メールマガジン

HICPMメールマガジン第652号(2016.02.29)

掲載日2016 年 2 月 29 日

ビルダーズマガジン第652号(2016.02.29)
皆さんこんにちは
前回に続く「阪神地区における住宅デザインとFLライト建築視察研修会報告(第2回)」
ワシントンヴィレッジ

神戸市が実施したSVビレッジは、建設した住宅全体が、当時の住宅産業界の状況では考えられないような「発売日に完売」し一部の競争で入居者選考が行われたことと、この住宅及び住宅地環境がそれまで日本になかったものであったことから、多くの専門誌だけではなく一般紙でも取り上げられ、事業全体の評価としては大成功ということになりました。そのためSVビレッジのセミナーを開催するとどこでも多数の参加者が集まってきました。販売価格において目標が達成されなかったことをセミナー講師になる人は誰もいませんでした。講師は、住宅金融公庫建設部、神戸市住宅供給公社、SVビレッジの日本側設計者、それとエー・ビー・シー開発商事事業部の関係者で私は2×4工法の技術基準を作成し、を日本に導入したという立場で参加しました。

神戸市に選考された輸入住宅にキャッチアップするプロジェクト
神戸市がメディアに取り上げられているのに兵庫県が取り残されているということで兵庫県には焦りのようなものがありました。当時米国としては建材輸出を拡大しなければという機運は強く、ワシントン州政府もその振興を図るためエバーグリーンパートナーシップと官民一致の組織として造っていたため、ワシントン州と同レベルの日本のカウンターパートとしては兵庫県であるということで州と県レベルの協力で輸入住宅の取り組みが検討されました。米国では土地と住宅とは不可分一体の住宅不動産ですし、住宅不動産としての資産価値を高めるためには、住宅地経営をしなければならないということが米国の常識になっていましたから、ワシントン州は日本にまだ存在しない持ち家による住宅地経営を行うことで住宅不動産購入者の資産形成を実現するプロジェクト志実現しようと考えていました。

住宅と土地が独立した不動産としての開発。
この分野の技術は個別の住宅の建設技術ではなくて、住宅地開発(ランドディベロップメント)の技術になります。住宅地は打ち出の小槌を使ってでき上がるものではなく、全体のマスタープランを先行して決定し、そのマスタープレンとして決められたものを販売計画に沿って建設し、入居とともに住宅不動購入者は住宅地経営に参加し、マスタープランで決められた内容をアーキテクチュラルガイドライインに従って実現するとともに、その計画道理の住宅地利用を実施させることによって、計画通りの住宅地経営を実現しなければならないという技術を日本で実践しようと考えていました。
しかし、日本では戦後千里ニュータウン建設においてハーローニュータウンの経験に倣うことで始まった「近隣住区計画」(ネイバーフット・ユ二ット)による住宅地計画において、物づくりとして真似たものの、低各論どおりの経営管理がなされなかったため、日本の近隣住区理論は全く有効に使われませんでした。日本では建築工学、土木工学、都市工学の欧米で言えばシビルエンジないリングで、住宅計画や都市計画を行おうとしますから、住宅・建築・都市は、すべて「物づくり」になってしまいます。ワシントン州の関係者が、兵庫県に共同して取り組もうとしたワシントンビレッジを提案したときも、その提案は資産形成が何時までも進行する「3種の神器」(マスタープランとアーキテクチュラルガイドラインによるハードなルールと、ハードなルールに対応する生活の仕方というソフトなルールを、住宅不動産購入者が一票の選挙権を行使して住宅地経営主体としてのHOAを作り、強制権を行使して健全な住宅地経営をするという計画でした。日本では千里ニュウータウン以来、ハードな物を作ればそれで都市や住宅地の技術は移転できたと勝手に勘違いしてきました。その結果千里ニュータウンで失敗したと同じ誤りをワシントンヴィレッジで犯してしまいました。

輸入住宅を建設するための宅地開発としてのワシントンビレッジ
兵庫県側の言い分は、早く輸入住宅を建設してくれというだけのもので、住宅地計画や住宅地経営という概念を考えようとしませんでした。当時、私は大阪府建築部参事という立場で、2×4工法の日本での精度開発者ということで兵庫県からもワシントン・ヴィレッジの実施を一緒に満ちてくれと言われ何度かワシントンビレッジの計画の説明を聞いたことがあります。結局ワシントン・ヴィレッジはワシントン州政府が指揮をして開発行為を行い、そこで兵庫県の工務店に輸入住宅を立てさせてくれというもので、都市開発といった観点は兵庫県側に受け入れる姿勢はありませんでした。貸し手や開発後のワシントン・ビレッジの経営をHOAにより実施するというようなことは思いも付かぬことでした。ワシントン州のまし造りの技術者が口角泡を飛ばして議論していても、兵庫県側は馬耳東風で、そこまで言うなら開発行為はワシントン州政府で責任を持って行ってくれという議論に終始sh手いました。その当時私は住都公団で5年間の都市開発を経験し、日本の住宅地開発は熟知していまsh多が、兵庫県庁職員同様米国の「3種の神器」の住宅地経営を知りませんでした。それが住宅により資産形成を実現する方法とも知りませんでしたので、傍観者以上に何も手を施すことができませんでした。実際に喫減されたワシントン・ビレッジは、住宅地計画という計画図は、米国のマスタープランですが、日本ではそれを宅地造成計画図として受け止め、そこに米国が指定する住宅を建築していったのです。土地を建築・住宅加工して住宅地をつくるという考えは最後まで理解できなかったようですが、米国がイニシアティブをとったため、ワシントン・ビレッジの第1期、第2期は何となく米国の住宅地と同じように住宅地は「物として」でき上がりました。しかし、日本の住宅地経営は日本の住宅団地管理と同じであるため、年と共に改良を繰り返す住宅地になっていません。しかし、ワシントンヴィレッジはそこで採用されたハードのルールに合わせた住宅地経営をしないとその生活環境はいつも居住者の誇れる状態を維持できないと考えられた結果、後追いですがソフトなルールがハードなルールを守る方向で機能しているように思います。

