HICPMメールマガジン第826号(2019.03.25)

みなさんこんにちは

 

消費者が自分に合った建設業者の選び方

全米ホームビルダー協会(NAHB)が顧客向けに、「顧客が間違わないで適切にホームビルダーを選ぶための方法」のチラシを1枚2ドル50セントで作成しベストセラーになっていた。そのチラシの内容を支持するホームビルダーが、顧客に配布するためにチラシをたくさん購入し地域に配布した。結果的に多数のチラシを配布したビルダーが良い顧客を多数集めることができた。チラシに書かれてあるホームビルダーの選び方は、NAHBが過去の経験から導いた以下のような経験が記載してある。

 

  • ホームビルダーの能力が建築主のニーズに応えられる能力のあることが、ホームビルダー選択上、最も重要で、その能力を定める方法(略)で顕彰し、評判を知る方法が最適である。
  • ホームビルダーの選択は、ホームビルダーが建設した住宅を複数戸選定し、それらを直接訪問し、建築主の希望する住宅を建設する能力確かめ、住宅品質を自分自身で確かめることである。
  • ホームビルダーが建設した住宅を居住者やその周辺住民に面接し・調査し、建設業者の住環境形成に関する業務能力と業務成果を実際から判断市、その業者の能力を確かめることである。

 

住宅建設業者にはそれぞれ固有の特性があり、高い評価を受けている業者であっても、それぞれには得意、不得意の分野があり、必ずしもオールマイティではない。建築主の要求に応えられる能力を持っているか、どうかはわからない。建築主自身が実際に建てられた住宅を見て好意が持て納得できるならば、そのビルダーの選択に間違いは起こらない。NAHBの説明では、そのチラシを購入し顧客に配布しているビルダーは、チラシ内容の経営指針に合致し、地元での評判が高ければ、ホームビルダーは広告宣伝をしないで顧客を獲得できていた。

 

NAHBの会長職を経験されたピンカースさん(カリフォルニア州)から、NAHBの進めているホームビルダー経営と、ピンカースさんご自身の経営経験を詳しく教えてもらった。

ホームビルダーは顧客から、「専門性の高い住宅の専門業者である」と尊敬されないではよい仕事はできない。顧客から尊敬される関係を「如何に形成するか」を考える必要がある。その基本的な方法として、ピンカースさんは彼に住宅建設を依頼してくる顧客に、まず、ピンカーサさんが建設した住宅を見てもらうことであるという。そこで造られたご自身の住宅の建築思想に顧客が共鳴し、「わが家」と帰属意識が持てると感じてくれた上で、住宅の居住者に会ってもらうようにする。顧客はビルダーの評価に関し、「ホームビルダーの実力に信頼がおける」確信をもち、ピンカースさんの技能と業務を信頼し依頼してくれる信頼関係のもてる人からしか、仕事は請け負ってはいけない」と言っておられた。

 

ピンカースさんの説明は、住宅はそのアーキテクチュラルボキャブラリーを表現するデザインを通じて住宅のデザイン思想を伝達するとともに、その住宅を施工した人の住宅に対する思いが工事内容を通して伝えられるという「生産者の人格」を問題にしておられる。住宅を建設する顧客はその住宅を設計し、施工する人の建築思想に共鳴し、その技術・技能に信頼する関係ができない限り、建築主は提供される住宅に対し尊敬した気持ちで受け止めることはできないからである。

 

そのため、設計者及び施工者は、住宅の設計施工を通してその建築思想を表現し、社会に訴えている訳であるから、建設する住宅が表現しているデザインが重要となる。顧客はピンカースさんの建設した住宅を見て設計者・施工者を評価するわけであるから、「住宅購入者から尊敬される仕事」をしなければならず、そのためには、「その技術技能を絶えず鍛え、自己研鑽し、顧客から尊敬される業務」ができることである。ピンカースさんご自身は全米のホームビルダー協会の会長の立場にあり、1990年代のカリフォルニア州の不況時代に、NAHBのパンフレットのとおりの経営を実践したことに自負を持っておられた。

 

