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HICPMメールマガジン第678号(2016.09.05)

掲載日2016 年 9 月 5 日

HICPMメールマガジン第678号(2016.09.05)
みなさんこんにちは

住宅産業関係者に知ってもらいたい「国民を貧困にする日本の住宅政策」の第2回
日本の住宅政策は民間主導と政府は説明していますが、実はその背後に政府の国民不在の住宅政策があるのです。現在の住宅政策はそれ以前の住宅建設計画法の経済政策を基本的に踏襲しています。

住宅建設計画法の本質:民間住宅産業経営保障
1950年からの戦後の日本の住宅政策は米軍の兵站基地として軍需産業を復興させるために、軍需産業で働く労働者の住宅供給を図ることが政策(戸数主義)の中心にされました。直接的な軍需産業向け住宅とは、軍需産業の立地する新産業都市や工業整備特別地域と呼ばれる重厚長大産業の労働者のための住宅として、大手軍需産業(旧軍需資本:財閥)には、社宅(産業労働者向け住宅や特定分譲住宅:民間賃貸住宅)建設のために産業向け資金を融資し供給し、社宅に入居できない所得の低い下請け産業労働者や関連産業労働者のための政府施策住宅(公共賃貸住宅)の供給を指します。
1976年ベトナム戦争が収束し、軍需産業のための法人賃貸住宅需要が消滅したため、それの代わる住宅産業需要を、政府が財政と政府金融を使って経済政策を牽引した時代の基本法が住宅建設計画法は、です。軍需産業労働者需要が消滅したため、それまで政府が育成した住宅産業に対して需要保障をするために、これらの法人住宅供給需要に代わって、国民に直接住宅を購入させることが必要になりました。そのためには、その住要求を政府施策住宅政策という行政主導で拡大させるため、「居住水準の向上」を住宅政策の基本に据え、政府が定めた居住水準によって国民の需要を政府が政策誘導をし、国民が購入できるように、住宅取得に見合った支払い能力がなければ、政府がそれに対応できる住宅金融制度を作って、供給した住宅を確実に国民が取得できるような政策を採った。

国民に住宅を購入させる政策
そのため、(1)高騰した地価に国民の住宅購入資金を奪われないことと、(2)高額な住宅を購入できるようにすることが政策の中心に置かれました。(1)は木造住宅の建て替えで土地代を使わないことと中高層住宅で自室地価負担を引き下げることであり、(2)は、超長期住宅金融と元金返済を遅らさせる元利均等償還で住宅購入時の返済を引き下げることでした。政府は住宅産業界と不可分一体の関係を住宅金融公庫の政策で実施し、民間住宅産業がその住宅の販売に必要であると希望する金額を融資しました。そのため、住宅会社の広告・宣伝、営業・販売に掛けた費用を販売価格で回収する独占価格を適正な見積価格と認め、住宅金融公庫がハウスメーカーの販売価格どおりの融資を実施してきました。営業・宣伝に利用できる性能表示制度と結びつけた融資制度を整備し、広告・宣伝、営業・販売し易い制度に法律制度を変質させ、住宅建設業は「建設業」ではなく、「サービス業である」と建設業法違反を積極的に認め、民法上および刑法上の詐欺営業を容認してきました。
住宅建設計画法時代の住宅政策は、GDP最大化のための政策が住宅政策の基本にされていて、不等価交換販売や不等価交換金融という憲法第14条違反の政策が行われた時代です。日本のバブル経済も国民の住宅購買能力を全く無視して、住宅ローン時間やローン返済方法を「ゆとり償還ローン」に代表されるとおり、「目先の苦痛を先送りさせて販売すればよい」とする政策に走った結果、バブル経済の崩壊を契機に、住宅ローンを組んだ国民はさらに厳しい損失を負わせられることになりました。建設業法で定めた見積に寄らず、建設業法の見積も路を欺罔した詐欺により、ハウスメーカと住宅金融公庫は不等価交換販売と不等価交換金融とによる不正利益を手に入れ、住宅購入者は損失を被ってきました。

日本国家を衰退に導いている完全に間違っている国土交通省による住宅政策
1976年始まった第3期5か年計画以来の住宅建設計画法による公営住宅、公団住宅、公庫住宅という政府施策住宅によって、政府は「居住水準に向上」という政策で、国民の住宅需要を拡大させるために住宅産業の財政および金融政策により住宅需要を生み出しました。それによる景気刺激と経済成長を進める経済政策が、バブル経済の崩壊がきっかけとなり失敗し、財政近烏有政策も破綻しました。バブル経済崩壊により経済不況が深刻化したため、住宅政策の大転換を図らなければならなくなっていました。その結果、2006年に住宅建設計画法を廃止し、政府施策住宅によって住宅需要を喚起する政府誘導型の住宅政策は維持不可能になり、それに代わって「住生活基本法」を制定し、民間住宅産業と民間住宅金融機関による民間主導の住宅政策に転換することになりました。
そして、都市整備公団(UR)及び住宅金融公庫は経営破綻により廃止に追い込まれました。政府は財政と金融で住宅産業を牽引できなくなったにも拘らず、政府はその政策の破綻を制度改正ですり替え、実質は政府の支配力を行使して、事実上、住宅政策を政府の意図どおり改悪し、政治家、官僚が支配権を維持し続ける政策にしました。それは自由主義経済の原則に立ち返って、「等価交換及び等価交換金融」に立ち返って民間が自由な創意工夫で産業活動をできるようにするべきでした。

