メールマガジン

HICPMメールマガジン第665号(2016.05.29)

掲載日2016 年 5 月 30 日

HICPMメールマガジン第665号(2016.05.27)

皆さんこんにちは

「消費税率引き上げ」中止を国民に説明した理由
伊勢志摩サミットが終了したと同時に消費税率引き上げ延期が安倍内閣の意向として出され、麻生副総理が改革の公約違反であるから、衆議院総選挙をして政策を国民に問わなければ筋が立たないと言い出した。この一連の動きを見ていると、安倍内閣の日銀総裁と足並みを揃えた経済政策(アベノミクス)が計画通り進行していないため、このままでは安倍内閣の長期政権維持は難しいと安倍内閣は判断したと伝えられている。経済金融政策の失敗が社会問題化する以前の時点(参議院選挙)に合せて、初めから「衆参両院同日選挙」という決められたストーリー通りのことが実施されて来たという論評もある。政府自民党と公明党は「消費税率の上昇は国会決議のあることで変更はあり得ない」と両党首以下幹部全員が、敢えて確認・再確認するような芝居を打っていた。それを変更する口実として、「7大国」首脳会議を口実に使って、外国に協力すると恩を売って、国内政治で、経済金融政策の失敗の軌道修正の言い訳にした、と多くのジャーナリズムからの批判を浴びている。消費税引き上げ延期は、自民党を分裂させ、自民党と公明党の関係を破壊することがあってもおかしくないほどの政策対立であるにもかかわらず、小学校の「学芸会」のように、役者たちは淡々と決められたセリフを言い、政策としても信条としても許しあえないことを、大人の理屈を述べ、主義主張を明確にしながら、決められた時間を消化して協調して政治を進めている。政治家としての信念を貫き通している大人の態度で発言をして「衆参両院同時選挙」に向けてのスケジュールをこなしている。

「アベノミクス」の失敗とは何か
野党はその本質は、「安倍内閣の経済政策の失敗である」という。その批判は「安倍の経済政策が約束した経済政策としての効果を上げていない」ことに尽きるが、それを批判している野党は安倍に代わる政策をもっているようには見えないし、「安倍内閣を批判していても、それに代わる政策提案がないため、野党に何ができるのか」も分からない。PIIGSの財政危機から、「ギリシャの財政危機は他人事ではない」日本の問題だと言われ、一時、国民的規模で国家に危機と言われた「国債」問題がアベノミクスで全く問題にならず、野党も問題にしてきていない。国家の借金は国家が税収に依るか、国家の財産を売って借金の返済に充てなければ返済することはできない。国民の預貯金や保険金があって、それで国債を購入することがあっても、国家の借金を国民に肩代わりできるものではない。安倍内閣は国債問題に真面に取り組んでこなかった。
小泉内閣が竹中金融相と一緒になって、「聖域なく構造改革」として都市再生事業を取組んで、国債の返済ができず、その国債の返済財源を赤字国債に依存するようになって国家財政がブラックホールに吸い込まれる危機と捉え、「憲法(聖域)を犯しても、担税能力のある企業に対して返還させる」ために、都市再生事業という「徳政令」を行った。バブル崩壊で企業が抱えた不良債権を帳消しにするために、地価下落分に相当する法定都市計画の改正を行い、憲法で決まられた社会公共の都市空間を不良資産を抱えた企業に無償で供与したのであった。その政策が都市再生事業として実施され、大都市はスカイラインが大きく変化するほどの開発となり、不良債権を抱えた企業はその債務を帳消しにした。それだけではなく、それに便乗して企業は大きな利益を挙げ、日本経済自体が15%にのぼる経済成長を果たしたが、不良債権処理にその利益が充当され、国民に経済成長の恩恵は及ばなかった。その結果、小泉・竹中内閣が財政破綻を恐れて取り組んだ政策も、全国的には驚くほどの行政事件訴訟が行われたが、メディアや学者たちは小泉・竹中内閣の政策を社会的に取り上げず、政治問題にならないで行われた。安倍内閣は「聖域なき構造改革」の問題を軽く見てきたのかもわからない。小泉・竹中内閣が都市再生事業によって不良債権処理を国民に大きなしわ寄せを行ったこと全く意にも解せず、景気刺激を行えば、国民へのしわ寄せしたことは問題はないと考え、それを政治だと勘違いしているようにしか思えない。アベノミクスは景気しか関心にはないのである。

消費税10%への拘り
安倍内閣が拘ってきた消費税10%への引き上げは、基本的に財政破綻という自民党内閣の政治危機を回避するために、国債償還は避けられない問題で、そのためには増税しか道はないとも言える。消費税の引き上げのために福祉を口実にしているのが、安倍内閣の10%の消費税問題である。しかし、安倍内閣は企業の利益を拡大し、その結果としての法人税の増加を期待している。しかし、それは国民と企業の税負担としては、国民には重く企業には軽くし、企業に大きな利益を挙げさせた結果、企業は利益の一部を納税することで、企業の痛みを感じなくて税額を大きくできる考えである。国民と企業の分担では個人の税負担を拡大し、企業が利益を拡大し、その利益の一部が法人税となることで法人税が結果的に増える考え方である。そのため、安倍内閣は法人収益を拡大するため、法人税減税を優先してきた。安倍内閣のアベノミクスも、そこで言っていることは景気をよくし企業活動を拡大し、企業利益を高めるのである。

