メールマガジン

HICPMメールマガジン第643号(2015.12.28)

掲載日2015 年 12 月 28 日

HICPMメールマガジン第642号(2015.12.28)
皆さんこんにちは。

今年(平成27年)最後のHICPMメールマガジンです。
少し長くなりましたが、今年1年の研究成果(目下年末を目標に取りまとめつつある『産業から国民への住宅政策』の本の原稿中、最も重要な日本の住宅政策の基本問題部分の一部)と来年への思い(HICPMの取り組み)を書きました。

今年の総括
今年はHICPM創設21年目を迎え、これまでのHICPMの運動が期待通りに展開できなかった活動を総括することで明け暮れたような気がします。そこで原因を調査研究して、はっきり申し上げることができることは、次の2つのことです。
1.    HICPMが進めてきた住宅建設業者にCM(コンストラクションマネジメント)を技術移転しようとHICPMが過去20年以上取り組んできたことは、欧米の住宅建設業者が取り組んでいることと同じ「ホームビルダーがなすべき方向」(工務店の生産性の向上)と合っております。その方向は、基本的に工務店の体質を改善する方向であり、工務店の体質改善と建設労働者を育てるためには、CM学習の取り組みはこれからも続けなければならないことが確認できました。
2.    HICPMの取組みが妨害されてきた理由は、日本の政府の住宅政策が、ハウスメーカーと住宅ローン会社本位の行政を行い、住宅購入者に大きな犠牲を強いてきました。日本の住宅政策は、住宅産業と住宅金融業の利益拡大を中心に置く基本的に歪んだものになっていて、中小零細な工務店までもが、政府が進めているハウスメーカーの行う「不等価交換販売価格」と住宅ローン会社本位の「不等価交換金融ローン」に振り回されてきました。その間違った住宅政策は、HICPMの実施してきた工務店に必要なCM技術の学習を否定し、妨害するものでした。

世界に顔向けできない恥知らずの「日本の住宅政策」
平成25年に国土交通省が「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 報告書」として発表しました。そこで政府が明らかにしたことは、中古住宅価格は新築住宅と比較して半額以下の価格になっており、その「中古住宅をリフォーム」して新築住宅のように「差別化販売」を行い、それに加え、米国のような不動産流通システムを作って、そこで中古住宅をリフォームして流通させると、中古住宅市場は米国の既存住宅市場のように大きな市場に成長し、大きなビジネスとして拡大するという未来予測をした報告書であった。その中古住宅リフォーム市場を大きな利益をもたらす期待の産業であることを関係者に印象付けるために、国土交通省は、日本の住宅を購入した国民は、「例外なく50年以内に購入した住宅の資産価値の50%以上を失っていること」を堂々と明言した。日本では中古住宅は二束三文の価格でした取引できないので、その中古住宅を安価に買い叩き、その中古住宅をリフォームしそれを流通販売すれば、リフォームと中古住宅流通業者には大きな利益を確実にもたらす説明を強調しようとした。そのために、「金の儲かる商材」として政府は「中古住宅の現状」を強調したものと考えられる。この金儲けの手段として取り上げている「塵と言わぬばかりの中古住宅」は、国民を生涯ローンで縛って購入させた貴重な財産である。そのことを政府は忘れているだけではなく、政府が進めてきた住宅政策において生産されてきた住宅である。そのことを政府は忘れているのではないだろうか。「天に唾をする」報告書で、記述内容は、おめでたいと言えばそれまでである。政府は恥も外聞もなく、政府の住宅政策の成果である住宅は、「日本の住宅政策では供給できる住宅は、中古住宅になれば、例外なく新築住宅価格の半額以下でしか取引できない住宅である」と政府が図らずも告白している。

中古住宅になると資産価値が落ちる理由の恥知らずな「隠ぺい理論」:減価償却理論
政府の説明は、「住宅は中古住宅になると資産価値は下落する物である」という。政府の言う通りの説明が正しいと政府や御用学者たちは説明してきた。しかし、そのような事実は存在しない。住宅の資産価値が経年するとともに下落する住宅は、日本の住宅政策の下で、日本を代表するハウスメーカーとそれに追従する住宅産業が生産してきた住宅にだけに起こっている現象であり、世界にその例はない。政府は日本の住宅政策と平仄を合わせた説明として不動産鑑定評価制度を作り、日本の住宅政策に合わせた住宅不動産鑑定制度を行っている。しかし、日本でも政府の説明は本末転倒した説明で、現実とは違っている。日本の住宅政策と日本で起きている住宅価格の説明を聞いた世界中の人びとはその説明に最初驚き、その次にその説明を冷静に考えると、「日本政府の説明は、社会科学的根拠はなく、虚偽で固められた説明である」と明言している。日本で起こっていることを、世界では次のように分析してきた。