サステイナブルハウス(ハイランド岩本さんのチャレンジ)
HICPMは欧米並みの品質の住宅を欧米並みの世帯年収の3倍以内で供給できることがなければならないと考え、20世紀を終わろうとする前に私と成瀬さんと一緒に米国とカナダの住宅を小差研究し、BAHBとCMHCの取り組んできた取り組みの成果を日本で「サステイナブルハウスとしてまとめました。それは、日本の伝統建築(民家建築)では、田の字プランと同じ考え方に立つ合理的な住宅計画手法をまとめたものでした。1モデュール4フィートとして6モデュール×7モデュール総2階建てという基本計画を基に住宅計画を立てようとするものでした。当時1戸1、300万円程度の住宅をその販売価格の20%オフで販売し、工務店の粗利及び職人の給与はそれ以前の状況より改善することを目標に取り組みました。生産過程の中から無理、無駄、斑というマイナス要因を徹底的には序する取り組みがサステイナブルハウスの取り組みだったのです。その目標は時代に拘わらず同じです。

最初のサステイナブルハウス(ウイングホーム)
その結果、茨城県のウイングホームで最初に実施したサステイナブルハウスは、980万円と1千万円を基って高気密高断熱エアコン付きの住宅を供給しました。それがきっかけになりHICPMの会員を執心に全国で1,000戸程度の住宅が建設されました。しかし、大多数の「サステイナブルハウスに取り組んだ人たちは、十分よい住宅が安く建設できると、サステイナブルハウスのシステムの優秀性を認めず、それによる成果を自分の力と勘違いし、それでサステイナブルハウスから学ぶところはなくなったと誤解しました。その後の取り組みは材料の買い付けを安くすることだと間違った方向に進んでいきました。実際のサステイナブルハウスは、その住宅計画を合理的に行い、高い生産性を挙げることという考え方を理解し、それを活かして改善をし続けることです。

ハイランド(岩本さん)の取り組み
今回訪問したハイランドの岩本さんは、最も謙虚にサステイナブルハウスに取り組んだ方です。住宅のデザインとしては、クラフツマン様式に拘ってオープンプランニングによる豊かな空間の実現にチャレンジし続けている設計者・ビルダーです。今回実物をご覧になって、いろいろ確かめることができたと思いますは、岩本さんは顧客ごとにみな違ったカスタムハウスをサステイナブルハウスとして建設しています。それを「建売ですか、注文住宅ですか」と呼び名の区分に拘った質問する人がいましたが、私は日本の住宅関係者の卑しい「差別意識」に立った質問に思えました。消費者にとってホームビルダーが培った技術技能を意簡易発揮するかと言う観点で、設計・施工で標準化、規格化、単純化、共通化を進めて行くことは、岩本さんの例だけではなく欧米のカスタムハウスの設計者、施工者の全てが取り組んでいることです。そのようなカテゴリーからいえば、岩本さんは自分の培ってきた技術を顧客の生活空間要求に応えられるように駆使するカスタムハウスの設計・施工者です。

サステイナブルハウスの原点回帰の必要性
「サステナブルハウスはその最初の設計者である成瀬さんが亡くなり、建材供給や施工で米国の技術を移転してくれる小汐さんが亡くなって、その運動は頓挫していますが、私は再生できる運動と考えています。そのためにはもう一度1970年代の初めの2×4工法の導入当時の2×4工法の合理的技術の評価に立ち返って考える必要があると思って、目下、その対応策を検討中です。SVビレッジのプロジェクトはちょうど日本経済のバブル時代に突入し、コストカットの取り組みが全く実現できない間に、欧米の住宅は工学でも顧客の心を掴んで販売できるからそれでよいと言って、『良かろう、高かろう』という住宅産業の経営本位の住宅政策路線を間違って走って行ってしまいました。日本では工学の住宅を世界最長の35年融資で「ローン痛を感じないで販売する」住宅産業の「売り抜け」を正当化する間違った方向に走って行ってしまいました。その方法は住宅建設業者の住宅建設業経営管理(CM)の力を高める方向で、かつて「サステイナブルハウス」を全国展開したような合理的な建設業経営の改善の取り組みです。住宅生産のための設計施工の技術は多種多様で、その総てを行うことは無理です、工務店にしろ、建築計事務所にしろ、その間口をできるだけ狭め、奥深い技術を確実にこなせるようにすることで良い仕事が適正な価格で実施することができるのです。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世)



コメント投稿




powerd by デジコム