メールマガジン

HICPMメールマガジン第680号(2016.09.23)

掲載日2016 年 9 月 23 日

HICPMメールマガジン第680号(2016.09.23)
みなさんこんにちは

住宅産業関係者に知ってもらいたいこと:日本の住宅政策は国民を貧困にする
4回シリーズの最終回です。
過去3回に引き続き、最も怖い話が第4回目です。
第1回 住宅政策に必要な資金供給制度MBS
第2回 住宅建設計画法の破綻と住生活基本法
第3回 建設業者の業務:製造業者の手に入れることのできる粗利「マークアップ」
第4回 ニュータウンは不良債権の山
オランダの孫娘が驚いた多摩ニュータウン
オランダに住んでいる大学2年生の孫娘が、東京多摩ニュータウンの我家に1カ月近く生活し、最近の建て替えなどが取り組まれた多摩センターの生活を不思議な目で見ていることに気付かされました。オランダであれば、マンションは国民の資産であると皆が考えており、孫娘の住んでいるタウンハウスは、新築した延べ面積は160㎡程度で、娘が20年ほど前に1800万円で購入し、ローンは支払い終わっており、家族の生活の変化に合わせてリモデリング(増改築)を繰り返し、いつも他人に来られても恥ずかしくない状態が維持されている。そのようなリモデリングにも「投資」という意識で、社会的に評価できる内容に工事を行い、その出費が重いと不平を言っているが、それによって不動産評価も向上するため、その値上がりを計算に入れている。近くにある同時期に開発されたタウンハウスは、購入時の2.5倍の6、000万円で売却されたが、娘を含んで住宅購入者たちは、それは当然の値上がりと考えている。そのような目で多摩ニュータウンを見ると、多摩ニュータウンの居住者は、巨額な住宅資産を持っているように見える。しかし多摩センターの商店街は閑散として、とても資産のある人たちが生活しているニュータウンの中心に思えないと孫娘はいう。

多摩ニュータウンの住宅所有者の清算後の資産額
日本の住宅政策はハウスメーカーの例にみられるとおり、欧米の等価交換金融の場合に実施している融資額の2.5倍の金融を行うことで、独占販売を可能にし、金融機関には住宅購入者の米国の金融機関の2.5倍もの資金を貸し込んで貸金利益を上げている。その独占価格販売で住宅を購入させられた住宅購入者は住宅の価値に対して等価交換販売により住宅を購入するのではなく、ハウスメーカーの広告・販売、と営業船団費用を住宅の価値であるように欺罔して住宅購入価格とさせられている。その結果、日本の住宅地を販売価格ベースで見ると巨額な販売価格総額相当の住宅資産が都市に存在しているように見える。しかし、それを清算した形で見ると、ニュータウンというマンション街は、大きな債務の山である。1億円で25年前に購入した住宅は、5000万円以下でしか取引されず、清算したら債務(残債)は2000万円で、収支赤字である。多摩ニュータウンのマンション群は年収の5倍以上か、年収の6-8倍の販売価格で35年間の元利均等償還という条件でローンを組んで住宅を買ってきた人でつくられたニュータウンである。しかし、そこで起きている現象は、居住者の後を絶たない「夜逃げ」と、ディスカウント食品購買に行列のできるニュータウン居住者の街になっている。その理由を以下に検討する。住宅価格が1億円でなくても、3000万円でも、基本は同じである。

