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HICPMメールマガジン第639号(2015.11.28)

掲載日2015 年 11 月 30 日

HICPMメールマガジン第639号(2015.11.28)
みなさんこんにちは

CMの講座は、暫くの間いろいろの出来事がありましたので、少し間を置くことにして、来月からまた続けたいと思いますが、今回は日本の住宅産業の改善のための説明会の報告をします。

横浜でのセミナー
11月27日は横浜NPO法人まちづくりセンター主催で、工務店う亜設計事務所の方々15名ぐらいの人が集まり、『フローの住宅、ストックの住宅』をテキストに勉強会をしてくださいました。
多分、現代はITの発達によって世界の情報がたくさん流れているにもかかわらず、こと住宅に関する情報は欠如し、日本の住宅政策や住宅産業情報が全く偏って、次のような世界の常識が日本国内では理解されていないこの本で明確に示されていることに、関心がもたれたのだと思いました。それは、
「住宅を取得を『購入』し、健全な維持管理をすることで、個人の資産形成になることが欧米の常識となっているのに対し、日本だけは、住宅を取得することで、国民が資産を失っていることです。」

受講者からの反発
欧米では国民が住宅を購入することで資産形成を行い、住宅購入者は自分の住宅資産形成に関係したホームビルダーに信頼を置き、その評判がホームビルダー経営を紹介客によって得られている事実を話し、広告・宣伝、営業販売費用に費やした費用を請負価格に隠蔽して回収する日本の住宅産業は間違っているという事実をお話ししました。私の話を聞いていた人に中で、途中で怒りはじめた人がいました。「あなたは私たちのように真面目に国民の住宅を設計し・施工している住宅産業者を、ハウスメーカーと一緒にして非難し、国民に不利益を与えているという非難はお門違いではないか、」といいました。
その中には地場に根を張って建築主の要求を満足すべく、長年住宅産業に携わってこられた御高齢の住宅設計者や、工務店の経営者もおられ、私に対し「私たちは消費者のために、その要求に応える仕事をしてきており、私の日本の住宅産業一般に対する批判は当たらないと抗議してきました。

それに対し私は次のようにお答えしました。ハウスメーカーと中小零細な設計事務所や小規模工務店とは多くの点で違いもあり、ハウスメーカーのように「積極的に犯罪を犯している」意図的な請負価格見積の欺罔を行い、不正な利益をしようとする業者ではないかも知れません。しかし、国土交通省住宅局が言っているように、「住宅を購入した人は、住宅購入により、例外なく資産を失っている」と言う住宅政策の下で、政府の方針に合わせて「住宅サービス業」として住宅を供給している人は、やはり、「犯罪に加担している」と説明しました。皆さんが建築主に提出している見積書は、材工分離で見積もりをした建設業法第20条に適合していると言えますか。そして、「供給した住宅が経年して資産価値を落としてはいませんか。」、「建築主の立場で高い満足を与えることができたなら、皆さんは米国の工務店のように受注の70%以上、場合によって100%を紹介客として得て事業をしていますか。」

「差別化」を利用した詐欺
日本の工務店も設計事務所もこれまで行った業務成果(建設した住宅と住宅購入者)が顧客満足か、不満足の原因となり、猛烈な営業によって経営を成り立たせているのです。集客にエネルギーを払わなければならないことは、これまでの実績が企業の評判形成に役立っていないことです。その最大の問題は購入した住宅によって建築主は損失を抱えさせられているのです。

私が説明している犯罪とは憲法第14条違反で、「差別をすることにより、国民に次の方法で不利益(損失)を与えている」からです。住宅購入者は損失を認めたくないため、住宅を売却せず、高齢化しても移動できず、売却しようとしたときは土地も含めて価値がなくなっています。価値が下落したと説明されていますが、実は新築のときに価値の低い住宅を高く販売させているのです。その方法は見積もりを建設業法20条に欺罔し、詐欺商売を行ってきたためです。その主要な詐欺は以下の2項目です。
(1)    不等価交換販売(請負工事契約)…広告宣伝・営業販売経費を販売価格で、建設業法第20条で定める「直接工事費」と欺瞞して販売していること
(2)    不等価交換金融により、住宅金融機関が不等価交換販売額どおりの金融を行うことで、その請負契約価格ゲ正当な等価販売が行われているように建築主を騙して住宅を販売していること

このことに関し参加者の中の反発は、「私達中小設計事務所は、顧客の利益を考えその生活要求に合った住宅を設計し、工事監理し、建設してきた」と抗議してきました。
それに対し、「確かに私に抗議されている参加者の皆さんは、主観的に顧客のために仕事を誠実にしてきたと言っていらっしゃることは正しいかもしれません。そして、それは住宅の物造りとして誠実に仕事をされたかもしれませんが、私が言っていることは、「そのとき販売した住宅が、等価交換していますか」と言うことです。それは設計段階と施工段階において、「材工一式」見積もりで住宅の価値を欺罔することで利益を上げてきたからで、顧客は住宅産業関係者を信頼していません。
具体的に質問すれば、「設計されている住宅設計図書は生産図面として作成され、正確な見積ができていますか」。その見積書から、「材料と労務の実際の数量と単価が建築主に分かるようにお作成されていますか」。材工分離の見積書でなくて、住宅の価値を見積もることができますか。「工務店の方は重層下請けをしていませんか。」、「実際の工事で使われる材料と労務の単価・数量を建築主に説明していますか」。それができないで不等価交換をしていないと言い張れますか。」と参加者の皆さんに尋ねました。

