メールマガジン

HICPMメールマガジン第688号(2016年11月19日)

掲載日2016 年 11 月 21 日

HICPMメールマガジン第688号(2016.11.20)
みなさんこんにちは

予測しにくい時代の到来
英国がEUを離脱して、トランプが米国大統領選挙に当選し、韓国朴大統領が汚職疑惑で支持率ゼロになるといった世界各国の政治情勢の変化により、日本政治・経済はあれる世界に翻弄され、日本の住宅産業関係者も先に見えぬ時代に経営の展望を築けないでいる企業も多いと思います。私は不確実性の時代に直面して、欧米のホームビルダー経営と住宅政策を半世紀近く観察してきて、今、日本の工務店が取り組むべきことが何かについて、次のような私の経験を通して、全米ホームビルダー協会が一貫して行ってきたことであるとはっきり言えます。

欧米から見習うべき住宅地経営
米国のホームビルダーの住宅産業経営は、製造業者として建設業経営を行うことで、広告・宣伝、営業・販売には費用をかけるなといてきました。住宅購入者の依頼を受けてそのニーズに応えて努力してきたホームビルダーは、自らの専門性を売り物にする限り、時代の変化に左右されることなく仕事を受注して、「不況の影響」をあまり受けません。その理由を調べてみると優れたホームビルダーは、地元に根を張って高い評判を背景に、堅実な顧客が付いいます。それらの顧客は自分の生活を大切にし、ライフステージの変化に合わせて満足できる住宅を入手しようと考え、住宅需要そのものが計画性の高いため、あまり景気や経済に左右されない需要客ウエイティングしているためです。

工務店経営の原点
住宅はどの時代でも、住宅購入者の貧富にかかわらず、その購入価格は購入者の住宅費負担能力に比べ圧倒的に高く、その購入には住宅ローンを借り入れることがほとんど条件になります。ホームビルダーは建築主の家計支出能力を理解していて、確実にモーゲージが得られる住宅を供給すれば、住宅購入者は安心して仕事を依頼できます。米国をはじめ、日本以外の国では住宅ローンはモーゲージと言って等価交換金融ですから、金融機関は融資に当たって融資対象住宅の資産価値と住宅購入者のローン支払い能力を審査して、十分な返済能力を評価し、建設する住宅の市場取引額を評価しから融資をします。自由主義経済国家においては、「公平な取引」が取引価格の安定の基礎となっているため、取り引き価格額も建設業法で定められた見積額を根拠に行われます。米国の建設業者は見積価格の透明性とできるだけ安い価格での供給を重視しています。請負契約額も融資額も建設業法で定められた見積額を根拠に行われます。また不動産取引の場合、住宅不動産は必ず鑑定評価され、等価交換の原則に違反する行為は、「詐欺(フラウド:Fraud)」として刑事罰の対象になります。

建設業の公正な取引を担保する法律
米国におけるホームビルダーの公正な取引(請負契約)を規制監督する法律が建設業法(アメリカン・コンストラクション・ロー)と言って、慣習法(コモンロー)として定められています。実は戦後日本にやってきたGHQは、戦後復興と米軍の染料支配に建設業が不可欠であることから1950年、当時建設3方と言われた建設業法、建築士法、建築基準法を制定させ、それぞれに米国の法律を持ち込みました。この3法には私自身が官僚時代、この3法律の施行に関係し、中でも建築基準法第5次改正のときには防火避難規定の改正(立法)を担当しました。当時、日本の防火避難関係の学問・技術が全く粗末であったため、米国のUBC(ユニフォーム・ビルディング・コード:統一建築法規)に倣って、法律改正をしました。しかし、日本の建築学界や東京大学は、「日本の建築学界を粗末にしてくれた」とジャーナリズムを使って場外乱闘を始めました。その代表例が「建築文化」での公開論争です。私自身は建築基準法改正作業では、建築の防耐火と火災非難の理論と法律規定の関係をUBCから教えられ、米国の建築技術と学問水準の高いことが、法律に反映していることを学びました。

