メールマガジン

HICPMメールマガジンぢ719号(2017.04.10

掲載日2017 年 5 月 11 日

HICPMメールマガジン第719号(2017.05.11)
皆さんこんにちは

初夏になり、HICPMの新しい取り組みが始まっています。
一気に夏の到来の気候になって若葉が美しい季節になりました。
私は先月の28日から今月の9日までカリフォルニアに「アワニーの原則」とその都市づくりの展開と米国の大学建築デザインを調査に出かけました。HICPMとしてこれからの取り組みをすることに関し、会員によるHICPMの組織活性化協議会が造られ、内海さん(ヴォークス)がHICPMのこれまでの取り組みを基本的に支持し、それを広く社会に示す(活用させる)ことが必要だというご理解のもとに会社としてHICPMのホームページの全面的な検討に取り組んでくださることになり、グローバル研修企画の小林さんが協議会事務局を担当することで昨日も会合を持ちました。

HICPMの新しい取り組みに合わせた住宅・都市情報を集めに
私はHICPMの会員が学ぶべきことは米国のNAHBが進めてきたことしかないと思っていますので、その橋渡しをするためにはアップ・トゥー・デイトな情報を意欲的に摂取することしかないと思い、たまたま娘が、歴史学研究でハワイ大学の教授でありますが、約1年スタンフォード大学でフーバー研究所で約1年間研究している機会を利用してカリフォルには住宅と建築の調査に出かけることにしました。これまでHICPMではこの種のテーマに関し会員の方と一緒に研修旅行を組んできましたが、「輸入住宅ブーム」が去った以降その関心が失われ、研修ツアー自体が成立できなくなっています。研修ツアーは研修目的をはっきりさせ出かけた先で知識、情報、技術を刈り取ることをしっかりしないと「物見遊山」の観光ツアーになってしまいます。輸入住宅ブームのとき、非常に多くの人が欧米に出かけ、街並みや住宅を見学することはそれ自体興味あることで、いろいろの情報を手に入れることになりましたが、日本の住宅産業には全く生かされてきませんでした。日本の住宅産業にHICPMが「欧米から学ぶべきもの」と考えている「サステイナブルハウスの4原則」を実現するための知識や技術は基本的に受け入れられてきませんでした。観光旅行も機会があればすることは旅行者の見聞を広めますが、何を学ぶかという問題意識をもっていかないと技術や経営研修にはならないと思っています。

HICPMが関係してきた「米国における住宅・建築・都市」情報「Smart Growth 」
現在HICPMが米国からの技術移転の最大の眼目としていることは「住宅購入者が住宅により幸せになる」ことですが、その中で「経済的には」住宅を取得することで資産形成ができるようにすることです。特に米国では、戦後一貫してセキュリティの問題があり、スマートハウスやゲーティッドコミュニテイが取り組まれましたが、それによってセキュリテイ向上の問題は解決がされず、1970年代のエネルギーショック時代まで米国の経済は下降局面を辿ってきました。
エネルギーショックに当たりマイケルコルベットによるヴィレッジホーム(1975年)が取り組まれました。また、産業中心の都市計画から生活中心の都市計画にする新しい都市計画論がピーターカルソープによるサステイナブルコミュニテイ(1980年)として取り組まれました。また、セキュリテイ問題もITではなく地縁的なヒューマンリレイション(コミュニティ)によるTND(伝統的金住区開発)がDPZ(アンドレス・ドゥアーニー、エリザベス・プラター・ザイバーグ)によりシーサイド(1980年)で取り組まれました。この3つのエポックメーキングは事業を彼からの開発の基本に据えよとした建築家6名を中心に全米から100名の自治体都市・住宅関係職員による合意形成会議の成果が「アワニーの原則」(1991年)でした。現在、NAHBやHUDが住宅地開発事業で取り組んでいるニューアーバニズムは「アワニーの原則」の発展形です。
私は既に14年以上昔の「アワニーの原則」をまとめた会議の場所を訪問することで、もう一で現在の米国の住宅知恵気鋭の限定を考えてみようとしました。娘が私の意図を組んでいろいろ事前に調査をし、私がまず訪れたいといったピーターカルソープのTODは、過去の5回以上訪問し、娘にも5年前同行してもらったところで、HICPMとしても、グローバル研修企画と過去2回訪問していたところの「ザ・クロッシング」からの情報を集めてくれていました。そこで娘から提供された資料は「ザ・クロッシング」は「スマートグロース」の最先端にある開発計画であるということでした。2003年5月HICPMはアル・ゴア副大統領がまとめた「ビルでイング・リバブル・コミュニテイズ」(住みよいコミュニテイの建設に向けてー21世紀の都市成長政策)と一緒に都市土地協会がまとめた「スマートグロース(健全な都市成長)」の冊子をHICPMでまとめ・翻訳し、HICPMで刊行・販売しています。そこに記載されていることがアワニーの原則の具体的展開としてのスマートグロースで、米国政府にとっての21世紀に向けての都市成長政策であったわけです。そのスマートグロースの事先例として「ザ・クロッシング」があることを娘の集めてくれた資料に明記されていました。

