第233回(2007年10月9日)

みなさん、こんにちは

 10月5日に、グローバル研修企画主催による「定期借地権による住宅開発」セミナーと研修ツアーを行いました。この研修ツアーは、日本で今行われている定期借地権による住宅開発のほとんどが税金対策だけを目的としており、住宅開発によって資産形成をするというエベネツア・ハワードによるガーデンシティの都市経営という考え方は全くありません。

 定期借地権で土地を購入する代わりに、定期借地権保証料を地主に現金で渡し賛成させるというもので、土地費の少なくなった分の土地を広くしたり、建設費にまわすというのが建設業者の考えです。つまり、顧客の目先の関心を引き付ける手段としての定期借地権利用でしかないのです。その背景には、定期借地権事業に取り組んでいる人のほとんどが、ヨーロッパで長い歴史を持つ定期借地権による事業や、リースホールドについての知識がないためです。

 今回のセミナー&研修ツアーでは、主に住宅経営として、居住者に利益をもたらすための住宅地開発事業としてのリースホールドについて学んでもらうことに専念しました。エベネツア・ハワードは、工場町のように優れた経営スポンサーがいなくても、国民に豊かな住宅を与える方法として、英国で長く貴族たちによって行われてきたリースホールドによる住宅経営を、ガーデンシティの経営を基本において開発し、実践したのです。

 その最大の目的は、住民に住宅によって幸せを与えることでした。そのための最大の関心事は、ガーデンシティを年が経つごとに熟成させ、住宅を持っている人に資産形成をさせることにあったのです。もちろん、ガーデンシティの経営主体であり、土地所有しているガーデンシティ株式会社も、都市の熟成によって、その資産価値を高め、地代収入を高めることができます。そして、その収益も住民に還元しようと考えたのです。

 ハワードの考え方は、その後の英国でニュータウン・アクトとして纏められ、20世紀の英国の都市づくりの基本となり、世界のニュータウンに影響を与えました。最も影響を受けた国がアメリカで、多くの国民が持地、持家を求めたことから、サブデビジョン ( 宅地分譲 ) 方式が主流になりましたが、住宅地経営についてはガーデンシティのような経営主体をつくることをハワードから学んだのです。最初は、J.C.ニコルズのディード・リストリクション(制限約款証書)による公正証書を利用した環境管理による資産形成できる住宅開発でした。

 このJ.C.ニコルズの開発は、全米の資産形成を可能にする住宅地づくりをひな型として高く評価されました。その経験を生かして、ラドバーン開発で、チャールズ・アッシャーがJ.C.ニコルズの協力を得て開発したHOAとCC&Rによる開発手法は、まさにフリーホールド ( 持地 ) によるガーデンシティの住宅地経営というものでした。プランド・ユニット ( 計画的住宅地開発 ) とよばれている手法もそこから始まっており、それがアメリカにおける住宅による資産増殖の秘密になっているのです。

 このような考えから、今回のツアーには、全国定借協会の事務所が置かれている都市農地活用支援センターの佐藤理事をお誘いして、一緒に考えてもらいました。佐藤理事は、国土交通省のOBで、かつて、私が大阪府の建築部に在籍していた頃、 堺市 にも出向しておられた方で、非常に真面目に都市問題に取り組んでこられた方です。佐藤理事とも期待していたような意見交換ができて、私としては、大きな収穫があったというように思います。

 私としては、特に都市の市街化区域内農地の利用として、リースホールドにより邸宅地の実現を可能にしたいと考えています。世界の中心の一つである東京には、世界で大きな仕事をする人が集まってきます。これらの人と信頼できる人間関係を育てるためには、シティにこれらの人を招いして、信頼関係と言う財産づくりができるようにしないといけないからです。赤坂や向島の料亭で、闇金を使った官僚や政治家の接待屋、会社の営業接待費で芸者を入れたドンちゃん騒ぎの中で、外国の要人を接待しても信頼関係は育てられないと思います。

 10月2日、国土交通省の和泉住宅局長に面会を求め、HICPMとしての住生活基本法時代の取り組みを提案してきました。その内容については、添付メールのとおりです。この内容について、和泉局長は更なる検討をしたいということで、今月中に再度面会頂くことにしており、リースホールドの問題についても検討をお願いすることにしようと考えています。添付メールを是非ご覧頂き、ご意見があれば、ご提案下さい。