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HICPMメールマガジン第712号(2017.03.13)

掲載日2017 年 3 月 13 日

HICPMメールマガジン第712号(2017.03.13)
皆さんこんにちは

「下流老人」・正続
『下流老人』・正続は、長寿社会は、年金生活で老人ホームにも特別養護老人ホームにも入所することのできない社会だということが分かりやすく書いてある本です。しかも、日本国の公序良俗といわれた「敬老精神に立った家族で、介護老人の世話をし、国家の支援を受けない依頼心を持たない生き方」が、一家心中を含む家族を巻き込んだ貧困生活の行きつくところであるということが分かりやすく説明してあります。日本国憲法では、「国家と国民の権利と義務」の関係が書いてあって納税義務を果たしている国民はタックスペイヤーとして税金の使途を厳しく監視しなければいけないことを示唆しています。この本に登場する『下流老人』は国家が日本国憲法によってその生活を保障することになっていて、そのために必要な費用は国民が税金を納税することになっています。しかし、安倍内閣が行っている政治は、国民から集めた税金は所掌夫人の世話係の賃金や旅費に使われ、また首相不順を名誉校長にした学校法人に国有財産をタダ同然で譲渡する費用に使われていることに象徴的に表れているのです。

安倍首相夫人が名誉校長だった学校法人
「首相夫人が公権力を乱用しながら、私人である」と主張し、そのポケットマネーで国家公務員を勝手に使うことができる政府とはどこの政府でしょうか。韓国の大統領のことではありません。旅費を安倍夫人はポケットマネーで支出したかもしれませんが、その公務員給与はどうしたのでしょうか。そのことに関しては何も説明されていません。安倍首相夫人でなければ、学校法人も名誉校長にすることはなかったでしょうし、その学校の国有地をダダ同然の価格で譲渡することはなかったはずです。安倍夫人は、国家権力を握る安倍首相の妻であったため、官僚機構もすべて首相の覚えをよくしようとして奴隷となって働いたわけで、私人か公人化などという議論以前の問題です。首相が自分に無関係の問題のように知らんふりを決め込んでいることもひどい態度ですが、自民党という政府与党も、連立する公明党も、それを追及する野党も、関係する行政機関の何を考えているのかわかりません。その非常識さは、TVやラジオ、新聞などジャーナリズムに対しても指摘されるべきことです。

『下流老人』再生産構造
この本にも少し指摘されていますが、わたくしは小見出しの理由は、わが国の住宅政策と住宅産業構造が不正のモデル構造を作っているとかねがね指摘してきたことです。それは「不等価交換販売」と「不等価交換金融」を住宅政策上正当化してきたことにより、住宅を購入した人たちが国土交通省の公式報告書に書かれている通り、「住宅購入した人たちは例外なく、全員がその購入価格の半額を住宅を購入してから50年以内に失っている」ためです。住宅を購入した人たちはその年収の8倍近い高い価格の住宅を、その収入で購入できる価格と騙されて購入させられ、現時点で住宅ローン債務と保有する中古住宅を清算すれば、例外なく赤字となる日本の住宅政策の結果が『下流老人』問題を作っているのです。年収額の8倍を超える住宅が国民の購買能力で購入できるというようなことは絶対にないのです。金融機関が販売価格全額の融資をしたため、購入できただけです。しかも、価値が融資額の3分の一程度しかないため、金融機関はその融資額の3倍近い担保を抑えて損をしないようにして融資しているのです。この金融政策は住宅金融公庫という政府の金融機関時代に始めた制度です。当時住宅金融機関はハウスメーカーの住宅販売を支援するため、「住宅と一緒に車をお買いになったらどうですか。そのときの車の購入費用は住宅価格の中に一緒に混ぜ込んで金融公庫の住宅ローンで申請すれば融資をします。」といって不正融資が行なれてきました。その不正な金融制度が住生活基本法時代になっても事実上継承されてきたのです。ハウスメーカーの住宅の請負契約価格には広告・宣伝、営業・販売の経費は全体の60%占めています。そのような住宅価格に含まれていた流通経費は、住宅を売却した段階で目的を失い、消費者の購入した住宅の価値はそれで消滅しているのです。しかし、消費者は自分が購入した瞬間に消滅した費用を住宅ローン債務として35年かけて返済し続けているのです。

住宅政策の本質
政府が「中古流通のリフォームと合理化政策」として進めている住宅政策は、住宅購入者の購入した住宅を販売価格の半額だけの価値もない住宅であるから、それをハウスメーカーは買いたたき、3分の一程度で買い叩いた住宅をリフォームして新築のようにすれが新築価格より少し安くすれば販売できるといって、「十分ビジネスチャンスの高い政策」といって進めています。政府の住宅政策を最も若い安くかいつまんで説明すればこのようなことです。私が『フローの住宅、ストックの住宅』(井上書院刊)で説明したことは、ここで説明したとおり、「日本の住宅産業(フローの住宅)」と「住宅を購入した住宅購入者(ストックの住宅)」の矛盾した関係を示したもので、政府は住宅産業の利益を拡大するための、住宅を購入した国民の利益をだまし取ってよいということを行ってきたのです。国民は住宅を購入することで損失を負債として抱え、それが唐人になったときの貧困原因という債務になっているのです。