不公正な取引で住宅産業が利益を上げる政策に高く官僚天下り政策
しかし、政府は自由主義経済に立ち返ろうとしませず、住宅建設計画法時代の「不等価交換と不等価交換金融」政策を民間主体の住宅政策に政府が干渉して持ち込み、住宅建設計画法時代のすでに破綻した住宅政策を、官僚による不正な利権を維持拡大するために、民間主導と説明された住生活基本法時代の住宅政策に民間住宅産業にも利益を分配させることで踏襲させました。具体的には環境、安全・性能等長期優良住宅関連の許認可制度を住宅取引に介入さ、官僚が天下る外郭団体を介入させ、官僚退職後の給与を住宅価格に転嫁を前提にした住宅産業に負担させる制度を拡充してきました。
政府は本来取り組むべき自由主義経済の住宅政策に立ち返る代わりに、住宅建設計画法時代の行政利権を拡大する方法を住生活基本法時代の政策に取り入れたことです。これまで住宅建設計画法時代の政府施策住宅による住宅政策同様に、民間住宅産業には不等価交換による「独占価格販売」を推進し、住宅金融機関には、廃止された住宅金融公庫が実施してきた「不等価交換金融」を政府の政策意図に沿う形で行政を進めるという政策でした。当然、国には財政や金融によって民間を行政的に誘導する政策は、もはや実施する能力は失っていますので、政府は護送船団方式で民間の住宅産業と住宅金融機関と癒着して、これらの産業に利益を供与する政策を展開することで、政府が指導力を発揮してきました。

金融機関が資本主義社会のダイナモ
住生活基本法時代になって住宅金融公庫が破綻したため住宅資金は民間で調達しなければならなくなりました。困った政府は米国の住宅産業が1929年の世界恐慌後の住宅政策として、1934年に米国連邦政府は、国家住居法(NHA)を作り、民間の金融機関が実施した住宅ローンに対し連邦住宅庁(FHA)がモーゲージに対し債務保証をし、住宅モーゲージ証券(MBS)を造りました。政府はMBS(住宅担保証券)をFNMA(ファニーメイ)に買い取らせ、それを金融指導で流通させることで、住宅ローンを金融証券市場で流通することにより、住宅ローンを回収し、住宅融資を拡大再生産する金融2次市場を形成することを可能にしました。日本政府は米国のこのシステムに学ぼうとし、当時、建設省が米国の調査研修に職員を派遣しましたが、米国のMBSが理解できず、それに日本の住宅金融が信用金融で担保金融ではないこともあり、米国のMBSの同様の導入を諦め、日本的理解による米国のMBSと似た日本独自の制度を始めることになりました。

日本のMBS,世界のMBS
当時、建設省は韓国、台湾、シンガポールなど、既に米国のMBS制度の作成を米国に依頼し作成を終わって実施段階に入っていた国の経験を聞く会議が開催されました。それぞれの国で実施していたMBSと日本のMBSとを比較検討する会議に私も参加を誘われ、傍聴に出掛けました。その会議に参加して印象的であったことは既にMBSを導入していた国の導入に対する取り組みでした。日本以外の国は住宅ローン自体が等価交換金融(モーゲージ)であることで共通していました。
韓国人に「MBSの制度がどのようにして理解し制度を構築したのですか」という私の質問に答えて、「アメリカ車を造る能力がなくても、アメリカでつくった車の運転はできます」という説明でした。11カ月米国のMBSの調査に抱かけた建設省の担当事務官に質問したところ、「米国のMBSはとても複雑で理解することも出来ず、米国のMBSと同じ制度を作ることは不可能であると考えたので、日本で自分たちの納得する制度を作った」という説明でした。資本主義社会の原動力は金融であるので、その制度がどのように造られるかが住宅政策を左右することは言うまでもありません。
日本のMBSは、戦後の米軍の兵站基地としての軍需産業向け住宅に対する住宅金融制度や、住宅建設計画法時代のGDP最大化のために「独占価格を前提にした住宅販売とそれを金融的に支持する住宅金融公庫による「不等価交換金融」を追認する金融制度として、日本のMBSが構築されました。その金融制度は名前こそMBSと付けられても、その制度の内容は本物のMBSになれるわけはありません。