スタンフォード大学とバークレイ大学
(1)スタンフォード大学のデザイン

米国西海岸で最も高い研究成果を誇っている2つの大学がスタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレイ校(本校)です。スタンフォードは経営学と医学やIT産業を含む自然科学系においては世界最高水準にあり、優秀な学者研究者を集めています。大学創設者は米国の鉄道王と言われたスタンフォードで、そのキャンパスの設計者はニューヨーク・セントラルパークの設計者フレデリック・オルムステッドで、その中心の建築群(クオッド)は、ボストンの中心にトリニティチャーチを建設し新しいロマネスク様式(リチャードソン・ロマネスク)で校舎全体が造られていて、その全体が芸術作品と言われています。しかし、リチャードソン・ロマネスクで造られた中央の教会の外観として「ドームの屋根がみられない」という疑問があり、今回その秘密を考えました。私はスパニッシュコロニーであったカリフォルにはスパニッシュ・ミッションがこの地への布教の土壌となったとともに、米西戦争後、サンフランシスコ地震、パナマ運河の開通など、その後3度に立ってカリフォルニアでスパニッシュコロニアルがブームになったとき。ミッションのデザインが大きな役割を果たしたことを思い出して、スタンフォードのクオッド(中央建築群)はミッションのモチーフがこの土地のヴィジョニングとして採用されたと推測しました。
スタンフォーで大学キャンパスの建築調査の後、サンフランシスコの北にあるミッションの最後の建築(37番目)となったサンフランシスコ・ミッションを訪問し、その歴史資料の展示を見た結果、スタンフォード大学の本館建築物(クオッド)の建築のデザインモチーフとなった「ヴィジョニング」は、間違いなく「ミッション(修道院)のデザインであることを確認することができました。スパニッシュコロニアルのミッションのデザインと、リチャードソン・ロマネスクの全米を圧倒した存在感のあるデザインがスタンフォード大学のデザインであることを確認することができました。

(2)カリフォルニア大学バークレイ校のデザイン
一方、バークレイは人文科学やエコロジーに関する研究が進んでいるだけでなく、ベトナム戦争の終わりには反戦運動をジョーン・バエズや、ボブ・デュランが活動し、マリオ・サビオによるフリースピーチ運動の発祥の地はバークレイ校です。サステイナブルコミュニテイを提唱したピーター・カルソープもバークレイです。娘はバークレイで歴史学の博士号を採りハーバーでお大学のライシャワー研究所で「東京裁判」(日本語版みすず書房)書物にまとめ、はーバード大学で出版したところであるため、大学関係のいろいろな説明を受けることができました。ここでは娘の大学院時代の教授がキャンパス案内をしてくださいました。そこで分かったことはバークレイ大学全体が大植物園のような豊かな自然と、エポックメーキングな建築物が歴史を反映して建てられているということでした。ルネサンス様式、グリークリバイバル様式、第2帝政様式、アメリカンボザール様式、バロック様式、シングル様式、など建築物を建築造形という観点で見るとスタンフォード大学ほどの建築はありませんが、大学の歴史が時代の建築文化を積極的に取り入れて博物学的に建築デザインを見たときの多様性の面白さはバークレイの特色だと思いました。

アワニーの原則とマジェステックホテル(ヨセミテホテル)
今回のカリフォルニアへの旅行は、アワニーホテルの泊まって、そこに6年の建築家と100人の自治体職員が協議し、「アワニーの原則」をまとめたそのホテルの環境を知ることでした。事前の調査で、アワニーホテルはマジェスティックホテルに名称変更させられていたことは分かりましたが、それ以上の「アワニーの原則」に関する情報は全く得られませんでした。アワニーホテルに行けば、「アワニーの原則」関連の情報は分かると思っていましたが、到着したホテルのレセプションでは何もわかりませんでした。アワニーホテルはヨセミテ国立公園の中心に立っている高級ホテルで、英国のエリザベス女王、J・F・ケネディ、エリオアー・ルーズベルト、ウォルトディズニー、オバマ大統領など世界のリーダーたちが宿泊し、大きな会議がいくつも開かれたホテルで、アワニーの原則をまとめた会議がホテルにとってどのような位置づけをされていたかはわかりませんが、ホテルの従業員教育のマニュアルに入っていなかったことは事実のようです。
大きな岩山に4方を囲まれた広い湿地に囲まれた土地にヨセミテホテルは立っていて、その周囲にはキャンプ場やロッジがたくさん立っていました。全体のスケールの大きさは自分自身が小さすぎると感じさせられるほどでした。ホテルの周囲には、高木の森林がホテルを囲んで形成されていました。ヨセミテ公園内に建設されているホテルは、ホテルマジェスティックのほか数軒で、多くの人はヨセミテ公園の外のホレルやロッジに泊まって通園し、公園内でハイキングをするという形式を取っていました。公園の自動車の入園料は30ドルで入場チケットはパスとしてつくられ、1週間有効ということになっていました。私たちは宿泊料金を節約するために、ヨセミテ公園に入口近くにある大きなホテルの宿泊したのち、マジェスティックホテルに泊まりました。ヨセミテホテルには1泊2日の間は徹底的にホテルの中を見て回り100人程度以上の会議の可能な空間はすべて精げ、おおよそこの部屋ではないかなあと思われるところで、アワニーの原則の合意形成を様子を想像して楽しみました。
アワニーの原則はまさに米国の住宅地開発と住宅地経営の基本の道筋をつくったところです。そこでこの会議の主催者を娘が調べてくれたところでは、ローカル・ガバメント・キャンセラー(GLC)というサクラメントにあるNGO法人がこの会議を実施し、その後スマートグロースの運動を展開していることが分かりました。
このツアーではスタンフォード大学との関係で、鉄道王スタンフォードについてしらべることもおおきな関心になっていたのでカリフォルニア州の州都サクラメントを訪問することになっていたので、そこでのGLC訪問も考えましたが、GLCはその関係者がフロリダのロングビーチで会議に出席するため出払っているということで結局、訪問はしませんでした。

