HICPMメールマガジン第743号(2017.10.23)。

HICPMメールマガジン第743号

みなさんこんにちは

衆議院選挙が終わり、私は大変失望しています。立憲民主党の枝野さんが自分の党の存在の原点にこだわって選挙戦を戦ったことで、国民の支持を得た選挙戦は、一つの救いとなったと思います。すべての政党が、選挙で勝ったら問題を明らかにするとか、政策を進めると主張しましたが、なぜ、与野党双方が、選挙を始める前の国会で、選挙戦で主張していることをやらないで選挙戦に臨んだでしょうか、投票率が下がった理由は、国民は国会議員に期待していないからですが、国会議員と国民の政治不信の悪循環がどこまでも続いていくようで、選挙の開票を見ていると疲れました。選挙で棄権をしたらだめだと自分に言い聞かせて投票に出かけた人も多いと思います。選挙に入ってからではなく、日常の生活で政治への関心をもたないと、「自業自得」と言われても仕方ない事態になると思いました。

 

『注文住宅』に関し、米国のOBTを考えてみました。

米国の工業生産住宅

米国と日本の住宅産業を比較し、政府と住宅産業界が対立した大きな事件は住宅生産の工業化を巡って政府と共和党政権は住宅産業を企業の利益を中心にする政策として展開しようとしました。それは、住宅は個人の年収の4~5倍もする高額なものですから、それを産業(工業生産)の業務にすれば、産業界に大きな利益を生むことは明らかです。ウイリアム・レービットというニュ-ジャージ州のホームビルダーは戦後の巨大の住宅需要に応える方法として、住宅地開発を流れ作業で行うことを考え、ハイウエーから住宅地開発の道路計画をそこでの住宅生産の流れ作業を「ジャスト・イン・タイム」で建材の搬入と建設労働者の配置を行なうことにするとともに、戦時中に戦場の仮設道路の建設を鉄板に代えて合板を使って建設した結果、戦後、合板は、用途を失って合板不況になろうとした林産業界に、合板を住宅の床と壁に使用することによって、現在の高い生産性を誇るプラットフォーム工法を,NAHBと農務省森林研究所の協力を得て確立しました。その結果、優れた住宅を安価に、迅速に住宅を供給し、国民の多くな福利を与えました。床版と壁版を、建設現場で流れ作業で住宅をつくる方法は、高い生産性を実現し、戦争中住宅建設を待ちわびていた人たちに優れた住宅を大量に供給し、国民に幸せを与えました。

米国の工場生産住宅

そのときのレービットロムニーが現場で実践したレービットタウン、レービットハウスを見ていて、そこまでできるならば、住宅は工場で作ってしまったらどうかと考えた人が住宅都市開発庁長官が共和党のロムニー大統領候補の父、アメリカンモーターズの社長でした。そこで生産されることになった住宅がモ―バイルホームとモジュラホームでした。高品質の住宅を工場の高い生産性で安く供給するというのがOBT(オペレーション・ブレークスルー:突破作戦)として展開した政策でした。当時、日本では経済の高度成長で、建設労働者が払底していましたので、日本政府は通産省と建設省は「HUD詣で」を繰り返し行い、現在のプレハブ住宅政策を展開しました。

 

日本のプレハブ住宅

日本は米国のような道路網はありませんので、工場制作住宅をトレーラやトラックで輸送することはできず、現在見るようなプラモデル形式の住宅建設になりましたが、それが発展した理由は、プレハブ住宅会社を「建設サービス業」と位置づけ、建設業法及び建築士法に違反して、建築士を名義借りしてハウスメーカーの設計システムを適法を装い、広告・宣伝、営業・販売にかけた費用を、建設業法第20条に違反して、「直接工事費」と欺罔して販売価格で回収することを正当化し、その販売額全体に住宅金融公庫が融資を行なったためです。その結果、「400万円の直接工事費の住宅を、建設業法違反の1000万円で売ることを認め、400万円の直接工事費の住宅に1000万円の住宅ローンを与えた結果、お金がなくてもローンが組め、住宅メーカーがどんな高額な住宅も販売でき、巨額な粗利を得ることができました。景気が悪くなって、その住宅を売却できなくなったとき、その実際の価値は400万円であることが露見し、国民の反発を恐れた政府は、「住宅は減価償却資産だから」と政府が進めた不等価交換販売と不等価交換金融の事実を隠蔽しようとしました。

 

HUDのOBTとNAHBのCM 

そこで念のため、米国の状況を正しく知ってもらうためにOBTを少し開設することにしました。

実は米国では戦後合板を使ったウッド・プラットフォーム・フレーム工法が誕生し、建設現場を流れ作業に変えた結果、高い生産性を挙げるようになりましたが、米国住宅都市開発省(HUD)は、さらに住宅を工場でつくり、現場にも持ち込むために、アメリカン・モーターズ社長ロムニーがHUDの長官に就任して、OBT(オペレーション・ブレーク・スルー)政策を始まました。

工場で住宅生産を行なえば、OM(オペレーションマネジメント)の技術により、高品質の住宅を安価な安定価格で供給できるが、ホームビルダーも現場の建設労働者も仕事を奪われるため、その政策実施に反発しました。しかし、住宅の品質も向上し、価格も引き下げられるならば反対はできません。そこで、NAHBはOBTに対抗すべく、ポラリス潜水艦の操作技術CPM(クリティカル・パス・メソッド:限界生産工程)を住宅建設に置き換える作業をジョージア大学のジェリーハウスホールド教授に依頼しました。現在の工程管理(スケジューリング)、資金管理(コストコントロール)、品質管理(トータル・クオーリティ・マネジメント)の建設現場で工場生産以上の生産性を上げるCM(コンストラクションマネジメント)技術を開発しました。それが現代のNAHBは、HUDと20年以上にわたる現場生産化工場生産化の競争で勝利しましたが、HUDとNAHBの信頼関係は壊されてしまいました。

 

建設現場のCM技術が工場生産のOM技術の勝利

クリントン政権になったとき、エネルギー問題が国家プロジェクトになり、HUDはNAHBにOBTの政策は間違っていたことを謝罪し、PATH(エネルギー政策)にNAHBの協力を求めました。

私は1970年代に建築基準法第5次改正を担当し、それに引き続いて2×4工法を建築基準法の下で一般工法化する作業を担当しました。いずれも米国の建築法規と深い関係があり、北米の建築法規とともに、設計施工技術を日本に導入しました。その経験から、米国の住宅設計施工技術の高さに敬意を抱くとともに、敗戦後のGHQ時代の建設三法を調査研究した成果を、日本の建設行政に反映したいと取り組んできました。しかし、そのカギを握る生産性を高め、良い品質の住宅を安価に供給するカギを握るCM技術の技術移転がうまくいきませんでした。その理由が4半世紀の取り組みをとおして分かってきました。それが本書で扱う内容でした。

(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)

 

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