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HICPMメールマガジン第703号(2017.01,05)

掲載日2017 年 1 月 4 日

HICPMメールマガジン第703号(2017.01.05)
皆様、明けましておめでとうございます。

NAHB/IBSのツアー
1月6日からNAHB/IBSのツアー(グローバル研修企画とHICPM共催)がありまして1月16日まで留守にします。その間の連絡は妻が事務所に出ていますので連絡は取れます。
米国の住宅産業の動向が見られるため、私は大いに楽しみにしていますが、日本の住宅産業界の米国の住宅産業界に対する関心が殆どないに等しいことは残念なことですが、帰国後の報告会には、できるだけ多くの方にご関心を持って参加していただけるよう米国の住宅産業情報の収集に努めたいと思っています。事前情報では、米国の住宅産業は健全に成長をしており、国家の経済にとって大きな柱になっているということで、TNAH(ザ・ニュー・アメリカン・ホーム)やIBS(インターナショナルビル・ダーズ・ショウ)の出展内容にどのような特色が表れているかを見てきます。今回のツアーは昨年の9月に訪問した米国最初のガーデンシテイ「フォレスト・ヒルズ・ガーデンズ」を見ていただこうと企画しましたので、参加者がどのように感じてくれるかが一つの楽しみです。そして今回のツアーではハワードのガーデンシテイが米国で展開されて、20世紀末には「ハワードの実現できなかった夢の実現」と言われたデズニー社第5代社長アイズナーが実現した「セレブレイション」につながる1920年代以前に開発された米国で安全で資産形成を実現させてきた伝統的近隣住区と、1980年代に入って、その伝統的近隣住区理論を再現させた住宅地開発(TND:伝統的近隣住区開発)プロジェクトが、その後どのように熟成しているかを見学することにしています。

HICPMの拘り:CM教育の実施
1995年に住宅生産性研究会が発足されたときは、政府(建設省、通産省)が円高(1ドル240円から130円、さらに80円を切る円ドル環境)の経済環境を利用して輸入住宅政策を強力に実施していた時代で、米国政府およびカナダ政府はいずれも日本の住宅生産性が低いことに着目し、住宅建設業者の現場の工事施工生産性を高めることで、住宅購入者により低い経済負担で住宅を供給できれば、米国にとっての住宅建材、住宅設備の対日輸出は振興されると考え、米国政府は日本の北は北海道から、南は九州まで、列島縦断の「コンストラクションマネジメント」セミナーを実施した。
高度経済成長時代の日本の自動車生産は、米国の自動車生産性向上に倣って、大きな成果を上げたことを評価し、かつ、米国における住宅の現場における高い生産性は、米国では国を挙げて住宅生産の向上に取り組んだことを学び、HICPMは住宅生産性を飛躍的に向上させるためには、住宅生産において現場の工場生産を飛躍的な向上に国を挙げて取り組みことを置いてないと判断した。しかし、日本政府にはに工務店よる住宅生産性向上に向かう意思も認識もなかった。そこで、私たちは全米ホームビルダー協会(NAHB)が1960年代に取り組んだホームビルダーに対するCM(コンストラクションマネジメント)技術の普及展開に倣うことにした。NAHBがホームビルダーたちに研修したCMテキストを邦訳し解説を加えたものを社会職業教育として実施した。
しかし、日本の住宅産業界には、無理、無駄、斑を排除して生産性を高める米国のホームビルダーの動機付けはなく、企業利益を高めるためには販売価格が上昇しても、それに見合う融資を行えば、消費者は購入できるという理屈で、不等価交換販売と不等価交換金融政策が実施された。HICPMはNAHBに倣い、住宅の生産性を高め、国民の購買力の範囲で住宅を供給する必要を認め、CM教育を展開した。しかし、約20年間のCM教育は政府の妨害で日本に定着することはできなかった。

