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HICPMメールマガジン第679号(2016.09.09)

掲載日2016 年 9 月 9 日

HICPMメールマガジン第679号(2016.09.09)
みなさんこんにちは

来週月曜日から10日間、HICPM会員のご招待で、欧米の住宅建築技術と住宅都市を見学してきますので、メールマガジンを先にお届けすることにしました。
今回のメールマガジンは、日本の住宅金融問題としてMBS関連の第3回目です。

建設業者の業務:製造業者の手に入れることのできる粗利「マークアップ」
建設業者が必要とする資金には、住宅販売価格と住宅建設資金とがあります。そのいずれを手に入れるときには「等価交換販売」によって手に入れることになります。住宅販売価格は、住宅購入者が支払う資金ですが、通常、住宅購入者に手持ち資金としての住宅購入するための余裕はありませんから、住宅購入者は金融機関から融資を受けます。それが住宅ローンで、住宅購入者に融資額の担保を出させて金融機関からローンを受けます。
米国の金融機関は「等価交換金融」を行っていますから、融資対象住宅を担保に押さえて融資対象住宅の価値相当の融資を行います。建設業者の業務内容を決めている法律(行政法)が建設業法です。現在政府は建設業法に逸脱した行政を憲法第14条に定めた平等の原則に違反して、ハウスカーの利益の追及のために建設業法で定めた直接工事費以外の営業半谷経費を回収する独占価格販売を容認し、その不等価交換を実施するための住宅購入費用全額を融資するため、融資する住宅の価格の約3倍も担保(融資対象の住宅、その土地、融資額相当額以上の生命保険)を金融機関が抑える不正金融を政府が容認しています。
かつて、住宅建設計画法の時代、住宅金融公庫はハウスメーカーに対して、その住宅販売を不正に支援する位方法として、「顧客の中に住宅購入と同時期に自家用車を購入したい人には、その購入費を住宅価格の一部に潜らせて融資申請をさせれば融資をする」という指導を行っていました。住宅建設計画法時代の住宅金融公庫は、ハウスメーカーが住宅を販売するためにはどのような融資も申請書類を整えれば認めてきました。政府の住宅政策の目的が経済成長と住宅産業の支援ですから、その目的に合う住宅金融は当然のように行われてきました。建設業者の目的は利潤の追求です。その利益の中に憲法や建設業法で規定されている等価交換による利益以外のものを獲得してよいかという問題があります。

建設業者登録をしている「建設業法違反の経営をする住宅サービス業者」
ハウスメーカーの住宅販売価格の内、材料費と労務費の占める割合は40%で、残りの60%は広告・宣伝、営業・販売という集客と製薬に掛けるサービス費用です。このような商品を確実に販売するためのサービス経費を回収する販売価格のことを経済学では「独占価格」と呼んできました。広告・宣伝、営業・販売というサービス業務に掛けた費用を販売価格として回収すること独占価格販売は、企業経営として当然で健全な営業と国土交通省は言ってきました。その理由は、住宅建設業は建設業法上の「建設業」ではなく、「建設サービス業」であるからだ、と建設業法を所管する国土交通省は、憲法と建設業法違反を犯しているハウスメーカーの営業を正当化してきたのです。

「建設業法で定められた建設業者」という業者の法律で規制されているモラル
建設業は建設業法で業務が定められ、国土交通省の監督下にあります。建設業者は等価交換販売をすることが憲法第14条および建設業法第19条第20条で厳密に規定されています。「建設業」という「製造業」は、材料と労務をそれぞれの管財及び労働者市場で「等価交換」で調達し、建設工事現場で建設業者が施行することで「住宅」と言う建設業者が仕入れた「材料」と「労働力」とは、効用(デザイン、機能、性能)も価値(価格で評価できる)も違った「住宅」という価値ある商品(「市場価格として評価)を造ります。販売する住宅の価値と建設業者が住宅を生産するために仕入れた材料と労務の価値(「仕入れ価格」として評価)と、現場で完成させた住宅の価値(「住宅販売価格」として評価)との差額は、建設現場で建設労働の結果創造された「労働価値」として建設業者が手に入れることが正当であると経済学上明らかにされてきました。
米国ではホームビルダーが住宅請負契約を行うときも、顧客がローンを組むときの前提として建設工事費見積もりを行い、等価交換の原則が守られる取引でないといけないとされてきました。ホームビルダーが下請け工事に必要な工事費を、その工事部分に建設先取特権{メカニックス・リエン}を担保に建設工事費の融資(コンストラクションローン)を受ける場合もその例にもれません。米国のモーゲージもそのモーゲージ債権を証券化したMBSも全て等価交換を前提にして成り立っていますから、自由主義資本主義経済は住宅産業において守られ、すべて合理的な見積もりが建設業を支えています。

建設業者が手にできる正当な利益(粗利)
住宅建設現場で創造された価値のことを「付加価値」とも説明され、それは建設業の見積もりでは粗利「マークアップ」と呼ばれ、工事請負見学の20%程度は正当な利潤(粗利)とされ、それを建設業の「適正利潤」と呼んできました。建設業法はGHQの占領下でその指導監督の下で米国の慣習法として現在も機能位している「アメリカンコンストラクションロー」を成文法化したものです。第19条(請負契約)、第20条(見積)で定められた条文のとおりです。米国では直接工事費(材料費と労務費に販売価格の20%の諸経費を加算した見積額)を住宅の価値として計算すること建設業法上認めていますが、実際の価値は、建設業法で定められた見積額を基準に住宅市場での需要と供給で決められます。
下請け業者との仕事の場合も、米国では1層下請けで、重層下請けを認めていません。生産業務をしないで口銭だけを手に入れることは労働価値ではありません。建設業として口利きによるサービス経費を手にすることは不正とされ禁止されています。下請け業者はその建設工事部分にメカニックスリエン(建設先取特権)を設定して建設金融を受けます。そのリエンと下請け工事代金の支払いは等価交換として実施されます。そのことを証明する資料が見積もり内訳書です。

