HICPMビルダーズマガジン第255号

ビルダーズマガジン第255号ができましたのでお届けします。

 

安倍内閣が衆議院選挙で「有効求人倍率の高さ」と「バブル経済時以上の長期に渡る経済好況を実現した安倍政治」を誇ってきた。小池百合子の驕りの対応に不安が生まれ、総選挙が現状維持を望む環境がつくられた。しかし、国民の実感は日本の高度成長期の景気とは全く違い、失業者が少なくなってはいるが、多くの国民は低賃金の改善の見通せない社会の将来への希望を失い、貧困と隣り合わせの崖っ淵にあると感じている。低迷する国民所得に合わせて住宅市場が質的転換を迫られている。

 

住宅産業の中では、ハウスメーカーはこれまでに蓄積した産業基盤の上に、全国各地で発生した災害復興事業とオリンピック関連事業により企業活動を拡大している。その中で住宅産業は、オリンピック関連の短期的な人口増加対応の事業など、直面する事業を拡大展開している。一方、パワービルダーたちはこれからの国民の所得が低迷することを前提に、すでに政府が進めてきた住宅性能中心の「差別化・高価格」路線は限界にあるとして、低迷する購買力に合った生産性向上住宅に向かっている。

 

HICPMが1996年創設以来取り組んできたCM(コンストラクションマネジメント)の技術移転は、これまでには日本の住宅産業界には根を生やせなかった。一方、プレハブ住宅産業の基盤となった「プラモデル」住宅同様に、企業ごとの「標準化、規格化、単純化、共通化」に住宅部品の大量生産と単純組み立てにより高生産性を追求した「企業単位ごとのCMシステム」が、日本の伝統的な「塵も積もれば山となる」利潤確保システムとなり、パワービルダーの「組織ごとの成長力」になっている。

 

プレハブ住宅はバブル経済崩壊後、高い工場生産性に特化し工務店を組織化し、現在のパワービルダーの行なっている事業に転換する検討も行われた。営業偏重体質を変更できず、住宅サービス業の途を走った。米国の住宅産業はホームビルダー全体を対象に、NAHB(全米ホームビルダー協会)がMBSとの関係(FHAの債務保証をもった)ホーム・プラン・システムとCM技術を行使して、零細なホームビルダーにも「資産形成できる住宅」を高生産性で供給できるようにしたため、優れた品質の住宅を消費者の購買力の範囲で供給できている。

 

現在のパワービルダーは、性能と機能に優れた住宅を相対的に安い価格で供給できてはいるが、「資産価値が向上し続ける個性豊かなデザインの住宅」を消費者が自由に選択し、家計費支出で購入できていない。その実現には、MBS(モーゲージ・バックド・セキュリティ)と結びついたホームプランシステムと、国家的規模での標準化、規格化、単純化、共通化を進める住宅政策なしでは、実現はできない。本号で特集した『家族に幸せと財産をつなぐ』住宅による資産形成のために、米国の住宅不動産評価で重視される「住宅のロケーションづくり」の住宅地経営の取り組みを検討し、その実践の方法を紹介した。

2.インターナショナル・アーツ&クラフツ

---チャールズ・ヴォイジー、グリーン・ステインド・オーク・ライティング・キャビネット(緑色塗装樫材の書斎棚)、1896年

3.カレントトピックス

---限界マンション下流老人に原因となる日本の住宅政策

4.松尾憲親の「荻浦ガーデンサバーブ」住宅地奮戦記第3回

---住宅地経営の仕組み

5.ニューアーバニズムによる「家族の幸せとつなぐ住宅」

6.特集:「家族の幸せと財産をつなぐ」

---住宅と住宅地の設計・施工、住宅地経営

わが国では土地と住宅とは別の不動産(民法第87条)と扱っているが、日本以外の国では土地を加工して「住宅不動産」をつくり、計画修繕と善良管理義務を果たすことによって恒久的に変化させない不動産を経営管理している。家族の成長とともに住環境は育てられなければならず、「ストックの住宅政策」が行われてきている。しかし、日本では「フローの住宅」として物づくりが行われ、それは経年劣化し、やがて建設廃棄物になると政府と日本の御用学者は言っている。

日本以外の国では住宅のもう材料や工法の如何に拘らず、計画修繕と善良管理義務を前提に住宅及び住宅地経営が行われるため、住宅及び住宅地はそれらな建設された状態を維持するため、その不動産評価は、「推定再建築費」で、経年した住宅は物価上昇分だけ資産価値は上昇することになる。そのため、住宅を取得することは、自宅も含め、不動産投資として物価上昇分にキャピタルゲインガ得られると考えられている。そこに居住する人が好いコミュニティを形成すれば、人々はソクに住みたくなる「売り手市場」の住宅地を形成するため、住宅不動産価格は物価上昇以上に増進する。

本特集は「家族の幸せと財産をつなぐ」鍵は住宅地経営にあることを再確認するとともで、住宅意より資産形成だ実現している米国のニューアーバニズムを紹介した。

10.竹山清明の街並み講座

---サンピエトロ大聖堂をのぞく:国立のローマに関する研究所の門の扉のノゾキアナから山ピエトロ大聖堂を除いた記録

11.渋谷征教の住宅デザインのワンポイント(61)

---南町田マークスプリングス設計企画の裏話ー3

12.オランダ・アメリカ・日本の住宅(第34回)

---ハイポイント:ニューアーバニズムの実現

14「聖域なき構造改革」第38回

---憲法違反に疑義を晴らしていない政府立法

16.ア・フィールド・ガイド・トゥー・アメリカン・アーキテクチュアー(107)(108)

---公共建築と商業建築:アーリーヴィクトリアン、グリークリバイバル

18.CM学習の原点に戻って(6)OMとCMとPEPSIと生産性

19.「街づくり教科書」講座(第13回):建築家が行う都市計画、都市設計

20.書籍注文書・編集後記

 

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