債務者ばかりの住宅地
所得の6-8倍の販売価格で住宅を、35年元利均等償還で購入した人は、住宅の購入当時は、将来の生活に夢を持った社会の中心的な労働者として、子育てと事業の発展を夢見て生活をしていた30代半ばの勤労者階層でした。その人たちが入居後25年経過した60歳を目前にした生活を振り返ると、退職、転職の選別の最終段階になっています。子供も巣立っていませんが、購入時に比較して所得は縮小し、ローン返済、湖底資産税及び都市計画税、住宅及び住宅地の修繕積立費及び維持管理費、駐車場費、組合管理費などの値上がりを比較すると収支が清算すれば、はっきり赤字になっている人が多数となり、住み続ける限り生活は都市を追って水攻めにあっていると同じで、苦しくなる一方であると理解させられます。そこでこの住宅には経済的に継続居住できないと悟り、売却を計画すると、その価格は購入時価格の良くて半額、下手すると3割にしかならない。そこでローン残債を見るとまだ購入時価格の70%残っている。保有するマンションとローン債務を清算すると、よくて20%の残債が残り、悪くすると清算をすれば、現在の住宅資産価値はと言えば、マンションを手放してもなお、購入時価格の50%のローンの残債という負債しかなく、住宅を持つことで明らかに、マンション居住者は貧困にさせられている。年収の8倍もの価格のマンションの場合、25年後に半額に値下がりすれば、年収の2.5倍の残債が残いるのですから、それ以上に値崩れしていたら、破産である。

日本のマンションニュータウンは負債の山
多摩ニュータウンの中で、護送船団の中で立身出世をしたり、天下り等で生活を保護され、又は、大きな事業で成功をしたりして所得が増進した人も好意的に見れば、30%程度はいる。そして、これらの人は住宅自体を売却しないでも生活を続けられるので、住宅自体の資産価値を購入時と同じに維持されていると騙されたままで、幸せに生活している人がいる。マンションは売却さえしなければ、資産価値がないマンションを高額で買わされたことに気付かないで済まされることも事実である。しかし、これらの成功者のように思われている人も、現時点でマンションという住宅資産を清算すれば、例外なく赤字である。そして実際、毎月の収支で赤字が生まれるようになると、現実問題としてその所有するマンション自体が貧困の原因になっているから、現実的にマンションの売却を考えなければならなくなる。すると、潜在的に隠されている負債が一挙に露出し、売却を実行すれば一挙に貧困に陥れられることになる。然し売却をしないでいれば、マンションの管理費が収入の中で支払える住居費を上回って、負債が累積し、生活はどんどん悪化していく。今、政府の指導で地方公共団体は課税標準を引き上げ、税収を増やすことに夢中である。私自身が依然路線価は低下しているのに、固定資産買いが引き上げられているという矛盾を追へ、地方税法上の不服審査請求を行ったことがある。地方税審議会は私の申し立てを受けて審査会を開催したが、その結論は、地方税法の税額決定の根拠は、地方公共団体の長が課税標準額を決めることになっているため、路線価評価が下がっていても、そこまでの範囲であれば、地方公共団体が税額を決定することになっていて、その範囲であれば適法というのが、当時審査会が総務庁に指導を仰いだ結論であった。多摩ニュータウンが債務超過状態にあることは明白である。

高額販売した立派なマンション都市の居住者は息も絶え絶え
生活苦を感じ、家計収支バランスが破綻して行こうとするマンション居住者の生活破たんに追い込まれる途から脱出しようとする人の「可能な努力」は、まず、自家用車を手放し、携帯電話を使わず、食費等の支出を抑えることでしかない。多摩ニュータウンで7時以降になって、生鮮食糧品販売の店舗に出掛けてみるといい。パックした売れ残り食料品が50%以上の割引価格で販売し、そこにディスカウント時間前は閑散としていた店舗に、門前市をなし行列ができて賑わうことになる。割引食品は短時間に売り切れてしまう。店舗側も割引販売を主力商品として販売しているようにさえ見える。
住宅を所有することで負債を抱えている人が圧倒的多数を占める日本の最大の多摩ニュータウンの消費者の購買力は縮小し、多数の居住者はマイナスの購買力である。しかし、政府はそのような生活に多摩ニュータウンの居住者が追い込まれたのは、国民の自己責任と言い続け、決して住宅政策の失敗であるとは言わない。

