第237回(2007年11月5日)
みなさんこんにちは
10月31日から11月3日までの4日間、名古屋で、第38回名古屋国際木工機械展の併設事業としてHICPMは、7つのセミナーを実施しました。何れのセミナーも参加者の積極的な取り組みによって主催者としても内容的には想像以上の成果があり、参加者の期待に応えることができたと思います。とくにセミナー参加者と討議を進めるという形式を取ったため双方向の場となり、経験交流の機会になったと思います。
(1)「住宅白書」と「住生活基本法時代」
(2)「住宅による資産形成の手法」
(3)「森林、林産、住宅、家具、と木工機械」
(4)バスツアーとセミナー、「木造、ブリック住宅と、愛知の家」
(5)「サステイナブルハウスの実践例」
(6)「サステイナブルハウスとホームプラン」
(7)新建ハウジング後援「コンストラクションマネジメント」
猪谷さんには、会期中、受付から司会、展示の準備等全てに協力して頂き、そ
の協力なしでは今回のHICPMの事業はできなかったのではと感謝しています。その他、HICPM理事や、会員の協力が大きな役割を果たしてくれました。最大の協力は、住宅産業をこの時代に当たって、いかに体質改善をしていくかを、参加者の皆様が自分自身の問題として考え、本音をぶつけて、今何を大切に考え、どのような取り組みをしなければならないかを、アメリカの経験に学び、追い付き追い越すためにHICPMの追い求めてきた理想をどのように実践しなければならないかについての経験交流ができたことです。
「住宅白書」と「住生活基本法」は、竹山さんが「白書」全体を非常に分かりやすく話してくださって、住宅問題の抱えている広範な問題を短時間で分かりやすく「白書」に忠実に説明され、あらためてこの本の面白さを確認できました。「白書」は是非多くの方に読んでほしいと思いました。
「基本法」は、戦後の越冬住宅や余裕住宅の解放の時代(1945−49)、日本の単独講和とサンフランシスコ(日米同盟)に基づく、アメリカの世界恐慌の経験を日本の復興にとり入れた住宅難解消時代(1950−1965)、行政による住宅需要創出とスクラップアンドビルドを進めた住宅建設計画法の時代(1965−2006)その終焉とも言うべき公団、公庫、公営連合艦隊の壊滅(住宅政策が生んだ財政危機の解消としての公営住宅公団住宅公庫住宅の廃止)で、やむを得ず「居住水準の実現」の戦果を上げたと大本営発表を行なった。しかし、連合艦隊を失って、これまでの政策を進めることができず、転進した結果が住生活基本法行政である、ということの全体像を説明しました。
その中で、小泉首相が中国の江沢民の詐術に引っ掛かり、日本海のガス田や、南京虐殺問題や靖国問題に縛られている間に、中国は、アフリカ、中近東、中南米、東南アジア、オセアニア、東ヨーロッパなど、全世界に広く自由貿易協定を結び、資源の調達と、累積する外貨の投資先を確保する政策を進めてきました。日本は完全に自由化政策に遅れを取ってしまったのです。銀行業界や、輸出産業のような自民党の大口の政治献金団体からの危機感に押されて、小泉時代に、やっとシンガポールとだけはFTA(自由貿易協定)を結びましたが、その後は安倍内閣に引き継がれました。安倍首相は、就任早々から外遊を重ねなければならなかった理由はそこにあるのです。この取り組みは、今後も続きます。
FTAの時代は、自由協定国の間では、資本は自由に活動することを安全に保障されるため、資本は安い労働力を求めて流動することになり、結果的に国家間の労働賃金は平準化に向かいます。つまり、FTA政策は日本の労賃を引き下げ、住宅価格を引き下げ、国内的にはデフレ基調の経済運営をしなければならない時代になることを意味しています。その環境の中で住宅産業が大きな利潤を上げ、建設労働者に高い賃金を保障するためには、生産性を高めることをおいてありません。日本の住宅の生産性は、アメリカの40%程度でしかありません。この生産性を高めるためには、規格化、標準化、共通化を産業全体として取り組むことをおいてありません。その技術がCMです。CMが必要とされている時代が「住生活基本法」の時代なのです。
木材ほど、材料のテクスチュアとして、消費者の高い指示を得ている材料はありません。それは古今東西同じで、古代エジプトでも、古代ローマでも、現代のアメリカやヨーロッパでも同様です。住宅のインテリアに木材をいかに正しく使うかが、消費者に高い満足を与えることのできる住宅供給の途だといって過言ではありません。木材は重量当たりの強度は鉄よりも高く、材料は加工しやすく、断熱性能は高く、触感は優しく、人に癒しを与える材料として、特に現代において、多くの人に高い満足を与えてきました。木材は、それを加工することで歴史の空間文化を現代から将来に向けて伝えてきました。この木材を加工して、デザインを適正に担わせるためには、木工機械を使うことなしには実現できません。