日本では新築住宅を実際の価値の何倍もの高額な独占価格で販売し、その独占価格が中古市場で実際の価値を露見させただけである。問題とすべきことは、新築住宅価格の実際の価値は、サービス経費を直接工事費に隠蔽欺罔した販売価格であり、減価償却論はその詐欺価格の弁明に過ぎない。

実際の建設業法に定められた住宅の見積方法に照らしてみると、新築住宅の価格が住宅の価値(直接工事費)の2倍も、2.5倍もする詐欺価格で請負契約書の見積が欺罔して販売されている。しかし、その販売価格どおり、住宅金融機関が不正な販売価格を正当化する形で住宅金融が行われているため、住宅購入者は販売価格を正当な価格と評価したと欺罔される。しかし、住宅金融機関は住宅の価値の2倍以上の詐欺価格を認めて住宅ローンを実行する代わりに、金融機関は融資額の3倍の担保を押さえる。現在の住宅ローン額は住宅購入者の年収の8倍近い大きさのローンであるが、それが実行できる理由は、世界最長の35年という長期の生涯ローンで「ローン痛を感じないで住宅購入者を縛っているからである。そのように高額な住宅販売価格になっている理由は、住宅を欲しいと思っていない人に巨額の広告・宣伝、営業・販売費用を掛けて押し売り販売が行われているためである。そして、営業販売のために巨額のサービス費用が掛け、それを直接工事費のように欺罔した見積書を作成し、見積もりの内訳を分からないようにして販売し、住宅ローンを組ませ生涯かけてローン金利を回収してきたからである。

「ベニスの商人」も顔負けの住宅金融機関の不当
住宅購入者には新築住宅価格を新築住宅の価値と欺罔し、超長期ローンによってローン痛を感じないで住宅ローンが組めるようにし、購入者にそれだけの支払い能力があるかのように勘違いさせているためである。日本の住宅購入者が購入している住宅は、その所得に見合って購入できる程度の住宅であるが、所得能力の2-3倍で購入させられ、その不当な負担を超長期の返済期間で「ローン痛」を耐えられないほどひどいとは感じないようにさせられている。新築住宅の価値は、販売価格の半額以下であるにもかかわらず、ハウスメーカーやそれと同様の営業を行っている住宅会社と金融機関が住宅の価値の2-3倍の独占販売価格を設定し、超長期住宅ローンで購入させてローン負担を我慢させているだけのことである。この住宅は購入後メーカーに引き取ってもらえることはなく、中古住宅市場では、購入直後から新築住宅の半額以下でしか取引できない代物である。その理由が不動産鑑定評価である。

不動産鑑定評価制度と減価償却理論
不動産鑑定制度は世界中の不動産流通や不動産課税や、不動産相続を行う制度において不動産の価値を評価する制度である。そのため、日本では不動産鑑定評価制度を、「世界の不動産鑑定評価制度と同じもので、同じ方法で不動産の鑑定評価をしている」と政府は虚偽の説明を行ってきた。日本の大学の不動産学部も、不動産学会も不動産業界も、それと口裏を合わせた説明をしてきた。その説明は、世界の不動産学界はもとより不動産業界でも虚偽の説明であると言われている。欧米では日本の不動産見積りで住宅不動産販売をすれば、詐欺商売としか言われない。日本の不動産鑑定評価制度は、日本だけにしか適用されない方法で、日本以外の国では、日本で行われている不動産鑑定評価法は、不動産の資産価値評価方法として全く相手にされない制度である。日本以外から見ると日本の不動産鑑定評価制度は社会科学的な論理性がなく、間違った評価制度であると評価されている。
日本で不動産鑑定評価制度に持ち込んでいる減価償却理論は不動産の価値を鑑定評価する理論ではない。減価償却理論は、会計法および税法上の資産形成を促進する会計法上の政策として実施することを合意した会計法上での資産評価の便法であって、不動産事態の価値を評価する理論ではない。減価償却理論の中で、1倍償却だけではなく、2倍償却や3倍償却と言って不動産又は動産を割り増し償却させることができることも政策上認めることも行われている。いずれも、会計法や税法の扱いとして減価償却資産分を帳簿上の「損金」として発生させて、利益を隠蔽する帳簿処理という会計・税務政策上の約束事で、あくまでも企業の資本蓄積を容易にするために、合法的に会計処理上での償却を適法とみなしてきたに過ぎない。日本の多くの工場の製造設備や機械工具等は帳簿上償却し終わったものがほとんどであるが、実際の生産活動は償却済み資産を使って行っている。それはそれらの償却済み資産が無価値であるわけではない。それらの帳簿上の償却済み資産であっても、実際の有償での取引の対称にされ、その取引価格はその取引商品の需要と供給で決められ、帳簿価格で取引される訳ではない。当然相続時の相続資産評価でも、その際の課税評価の場合でも減価償却を持ち出すことはない。

