スイス・コテージ様式

優れたスイス ・ コテージは、 木造建築(住宅)の中で最もピクチャレスクなデザインと考えられていた。 ピクチャレスクとは、 絵画のように美しい構図を持っているという意味で、 両指で矩形の形をつくって、 そこから覗いた美しい風景(額をはめてみた構図としての風景)をピクチャレスクと呼んでいる。 ビクトリアン時代の荘園領主は、 自らの荘園内の景観をピクチャレスクにつくるために、 領地内の集落を移転させたり、 森や林を移動させたりしたこともあるといわれている。スイス ・ コテージの特色は、 粗々しく突き出した傾斜のつよい屋根の形状と、建築物の間口や奥行き一杯に張りめぐらされたベランダと大きな開口部にある。 本物のスイス ・ コテージでは、 屋根に石材が使われたり、 最下階に牛舎を取り込むというようなことが一般的であるが、 英国や米国で採り入れられているのはもっぱらデザインだけである。


スイス ・ コテージの原型は、 丘陵地帯の傾斜した地形に建設されることを前提に、 1階が主階となり谷に向けて前面にバルコニー(ギャラリー)が張りめぐらされ、 そこからの眺望が楽しめるようにつくられている。 地階には台所、 酒蔵庫、 食品庫、 燃料庫、 トイレ ・ 浴室が設けられ、 2階は寝室、 1階には応接間、 居間、 主寝室が設けられている。 下図は「表紙のことば」と同じもので、 スイスの荘園にある農家住宅の典型で、 大屋根でつくられた屋根裏部屋付住宅である。 住宅の1階の周囲にはポーチがめぐらされ、 2階部分の妻側に前面ベランダが設けられている。 さらに棟の屋根中央にはドーマー窓がつけられている。 通常、 暖炉は棟の中央に設けられ、 エネルギーを最も有効に使えるように考えられている。


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