サクラメント・オールド・タウン・
サクラメントは州都であるとともにカリフォルニアのゴールドラッシュの時栄えたところで大陸間横断鉄道の終着駅でもあります。そこには昔ゴールドラッシュでサクラメントが栄えた時代のオールドタウンが200年ほど前の姿をそのままの形で残しているということで観光地になっています。ゴールドラッシュで騒がれた河川には外輪船が停泊それがホテルとレストランとして多くの人を集めていました。港町としてがさつのところが歴史的な魅力となって、多くの人をアタ埋めていることが分かります。私はこれまで何度もサクラメントのこの場所を訪問しました。そのときの印象では、日本だったらこの古臭い街はスクラップ・アンド・ビルドの対象になるに違いないと思いましたが、それができない理由がよくわかりませんでした。しかし、今回スマートグロースを進めている米国の「アワニーの原則」との関係で都市に対する米国社会の見方を考えると、過去、現在、未来と連続する人類の歴史の中で成長する人間環境としてオールドサクラメントが位置付けられていることが分かり、米国の社会は人文科学
を大切にしていることが分かりました。米国人にとっての歴史の重要性の理解です。サクラメントの議事堂前にあるスタンフォードミュージアム(マンション)を見て、その豪華なヴィクトリアン輸式のマンションにはたまげましたが、サクラメント・オールドタウンと良い対象になっていました。

ヴィレッジホーム(デービス)
サクラメントとヴィレッジホームのあるデービスとは近い位置にあったので、ヴィレッジホームを訪問することにしました。これまで5-6回は訪問しているところでしたので、1975年できたこの町を20年後の1996年に訪問し、その後何度か訪問したところです。ここには『スモール・イズ・ビューティフル』(シューマッハ)の思想を実践に移したとも言われる開発で、以前私がミネソタ大学のアンダーグラウンドセンターから出版されていた『アース・シェルタード・ビルディング・デザイン』を丸善から共訳出版した本にあるアースシェルタードビルディングの住宅も健在でした。
現在の季節が緑と花で町全体が花園のようになっていました。訪問した日は平日ではなく、日曜日で街のあちこちに人気が感じられ、散歩する人やサイクリングの人にも多く出くわしたこともあり、生きている街という印象を強く受けました。妻の感想は、「こんな町は日本でも出来そうじゃないですか。」その街の中に畑があり、果樹があり、今はさくらんぼうがたくさん実っていました。このヴィレッジホームの住宅密度は米国の郊外にある普通の住宅地とほとんど変わっていません。私も確かに日本の都市近郊農村や購買の住宅地をスマートグロースの考え方で造り変える可能性のある事例だと思いました。

学習や研修は観光(光を見る)したことを理論的に「光」を理解することです。
私は同じ町を何度も訪問し、その関係図書を勉強し、疑問を抱えてまた訪問するということを繰り返し時間軸を採って都市の形成。熟成を観察してきました。HICPMはこのような方法で都市づくりや都市経営を考える人たちに情報提供をして研修を行ってきましたし、行うことのできる団体です。今回、私が回ったところは、これまでも多くの人たちが実物を見て疑問を提起し意見を交換し知識を身に着けることができるもので、少なくとも米国の住宅産業に関して基礎知識を持たないで、または説明を受けないで、見て歩いても、単にその場所に「行った」というだけに終わってしまうことになります。私が訪問したところに「調査」という名目で行った人は多数いて、それらの多くに人は「行った、見た」情報を覚えている人はまだ良いのですが、何を学んだかもわからない人が殆どであることは誠に残念なことです。私たちはもっと「どん欲」に米国の技術や経験を学ぶ必要があり、HICPMはその道案内をすることはできると思っています。出かける前のご相談、帰ってきてからの情報確認など、HICPMはご希望に応じて対応をいたします。
今回の調査報告書は1か月後にはまとめる予定で、できれば報告会を行いたいと考えています。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷英世)



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