世界では、木材の生産の合理化を木材の需要を前提にした標準化規格を進めることで、林産業の生産性の工場を図り、住宅産業や建具・家具産業は、市場に流通する林産物を合理的に利用することで、住宅や建具や家具の合理的な生産に取り組んできました。しかし、日本では、森林も、製材も、住宅や家具、建具の全てがバラバラに、単純化、標準化、規格化されたルールを守らないことが、差別化する方法であるといった間違った考えで、木材及びその加工品を高く販売されてきたため、そこに無政府状態が生まれました。その中で、何とか量的に需要をまとめることで利益を出そうとする取り組み、つまり、ハウスメーカーと同じやりかたを林産業や木造住宅産業が取り組み、結果的には、社会的な標準化、規格化に反対する不経済化を進めてしまったのです。
林産業がその製品を買ってもらおうとするならば、既存のマーケットに流通している木製品、国産木材を使ってもらえるような価格の取り組みをしなければならないにもかかわらず、その努力をしないで、市場に流通していない新しい製品を国産木材が使われているという理由で販売しようとしているのです。ツーバイフォーの木材を国産に代える努力をしないでいて、国産住宅を「日本の伝統木造文化」であると事実と違う騙しの説明で売り抜けようとしていることが、林野と林産と木造住宅関係者の大きな勘違いであるということを再度感じました。愛知の家の実例を安城で見学しました。
100坪もある大きな邸宅が、工場地域の中の小さな道に接して建てられていました。その中の売り物と説明された階段になぜか外国の水に沈む板材が使われていて、木材の仕口には、大きなボルトも使われているかと思えば、込み線もあるといった賑やかなもので、何か思い付きの集大成という感じでした。
サステイナブルハウスの取り組みは、規格化、標準化、単純化、共通化を社会的に進めることで、建設労働者の施工学習効果によって生産性を高めるという認識にまで高まってきて、それが、サステイナブルハウスのホームプランの取り組みとして発展しようとしています。今回のセミナーでは、設計の標準化、規格化の発展を、前野さん(HICPM理事)の夢現設計室の技術力をアウトソーシングすることで、工務店経営の経営合理化を図るという展望も見えてきました。
HICPMの会員で、地元ということで支援してくださったISO設計会長の磯村さんに、これまでの仕事の説明と規格化、標準化を共同住宅でCMの実現を果たしたよい事例を見せてもらいました。特にこれから化石燃料が高くなる時代に向けて、世界の住宅エネルギーへの取り組みにも匹敵する外断熱工法も、高く評価されるものでした。
新建ハウジング後援「コンストラクションマネジメント」セミナーは、新建ハウ
ジングが地方の工務店にとってコンストラクションマネジメントの教育こそ不可欠なものであるという認識で取り組まれたもので、三浦編集長がその趣旨に賛同してセミナーを運営してくれました。猪谷さん(HICPM近畿支部事務局長)の原価公開の実践、岩本さん(神戸ガーデンハウス社長)からはカスタマーリレイションの実践、前野さん(夢現設計室代表)による設計の規格化・標準化、小金沢さん(キャスケードコンポーネンツインク社長)によるアメリカの経験を建材と技術一体で採り入れることの必要性を、多くの実践をもとに提案されました。
私は、このセミナーの中で、住宅産業にとってCMの実践とは、サービス業ではなく製造業であって、生産に当たって価値を創造しているものを経済学理論から説明しました。タイムイズマネ−と言うことを生産性を高めることがどのように会社の利益の拡大になるかと言うストーリーです。労働者が求めている賃金は、労働者の生活を維持するための労働力再生価格であるのに対して、建設業者の求めているものは、建設労働者のやった仕事の大きさなのです。この労働力の2つの性格の理解が、労賃と労働の価値という2つの経済的な指標となることを理解することで、健全な住宅経営管理の基礎となることを話しました。このセミナーにもISO設計の磯村さんに前日と同じテーマでお話をお願いして、参加者に大きな感動を与えることができました。
この7つのセミナーについての概要は、ウッドミック誌295、296号に掲載されていますので、お読み下さい。今回のセミナーの中で、バスツアーでは東名ホームズの坂部社長による説明とともに、これまで取り組んでこられた居住者本位の買い手市場に合わせた取り組み経験を説明していただき、多くの参加者に有益な情報を提供頂きました。特にこの取り組みは、定期借地権事業として取り組まれており、その良さを分かりやすく見ることができたと思います。この関係の情報は、今回のセミナーで配布したHICPMビルダーズマガジン第134号の特集記事「サブプライムローンと住生活基本法時代」で確かめてください。消費者に住宅に住むことで幸せを与えるためには、アメリカNAHBの経験を日本の住宅生産に読みかえる取り組みに、HICPMの理事、監事、会員が一緒になって協力して、成果を高められると確信しています。
今回の事業が大きな成果をあげることができたことに関係者の皆様に感謝して、報告といたします。
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