建築士法と建設業法の施行
建築基準法の改正後、その普及徹底を業界団体に行うため、私は建築指導課で建築士法の施行を担当する建築士班長となり、改正建築基準法の技術条文の徹底と合わせ、建築基準法が状態規定として建築物が存在する間、適法に維持管理されるよう、建築基準法第5次改正で立法した定期調査・検査制度の新設をしました。その立法内容の徹底を図るために建築士法第18条で定める「誠実業務」の実施という点で違反建築士の監督の強化を行いました。そのとき建築士法に関しては立法当時の背景を勉強しました。戦後GHQが米軍の仕事の工事監理者を必要としているため、建築士法の立法が緊急性を要していた事実を知りました。そこで請負契約の重要性と生産図面・仕様書としての計圖書と材料と工事技能労働者の数量と単価を明確にした工事費見積書の作成の重要性が重視されました。本来建築士法上の設計図書は建築工事の清算図面を作成することで、見積もりをするための圖書でした。しかし、日本では、建築基準法上の確認申請書用の図面を作成することが設計作業とされ、清算図面の作成は行いませんでした。それは、公共事業に政治と行政とが一体となって、公共事業をマネーロンダリングの手段として政治献金と官僚の天下りとして利用され、設計圖書通りの工事をすることは考えられておらず、見積書は重層下請けの都度やせ細っていくことが実情で、立法後、建設業法は骨抜きにされ、公共事業は建設業法違反をすることで公共事業業者と政治家が税金を手に入れる仕組みになっている事実を知りました。それが「材工一式」単価で、会計検査院まで癒着した欺罔見積もりをする仕組みが定着してしまいました。住宅産業は建設省が行っていて公共事業の不正な方法を住宅行政で踏襲だけでした。

2×4工法導入の背景
私が建築士法担当していたとき、ベトナム戦争末期でドル危機が起こり、需要は冷え込み、住宅不動産業は厳しい環境にありました。北米の住宅が日本の住宅の半額で供給されている事実の鑑み、2×4工法を日本に導入するかどうかの判断をするため、私はカナダ政府の要請を受けて、日本政府としての調査を行うことを命じられ、約1か月間カナダの4都市を訪問し、政府と研究機関と住宅産業界を調査しました。先に私が関係して建築基準法改正で取り入れた建築物の防火避難に関して、カナダは米国と一体で建築法規の原案作成に関係していて、2×4工法を耐火建築物として実施していた状況をカナダ政府で建築研究所の関係者から学ぶことができました。また、住宅の見積もりが材工分離で厳密に行われ、優秀な技能者を高い賃金で雇用するため、生産性を高めることに大きな努力がはらわれていることに驚きました。その強力なカナダの住宅産業に触発され、2×4工法を日本で一般化することに取り組みました。帰国後、カナダの2×4工法建築法規に関し、特にダイアフラムの理論が理解できないまま、とりあえず「枠組み壁工法技術基準」を建築基準法第38条に基づく告示として交付し、理解のできなかった部分は5年間5億円の建設省総合開発プロジェクト(総プロ)で明らかにすることになりました。しかし、その段階で私はインドネシアに派遣され、その研究開発は予算通りの研究開発が行われないという理由で中止されました。研究管理を行えませんでした。

帰国後の取り組み
私はそれまでの住宅・建築法規の取り組みで、日本・アメリカ・カナダ三国の建築法規比較を研究し、日本建築学会計画系論文報告書に六編の論文として報告しました。その目的は、直接的には大学から教授として受け入れたいという要請の条件として学位取得を求められたことがありますが、より本質的には日本における住宅・建築産業を健全に育成するためには科学的に合理的な法律制度とその背景に科学的に合理的な学問体系が必要であることを訴える必要を認めたからです。私の学位論文は、東京大学と京都大学の2人の教授の妨害で実現できませんでしたが、この論文作成作業は、その後、NPO法人住宅生産性研究会を創設し、欧米からの技術移転をする作業に繋がっていきました。日本のようにべ国やカナダと比較して2倍以上高い費用で住宅を購入させられている状況を改善するためには、米国やかなででそれを実現しているのであるから、その必然的な理由を解明し、理屈通り、米国やカナダに倣うことから始めようというのがその後の私の取り組み方でした。

NAHBとの相互友好協力協定で分かったこと
1996年全米ホームビルダー協会(NAHB)と相互友好協力協定を締結しNAHBがこれまで蓄積した住宅及び住宅地経営に関する技術の日本国内への移転をすることを通じて、米国内における住宅産業がきわめて合理的な考え方に立ってその業務が行われていることを知ることができた。HICPMでは日本と米国とヨーロッパの住宅産業を比較検討することを通してわが国の住宅産業を改善するためには、日本の住宅産業に関する法律制度及びそれに対応する学問事態が合理的に改善されない限り、工務店がどれだけ努力してもその産業体質の改善はできません。その最大の鍵は住宅を建設する工務店が米国やカナダのホームビルダーのように建設業経営管理技術(CM)を高め、高い生産性を挙げることであると米国・カナダから指摘され、CM技術を日本の住宅産業に技術移転する仕事を行ってきました。しかし、22年間CM技術を日本に技術移転する努力をしてきましたが、その妨害をして私たちの前に立ちはだかっている大きな力を発見しました。それが日本政府であり、日本の住宅産業政策を進めてきた国土交通省であったのです。日本政府は欧米のような建設業経営をすることを妨害し、政・行・産・学の護送船団によって、不等価交換販売と不等価交換金融を行うことで不正な利益を国民から奪い、国民は例外なむ住宅を取得することで貧困になる社会が造られてきました。

