HICPMメールマガジン第811号(2018.12.03)

みなさんこんにちは

 

わが国の住宅政策が占領政策の下で「米軍の兵站基地における軍需産業復興」のために、軍需産業労働者向け住宅を供給することから始まった。わが国が米軍の兵站基地の扱いを受けていたことは、日米安全保障条約により、現在も基本的に拘束されている。しかし、米国がベトナム戦争で敗北したことで、兵站基地として軍需物資を生産するための軍需産業労働者向け住宅の供給義務が消滅した。旧軍需産業資本(財閥)が軍需産業労働者向け住宅として、住宅金融公庫が融資した「産業労働者向け住宅」であった。この制度は「戦争を放棄した日本国憲法の関係で、「軍需」という言葉に使用は禁句とされた。

 

そこに入居出来ないより低所得者向け住宅として供給さられた住宅が国庫補助金を受ける「公営住宅」であった。その後生まれた公団住宅、公社住宅は公営住宅の補足対策である。公営住宅、公団住宅及び公社住宅は、産業労働者向け住宅(社宅)との違いを強調して、「国民一般低所得者向けの住宅」と政府は説明してきた。しかし、占領政策とそれを引き継いだ日米安全保障条約の下では、日本全体が米軍の兵站基地とされ、米軍の占領政策であったので、狭義の「軍需産業労働者向け住宅」は、住宅金融公庫の「産業労働者向け住宅」であった。わが国の米軍占領下の住宅は、広義の「軍需産業労働者向け住宅」であり、わが国が独立後もわが国の住宅事情が著しく悪い状態にあったので、日米安全保障条約により、軍需産業労働者向け住宅は、米軍の占領政策が政府施策住宅として継続された。

 

狭義の「軍需産業向け労働者住宅」と広義の「軍需産業向け労働者住宅」

1976年米国がベトナム戦争に敗北した後、日本が米軍の兵站基地とされている事実は、日米安全保障条約と日米地位協定により基本的に変化していないが、米軍に軍事物資を供給する業務は事実ベトナム戦争終結で、事実上消滅し、住宅政策に米軍の軍需物資を供給する労働者向け住宅供給する義務は事実上消滅した。わが国の政府施策住宅全体が米軍の兵站基地の住宅であったので、住宅政策の全面的見直しが必要とされた。日本政府は米軍向けの軍需物資供給産業向け労働者(住宅金融公庫による産業働者向け住宅及び住宅公団による特定分譲住宅)は住宅供給義務対象が消滅し廃止せざるを得なかった。

 

しかし、政府施策住宅は公共の住宅供給主体が事業主体となって、「一般国民向け」と説明してきたため、住宅産業と経済政策のための一般政策としてそのまま継続する考えであった。しかし、米軍の兵站基地で、軍需物資を米軍に買い上げさせていた事実関係が崩壊するため、政府施策住宅政策を継続する場合、国家の財政および金融の収支上、軍需産業の影響を検討する必要に迫られた。

 

わが国の戦後の住宅政策目的:軍需産業労働者の住宅供給

わが国の住宅政策は政府の説明とは違い、米軍の極東軍事戦略の関係での軍需産業労働者本位の住宅政策で、国民本位の住宅政策ではない。最初から現在日本で行われていると同じ「産業本位の住宅政策」である。ただし、わが国残体が米軍の兵站基地にされているから、国民全体が軍需産業を支援する労働者と見なされることになる。国民全体を住宅政策の対象にしていることでは、欧米の住宅政策と同じように扱われている。しかし、欧米の住宅政策は消費者の福祉政策を目標とした住宅政策であるのに対し、日本の住宅政策は、軍需産業本位の住宅政策で、その政策目的は全く違っていた。

 

日本の住宅政策は表向き「国民のため」と言いながら、国民に憲法で定めた健康で文化的な住宅環境を保証する政策ではない。その実際は軍需産業を維持するための労働者住宅のためで、その労働者に住宅を供給する住宅政策を進めるため、政府はその住宅供給を担う住宅産業に利潤拡大と措置法御財源となる税収を拡大する国の経済成長が政策目標となった。国民の福利の増進は副次的であった。住宅産業の成長や経済成長は国民の住生活の利益を直接目的ではないから、それ自体が住宅政策目標にはならない。

 

国民の住生活を政策対象にしてこなかったわが国の住宅政策

わが国では住宅政策の結果、国民が住宅を不価交換販売され貧困になっている。終戦後朝鮮戦争の勃発から始まったわが国が占領軍(実質米国)の占領政策が、1952年にサンフランシスコ条約の締結により、わが国は形式的に占領政策から解放され独立した。しかし、サンフランシスコ平和条約締結日の日に、事実上米軍に従属した国家とされる日米安全保障条約が締結された。その結果、米国による日本を米軍の兵站基地とする扱いは、東南アジアにおける米国の軍事戦略の中で継続拡大された。