日本政府の住宅政策:不等価交換販売と不等価交換金融
欧米の住宅政策は住宅購入者の購買能力の範囲で住宅の価値に見合う価格の住宅を供給する等価交換販売と等価交換金融を実施するものである。工事請負契約のときの工事価格は原価公開の見積書を前提にし、住宅ローンの場合の融資額は価値と同額の見積書の証明が必要とされる。住宅の価値は直接工事費に契約額の約20%程度の諸経費は含まれるとするが、金融機関の行うモーゲージは直接工事費に限られる。そのため、米国では建築主もホームビルダーも直接工事費を引き下げることに高い関心を持ち、工事諸経費を最初に抑えることに努力することになる。CM(建設業経営管理業務)の関心事は材料と労務の数量と単価に介在する無理、無駄、斑を最小にすることである。
一方、日本の住宅産業では、材料及び労務が建設現場で最小になるようにプレカット材量や、単純な接合でできるようになっているが、構成材を生産する工場での無理、無駄、斑の発生に対する関心は低い。また、工場で加工された材料が大きなボリュームとなり、単位部材は大きな重量のため大きな重機を使って運搬されることと部材の取引で流通経費が高額化するが、それらは部材費用にされていて、工務店ではけることができない要素になっている。「半値8掛け、5割引き」と言われる建築部材のメーカー小売価格(上代)とメーカー納品価格(下代)の関係は5倍以上になる場合がある。
バスユニット、システムキッチン、衛生陶器、枠付きやガラス組み込みの窓やドアのハウスメーカーと中小零細工務店のしれ価格の比は、5倍程度になっていることも一般的である。住宅建設工事費が、設計圖書が同じで住宅を供給する業者によって、消費者がこれほど大きな価格差になることの不条理さを国家が建設業法上、銀行法上で容認していることは、法治国家として考えられないことである。これらの事実は憲法第14条で定める平等の原則に対する違反である。

過大のローン負担が返済できなくなったとき
すでにバブル時代に購入した住宅のローン返済がその後20年経過して返済不能に陥ったとき、ローン返済を中断する途はその住宅を手放す以外に方法はない。問題は住宅購入後20年を経過した住宅の中古住宅価格は購入時の良くて半額、下手をすると30%以下に評価されてしまう。政府が説明する木造住宅の中古住宅価格が20年で減価償却をするとすれば、ローン返済不能で差し押さえられた住宅の価値はゼロとなる。土地価格は固定資産税として課税標準として評価される価格はこの20年間に上昇していると説明されているが、それは課税標準価格として帳簿上上昇しているとされているだけで市場価格ではない。周辺の住宅に空き家が続出し、この地域は衰退していることが証明されているのに、地価が課税標準通りに上昇しているはずはない。実際に土地を売却したくても課税標準額通り売却はできない。土地建物全体が住宅不動産市場で売れないのである。結局、住宅不動産所有者は売れない住宅不動産の固定資産税を払い続けるほか途はないことになる。
わかりやすく言えば、消費者が抱えた不動産には、購入時から購入価格相当の価値のないものを購入させられたというだけのことである。そして土地と住宅部分は理論上も実際上も不可分一体の不動産であるにもかかわらず、土地と住宅は独立した不動産であると民法上説明され、住宅は減価償却し、土地は恒久的財産であるともっともらしい説明がされてはいるが、それはいいわけでしかすぎず、土地と住宅を独立した不動産と扱うことなど理論上も実際上もできるはずはない。国家が決めているからと言って社会科学的な理屈の通らないことを国家が決めているからそれが正しいということになれば、道理は引っ込まざるを得なくなる。

現在の日本の取り組むべき取り組み
こと住宅政策、住宅産業に関することで、国民が不当に貧困化させられていることを、国が責任逃れの言い訳をして国民を貧困化に陥れようとしていることを容認してはならない。法治国ということは「悪法も法」という馬鹿げたことを「法廷刑罰主義」を盾に主張する政府や大学の法学者・法律研究者の理屈を許すことであってはならない。その結果、日本社会においてだけ、国民が住宅を取得することで貧困にさせられている。
HICPMは一貫して社会科学の理屈に適合した考え方で社会経済は動かされ、法律もまた社会科学的に適正でなければならないという主張をしてきた。いう米では国民が住宅を取得することで個人資産を形成しているのに、日本では住宅を取得することで、国民が貧困化していることには正当な理由はなく、そのような政策は改められるべきであると主張してきた。住宅購入者の資産を守ることこそ、私たち住宅産業関係者が取り組むべきことである。
今年の壱年は、この原則に立ち戻って、HICPMとしての運動を構築したいと考えている。

NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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