メールマガジン

HICPMメールマガジン第689号(2016.11.28)

掲載日2016 年 11 月 28 日

HICPMメールマガジン第689号(2016.11.28)
みなさんこんにちは

破綻している日本の住宅政策
日本の住宅産業自体が大きな壁にぶち当たっていることを感じます。その理由は住宅需要自体が冷え込んでいることです。住宅産業は顧客を見つけ、手離れの良い仕事をするという業者本位の仕事に追われ、その先にいる消費者はともかく、住宅を購入してくれる対象購入(購入者)にしかなっていません。購入者が必要とする資金は金融機関が満額融資するから、購入をさせる心配はなく、販売してしまえば、住宅会社から手離れをし、あとは金融機関がローン債務を取り立てるだけ、という手離れの良い業務が現在の住宅産業の業務です。政府の住宅政策で行っていることは「差別化」を行うことで住宅会社が希望する販売価格で住宅を販売することだけです。

「住宅購入は住宅投資」という欧米の常識が利かない日本
住宅を購入してくれた消費者に、住宅投資をさせているという認識を持っている工務店はほとんどいないのではないでしょうか。投資という概念は、購入した住宅によって、住宅購入者は資産を増大させ、大きな利益を受けるということです。欧米の住宅は基本的に住宅購入者の資産を増殖させることで信用を得て事業を拡大しています。日本政府の住宅政策に消費者の利益という概念は全くなく、長期優良住宅制度のように政府の外郭団体の仕事を増やし、そこで天下り人事を行うといった全く歪んだ政策しか行われていないことにあります。

ハウスメーカーの独占価格を正当化する住宅政策
政府は住宅会社が住宅価格を欺罔するために使い、独占価格の正当性を説明する小道具に長期優良住宅であるとかゼロエネルギー政策を持ち込んでいます。それらの政府施策住宅で住宅の資産価値が向上する保証も事実もありません。私が試算したところでは、長期優良住宅とか、ゼロエネルギー住宅とか、政府が住宅政策として行っている行政事務に関する建築主の住宅価格増は300万円以上になります。それは審査申請関係の費用(資料作成から審査手数料とを含み会社が負担する費用に必要経費を加算した場合の最小限の費用)です。欧米のモーゲージという等価交換金融の場合、日本の長期優良住宅政策で住宅価格が高くなっても、その費用は融資対象にされません。

「自動車購入費を住宅ローンで認めた金融公庫」と同じ路線
私はこの状況を見ていると、かつて住宅金融公庫がハウスメーカーの住宅の住宅販売を推進するための支援として、住宅と同時に自家用車の購入を勧め、その融資額を住宅金融公庫に住宅建築費の一部として申請すれば、すべて融資対象にすることを行っていたことを思い出します。住宅金融公庫の融資は等価販売金融ではなく、基本的に屋融資額の3倍近い担保(住宅建築費、その土地、住宅建築費と同額以上の生命保険料)を抑えて金融を行っているものですから、その担保の範囲内であれば、貸し込んだ方が金融公庫の利益も増えるためです。しかし、制度上は住宅金融ですから、工事請負契約額が上限になります。その工事請負経学の中に潜り込ませれば、自動車の購入費を融資しても良いという理屈です。わたく書の知人の多くはハウスメーカーの指導で、住宅金融公庫の融資で自家用車を購入しました。

政府が推進している「差別化」住宅政策
現在、政府は住宅建設業は建設工事業ではなく、建設サービス業であるから、「工事費以外の広告・宣伝、営業・販売にかかるすべてのサービス経費は販売額として回収をしてよい」という行政指導を行ってきました。それを政府は「差別化」経営と言って、住宅産業が企業経営として自由競争する重要な事業であるといってきました。「差別化」という経営は、住宅の品質(デザイン、機能、性能)という個性の違いを品質の優劣であると同時に価値の優劣の関係として説明し、顧客の満足する品質の住宅は価値の高い住宅として住宅会社が定める独占価格で売却して正当であるという説明をしてきました。独占価格は、広告・宣伝、営業・販売にかけた費用を回収する価格です。

「使用価値」を「経済価値」と欺罔する「差別化」政策

住宅の品質(デザイン・機能・性能)の優劣や顧客満足はそれぞれの品質ごとに業者と住宅購入者の間で固めていくことで、そのことは満足した住宅を手に入れるために必要なことです。しかし、それは品質の満足であって、住宅の価格(経済的価値)の満足ではありません。住宅自体の価値はその平均的価格(自然価格)は、請負契約の前提となっている建築工事見積もりにおいて見積額として住宅会社が提示しますが、実際の住宅価格はその見積額をめぐって、建築主と住宅会社が折衝をして、需要と供給との綱引きの結果定めるものです。住宅の品質として顧客と住宅会社のやりときで決められたものは、経済学的には住宅の使用価値(デザイン、機能、性能)を受給関係によって決めたもので、住宅の経済価値を決定したものではありません。