日本における住宅建設業者の選び方

NAHBの会員に対する住宅経営指導に対応する経営指導が、日本ではどのように行われているだろうか。政府や住宅金融機関、住宅産業のとり組みを調べてみると、政府の住宅政策にも民間の住宅産業や住宅金融機関のどこにも、住宅販売のために集客を誘い込むことが企業の取り組みがすべてで、NAHBの考えているつくられた住宅が設計者・施工者の人格を表願していることを、わが国で見ることはほとんどあり得ない。わが国では、過去に建設した住宅を具体的に顧客に開示し、居住者の評判住宅建設業者を探している消費者に開示し、顧客に公平に選択してもらおうと情報提供をし、紹介客100%の経営は行なわれていない。それは顧客からの評価がほとんど期待できないからである。

 

わが国では、中古住宅では「例外なく価値が下落している」ため、値下がりして住宅所有者が困っている住宅を顧客には見せられないと考える理由も解る。米国の場合、既存住宅市場が新築住宅市場の4倍程度あり、既存住宅市場でホームビルダーが過去に建設し、売却した住宅の情報が住宅取引時点で全て分かるのとは基本的に違う。米国では住宅の価値は市場の需給関係で決められた取引価格(自由主義経済の原則)が守られ、不動産引価格は公開で追跡可能である。住宅が等価交換販売され、取引価格は推定再建築費で決められる既存住宅の取引で、住宅建設業者の実力を消費者が評価で決まっている。

 

そのためには、NAHBの「工務店の選択の仕方」のチラシを、日本でも配布できる建設業経営をするようにしないと行けない。わが国では住宅ローン事故が多発しているのにもかかわらず、住宅ローン事故の予防策のことは、政府をはじめ住宅産業界のホームページを調べても、住宅政策上も、住宅産業政策上も見つからない。その理由は、住宅経営者から「住宅産業上の課題は、住宅を販売して利益を得るまでの産業で、それ以降の問題は、住宅金融機関がローン回収を行うことになり、住宅産業は関係しない」と言っているわが国の「フローの住宅」政策であることに理由があることが分かった。

 

産業責任の負い方の評価される例

住宅ローン返済不能事故を引き起こす住宅金融の問題は、取引価格にも関係する設計・施工・建材物流に関する問題でもある。政府の説明では、減価償却の問題とされ、自然現象のような不可抗力とされている。しかし、その本質には、「差別化」による不等価交換がおこなわれ、中古住宅の価格下落問題は、不等価高額販売が原因で、住宅会社が不当に着服してきた裨益を隠蔽する説明として、住宅の価値は減価償却する不可抗力の社会現象であると説明してきた。

 

中古住宅価格の下落問題を、住宅政策の問題でもないと政府は言い切っている。政府及びその職員、住宅産業関係者、大学教師を含む学識経験者の住宅設計・施工の問題の認識は、住宅品質確保促進法上の品質問題だけが住宅販売上の「物づくりの問題」であるが、住宅の資産価値に関する問題は「物づくりの問題」ではないとされてきた。現実に行なわれてきた高額販売は、「差別化」政策の結果である。住宅購入者の支払い能力と対応していない問題は、住宅産業の問題ではなく、住宅購入者の「自己責任の問題」とされてきた。しかし、「差別化」政策を正当化する住宅政策が、政府にとって進められてきた事実は重大である。政府と住宅産業責任である事実は否定できない。

 

「差別化政策」は憲法が否定する政策

現実の日本の住宅産業は、不正確な設計圖書による不等価交換販売を行なう工事請負契約を容認してきた。その不正な工事請負契約に見合って、住宅購入者に不等価交換販売とそれを欺罔する不等価交換金融を行ない、融資額の約3倍の担保を抑えて金融機関に損失が及ばぬようにしてきた。その結果、「住宅産業は損失を被らないで売り逃げ産業で、住宅購入者から売却後、纏わり付かれないように住宅産業が逃げ切り、それを政府が「自己責任論」と「減価償却論」により住宅産業を幇助してきた。そのような解説を、ハウスメーカーの経営責任者や住宅産業関係行政担当者から正当な営業と聞かされてきた。