自分の行なっている不正を指摘されて怒りだした参加者
参加者は、私が日本の住宅産業の基本的誤りを指摘したことに対し、「私が参加者を非難した」と勘違いをし、私に怒ったのですが、実は、「私の話を聞いて、自分の行なっている仕事が、憲法第14条に違反し、建設業法に違反し、非難されておかしくない事実を認めたため、真実を指摘されたことに対する怒り」を私に向けて行ったのです。人間は痛いところを衝かれると怒りだすものです。それはオアたうまりになった工務店や設計事務所が意図的に行ってきた犯罪ではなく、国土交通省住宅局が行ってきた違法な住宅産業政策を受け容れて実施してきた工務店や設計事務所が、政府の指導に従って行ってきたことが犯罪であったということを指摘されて、騙されたやりきれなさを弁解できず怒りになったもので、そこで暫く、多くの参加者は大変不愉快になっていました。しかし、やがて重層下請けの見積が実際の住宅の価値とはおよすかけ離れたものであることが確認され、私に対する怒りは消滅しました。

解決策を求めてきた参加者
そこで私に対し「それではあなたはこの事態を改善するために、基本的に何をやればよいというのか」と私の講演の目的を追及してきました。私はその質問に対し、次のように回答しました。
(1)    欧米で行っているように等価交換販売と等価交換金融をすること
(2)    日本の政府の行なっている住宅政策は産官業学が癒着した「差別化」による詐欺という犯罪住宅政策であるので、それをボイコットすること(政府の犯罪政策に加担しないこと)

私は、日本では業者の金もうけが建築主(施主)の利益の先に置かれているが、「住宅購入者は生涯住宅ローンに縛られて家計費を大きく圧迫させて住宅を購入しているとき、住宅購入者の負担を少しでも少なくしないといけない」と考えるべきです。「顧客利益が、まず先にあって、その顧客を虐げても自分の利益を先に確保しようとする仕事の仕方は商人道にさえ悖るものです。」「業者の利益を顧客の利益の先に置く」という工務店経営は間違っています。製造業や工事業者にあっては、その利益を優先する経営は、許されない取り組みです。というように私はお話ししました。
『フローの住宅』と私が指摘しているのは、日本の住宅産業の実情で、住宅を生産し、流通させる人の利益を優先させ、消費者には掛った費用をすべて負担させることが「住宅サービス業」の経営とする国土交通省住宅局の住宅政策を指します。いっぽう、『ストックの住宅』とは住宅を購入または保有した国民の資産が、その住宅を購入者の資産価値を増殖する欧米の住宅産業のことを指しているのです。

日本の住宅政策が憲法に違反し、主権者である国民の資産を侵害している事実は、国土交通省自体が「中古住宅の流通に関するラウンドテーブル」報告書の中で、「日本では住宅を購入した人は例外なく50年以内におの半分の資産を失う」と明記しています。そのレポートでは、その価格下落させた中古住宅を利用して、「リフォーム」と中古流通で金儲けができるという盗人猛猛しい国土交通省の住宅政策提案がまとめられています。ラウンドテーブルの議論は業者の金儲けの政策で、住宅を購入してその住宅資産を棄損させられた国民の損出を救済という考え方は一切含まれていません
国土交通省が「住宅を購入して国民が資産を失うことを当然である」かのようにいい、ハウスメーカーと住宅金融機関が住宅の工事価格の見積に「材工一式」という複合単価の中に、広告・宣伝、営業・販売というサービス経費を隠蔽し、それを直接工事費であると欺罔し、詐欺により高額な住宅価格を住宅の価値であると住宅購入者を騙し、大きな利益を騙し取ってきました。ラウンドテーブルの検討は、その政策を中古住宅でもう一度実施する政策なのです。国土交通省の住宅政策は主権者不在です。

建設業法違反が常態化
私は、ここの勉強会に参加された方々に対し、「設計者が顧客の依頼に応えて設計した住宅の設計図書が、顧客の希望した価格相当の価値があることを証明してきたか」を尋ねましたが、そのような自分の設計した住宅の価値を正確な見積によって、その価値を証明することを行っている設計者は、日本では皆無に近いので、その参加者も私に反論できませんでした。
また、それでは工務店の方々も、「建設業法第20条に定めた見積をしてきたか」を尋ねました。その工事価格が実際に必要とされた材料と労務の実際の調達価格の積み上げとして工事見積もりを行っている業者は、現在の日本では、皆無に等しいため、私の疑問に答えることはできませんでした。

絶望的な日本の住宅産業
参加者の皆はそんなことは学校で勉強をしてこなかったし、社会でも住宅産業として必要な技術業務であるという行政も行われて来なかったので、私が指摘した見積もりができなくても、それは自分たちの責任ではないと開き直りました。私は日本以外の国では、学校教育でそのような実務教育をするだけではなく、業者が顧客からお金を貰って「業として仕事をする人」は、自ら業として必要な知識、技術を学んで当然で、お金を取るならば、それに見合った仕事していなければならず、その努力をしない業者は不良業者だと断定しました。欧米の住宅建設業者(ホームビルダー)が研鑽していると同じ努力をしない限り、消費者から尊敬され、信頼されることはないと説明しました。

説明会後の会食
10時ごろに『フローの住宅ストックの住宅』の説明会は終わり、開催主催者の関係者5名くらいで会食をしました。お互いの言っていることが理解でき、腹を割って話せる関係ができてきますと、私がお話ししたことは「別に騒ぎ立てするようなおかしなことではない世界の常識であり、日本でも戦前まで大工工務店が社会で尊敬されていた当時の状況でした。現在の住宅産業は明らかに異常で、戦後に日本の経済復興と裏腹の現象だということが雑談の中で確認されました。現状の日本の住宅産業、業界と癒着した住宅政策の狂いを改める方法は分かっても、政府と業界の反対でできないことが問題として議論されました。たいへん和気あいあいの意見交換で盛り上がり、自宅には12時過ぎに終電を乗り継いで帰りました。

(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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