「住宅の経済価値」の決定方法
住宅の価値は前述したとおり、建設業法第20条に定める見積もりによって社会的な平均価格(経済学では「自然価格)という)が示され、その自然価格を軸に住宅会社と住宅購入者の折衝(需給関係を反映して)によって取引価格が決められます。その見積価格は材料と労務の必要雨量と単価を明らかにして、見積額と実際の工事内容を吟味検討して工事額が確認されます。「上代価格」と半値8掛け5割引きの「下代価格」があって、その上代価格で見積もるというようなことはあってはなりません。

「需給関係」という言葉で価値決定を欺罔し、それを不等価交換で幇助する住宅政策
差別化という行為は、住宅の使用価値(品質:デザイン、機能、性能)で顧客満足させたから、そこで顧客が満足して住宅は、需給関係で決められた品質の住宅であるから、その取引価格は独占価格でよいという考え方を言います。住宅の使用価値(品質)を決めるときの需給関係では、その住宅の価値(経済的価値)に関し、原価公開での説明も取引当事者の間でのやり取りも行われていません。しかし、品質決定の間での取引当事者のやり取りの間で、価格に関するやり取りも行われたかのように欺罔して、独占価格販売を正当な価格販売のように見せて行っているのが「差別化取引」です。

「経費率」を持ち込んで見積もり内訳を判断できなくする「詐欺の手法」
住宅見積ではサービス業務に要する費用は経費率としてあらわされ、「材工一式」という建設業法違反の単価に様々な経費率が乗じられて見積価格が決められる仕組みがとられています。このからくりを理解できない住宅購入者は結局「差別化」販売の犠牲にさせられています。このハウスメーカーが一般的に行っている欺罔見積もりが多くの工務店の見積もりに影響を与え、消費者が不当な価格で住宅を購入させられている仕組みの基本に不等価交換金融が政府の指導で行われてきたことです。

住宅所有者が「息」をすることが難しくなっている多摩ニュータウン
現在日本の住宅産業は国の住宅政策がハウスメーカーの住宅販売を正当化する建設業法に違反する詐欺商売を支持しているために、正しい住宅建設業経営はわからなくさせられていると思います。私自身すでに半世紀近く建設業法違反の住宅産業経営を是正しなければならないことを提唱し続けてきましたが、日本の政府自身が犯罪を支持してきたため、その改善はできなかったのです。しかし、現在日本の国民は住宅購入をすることで資産を失い、老後の生活を危険にする事態が発生しています。私が生活している多摩ニュータウンに来れば、住宅購入者が購入したマンションが実際の価値の2倍以上の価格で販売され、ローン返済が苦しくなって、20年後、そのマンションを手放そうとして時の中古マンション価格は半額以下で、そのときのローン残高は70%残っているため、住宅を売却して20%の債務が残ってしまうことになります。

食費のやりくりを生活の中心課題にしている工学論債務者
まだ住宅の売却を決断できない人はその購買力はないため、スパーに買い物に来た人たちは、最近の野菜高騰価格を見て、どのような献立で分けて食事に使うかを考えて、価格を見て思案している姿が目立ちます。出展している多くの店舗も入れ替わりが多く、その都度、店はみすぼらしくなっていきます。住宅が国民全体を貧困化させているのです。高級分譲住宅地の近くのスパーでも同じ傾向が強くなって、購買力、中でも食料品の購買力が急激に下がっているといわれています。多くの国民にできる対策は食費を抑えることしかないからです。住宅を購入することが国民を貧困に貶めることであると多くの国民は考えるようになって、住宅を積極的に買わないようにしようというムードが高まっています。

HICPMの取り組み
私はこの数年取り組んできた「住宅を取得することで資産を形成する欧米の住宅産業の取り組みを日本でも実践しなければと考え、これからHICPMの会員にも広く働きかけて欧米で実現している必然的な実現方法を日本でも実践していこうと思っています。そのためには、理論的に正しい方法でなければ実現することはできないので、まず、欧米の「住宅を取得することで住宅購入者の資産を形成している実際とその必然化している理屈」を学んでもらおうと思っています。1月のNAHB/IBSに合わせて欧米の住宅による資産形成の歴史を実際の住宅地を見学することで学んでもらおうと思っています。帰国後はその報告会を行います。

12月7日の住宅による資産形成を実現する「北欧の住宅セミナー」のお誘い
12月7日午後2時HICPM会議室で開催する(千代田区飯田橋2-13-3仁藤ビル2F)住宅生産性研究会でHICPMとグローバル研修企画共催のセミナーは「北欧の住宅調査報告」を通して住宅により資産形成を実現しているフィンランドの「ストックマンション」とスウェーデンの「コレクティブハウス」の現状を説明することにいたしますので、ご参加ください。
(NPO法人住宅生産性研究会 理事長 戸谷 英世)



コメント投稿




powerd by デジコム