バブル経済が崩壊し、住宅政策が破綻
1992年バブル経済が崩壊し、その上に構築されていた住宅政策も住宅産業も崩壊しました。破綻公団の財産整理を目的としたURと政府の住宅金融に代わって民間金融機関による金融に置き換えられましたが、その融資債権を政府が買い上げるという制度が、米国のMBS(住宅金融証券)と同じ名前の制度として作られました。日本のMBSはクレジットローン債権で、額面価値が担保されていない債権を証券化すること自体に信用力がない根ではないかという疑問が当初からあります。米国のMBS(モーゲージ・バックト・セキュリテイ:モーゲージ担保証券)と基本的に違う制度を構築し、その名称を米国と同じにしても、同じ信用をもつ筈はありません。言い換えれば、政府買い上げの信用金融(クレジットローン)債権を住宅金融支援機構が証券化してもモーゲージ担保証券に化けることはありません。政府は日本のMBSを、「財政投融資資金を使って購入させることで、米国のMBSと同じ換金ができるではないか」といい、それを日本では、現在実施しています。住宅金融2次マーケットを展開し、MBSの流通を実施してきました。多分、日本のMBSの取引に対しては、政府がそのリスクを保証する約束か、取引関係者に暗黙裡の了解を作り上げたに違いありません。
政府は「米国のMBS」という名称を使って、「贋物(日本のMBS)」を「本物(米国のMBS)」と同じ証券政府が欺罔し、政府の後ろ盾で取引を行わせ、米国のMBSと同じ証券と間違った説明をしてきました。政府は「日本のMBS」を、「米国のMBS」と同じ証券と見做して、住宅金融支援機構に取り扱わせ金融2次マーケットに流通させてきました。しかし、日本のMBSは、ローン返済不能事故が発生し始れば、たちまち馬脚を現すに違いありません。それはローン返済不能事故が経年するとともに拡大するのと並行して発生する危険性が高まっています。

本物の「米国のMBS」
米国のMBSの場合、モーゲージはローン返済ができなくなったときは、モーゲージは等価交換金融ですから、その担保の対象になっている住宅を差し押さえて住宅市場で売却すれば、基本的に貸金が額面どおり回収できます。現実の米国の住宅市場で既存住宅の資産価値自体は、ニューヨークでは年間4-5%の比率で上昇し、全米全体としても基本的に物価上昇率以上に上昇していますから、ローン返済事故が発生することに依って金融機関が損失を被ることはありません。当然、そのモーゲージをFHA(連邦住宅庁)が債務保証をし、FNMA(ファニーメイ)が保証証券を買い上げ、それを金融市場で販売することでローン資金を回収しています。米国は資本主義社会で自由主義国家ですから、自由市場の取引が等価交換販売と等価交換金融で行われることが前提で、国家はその前提を行政法と刑法でその実現を担保しています。独占禁止法や刑法や行政法で不等価交換を犯罪として禁止していますから、MBSに不正を混入することを排除することでMBSが守られているのです。

偽物の「日本のMBS」
日本のMBS僭称する贋物住宅ローン証券は、金融機関が住宅ローンの際受け取った住宅ローン債権(借金証書)は、金融機関自身が担保にはできないものですが、それをその額面通りの価値を有すると住宅金融支援機構がみなしてMBSと呼んで買い取り、それを米国のMBSと同じものとみなして、金融市場で取引の対象にすることでローン資金を回収する制度です。日本の仕組みは、米国の仕組みのように、社会を欺くように政府つくって社会を欺罔しているだけです。なぜならば、日本の住宅ローン債権は、日本の住宅ローン自体が不等価交換金融ですから、ローン債権にはその債権額面通りの「価値」を持っていません。そのため、それを住宅金支援機構が買い上げてMBSと名付けたローン債権にしたと言っても、日本のMBSは額面通りの価値を持つはずはありません。日本政府は手品を使って贋物を本物と名前が同じですから同じですと言っているだけです。

日本のMBSの価値はその元となっている住宅ローン債権と同じ価値
日本の金融機関は住宅ローンが不等価交換金融であることを十分承知していますから、ローン債権を担保にはリスクが大きすぎて金融を行わず、住宅ローン債権と併せてその土地と住宅ローン借主の生命保険(額面は住宅ローン額以上の死亡保険金の保険契約の受け取り権限)を条件にしています。政府は、
そのような制度を正当化し、本物同様取り扱っている理由は、国土交通省と金融省による住宅建設計画法時代の独占価格を前提にした不等価交換販売と独占価格を幇助する「不等価交換金融」という騙しの住宅政策と住宅金融政策を、「住生活基本法時代」になってもそのまま踏襲しているからです。住宅の価値の約2倍の価格で販売し、価格相当の住宅ローンを付けることで価値の低い住宅をその2.5倍の価格と融資を行ってきたのです。
{NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世}



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