シャトーエスク様式

シャトーエスク様式は、16世紀のフランスに生まれたシャトー(邸宅、 城)のデザインをベースにして、 19世紀に米国で人気を博した様式である。そのモデルになったもの がフランシスⅠ世時代の邸宅シャンポール、 ブロワ、 シュノンソーである。米国の建築家達の多くは、フランスのエコール・デ・ボザール(美術学校)に学び、 フランスやイタリアを旅行し、ヨーロッパ古典建築を米国の新しい国家のデザインとして 採り入れることに夢中であった。米国は多くの資源に支え られて国家経済は急拡大し、 その富と権力を誇るにふさわしい建築物を次々に建築することが可能となっていた。 このシャトーエスク様式は、 ゴシック様式とルネッサンス様式が折衷された様式で、 邸宅建築様式として生まれたものである。そのため基本的にその構造は、 組積造(石造、 又は、 構造レンガを石造風に化粧した構造)としてつくられた。 急勾配の寄棟屋根の屋根面には、 煙突、 ルーフドーマー窓などが設けられ、 さらに屋根の棟、 妻壁にはゴシック様式でよく見られた装飾が施され、 ルーフラインが極めて複雑で華麗である。妻壁はシャトーエスク様式の最も大きな特色と言われている。この妻壁面の中央に、 大きなウォールドーマー窓(壁面を立ち上げて屋根裏に採光を入れる) を設け、 その上部にペディメントと妻壁の頂部と裾部分に、 塔状のゴシック様式に共通する装飾を設けている。 開口部は原則的に連窓が設けられ、 窓の上部に化粧のフードが取り付けられたり、 開口部前面に様々な形のバルコニーが設置され、各階ごとの腰帯(ベルトコース)と調和して、 建物に水平のデザインを取り入れることで、 落ち薦きのある権威を示すにふさわしいデザインになっている。


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