていません。(『手離れの良い住宅』という自分の造った住宅に責任をもたない「日本の住宅に対する考え方」。)当然、既存住宅市場で、「既存住宅が資産価値を維持するか、どうかに対する関心」も非常に弱い、というよりも無関心であると言ってよいと思います。

日本の住宅産業:「住宅サービス業」
日本では国土交通省が、「住宅建設業」を「住宅サービス業」と建設業法の監督下にある産業分類に、そこには存在しない「業種区分」を設け、その経営の基本となっている住宅の取引価格として、広告・宣伝、営業・販売に要する費用を、直接工事費(材料及び労務費)として計上し、請負価格又は販売価格として回収してもよいという建設業法違反を推進してきました。そのため、どれだけ広告・宣伝、営業・販売に費用をかけても、それは「住宅の価値」であると認め、政府が行っている住宅金融制度において、その販売価格に対して、「全額融資対象にする住宅ローン」を住宅政策として認めてきました。

住宅金融制度
住宅金融制度も日本国憲法第14条を根拠に基本的に等価交換金融をするべきことになっていますが、金融機関にとっての等価交換金融とは、最終的な債権債務の清算時点での等価交換金融ということになっています。通常ならが融資対象住宅の「販売価値」と「融資額」が等価交換になっていることを言いますが、日本では、「融資担保」と「金融(融資額)」との関係が等価交換であればよいという理屈を政府は取っています。そのような説明をしている国は日本だけです。
つまり、「担保額の範囲であれば、いくら融資しても金融機関にはリスクがありません」ので、金融機関は、それをもって「等価交換金融を行っている」と金融機関のその資本家と預金者に対して説明してきました。また、金融機関は、現在の住宅金融はかつて住宅金融公庫が住宅ローンを行っていたときの政府の住宅金融をそのまま踏襲するものであるから、政府の住宅政策を踏襲するものと説明しています。

日本の住宅価格と住宅の価値
国土交通省が現在行っている住宅政策では、「差別化」を中心に置き、住宅のデザイン、機能、性能など、住宅購入者が「住宅に求める効用」を満足することができれば、「顧客が支払えるだけの価格付けをしても、それを正当な『差別化』である」と認めてきました。「差別化」自体は憲法第14条で禁止し、建設業違法でも不等価交換を禁じ、等価交換としての請負契約を結ぶべきことを建設業法第20条の「見積もり」として定めています。しかし、実際、日本の住宅産業が市場で「差別化」として行われていることは、「不等価交換販売」と「不等価交換融資」なのです。
日本の状況は世界でも例外であって、欧米だけではなくその他の国でも空宅価格は「等価交換販売」としなければいけないし、住宅金融は「等価交換金融」としなければならないとされています。

オランダ・ベルギーでの調査結果
オランダ・ベルギーでの住宅調査でもそこで見学してもらったことは、住宅の資産価値が経年的に上昇していること(20年間で2.5倍)が一般的に行われていることと、住宅建設会社も住宅開発業者も、資産価値が上昇することです。特に、欧州では、広告・宣伝、営業・販売に軽費を掛けないで建設業経営が行われていることを知ることでした。それはビルダーやディベロッパーの「個人資産形成を実現」に関する過去の実績に対する社会的評判(信用)によって顧客が集まってくるため、ビルダーの関心は社会的信用を高めるために何をするかに関心があり、自社の資産形成に対する取り組みの特性や、自社の専門性を高めることに関心が置かれています。

日本の異常な工務店経営
日本のように、ともかく「集客に重点を置くこと」をホームビルダー経営としては全く行っていません。日本では「住宅を購入しようとする顧客」を集めることに業務の中心が移って、業者の専門性は問題でなくなっています。このような日本では、工務店経営は、「イメージ商売」になっていて、その工務店が社会的に獲得した評判を考えることは、2の次になっています。顧客に対し「リップサービスで成約を結ぶ技術」が工務店の技術のようになっています。その業務を国土交通省は長期優良住宅や性能表示や瑕疵保証等提供する住宅の格付けや照明で「信用ある住宅」として販売させようとしていますが、その総ての認証関係の内容は、やられていて当然のことややらなくてもよいことを無理に行わせることばかりで、そのことによって不良企業をスクリーン出来るわけではありません。

政府により課徴金
しかも、政府の西方表示、CO2削減など認証制度関係で、普通一般の住宅価格が手続のための手数料とそのために工務店が人件費等を賭けて費やす費用を概算したところ、1戸当たり、300万円程度を上回る状態であることが解かりました。この費用は、確認検査事務と一体に基本的に行政事務と同じように徴収されることになるため、事実上300万円分住宅の購入価格が高額にさせられることになります。よく「マッチポンプ」という言葉で無駄な仕事をお仕着せ、金さえ払えば無事に通過させる役人の仕事を揶揄しますが、今の住宅政策は役人及びそのOBが生活をするための「マッチポンプ」をすることで、国民に一戸当たり300万円近い無駄な負担をさせているのです。それだけ高い価格にしたうえその無価値な費用に住宅金融が行われるため、原理合計では1戸当たり600万円以上無駄の費用を住宅を購入した国民が生涯に亘り負担させられていることになります。今の住宅政策は官僚、企業、金融機関のための金儲けと官僚OB生活のための政策で、住宅を購入する国民のことを考えているとは言えません。欧米ではこのように許認可や評価に要した費用に対しては住宅の価値の形成にならぬため住宅金融の対象にされることはありません。

デザイン
住宅は人びとの重要求に応えることで選択されますが、その重要急は住宅が提供する効用(デザイン、機能、性能)で決まります。そのうち機能と性能はその時代の文明水準を反映して決められるもので、普通の技術能力を有する工務店なら、どの工務店でもほぼ同水準のものを作ることができます。それができない工務店は、建築士法、建設業法や建築基準法で厳しく監督しなければなりません。しかし、現在の国土交通省の住宅・建築行政はその基本を疎かにし、「差別化」を行っています。

ルネサンス

機能、性能を一定以上の内容としたうえで、顧客が住宅を選択するカギはデザインです。住宅業者の最大の競争の場は、顧客に選んでもらえるデザインです。そのデザインには商業デザインと歴史文化デザインとがあります。流行のデザインが商業デザインで、歴史的に耐えるデザインが人文デザインです。
明治の初め、日本は近代化としてルネサンスデザインを西欧から学びました。しかし、それは関東大震災までで、それからは基本的に疎かにされ、戦後輸入住宅が日本に輸入されましたが、デザインは商業デザイン並みの扱いでしか受け入れられてきませんでした。しかし、世界の建築デザインに関しても、日本では商業デザイン並みに住宅建築デザインも扱われてきました。

今回ベルギー・オランダ研修では西欧のルネサンスとルネサンスデザインとに関し実物を見学しながら、現地で研修を行いました。今日は欧米における建築教育として行われている建築デザインのことを解説することにしました。それは住宅を購入する人が自分の「固有の宝」と感じることができるアイデンティティとして受け容れることの出来るデザインとはどのようなものかというお話をすることにしています。その中でルネサンスデザインのもっている特殊な位置づけをしっかり理解してもらえるようにする予定です。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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