金融機関に融資額は直接工事費のみ
米国の金融機関はその住宅に対する金融(ローン)を行う場合、住宅を差し押さえて売却したとき得られるお金を住宅の価値と認めていますが、差押えた住宅を住宅市場で競売等の方法で換金するために販売手数料及び販売利益という必要経費がかかります。その費用分には住宅ローンを行いません。金融機関は融資額を確実に回収しようとしていますから、回収に必要とされる経費分は当初から融資の対象にしません。米国では金融機関が資金回収するための経費も、住宅を建設する場合の経費も基本的の同額程度が必要と考えていますから、金融機関は住宅金融の段階で融資する額は、住宅の販売価格から、資金を回収する経費分は差引いた額しか融資しません。それが住宅ローンの融資率80%の根拠となっています。要するに「金融機関はローン返済不能事故が発生しても損を被らない」という前提でローンのシステムができているのです。それが自由主義経済における等価交換金融を支えているのです。

米国の金融制度から見た場合、「日本」は異常な住宅取引国家
ここまでご説明したことでご理解されたと思いますが、日本のハウスメーカーの場合、その販売価格の40%しか材料費と労務費が使われていませんから、住宅を差し押さえてその住宅を市場で売却して資金(貸金:住宅ローン残高)を回収しようとしても、市場では材料費と労務費に20%程度の粗利しか回収できません。だから、購入額の半額で売却できても、手数料を除けば貸金の40%しか回収できません。そこで不足分は担保に押さえた「住宅の土地」や「住宅ローンを組んだ住宅購入者の生命保険」を売却して回収することにならざるを得ません。
日本のMBSは住宅ローン額面通りの価格でMBS証券を発行していますから、ローン返済不能事故が発生した場合、日本のハウスメーカーの融資債権を証券化したMBSは、融資対象にした住宅の直接工事費の2.5分の一の価値しかありません。日本のMBAは、その対象になっている住宅のローン返済事故が発生したときには清算され、MBS額面とMBSの根拠になっている住宅ローンの対象となっている住宅の処分価格の差額分は、証券化を行った住宅金融支援機構が負担せざるを得ません。
住宅金融支援機構はローン債権を持ち込んだ金融機関に対し、ローン債権の取立てテるためには、ローンの対象となった住宅の処分では、貸金の回収不可能と知っていますから、金融機関が担保とした「住宅の土地」と「住宅購入者の生命保険」を使って貸金の回収をすることになります。その種のローン債権を担保にした日本のMBSは、それ(日本のMBS)によって、その額面通りの権利を回復することはできません。日本のMBSには額面通りの兌換能力がないのです。

日本のMBSの信用担保
しかし、実際にそれを実行すれが、あのバブル経済崩壊時のように、金融機関は融資額を回収するために土地と生命保険と言った担保を実行することにならざるを得ません。生命保険を本人の意図とは別に金融機関に自殺を強制させられます。保険で見込んだ事故率以上の払い戻し請求に直面して、生命保険会社の倒産が相次いだ前例があります。つまり、日本のMBSは、法律上、信用金融(リコースローン:命を採るまで債権者が債務者を追い詰める)という構成を採っているので、論理的には債権回収はできるが、そのためには裾野の広い影響が社会全体に及ぶことになります。そこで、ローン返済不能事故が発生した場合、政府が住宅金融支援機構の後ろ盾として、当面の金融制度の救済を行うことで金融不安を回避することにならざるを負えません。このような国家による異常な安全装置は、住宅金融の基本が不等価交換金融という詐欺まがいの住宅金融政策が行われているからです。

住生活基本法時代の住宅金融:MBS
政府は日本のMBSの米国のKBSと同一の名称をつけて、その説明は米国のMBSと同じもので、金融商品の一つとして市場に流通させて来ました。MBSは金融機関が住宅ローンを行って、その融資金がなくなっても、MBSを売却すれば融資金額と同額の資金を回収できるというもので、一般的に「住宅金融2次市場」と呼ばれてきました。MBSはそれ自体が金融商品です方、通貨と同じ機能を果たします。そこで国債をNBSと交換することも理論的に可能です。そうすることで国家の借金を国民の借金に置き換えることもできるのです。その国民がローン返済ができなくなり破綻しますと、自動的に国家財政も破綻します。その破綻は量的な問題がありますが、定性的にはそのような構造になっています。
日本のMBSの実像について、政府は平成25年に公表した「中古住宅改善の流通改善ラウンドテーブル報告書」で既存住宅の価値は、例外なく50年以内に半額以下になることを明言していて、其れに対応する政府が作成した減価償却理論の適用を正当化した不動作鑑定評価制度によって住宅不動産を評価すれば、既存住宅不動産の価値は、木造では20年で価値はゼロといっているから、日本の35年の超長期住宅ローンのMBSは20年で価値はゼロである。MBSの監督官庁である国土交通省と金融省はこの日本の制度上の矛盾を知っているのか知らないのかわからないが、この事実ほど日本のMBSの信用度を明らかにしているものはない。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



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