世界に通用しない日本の不動産鑑定評価制度
住宅不動産を日本のように土地と住宅をそれぞれ別の不動産であると分けている国は世界中で日本だけである。そして土地は減価償却しないが、住宅は減価償却すると土地不動産と住宅建築不動産の性格を区分しているが、日本以外の国では、住宅不動産全体が一体的に恒久的資産として扱われている。土地に住宅を建築する場合、住宅を建設する土地は日本の都市計画法では開発行為を行う。一旦、開発行為を行った土地であっても、人工的に築造した地盤は、放置して風化するに任せれば、造成土地もまた経年劣化し、上下水・汚水施設、舗装や擁壁部分が壊れ使えなくなる。当然、地盤に関しても永久に壊れない訳ではないので、修繕や維持管理を行わない限り物理的風化と劣化は避けられない。その意味では地盤もその上に建設される住宅建築物と基本的に同じように風化・劣化する。日本のように土地は不変であるという扱いは行われていない。
世界では住宅不動産全体を健全に維持管理し、必要な修繕を加えることで建設した状態が恒久的に利用できると考えている。不動産鑑定評価はその不動産が建設されたときと同様に利用者の要求に応えられるよう維持管理と修繕が的確に行われている限り、その資産価値は現時点での不動産を築造した価格として評価される。それが日本以外の不動産鑑定評価制度(アプレイザル)である。住宅不動産が欧米では経年するとともに資産価値を向上するのは、放置していて向上するのではなく、資産価値が向上している理由は、居住者がいつも現在の生活環境を住んでいる人にとって満足ゆく状態に維持管理するからである。それは住んでいる人が豊かな生活を享受したいと望むとともに、自分の保有している資産を資産価値が劣化しないように維持管理しているためである。新築住宅を「住宅投資」という視点で購入するだけではなく、住宅を日頃の生活を豊かに営むことができるように、ライフステージのあったリモデリングすることも欧米では「リモデリング投資」と呼んでいる。その投資という言葉には通常の投資同様の資産価値を増殖させるという意味が込められている。自分の住宅を常に他人にとってもうらやましくなるような豊かな生活空間として維持することが、自分の住宅資産価値を維持向上させることになる。

政府の持ち出した不動産鑑定評価制度の中の減価償却論
日本の減価償却理論を取り込んだ不動産鑑定制度は、既に説明したとおり、不動産を鑑定評価する合理的な根拠を持たない会計法や税制の便法でしかない。日本では、新築住宅を実際の価値の2~2.5倍の独占販売価格で売却したものが、中古市場という一般の不動産取引市場においては、実際の価値を露呈する結果、「新築住宅が値崩れ」したかの現象を呈することが日常茶飯事で起きている。それは新築住宅販売価格が詐欺価格で行われたことが露呈しただけのことである。その政策が国土交通省の住宅政策で行われたことで、政府はその犯罪を隠蔽しなければならないと考え、新築住宅販売価格が詐欺価格であったことを隠蔽する説明に、減価償却理論を持ち出したものである。新築住宅を購入した国民に、それはハウスメーカー等が販売価格を欺罔して詐欺価格で販売したことが露見したものであるにもかかわらず、ハウスメーカー塔が工事請負価格又は販売価格として消費者と締結した価格は正当なものである前提を政府が率先して明言し、正当な新築住宅販売価格が、中古住宅になったときの販売価格は、不可抗力によって半額以下に値崩れした虚偽の説明を、政府がハウスメーカらの要望を受けてフレームアップしたものである。言い換えれば、政府が住宅産業に詐欺価格で住宅販売を行なわせ、高い利益を得られるようにしてきた間違った住宅政策を隠蔽するために持ち出した説明が、減価償却理論なのである。政府の周りに群がって減価償却理論を口にしてきた御用学者は、いろいろな形でハウスメーカーと住宅金融機関の不正利益の分配に関係したメディア関係者を含む人たちである。