工務店の取り組むべきこと
私の半世紀にわたる住宅問題との取り組みから導き出した結論は、衣食住産業は人類が滅亡するまで存続する産業であるが、その産業で提供できるものは、エンドユーザー(国民)の家計支出との対応できる範囲であることから、産業自体が国民の購買能力及び住居費支出の範囲で、国民のニーズに方得ることができる限り、その産業は継続することができる。その場合、住宅建設業は基本的に材料と建設労働翼なしには消費者が求める住宅の一部または全部を供給することはできないので、建設業法に定められている見積もりの構成要素である材料費と建設労務費は、消費者ニーズに最低限応えるため不可欠の物である。つまり、建設業経営としては、材料費と労務費とそれて住宅を建設する業務はエンドユーザーのニーズを満足させるために必要不可欠なものであるため、その建設工事費で行われる工事は需要を失うことにはならない。しかし、日本は米国と状況が違い以下の不安があります。
その不安とは、、政府は建設業であるが、日本では住宅建設業者に建設サービス業と産業分類にもない産業分類を行い、広告・宣伝、営業・販売にかかった費用を材工一式の建設単価と欺罔して、住宅購入者から取り上げてよいという行政を行ってきました。それを最先端で行ってきたハウスメーカーによる住宅経営こそ政府が理想とするものと言わぬばかりに安倍内閣は大和建設会長の大叙勲を贈りました。そのような販売価格を経済学では独占価格と言い、そのハウスメーカーの独占価格どおりに不等価交換金融を行っているのが日本の金融機関で、政府は住宅金融支援機構にその金融債権の額面通りの額でMBSという住宅証券として買い上げ、MBSの額面通りの価格で我々の郵便貯金や簡易保険で買い上げ、金融機関に融資を行っています。もし住宅ローンが返済不能になったとき、モーゲージではないクレジット金融のローン債権のMBSと名付けた証券破綻したローン債権をMBSと欺罔した名称を付けた日本のMBSと額面で交換された私たちの預金や保険はどうなるのでしょうか。この問題は別の機会に説明します。

現在の環境下で生き残る方法
現在の工務店の業務改善の途は、欧米のホームビルダーに倣って、広告・宣伝、営業・販売というサービス業務と支出した費用を請負工事費と欺罔して販売価格で回収をしないことである。別の言い方をすれば、「材工一式」見積もりをやめ、重層下請けをやめ、「半値8掛け5割引き」という「上代と下代」を使い分け、消費者に対する工事見積額を欺罔する現在の政府が容認している建設業経営を改めない限り、建設業者は消費者からの信頼を取り戻すことはできない。
工務店は米国のホームビルダーのように、自分が建設した住宅自体を自社の広告宣伝をする看板に使い、住宅購入者が、その住宅に生活して満足した気持ちを社会に広くばら撒くことで、結果的に、工務店が行う広告・宣伝、営業・販売をかけないで、住宅を販売することになり、住宅購入者の負担を少なくすることができます。工務店に「あそこの工務店は広告・宣伝、営業・販売にかけた経費を販売価格に混ぜ込んで、ハウスメーカーのような不当な利益を追求する企業ではないことを知って、安心してやってきてくれるようになることが重要ですが、資本規模が小さな工務店はそれだけを見て信用の低い企業と思われています。企業の信用力は、その企業が過去に行ってきた誠実さによって評価されるべきで、資金力で評価されるべきではないと思います。
トランプのように資金力があっても、詐欺と詐欺まがいの取引を行ってきた人に信用力はありません。お金を持っていても悪いことを行う人はたくさんいます。資金力がなくても誠実に仕事をやってきた人は信用できます。NAHBはその会員に対し評判(レピュテイション)の高くなるホームビルダー経営をすれば、ウエイティングのできる経営をすることができるといっています。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷英世)



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