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HICPMメールマガジン第650号(2016.02.15)

掲載日2016 年 2 月 15 日

HICPMメールマガジン第650号(2016.02.15)
みなさんこんにちは
今日は40年前から変わらない日本の住宅産業の問題を取り上げました。
OMとCM

50年前高度経済を歩んでいた当時、日本は数年前の中国のモデルの国でした。国内の無尽蔵とも思える優秀で安い労働力を利用して工業部品や工業製品を輸出して巨額な貿易黒字を積み上げGDP世界第2位に躍り上がりました。その背景には朝鮮戦争からベトナム戦争まで続いた米国の極東での戦争を背景に、日本はその兵站基地として軍需物資の生産を行ってきた経済関係がありました。言い換えれば巨大な購買需要を背景に、営業することを考えないで、専ら生産に邁進できたのです。もちろんその需要者は、米軍と日本の自衛隊で、受注・発注生産でした。す。その中の代表的な産業が軍需物資の運搬など担う車両や船舶の生産を行う自動車産業と船舶産業とその原料である鉄鋼産業でした。しかし、米国では軍需予算の中から支出するわけですから、できるだけ良い製品を安く供給することを求めてきました。そこで、当時の米国政府は日本の自動車や船舶会社など製造会社に米国の自動車工場を開放し、自由に工場生産技術を学ばせたのです。その仲介する役割を担った組織が日本生産性本部でした。

ハードな技術では実現できない経営時術(米国に教えられたこと)
日本の工業生産には非常に早くから流れ作業の技術が持ち込まれました。同じ流れ作業のハードな技術が使われても、米国のフォード車では、「5分に1台」の割合で車が生産されるにもかかわらず、日本のトヨタでは「1台の生産に45分の時間」を要し、その生産スピードの向上はできませんでした。日本では、それまで生産技術はハード技術であるとしか考えていませんでした。
あるとき米国の工場でその理由を工場責任者に尋ねたところ、次のような回答が返ってきたそうです。
「工場の経営者は例外なく大学でOMの技術を学んでおり、その技術によって高い生産性が挙げられている。日本で米国に追い付こうと思ったら工場経営者がOMの技術を駆使できるようにしなければいけない」このOMの技術がオペレーションマネジメントという工場生産管理技術です。この技術は工場という生産現場の経生産管理技術です。生産場所が固定した工場で生産性を高める有効な技術です。そこでの主要な要素は、コストと時間と品質の管理です。このOM技術を生産現場が生産する建築物ごとに違う住宅や建設現場で使われている建設業経営管理技術がCM(コンストラクションマネジメント)です。OMとCMとは生産現場が固定されている工場か、建設業のように生産現場ごとに移動する建設現場か、の違いです。そのためCMはOMより生産現場が生産の都度移動するため、働く職人もつくる住宅の違っているため、より複雑な条件を取り入れた高度な技術が必要と言われています。
日本の工業生産は米軍の強い要求によりコストカットをせざるを得ず、OM技術を、国を挙げて取り組みました。大学に生産工学部化計測工学部が設立され、OM技術を国男挙げて学習しました。「トヨタ方式」と言われるものは、フォードで学んだOMをトヨタの生産現場に応用されたものです。
欧米では住宅産業においても、国民の住宅の品質を高め、消費者の購買力の範囲で住宅を供給するために、OM学とほぼ同時期に、CM学が体系立てられ、多くの大学や高等教育機関で教育されてきました。

HICPMとCM教育
21年前にHICPMを創設して以来、今年まで20年以上CM教育を工務店に必要な教育課題としてテキストの制作から学習セミナーの実施を行ってきましたが、残念ながら日本に定着しませんでした。しかし、工務店が適正な利潤を上げ、現場の建設労働者に満足のできる賃金を支払い、優れた品質の住宅を供給するためには工務店関係者がCMの技術を行使することが無くては不可能です。自動車と違って、住宅を海外に輸出することはありませんので、日本の工務店は国内で太平の夢を貪っていると言わざるを得ません。ホームビルダーたちは、海外から日本に住宅産業が競争者としてやってこないからと間違った認識に立って住宅産業経営をしている人たちは、次第に経営を悪化させることになります。
その理由は経済学では「平均利潤率の法則」と言われる法則通り、生産性の高い産業と生産性の低い産業との間には、直接の取引が無くても、産業の生産性が均衡する形で利潤が移動することになります。つまり、労働者がより高い賃金を支払うことのできる産業に向け移動することで、結果的に生産性の低い産業から生産性の高い産業に利潤は移動し、生産性の低い産業は衰退の道を歩かされることになるのです。日本では工場制労働と建設現場には直接取引がなくても、現場の低い生産性の生産分野から、高い生産性の向上に利潤は移転していっているのです。その流れと止めるためには建設業の生産性を高める以外にありません

