HICPMビルダーズマガジン第252号 ◆特集◆米国のガーデンシティの実践とTND(伝統的近隣住区開発)

BM第252号をお届けいたします

 

HICPMが1995年に創設して22年目も半ばを越しています。創設当時の目標を果たして実現できただろうかと反省します。残念ながら日本の住宅産業を米国のように改良することはできず、国民が住宅を取得することで資産形成することも、工務店が住宅建設業者の中軸として住宅供給をするようになることもできなかっただけではなく、その見通しも立たない状況にあります。

 

米国の住宅産業に学ぶ目標は、現在も適正な目標と思っています。その目標を実現するために手段として、住宅産業関係者の能力を高めることも間違いではないと思っています。その能力として設計・工事監理能力の向上と、建設技術と経営管理能力(CM)を高める体質改善の道筋も間違っていないと確信しています。その理由は、欧米の住宅産業が現在も、一貫して追求して繁栄をいるからです。

 

かつて、鄧小平が改革開放路線を敷き、「白い猫でも、黒い猫でもネズミを捕まえる猫であればよい」と私益追求の誘惑で中国人を走らせ、現代の中国を作り上げました。ナポレオンの戦争も、日本軍が大陸での戦争も、軍人に略奪・強姦・放火・殺人の犯罪でも、軍人の欲望を満足させることを容認することで戦果を挙げさせました。現代のISも同じことを繰り返しています。

 

不正利益を容認すれば、犯罪を制御する理性は機能停止します。日米の住宅産業比較をすると、米国は資本主義、自由主義のルールの中で利潤追求をしているのに対し、日本は、米国の住宅産業が挙げている健全な利潤追求をせず、憲法に違反し「不等価交換販売」と「不等価交換金融」を容認し不正利益を手にして住宅産業は成長し、科学技術を重視した経営を行わなくなっています。

 

日本の住宅産業は巨額の利益を上げてきましたが、その利益を挙げた分だけ国民は貧困になり、日本の住宅産業で横行している知識や技術は、将来の日本に使えません。日本の住宅産業での経験は国内外でも使えません。現在の日本の住宅産業で使われている技術は、それを行使している人の未来に役立てられません。その技術は高齢化社会に役立たないため、経験の生かされない老人社会になります。

 

本号の特集「米国のガーデンシティの実践とTND」は米国の住宅産業が国民の資産形成を1世紀以上発展させた歴史の上に、国民と住宅産業関係者に豊かな長寿社会環境を作ってきたことを知ってもらいたいと考えて、米国の住宅産業の歴史を紹介し、そこで開発された基本的な住宅産業技術が、国民と産業と産業労働者を支えていることをご理解いただこうと思って特集いたしました。

2.インタナショナル・アーツ&クラフツ

---チャールズ・ヴォイジー:テキスタイル(織物)1905年

3.カレントトピックス:安倍政権の凋落の前兆:行政権の濫用

4.若本修治のレポート:地域経済を未来まで潤す「住宅建設の流れをつくる

5.ボールドウインパーク(フロリダ)「ストリート・オブ・ドリーム」(展示場分譲)

---TND開発の中のボールドウインパークの中心のストリート・オブ・ドリームが街づくりの先導役を駆っていたのでその概要を紹介した。

6.特集:米国のガーデンシティの実践とYND(伝統的近隣住区開発)

---現在の米国におけるTND開発が19世紀、エベネザー・ハワードのガーデンシティの決定的な影響を与えたエドワード・べラミーの『顧みれば』にはじまり、それがハワードによるレッチワース・ガーデンシテイで実践され、その影響が米国ラッセル・セージ財団に「フォレスト・ヒルズ・ガーデンズ」を開発させた。そこに生活したC・A・ペリーが「資産価値の形成できる住宅地開発の計画論をまとめたものが「近隣住論」(ネイバーフッドユニット)である。その計画論はラドバーン開発(ニュージャージー)で自薦され、戦後英国がガーデンシテイに代わる取り組みを英国労働党が「ニュータウン開発」として始めたとき、その計画論に取り上げられ、以降ニュータウン開発と「近隣住区論」は一体のものとして世界中に広がっていった。戦後の都市膨張の中で米国ではアーバニズムとドーナツ化現象が起き、都市衰退が問題になった。1970年代に入り、それまでの産業中心の都市計画から、居住者重視の都市開発に転換し、エコロジカルな街づくり(マイケルコルベットの「ヴィレッジホーム」、ピーターカルソープの「サステイナブルコミュニテイ」DPZによる安全と豊かなTND(トラディショナル・ネイバーフッド・ディベロップメント)が開発され、1991年UCC(アーバンコミュニ諦観せるが、カリフォルニア州ヨセミテ公園にあるアワニーで、これからの住宅地開発の基本原則(アワニーの原則)を取りまとめた。その原則にのっとて新しく取り組まれた住宅地開発技術がニューアーバニズムである。その「アワニーの原則」を追いかけたカリフォルニアの調査ツアーは別の号で特集する予定である。今回の特集ではアワニーの原則で合意されたモデルとなった開発を中心に紹介した。

10.竹山清明の街並み講座

ー--ふぃれんつえ、ファサードの美しい教会

11.渋谷征教の住宅デザインのワンポイント(58)

---リタイアメントハウスの合理的な平面計画

12.オランダ・アメリカ・日本の住宅(31回)

シーサイドと県とランズの住宅地経営(アメリカの住宅の紹介)

14「聖域なき構造改革」第35回

---マンション建て替え円滑化法を成立させた憲法の拡大解釈:都市再生事業は「聖域なく構造改革」の実践手段で、その本質は「徳政令」である。マンション建て替え円滑化法は、憲法違反(聖域なき)の改革として行われ、同法の施工はさらに強引に円滑化法に違反して実施された。

16.ア・フィールド・ガイド・トゥーアメリカン・アーキテクチュアー

---本号は公共建築と商業建築を扱った。

18.CM講座:学習の原点に戻って(3)

---住宅設計と工事費見積もり

19.「街づくり教科書講座」(10)

---日本と世界の都市計買う制度との関係(第4回)

20.書籍注文書・編集後記

 

 

月刊「BUILDER'S MAGAGINE」

欧米が実践成功している住宅地経営の考え方・手法・なぜ欧米は住宅の資産価値が上がるのか!本来の住宅のあるべき姿をお伝えする、HICPM月刊会報誌です。定期購読をお申込みになられますと、毎月郵便配達でお送りいたします。1冊からのご注文も承ります。

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