住宅不動産の中に占める地価の本当の価値
国土交通省の元事務次官と総務省元大臣がTVに登場して、都市衰退は「少子高齢化」であるといい、コンパクトシティやって帰を推進すればよいというようなことを言い、行政が国民を騙してきて、貧困に貶めていて、国民が夜逃げをする人の気持ちにさせられてマンションから退去し、廃棄処分する直前の食品を購入するために群れを成して集まっている原因が政府の住宅政策の結果起きていることを知ろうともしていない。2人のもと大臣と次官は、空き家は租税特別措置法を受けて異常な減税利益を受けているから、住宅を潰し、税収を挙げるべきであると主張した。これは論理が逆である。政府は公団・公社に7.6%商業金利で「3割の公共減歩、3割の保留地減歩」の宅地開発を行わせ、高額の宅地分譲を行ってきた。そこではまともなビルドアップは望めないので、租税措置法による6分の5減税を行い土地のビルドアップを行ってきた。宅地造成業者に高額な宅地造成を行わしめ、宅地価格を高額に財政投融資にもうけを与え、ビルドアップのため、地価を低く操作してきた。

日本の高住宅不動産価格の底に眠る政府のでっち上げた地価とMBSの信用
日本の高地価は、土木業者の巨額な宅地造成事業を行わせ、高い造成金利を転嫁し、その矛盾を解消するという言い訳により、税額負担を切り下げさせた。国民は6分の1に減額された地価負担が所得とバランスしているという意味では、日本の本当の地価は課税標準として人為的に決められたものが無視と経済理論的には適正地価と考えるべきである。校舎公団が実施した宅地造成価格を政府は増勢原価と説明してきたが、それは虚構であって、本当は財政投融資の利息稼ぎが宅地販売価格にフレームアップされたもので、宅地購入者の支払い能力対応では租税特別措置法を受けたものでなければならないということでは、本当の地価は租税特別措置法による減免地価というべきである。政府の金儲けのための操作地価を前提に住宅不動産取引が行われ、国民が不当な高地価負担をさせられてきたとみるべきである。その高地価構造の中で国民のローン返済不能事故が起きている。その本当の価値が全く分からない怪しい住宅不動産価格に対する住宅ローン債務が日本のMBSの額面価格になっている。

住宅ローン返済不能事故の責任はどこにあるか
国民は「自分には甲斐性がなかった」と自分の無力を恥じ、政府の政策を批判することもせず、その苦しさを隠し続け、耐え続けている。マンションからの退去者は「夜逃げ欧前」の心境である。こんな理不尽な政治や住宅政策を放置してよいか。その人たちは高齢化し、年金生活に入り、疾病などで家計支出が膨らむとその拍子に一挙に顕在化する。多摩ニュータウン全体が拡大する債務を抱えた人たちが経年するとともに拡大する住宅地になっている。多摩ニュータウンには多くの大学もあり、ジャーナリストも沢山住んでいるが、そこからの国民生活情報は殆ど発信されない。住宅購入者の自己責任と説明することで政府は責任逃れをしてきたが、政府の住宅・宅地政策と一体不可分の財政投融資資金の運用にその責任があるとしたら、MBSの責任は相乗化され、国民に大きくしわ寄せられていることになる。分かり易く言えば、日本のMBSは額面の半部以下の価値しかない。価値の半分の価値の住宅が独占販売による2倍以上の価格で販売され、2倍のローンを組まされ、当然のように返済不能になる。返済不能事故は、そのローン債権をその額面と売りのローン証券(MBS)であると騙って、金融2次マーケットで資金集めをしているとき、財投資金がその価値の半分以下の日本MBSと額面上の子の第4回でお話しした「世逃げ」等価交換させられている。その不等価交換による損失は基本的に住宅購入者が背負わされるわけであるが、MBSの不等価交換を生産する仕組みは住宅金融支援機構という政府が損失負担しなければならないが、その尻拭いの能力を持たない。国家経済破綻しかない。バブル経済崩壊時には、生命保険会社が破綻した。今回は住宅金融支援機構が第1義的に責任を負わなければならない。しかし、その責任をだれが背負わなければならないことをしっかり認識していないところにさらなる危険がある。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世)



コメント投稿




powerd by デジコム