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HICPMメールマガジン第671号(2016.07.13号

掲載日2016 年 7 月 13 日

HICPMメールマガジン第671号(2016.07.13)
皆さんこんにちは

今日は坂倉準三設計による「A型住宅」がHICPMの会員でジョンソンタウンの経営者である磯野達夫さんの「軽井沢別荘」として使われることになり、そのお披露目の内覧会にお招きを受けたときのお話をご報告することにします。当日は磯野さんの別荘としてお使いになるためのリモデリング設計を担当された機設計者ともお会いし設計についていろいろお話を伺うことができました。

上野の「西洋美術館」の設計者コルビジュエの意向を受けた日本での設計者
坂倉準三は上野の「西洋美術館」をコルビジュエの設計の考え方でまとめたということで、目下話題の建築家でもありますが、戦前からフランスにわたりコルビジュエのもとで建築に取り組んだといわれるだけに、その設計は「ものづくり」ではなく、欧米の人文科学(ヒューマニティーズ)の思想に立った建築空間という「場」の設計でした。物づくりとしての住宅は、完成時が最も優れていて、あとは減価償却するといわれる住宅です。
一方、人文科学としてつくられる住宅は、生活を歴史文化空間としてつくることで、住む人の担っている歴史文化とそのライフステージに対応する生活に合わせていつも満足する生活が営める空間としてつくられる住宅です。住む人の生活に合わせて利用できる「場」としての住宅です。「場」とは環境と言い換えても良いと思います。

歴史を重ねた「A型住宅」
この住宅は、最初、四谷六番町に建てられた加納久朗の2棟の住宅の1棟でそれが、その後石坂泰三の長男夫婦が生活したという住居遍歴を持った住宅です。詳しいことはよくわかりませんが、加納久朗も石坂泰三も、日本を代表する経済界のリーダーで、その方が自分や家族の生活を入れることで豊かな生活が遅れたという歴史を持っていることが重要なことです。住む人の生活に合わせてラフステージの市以降に合わせて豊かと感じられる生活を営むことのできる「場」が住宅に求められている重要な条件です。このことを考えるためには、坂倉準三の設計の考え方を知る必要があります。
当時の経済的環境は厳しく、国民のかがられた予算で住宅を建設することが求められていました。
ドイツでも、フランスでも、安くて国民が満足できる住宅の設計を国を挙げて取り組んでいました。
日本でもコルビジュエの日本での紹介者の建築家、前川國男、坂倉準三、吉阪隆正は西欧の建築設計の考え方をそれぞれの立場で日本に紹介しています。その中で、坂倉準三の「A化t住宅」と共通する内容を、前川国男がドイツの乾式工法住宅(トロッケンバウ)を国内に紹介するとともに自らそれを日本で展開しようとしていました。
それらの住宅は住宅に合わせて生活をするという考え方とは全く逆に、生活や家族の要求に合わせてフレキシブルに住宅を使いこなすという考え方で住宅は作られ、使われていました。その考え方、すなわち「足に靴を合わせる」考え方が当時の世界の住宅に対する考え方でした。

「物づくり」としての現代住宅
現代の住宅建築はどうでしょか。その家族の将来生活を構想し、まだ生まれていない子供や高齢化してもいなく、まだハンディキャップになってもいない人のバリヤーフリーの生活を考えて、時には重い体を天井にレールで伝移動することまで取り入れた設計をするということが、「ユニバーサルデザイン」と言って、将来を見越した住宅デザインとして実際に行われて、最初の新築住宅で設計されたりしています。
ユニバーサルデザインとハートビル法で定めている技術基準とは共通点がありますが、ハートビル法で定めた技術基準に合わせて作ることは、決して「ユニバーサルデザイン」ではないと思います。一般的な住宅として、梯子を使った空間を住宅につくってならないということは在りません。また、車路を設けない車いすを使わない住宅を作ってはいけないということではありません。
車いす生活になったときはその要求に合わせて対応すればいいことで、すべての住宅を車いす使用にする必要はありません。車いすによる生活をしなければならなくなったとき、どのように車いすを使うかということを考えることは、当然必要なことですが、その対応はそれぞれの家族ごとに考えるべきことで、すべての家族は車いす使用を前提につくらなければならないことは在りません。
同様なばかげた住宅設計として、子供を何人作るかを計画段階で考えていない子供を住宅設計の設計条件にするというのも馬鹿げたことです。計画性を持った住宅設計という人もいますが私はそのような設計が計画性を持った設計とは思いません。別に行き当たりばったりの住宅計画を進めているわけではありません。そうではなくて、家族の生活に合わせて自分の使える住宅をフレキシブルに使ったらよいということを言っているのです。物づくりとして住宅設計をしている人にはそれができないのです。

「A型住宅」に学ぶこと
加納さんや石坂さんの生活について私はほとんど何も知りませんが、このよう立派な社会的なお仕事をされた方が、一般論として、貧しい家庭生活を下とは考えられません。ということは「A型住宅」にお住まいになって豊かな家庭生活を享受されたと考えるべきです。そのような豊かな生活がされたと考えられたので、その豊かな生活のできる空間を別の方にお譲りになり、その人もそれぞれの生活を豊かにすることを経験して次世代に譲っていったと考えるべきです。
そのように人々の歴史文化生活を受け入れる場の空間として必要最小限のものを用意していた住宅が「A型住宅」だったと考えるべきです。実はこのような住居に対する考え方こそ人文科学(ヒューマニテイ)としての欧米の一般的な住居の考え方なのです。坂倉準三は西欧のその考え方をコルビジュエの下で当たり前の設計論として学び、それをこの住宅で実践したと思っています。

「サステイナブルハウス」
かつて1999年HICPMが欧米に学んで、国民の研修の3倍で購入できる住宅として当時1300万円で一般的に取引されていた住宅を1000万円を切って供給するチャレンジを行いました。HICPMの副理事長の成瀬大治さんを中心に取りまとめて「サステイなブルハウス」は、坂倉準三さんの「A型住宅」と共通する設計思想に立っていたと思います。現在HICPMとしてはもう一度2×4工法の原点に立ち返って、コストカットにチャレンジしようと考えていますので、今回の「A型住宅」の見学を機に私たちに課せられている課題を最でお検討したいと思っています。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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