 

1960年日米安全保障条約の改正で、日米関係は政策委経済全体における対米従属関係から、経済負担を対等にする同盟関係に変化したが、わが国が米軍の兵站基地であり続ける政策は維持された。住宅政策としての米軍のための軍事産業労働者向け住宅を供給する役割をわが国が負わされ続けていて、米軍の兵站基地の状態は基本的に変わってはいない。しかし、米国がベトナム戦争で敗北した結果、米軍の軍需物資の生産・供給するわが国の役割は殆ど消滅したことから、わが国の住宅政策は、米軍のための軍需産業需要が消滅し、軍需産業向け労働者向け住宅の供給義務が事実上消滅した。

 

自主性のある住宅政策か、日米安全保障条約に縛られた住宅政策か

米軍の兵站基地として米軍に提供する軍事物資を供給する軍需産業が軍需物資の生産を必要としなくなれば、狭義の「軍需産業労働者向け住宅」を供給してきた住宅政策は不要になり、そうなれば、住宅産業自体の存続が問われることになる。政治的にこの事実(兵站基地の住宅政策は日米安全保障条約を根拠にする政策であること)を明らかにすることは、日米安全保障条約自体を問い直すことになり、それを避けるために、政府は住宅政策を日米安全保障条約と無関係な政策として処理した。西山・上野の住宅政策史観が政府の住宅政策史観に取り入れられ、住宅金融公庫の産業労働者住宅も、日本住宅公団の特定分譲住宅も、独立国家としての産業支援の住宅政策であると説明されてきた。

 

ベトナム戦争が終わって政策変更をしなければならなかった政府は、日米安全保障条約と住宅政策との間には関係がないことを強調するために、西山・上野の住宅政策史観を国の住宅史観として強調してきた。それは、わが国の住宅政策は欧米の住宅政策を参考にして独自の住宅政策を5か年計画として実施し、住宅建設計画法は住宅建設5か年計画の延長線上の住宅政策と説明された。そして住宅建設計画法は日本が米軍の兵站基地とされている日米安全保障条約と関係はなかったかのように説明してきた。住宅金融公庫融資を受けて建設されてきた産業労働者向け住宅や、日本住宅公団が建設してきた特定分譲住宅はいずれも社宅であり産業支援の住宅であるが、その産業が軍需産業と関係はあっても、軍需産業と言うカテゴリーはわが国は存在せず、1950年当時の状況とは大きく変化し、その政策は不要となったとトカゲの尻尾切の政策説明に終始した。

 

産業労働者住宅と特定分譲住宅の住宅政策の目的

ベトナム戦争で米軍が敗北した結果、米軍に軍需物資を供給する軍需産業労働者に住宅を供給する需要が消滅したため、わが国の政府施策住宅政策は需給関係の根底から住宅政策の見直しを求められた。それは産業労働者向け住宅だけではなく、実は日本全体が米軍の兵站基地で、政府施策住宅が軍需産業ク家住宅政策であるから、住宅政策の見直しは全てに及ぶものであった。

 

軍需産業のための住宅供給の需要は消滅したが、住宅事情は悪く国民に住宅を供給することが求められ、その実現のための財政金融上の裏付けが問題にされた。軍需産業向け住宅需要が消滅する結果、政府施策住宅が基本的に軍需産業労働者向け住宅であるため住宅政策全体が見直しを迫られ、住宅局の存続が問われる危機に直面していた。住宅局は政府施策住宅全体がわが国独自の住宅政策として行われたという前提で、それを継続する政策をすれば、住宅産業とわが国経済への影響は最小限に納められると住宅局専門官(経済官僚)は考えた。

 

財政、金融政策として、ケインズ経済学がわが国の政策のバックボーンとなり、ベトナム戦争終了以前の住宅政策が、その財政および金融政策を通してわが国の経済に重要な役割を果たし、住宅産業の存在をわが国の財政および金融政策をする上に無視できないと高見住宅局専門官(経済官僚)は説明した。住宅政策がわが国の経済政策上重要な役割を担うことができる認識が政府内に認められ、住宅政策を担当する建設大臣は住宅政策の実施に伴う公共事業と同時に、わが国の財政および金融に大きな影響を持つ政策を実施する経済閣僚とされた。

 

そして住宅は軍需産業による経済的利益の回収ではなく、財政および金融政策として経済政策上の有効需要を生み出し、経済活動を活性化する役割を担うことのできる行政機関と内閣で認識された。住宅政策は、軍需産業が住宅の需要者を生むとする考えから、国民を直接の住宅を建設する需要者(エンドユーザー)とするとともに、住宅産業投資が国家の経済の有効需要を生み、国家経済成長をもたらすとされた。それを可能にする直接的な手段は住宅需要者の購買力を住宅産業の期待通りの膨張させる住宅金融制度であると判断された。

(MM第811号)

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