「商船は軍艦をよぶ」といったCIAの宣伝
田中角栄が首相であったとき、日本の産業のために固有のエネルギーを確保する政策として、インドネシアの石油を手に入れようとした。1970年当時インドネシアの石油は米国の支配下にあり、その利権をIGGI(インドネシア債権国会議)の枠の外で日本が援助をする代わり、インドネシアの石油利権を日本に渡すような政治交渉が日本とインドネシアの間で秘密裏に行われた。それを察知したアメリカ政府は、警戒をしてインドネシアの主要大学にハワイの東西センターから派遣されている大学教授たちを介して次のような学生扇動工作が行われた。
「ジャカルタのみならずインドネシアの主要都市には日本の企業が進出し、そのインドネシアにおける経済活動は驚くほど盛んである(当時、インドネシアの受けている海外援助の最大支援国は日本であり、日本の海外援助国の第1位はインドネシアであった。)が、この巨大な日本資本を一体誰が守ってくれると君たちは考えるのけね。」と学生たちに疑問を投げかけた。戦前の日本の植民地時代のことを関連させて想像させ、日本の産業活動は、最終的には日本の軍隊が守ることを説明し、「日本の商業活動の裏には日本軍隊があり、田中角栄はその軍事進出を象徴する政治的な取り組みである」と説明した。それ以、降学生が日本車を手当たり次第に、日本人宅から路上に引きずり出し、路上に走っている日本車を停車させひっくり返し、火をつけた事件が頻発した。その結果、日本人は大きな竹の塀を立て敷地内を外から見えないようにし身の安全を守った。私はその暴動後、日本の経済進出を路線変更する社会開発要員としてインドネシア共和国に派遣され、住宅地開発の仕事を3年間取り組んだ。その間、田中内閣はロッキード事件で収監された情報がインドネシアの話題となり、それを見て米国の利権を犯した田中だけが最終的に処分を受けるとインドネシア人たちが言っていたとおり、ロッキード事件は終結した。

現在のミャンマーを見て分かる政府の政策
当時のインドネシアと現在のミャンマーは本当によく似ている。ミャンマーの教育水準は急速に高くなり、海外留学生が帰国し、海外資本がミャンマーの優秀な低賃金労働力を狙い、多くの先進国資本が集中している。これ等の進出企業は、政府の経済援助など国家規模の資本保護政策と一体に進出しているという意味では基本的に「商戦は軍艦を呼ぶ」構造の中で投資をしている。海外投資に関しては、まずは国家間の協議があり、それを進める条約関係が結ばれ、最終的には日本国が直接影響を与えることになる。つまり、実際に日本の進出資本が安心できるためには、最後の切り札である軍事的な力を背景にした安全保障を求めている。
先般ベトナムの日本の潜水艦が出かけたのもその意思表示である。勿論、対中国のスプラトリー諸島の中国覇権に対抗する目的もあるが、日本の軍事力がそこに存在するデモンストレーションが法人企業を安心させる最も分かり易い説明になっている。安倍内閣は産軍一体の軍国主義を背景にした政治勢力と見ることは岸信介以来の家門の体質である。安倍内閣の政治を支援している産業基盤は、その意味では軍需産業である。日本の軍需産業に国外で活動する安全を保障するためには、日本の軍隊がそれらの国家に出かけ、海外への進出企業の資産を守ることで、それが日本国によって保障されなければならないと企業が考えている。それが安保法制の本質ではないかと以前から思っていた。

住宅政策・住宅問題
欧米ではどの国でも住宅問題が大きな関心とされている。国民の所得と比較しで重い住所費負担は政治の課題であるからである。日本ではバブル経済時代以降、住宅を購入した人のローン返済額の負担が住宅購入者の負担として重くのしかかり、ローン返済が不能となり、住宅を手放さなければならない人が急増している。35年ローンを組んで20年経過しても元利均等償還であると元金はまだ70%近く残っている。住宅を手放すときの販売価格博入学の半額であるから、売却して、自宅を失っても、返済すべき元金は、まだ20%近く残るため、賃貸住宅に入居しても住居費負担は重く残っている。政府はその総ての問題を「自己責任の問題」といい全ての責任は国民の問題にしてしまっている。安倍内閣は大和ハウスの会長に国民大叙勲を与えたが、その住宅を購入した国民は住宅を購入したことで資産を失い生活はますます厳しくなっている。そこに、政府の責任はないと言えるのか。
政府は住宅を消費財と言い、消費税を採っている。世界中で住宅を消費財と言い、償却資産と言い、消費税を取っている国は日本以外にない。住宅を償却資産と言い、諸費税の対象とする住宅政策を行っている国は世界中に存在しない。消費税議論をするときに住宅産業関係者がなぜ、消費税を問題にしないのかという問題を考えてみたが、それは、住宅産業関係者が、住宅問題を消費者の立場で考えず、自らの利益の追求という視点でしか考えていないことが解かった。
私達、住宅産業関係者は、もう一度「誰のために住宅を供給する業務に取り組んでいるのか」を考えてみることが必要である。消費者のためと考えるのならば、消費者に不当な負担を負わせてはならない。

-(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)-



コメント投稿




powerd by デジコム