建設業法第20条違反が住宅産業を破壊している。
建設業法では、憲法第14条の規定(平等の原則)に従い、工事請負契約は「等価交換販売」として行うべきことを、工事請負契約額を「見積もること」を通して行うように定めている。工事費見積もりには、材料と労務の数量と単価を明確にし、工事諸経費として20%程度を加算することは認めているが、広告・宣伝、営業・販売などの流通サービス業経費を加算することは認めていない。そこで、現在の住宅産業は、政府の指導に従って、住宅建設業は、住宅サービス業であるから、見積書では直接工事費であると説明し、そこに広告・宣伝。営業・販売経費を隠蔽し、あたかも直接工事費であるかのように欺罔して見積書を作成している。わが国の住宅産業界では、上代価格(材料メーカーが揮ごうする小売販売価格)で請負契約上の材料費を見積もり、実際は材料業者から下代価格で購入し、上代価格と下代価格の差額を住宅会社が横領着服することが一般的に行われている。建設業者は流通業者ではないから、建材流通利益を手にする正当な理由はない。流通利益を工務店が手にすることは建設業法上不必要である建設業法上の考え方である。この不正は公共事業において国土交通省が一般的に行っている重層下請けを前提とする重層下請け工事(流通)による手数料利益横領という公共事業における違法である。
その結果、日本の公共事業費は欧米に比較して2-3倍高額になっている。日本には会計検査院による財政支出の適正な支出の検査制度があるが、会計検査院が使う公正な価格というのがここで言う上代価格に相当する公共事業主体が発注するときの価格の統計的な平均値(トリックの直接工事費)であって、実際に重層下請けの末端の下請け業者が支払う材料費や労務費ではない。国土交通省の行政の下にある住宅産業は公共事業ではないが、公共事業と基本的に同じ不正な見積に基づいて建設工事の契約の行政上の監督が行われてきたため、実際はまともな監督はなしである。その結果、住宅を購入した国民が例外なく損失を被り、不等価交換販売を行った建設業者と不等価交換金融を行った住宅金融機関が不当で過大な利益を上げてきた。その結果、重層下請け構造の末端に置かれた建設業労働者は、極めて安い賃金で働かされてきた。その結果、現在では建設業工事を担う労働者の供給が困難になって、住宅産業自体が消滅させられる寸前の状況になっている。

CM(コンストラクションマネジメント)の学習を
住宅建設業者は住宅を購入する消費者に依って業を成り立たせている産業で、欧米のように住宅購入者の家計支出(世帯年収の3倍以下)で適正な住宅を供給することが必要である。欧米の住宅価格は、住宅購入者の世帯年収の3倍以内の住宅ローンでの購入を住宅取引価格の限度と考えている。それは金融機関は住宅不動産を担保に押さえ、その価値相当の金融を行う業者で、住宅建設業者は住宅金融機関の行う住宅ローンの範囲で住宅を建設する業者である。そのために住宅建設業者は、直接費(材料費と労務費と住宅販売価格の20%以下の直接工事に必要な諸経費)で住宅を供給するため、CMを学び、高い生産性で住宅を供給することでホームビルダー、リモデラーは各地方の工場製労働と肩を並べる利益を上げ建設労働者には工場労働者以上の賃金を与えてきた。建設業者は建設業経営管理に関する専門知識を学び専門的訓練を行わない限り適正な利潤を得た規制な賃金を支払うことはできない。欧米で実際に行われていることを知って、欧米並みのホームビルダー経営を行い、住宅購入者の年平均5-8%の資産形成を実現することのできる住宅を供給するようにしなければならない。
残念なことに、日本では国土交通省を始め住宅産業界、文部科学省関係の教育機関で建設業経営管理学(CM)を教育しているところは皆無に等しい。HICPMは、NAHBが出版したCMテキストを翻訳解説した書籍を基にセミナーを行ってきた。そのセミナーの行い方には不十分な所も多く、改善してきているが、その教育の基本には間違いがないと確信できたので、今後、これまで通りCMの普及の方針を持続し、CM教育に力を入れていく所存である。現在、住宅建設業者に問われていることは、住宅購入者の立場に立って、無理、ムラ、無駄をカットして、住宅の販売価格を切り下げるとともに建設労働者の賃金を高め、工務店の利益を高めることである。その鍵は自動車産業他の製造業同様工事生産性を飛躍的に高めることを措いてない。

平成27年を終わるに当たってのご挨拶
今年もHICPMの会員の皆様や当研究会をご支援してくださる人たちの応援を得て何とか年を越すことができ感謝しています。私は昨年NHK・TV連載の「花燃ゆ」を見て、私の住宅問題との半世紀を振り返り、住宅に困っている人たちのために取り組まれることになった住宅政策を実践するために建設省住宅局の住宅官僚になったときの「志」(国民が住宅によって幸せになる環境をつくる仕事)を最後まで忘れないで、私自身、建設省入省当時の初心に帰り、これからのHICPMのチャレンジをしなければと思ったところです。
それは、HICPMの会員の皆様を始め、住宅産業界に携わっておられる方に共通する問題の投げかけであると思います。学ぶということは「真似る」ということで、わたくしは、欧米のホームビルダー経営と資産形成のできる住宅地経営に倣うことで、工務店に対しては安定した住宅産業経営と建設労働者にはより良い賃金を与えることができるような社会にしなければと思っています。

(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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