 

住宅価格の欺罔を、政府自身が建築基準法、建築士法、建設業法違反を推奨し幇助してきながら、住宅購入者が住宅を手放さなければならなくなったとき、ローン債務が住宅の価値を上回って、住宅を手放しても残債が残る結果を見て、政府が「自己責任」論を持ち出すことは許されない。その中で例外もあった。阪神淡路大震災のとき、積水ハウスでは工事施工担当役員の池田さんは、地震事故から回避する姿勢は「それは産業倫理に悖る」と言い、系列企業「積和工業」を使い、被災した全住宅を調査し対応策ととった。企業として自社が建設した住宅に責任を認め、善後策を取ったことで、震災後の積水ハウスの信用が高まり、その地域での積水ハウスのシェアーが高まった。

 

それ以外のハウスメーカーはまともな対応をしようとせず、被災者から顰蹙を買ったが、まともな取り組みをした積水ハウスが業績を拡大した結果を見て、後追い的に積水ハウスの真似をする企業も登場した。売り逃げで巨額の利益を得てきた住宅産業が負うべき社会的責任を、果たす当然のことが産業倫理として問われている。しかし、その後、ハウスメーカーが行ってきた不等価交換販売と不等価交換金融で売り逃げをし、国民が住宅を購入したことで貧困化している問題に関しては、すべてのハウスメーカーは住宅購入者の被った被害を問題にせず、国民全体が貧困化に転げ落ちている現実を知っていて、政府も現在の住宅産業もその政策責任と産業の社会的責任を疎かにしている。

 

住宅産業界の経営最前線の取り組み

住宅建設業者は話題性のある住宅情報をばらまき、顧客の関心を引くことを重視し、ともかく集客をすることを優先している。住宅建設業として設計及び施工能力・経験が貧弱であるにも拘らず、それを自覚せず、建設業者としての必須業務である設計(基本設計及び実施設計)業務、建設工事費見積業務、施工経営管理(資金管理、品質管理、時間管理)業務(CM:コンストラクション・マネジメント)、や工事監理業務(モニタリング)の基礎知識や基礎業務能力の向上のために自己研鑽をせず、集客をし、下請業者に仕事を分配すれば、設計・施工の専門知識がなくても住宅会社経営はできると考えてきた。

 

客引きをするために人通りの期待されるところや住宅展示場に営業用の店舗を開店し、そこにはゼロエネルギー住宅、長期優良住宅、瑕疵担保履行住宅、高気密・高断熱、高耐震強度、免震、強地盤等高性能住宅を中心に、政府の顧客騙し住宅政策情報を展示し、政府の広報誌以上に詳細に解説し、わが国の住宅政策の実践会社と言わぬばかりの宣伝をしている。そこには国内外の人気のある住宅デザイン、インテリアデザイン、生活雑誌や材料や住宅設備雑誌、ガーデニング雑誌なども並べてあり、消費者の希望に合った「洋風住宅」を建設すると説明している。

 

そこには喫茶コ-ナーがあり、友達との待ち合わせや打ち合わせの場所として利用され、託児施設のような遊具も備えられ、子供の遊べる空間も造られている。ここで行われている方法は、基本的に住宅展示場が行ってきた方法と同じ空間である。住宅建設業者の営業店舗の目的は、住宅購入予備軍に来店してもらい、この店の人に住宅の相談でもしてみようかという雰囲気を作り出し、住宅建設の相談をしてもらえる雰囲気づくりである。

 

その業務は客引きで、ひきつけられれば、後は「客の要求は何でも実現できる」話しに持ち込んで、成約まで段階を追って話を詰めていく。計画修繕や住宅の善良管理義務という建築主にとって重要な話題は出ることはない。これらの店舗を見ていると、住宅設計・施工と言う業務は住宅販売という客引きが住宅営業であって、住宅、建築に関し、生活文化や、機能・性能に関する知識や、それを住宅につくり上げるための住宅性能や文化に関する設計、施工、材料と言う専門知識や専門技術ライフステージに対応する生活要求に対応計画は、住宅の売り抜けには必要とされないからである。

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