理論が理解できないと偏見に縛られる
20年前、日本は「プラザ合意」を受けて円とドルの価値を平準化させることが政治的に決定され、円の価値がドルの3倍近くに引き上げられました。このことは日本の円を持っている人は何の努力をしないでもドルに対し3倍の価値を有する通貨を持っていることになり、米国と比較して短期間に、努力をしないで、3倍の資産や通貨を持ったことになりました。そこで日本人は世界中で商品だけではなく不動産を買いまくり、その代表的な買い物がニューヨークのロックフェラーセンターの買い物と言われています。そこで日本人が海外不動産を買い求めて金持ちになった気持ちになりましたが、その全ては、不動産経営の仕方を知らず、不動産は持っているだけであれば、税金と管理費だけがかさむ「金食い虫」であることを知らず、数年で資産を失ってしまいました。未だにその理由が分からないと言っている人もたくさんいます。そして海外投資はこりごりという人が非常に増え、未だに「羹に懲りて膾を吹く」という現象が続いています。米国では年以上居住すればキャピタルゲインが得られるので不動産は購入すべきであるということが常識だと言われていますが、日本人は5年も10年も生活しても賃貸住宅に居住し、住宅不動産を購入しないことを米国人は不思議がっています。

CMの技術の学習
CMの技術が米国のホームビルダーの経営改善の基本になっていることが頭で分かっていても、それを実践するための理論とそれを実践する力を身に着けないと、自身をもってCMに取り組むことも、CMによる利益を手にすることも出来ません。CMの話を聞いたというだけでは全く実践の力にならないのです。日本の常識でどれだけCMの話を聞いても、それはCMの知識になりません。実際にどれだけの利益を挙げることができたのかを実感することがなくては本当の知識にはなりません。
日本から沢山の住宅産業関係者が欧米に出掛け色々な知識や技術を見聞して帰ってきますが、私が見る限り、その多くの人は自分の理解できる仕組みの中で、これまでの自分の知識を正当化するための材料を拾いに行っている場合が多く、その知識や技術が米国で地際に効力を挙げていることを謙虚に学んでいないことが殆どです。そのため、せっかく米国に抱掛けても米国の技術や知識を習得できないでいます。学び実践し、期待通りの効力が挙げられたかを確かめることなくては技術や知識を習得することはできません。

輸入住宅の取り組みが始まったことに立ち返ること
輸入住宅がと力まれた1990年代半ば、全ての建材と住宅設備をまとめたパッケージハウスとともに、米国やカナダから大工や職人、ときにはホームビルダーが日本に招かれて住宅を建設しました。そのとき、日本の大工・工務店と、米国のビルダー・カーペンターと同じ住宅を比較競争させてやったプロジェクトが全国各地で行われました。結果は米国やカナダの生産性は日本の大工工務店と比較して2-3倍高いことが解かりました。それならば日本でも米国やカナダのように高い生産性を上げる努力をすれば大工工務店にとっても利益があるから、黙っていても米国やカナダのようになると思っていました。
しかし、そのようにはなりませんでした。

日本の住宅政策の間違い(企業を甘やかせて消費者を犠牲にする)
その理由がその後の調査研究の結果分かりました。それは政府の住宅政策がハウスメーカーや工務店や住宅金融機関の利益本位で、消費者の負担は問題にしないというものであったため、住宅生産者は努力をして安く造らなくても、かかった費用はすべて販売価格で回収してよく、住宅金融公庫も販売価格の約3倍もの担保を押さえているから、消費者に貸し込めるだけ貸し込んだ方が貸金利益は大きくなるという政策を取って来たのです。その結果現在の日本の住宅価格を見るとやはり同じ品質の住宅であれば、日本の住宅は米国やカナダの2倍以上になっていて、高い価格にすることで住宅生産者も住宅金融機関の利益も大きくなっているのです。

世帯年収の3倍以内で住宅供給できる工務店体質の確立
日本の経済環境は政府の発表は大企業中心のマクロな経済指標を問題にしていますが、国民の家計は厳しく一番はっきり表れているのは大学生に対する親の仕送りが非常に厳しくなっていることに象徴的に表れています。国民大衆を対象に住宅を建設している一般的な住宅産業界に求められていることは、消費者の支払い能力に見合った住宅(家族年収の3倍)以内で供給できる住宅の供給です。
償還期限35年の住宅ローンで住宅購買者の購買能力でローン返済できる住宅と言って、年収の5倍から8倍の住宅を販売しています。ファイナンシャルプランナーによって、35年間の住宅ローンが元利均等償還で返済できる計画が雇用・所得、経済、社会環境を考慮して、信頼できる計画が建てられるとハウスメーカーは説明していますが、そんな計画が立てられる筈はないのです。
日本の最高金融機関の日銀ですら短期の経済予測や計画に失敗を重ねているのです。ファイナンシャルプランナーは競馬の予想や以上に不確かな予想屋で、ハウスメーカーの手先になって住宅を「手離れよく」売ってしまう予想屋です。

CMの実力が工務店経営を救う
生活設計できる融資期間を15-20年以内にすれば、世帯年収の3倍以内で住宅を供給しないといけないことは世界の常識です。そのためにするべきことは米国カナダのホームビルダーが行っているようにCMを実施する能力を身につけ、住宅販売価格を消費者の購買力に見合うようにsh手、かつ、工務店としての適正利潤を上げ、職人に工場労働者以上の賃金を支払うことでなければなりません。

HICPMはCM学習に取り組みたい人(工務店)を簿要望に合せていつでもご支援いたします。ご相談ください。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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