スティック様式

ギリシャの神殿架構建築、 ローマの寺院アーチ ・ ドーム建築、 中世の教会ゴシック建築、 アングロ ・ サクソンやバイキングによる木造軸組建築等々、 建築史の中での建築デザイン(意匠)の流れは、 甚本的に建築材料の変化に対応して、 構造力学的に合理的な形態の中で発展してきた。 西欧建築様式は、 構造力学的に調和のとれた建築に安定した美しさをみつけて発展してきた。 19世紀になってルイス ・ サリバンが「形態は機能に従う」と言って、 デザインは機能を重視する考え方を示した。鉄とコンクリートという新しい構造力学的に優れた材料とガラスが利用できるようになり、 構造材料に縛られない空間形成ができるようになった。 そのため、 材料による制約が軽減され、 建築の形態は建築の機能に従って造ることができることから、 機能を重視して造った建築が美しいという主張が、 20世紀後半の機能主義建築の流れを築くことになった。 ルイス ・ サリバン自身、 アール ・ ヌーボーの建築デザインからシカゴ派を率いて、 アールデコデザイン、 摩天楼建築で近代建築を引っ張っていった建築家である。 しかし、 20世紀末になり、 機能主義に対して大きな疑問が投げかけられるようになった。鉄道駅舎が美術館に用途変更されたオルセーの美術館のように、 機能と無関係に形態が存在することが認められたからである。 美しい建築は、 その構造自体が荷重応力を地盤にスムーズに伝達することのできる構造合理性の高い建築物であることが認識されるようになった。 しかし、 このことは既に1856年ヘンリー·W ・ クリーブラントが、 その著書「集落や農村向き住宅(Village and Firm Cottage)」の中で、 新しくて精力的な建築方法の本質を列挙して「新しい様式の強さと性質は、 その構成部材を構造体の表面に出して表現する」と示し、 現在のフランスのレンゾ・ピアノによるポンピドーセンターのデザインを思い出させるようなことを明言している。

スティック様式 タウンハウス立面図

 

スティック様式は、 建築の意匠(デザイン)の上に「構成部材が構造体の表面に現われた」デザインを採用することで、 安定感のある美しさを表現することになった。 これはあくまで意匠としてのものであって、 実際の構造ではない。 それは、 もし、 本物の構造部材ならば、デザイン上そのようになったというデザインでなければならないことを意味する。

1863年にロードアイランド州のニューポートにあるグリスウォルド邸は、建築物全体をスティック様式で設計した最も美しい建築物である。スティック様式では、できるだけ木構造の架構の特色が強調されるよう、庇や軒、破風を大きく強調し、腕木や肘木、筋違、合掌、木造アーチなどを、できれば壁の表面だけではなく、壁から突き出して表現することで、 その様式上の特色や面白さは強調される。また、ジャティと呼んでいる上階を下階より突き出したハーフティンバーによく用いられる構造デザインや、その突き出した部分の床下につり下げる飾り(ドロップ)などを装飾として使ったり、 突き出し部分に腕木を採用するなどの技法も、よく使われる。

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