「貧しい住宅によって国民訴搾取した歴史」
私が官僚になるとき、エンゲルスの「住宅問題」を読んで、住宅問題が国民の生活に重大な関係を持っていることを教えられ官僚を目指しました。官僚になってから約5年間日本のスラム問題と取り組んだとき、エンゲルスの住宅問題に書かれていた状態が山谷や釜ヶ崎のドヤ街、未開放部落の住宅状態、戦後の兵舎、炭鉱住宅、引き上げ住宅などのスラム改良事業で取り組み、貧困を再生産する構造を検分することになりました。そこで日本の問題として知った経験が現代に『下流老人』問題をつくっていることを再認識させられたところです。ハウスメーカーであったり住宅産業であったり表向き国民に夢を売っている産業が、その口の乾かないところで、住宅購入者に大きな損失を住宅ローンという形で『下流老人』に背負わせてきているのです。日本の住宅政策はフローの住宅として、住宅産業は売り抜けてしまうまでの事業を行ってきました。要するに住宅購入者に高額な価格でもそれを自覚しないで購入させるためには、住宅産業が売りたい価格通りの住宅ローンをつければ売り抜けることができます。その歴史は政府の金融機関であった住宅金融公庫が行ってきたことです。

自動車の購入費は住宅金融公庫で
住宅金融公庫はハウスメーカーの住宅販売を支援するために、住宅購入と一体的に自動車購入を住宅金融公庫ローンで実施してきました。住宅金融公庫がそれを可能にした理屈は、ハウスメーカーの住宅の価値は広告宣伝、営業販売費を販売価格の丸め込んだ販売価格であるので、その住宅の価値はせいぜい販売価格の40%程度でしかない。それで販売住宅を担保にして販売価格だけの融資はできない。そこで販売価格のほかにその住宅の土地と住宅ローンを組んだ購入者に販売価格と同額以上の死亡者保険をかけさせ金融公庫がその際受取人になる担保を取ることにしました。言い換えれば住宅購入のための融資額は実際の住宅販売価格の3倍もの担保を抑えているわけになるから、その担保分までは貸し込んでも住宅金融公庫のリスクにならないだけではなく、それだけ多くの貸金利益を得ることができる。そのような理由で住宅金融公庫は貸金利益の拡大を図るために自動車購入費を住宅購入費の一部に混ぜ込んで住宅ローン申請をさせた。それは特例ではなく、ハウスメーカーの一般的な住宅ローンとして行われた。字委託金融公庫としてもそのような融資を行っても利益こそあれ、損失はないので、金融公庫の審査ででは自動車購入費を住宅購入費として処理することを徹底させて行われました。それは現在住宅の広告・宣伝、営業・販売経費をすべて直接工事費と欺罔するのと同じである。

日本国憲法第14条に基づく刑法と民法規定
住宅を「差別化」することによって、住宅の使用価値(品質)の満足と住宅の経済価値(価格)の満足とを欺罔して、その建設業法で定めた見積価格を販売価格と同じと勘違いさせ、不当な利益を奪ってはいけないと日本国憲法第14条に規定されている。国土交通諸住宅局が進める住宅政策は「差別化」によって住宅産業が不正利益を上げても、ハウスメーカーをはじめとする住宅産業は住宅サービス業であるから、大いに「差別化」によって利益を上げてもよいと言い切っています。ここで私が指摘していることは日本国憲法、建設業法、刑法、民法に定められていることを記載したものであって、誹謗や中小をしているわけではない。下級老人が貧困化のスパイラルに巻き込まれ、家族崩壊と家計破たんに引きずりかまれている現実を放置するわけにはいきません。

住宅バブルから復帰した米国の住宅産業
2007年に崩壊した米国の住宅バブルから8年かけて米国の住宅産業は再び米国経済をけん引する牽引車となってきた。米国の住宅バブルは住宅産業が優良な経営をしていたため、金融資本の投機の対象にされ住宅バブルに巻き込まれたもので、その健全体質を取り戻したことで米国産業の牽引車に復帰した。その米国の住宅産業は等価交換販売と等価交換金融を堅実に踏襲し、住宅を購入した人には住宅を保有することで個人資産の形成を実現してきた。日本の政府のように不等価交換販売と不等価交換金融という不正な方法で住宅産業を育成しなくても産業を育成することはできる。政府は目先の住宅産業に不正利益を提供した政策で国民を貧困にし「下級老人」を増殖させてきました。この政策はすでに取り返しのできない不幸を国民に押し付けるものです。私は住宅産業関係者がこの現実を厳しく見つめなおして日本のゆがんだ住宅政策に従って国民を不幸にするのではなく、同じ資本主義国で国民の資産形成を助け自らの住宅産業の健全経営を進めている米国になる道を選択することを願ってやみません。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)



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