HICPMメールマガジン第830号(2019.05.07)

皆様こんにちは

10日間にわたる大連休の間に、かねてより都市計画法施行上の大問題東京都の「開発許可の手引き」の問題を整理しましたのでお届けします。

 

開発許可制度の歴史的考察

 

はじめに

現在、東京都による「開発許可の手引き」による都市計画行政は都市計画法を破壊する自殺行為である。このことをその歴史的考察により、都市計画法制定時点から現在までの経緯を小生の官僚時代の経験及びその後半世紀に亘る官民での経験を中心に検討し、歴史的事実に基づき、半世紀に亘る都市計画法との都市計画行政の研究成果を基に、時系列を追って以下のとおり証明する。

 

第1.わが国の都市計画法のモデル:英国の都市農村計画法

1968年に制定されたわが国の都市計画法は、当時、経済成長によって急激にスプロールをし始めたわが国の都市を安心できる都市にするために、建設省は、当時世界的にも最も進んでいると考えられた英国の「都市農村計画法」をモデルとして、わが国の都市計画法を制定する方針が決定した。

 

第2.モデルとされた英米の都市計画制度

欧米の都市計画法は、共通して都市を建設するためには、都市に土地と建築物を一体にした建築不動産を建設するために、その建築不動産の計画全体の計画が安全であることを、都市計画行政として計画段階で審査し、許可を与える「計画許可制度(プランニング。パーミッション)」を行なっていた。

 

第3.建築行政を吸収する新都市計画法

欧米では英国の「都市農村計画法」も、米国の「ゾーニングコード(慣習法)」も基本的に同じで、都市計画法でわが国の建築基準法の集団規定の審査を終了させている。わが国で英国の指導を受けて作成した都市計画法は、英国の「計画許可制度」を「開発許可制度」として取り入れ、内容は同一とされた。

 

第4.建築行政を吸収する都市計画法

わが国で建設省都市局が準備した都市計画法は、建築基準法第3章規定を丸ごと都市計画法に取り入れることになるため、建築基準法の集団規定は都市計画法に吸収され、建築行政の集団規定が消滅揃ことを意味していた。そこで建設省住宅局は、国会上程直前の都市計画法の立法に反対した。

 

第5.土地と建築物一体か、分離かの「建築不動産」の法的地位 

欧米とわが国の都市計画法上の基本的相違は、「土地と建築物を一体」の不動産と扱う欧米と、「土地と建築物とは別の不動産」と扱う基本的違いで、その基本にはわが国の「民法第87条」がその法律上の違いの原因になっていた。そこまで遡って法律上の矛盾を解決する時間的余裕はなかった。

 

第6.都市局と住宅局との妥協

都市計画法の問題を民法上の建築不動産の扱いにまで遡って整理する時間的余裕を失った建設省は、住宅局と都市局との妥協を「拙速的に行うこと」で都市計画法の制定を急ぐことになり、都市計画法で都市計画の整備水準を引き上げた「開発許可の基準」に適合した道路整備を放棄してしまった。

 

第7.「開発許可」と「計画許可」

都市計画法と建築基準法行政は、既存の行政を尊重することで建設省内の妥協が成立し、欧米の「計画許可」と同一の内容を定めた「開発許可」に関し、新たに「開発許可」の対象となる「開発行為」の範囲を「定義する条文(第4条)が、都市計画法の中心規定として設けられることになった。

 

第8.開発行為の定義

土地と建築物一体の欧米の建築不動産は、計画許可において建築不動産全体の計画安全性を審査するが、建設省が妥協の産物としてまとめた開発許可制度では、都市計画法で扱う開発行為を「土地の区画形質の変更」と定義し、都市計画行政で行ない、それ以後の建築物は行政対象としないことになった。

 

第9.「予定建築物」という法律用語の登場

それまでの土地と建築物とを一体の不動産として扱うことになった都市計画法を、「予定建築物」の地盤までの土工事と基礎工事部分までと、地盤完成後の「予定建築物」に区分し、前者を都市計画法の開発許可で、後者を建築基準法の確認で行う合意がされた。「予定建築物」は開発許可の設計条件である。

 

第10.開発許可の基準

建設省は都市計画法により高水準の都市を建設するためには「開発許可の基準」を高く設定することが不可欠と考え、開発道路幅員をそれまでの「4m」を「6m」に引き上げた。その開発許可基準に対応した道路整備は道路管理者が行なう必要があったが、都市計画法反対によって放置された。

 

第11「開発.「開発許可」のできない許可の基準」

わが国の大都市では1950年の建築基準法制定時に都市計画区域内の道路を4mとする原則を定め、それを満足しない挟幅員道路は、建築基準法で「4m」と見なしで凌いできた。新都市計画法で「開発許可の基準」で「6m以上」と規定しても、法律条文だけで道路が建設されるわけではない。

 

第12.法律違反の都市計画行政の始まり

結局都市計画法の開発許可の基準に合った道路整備が行なわれないまま都市計画法が施行された、都市計画法では、敷地面積が500㎡以上の土地では開発許可が義務図けられたが、「開発許可の基準で「幅員6m」以上の道路がなければ、開発許可は受けられないため、開発許可自体が出来なくなった。

 

第13.開発許可の回避

地方分権法で都市計画法を施行することになった東京都知事は、矛盾に満ちた開発許可を避けるため、特別区の開発許可権限を丸投げし、特別区長からの質問に対し、都市計画違反の行政指導を行き当たりばったりに行ない、その違法の行政指導の集積が東京都による『開発許可の手引き』である。

 

第14.建築行為には、「開発行為は不存在」

東京都知事は、建築工事を開発行為ではないという誤った解釈を持ち込み、建築工事は開発許可の対象にしないと、都市計画法の立法目的と条文に違反した扱いを始め、その正当化を図るため、「開発行為」の定義を都市計画法に違反して作成し、定義に該当しない開発には「開発許可不存在」の扱いとした。

 

第15.開発許可を回避できない場合には「制限解除」

東京都が都市計画法違反で定めた「開発行為」の定義に該当する都市開発事業に対しては、都市計画法第27条で禁止している条文に大胆に真逆の解釈を持ち込んで、「制限解除」の許可申請を提出させる違法に開発許可権限を移管した特別区長に開発許可なしで、建築工事の実施を例外許可させた。

 

第16.違反の開発東京都の都市計画法許可行政の「現段階の集大成」

東京都の都市計画行政は、1968年の建設大臣の機関委任事務時代に始まり、地方分権法により東京都知事の固有事務になって以降も続いており、その長い都市計画違反の行政の上に、過去の行政実績に縛られ身動きのできない状態にある。東京都の職員にとって、自らは直接手を下さず、特別区長の丸投げしているため、基本的に痛痒を感じていない。しかし、都市計画法違反の行政では長続きはしない。そこで違法であっても、それを行政的に裏打ちして欲しいという都市計画行政の現場からの要求に応えて文書化してきたものの現段階の集大成が『開発許可の手引き』である。

 

終わりに

東京都の都市計画行政が都市計画法に適合した行政に戻ることをぜひ実現しなければ、東京都民の都市環境の改善は望めない。その検討の原点として本文書を取りまとめた。ここに記載したことの全ては、小生自身が行政上の経験した理行政事件訴訟で経験した理都市計画学のkうぇん給を通して城ことのできた知識経験であるので、必要がればそれらの説明を付加することが出来るものである。

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